財務指標


■財務指標

財務指標とは、企業の経営成績や財政状態を財務諸表の数字を用いて

計算し数値化して示したものです。


財務指標を代表的なものを基準とし分類すると、安全性指標、収益性指標、成長性指標、

効率性指標、生産性指標に分類することができ、財務の指標は、主に、財務分析をする

際に利用されています。


企業の目的は、利益とキャッシュフローの最大化なので、キャッシュフローという

観点で、最も重要な財務指標は、各種回転期間と回転率になります。


ちなみに、回転期間と回転率は、同様の結果を示すものなので、回転期間の理解が

できていれば、経営分析に関する実務においては問題ありません。


この財務指標は、自社または他社の現状を経営分析する際に、客観的な

定量データとして利用されるものです。


財務指標を算出する場合は、複数の事業年度データと業種別平均(業界平均)や

企業規模別に平均値を用意し、自社の経営分析をする際は、自社のあるべき姿の

財務指標も準備することは言うまでもないことです。


自社のあるべき姿の財務指標を準備する為には、自社のあるべき姿である、

予算の、貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CF)、

資金繰り表が必要になります。


また、財務指標の分類としては、下記の通りです。


・企業の財務の健全性を評価測定する安全性指標

・企業が営業活動により利益を獲得する能力を見る収益性指標

・ヒト・モノ・カネが産み出した付加価値を測定する交差比率等の効率性指標

・企業の将来の成長の可能性を判断する成長性指標

・企業がどれくらい資本を有効活用しているかを評価測定する生産性指標


尚、財務指標の統計資料としては、財務省が公表している法人企業統計調査が最適で、

この法人企業統計調査では、日本国内に本店を有し営利を目的とする中小企業から

大企業迄の約276万社の財務指標データを業種別・規模別に取得することができます。


ちなみに、法人企業統計調査では、全産業、製造業(20業種)、非製造業(36業種)

毎に財務データが分類され公表されています。


■回転期間

回転期間とは、企業が経営活動において、経営資源である資産・負債・資本を

どれだけ効率的に活用しているかを示す指標です。


この財務指標は、効率性を客観的に示す、効率性分析手法の1つであり、

財務戦略には欠かせない指標です。


この財務指標は、動態的分析(フロー分析)をする際の、支払能力の把握に

威力を発揮します。


売上債権回転期間の原因は、回収サイトにありますので、企業は、取引条件の

改善に力を入れることになります。


この財務指標は、主に売上債権、棚卸資産、仕入債務等の効率性分析の

際に利用します。


ちなみに、キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)は、売上債権、棚卸資産、

仕入債務の各回転期間に強い影響を受け、運転資金の原因でもあります。


また、企業の生命線である経常収支を改善する為には、回転期間の乖離と

利益率の改善が重要で、この指標の管理業務は、経常収支を改善させる為には

とても重要な業務プロセスなのです。


そして、回転期間などを活用することにより財務分析をすることは、

バランスシートの分析といっても過言ではありません。


財務分析をする際の分析の比重は、バランスシート(BS)が90%で、

損益計算書は(PL)は10%ぐらいの力の入れ具合で丁度よいのです。


この財務指標の種類には、下記の種類があります。

各種回転期間の種類

①棚卸資産回転期間
②売上債権回転期間
③仕入債務回転期間
④製品回転期間
⑤在庫回転期間
⑥商品回転期間
⑦原材料回転期間
⑧仕掛品回転期間
⑨営業債務回転期間
⑩営業債権回転期間
⑪有形固定資産回転期間
⑫固定資産回転期間
⑬総資産回転期間(総資本回転期間)


補足ですが、回転率と回転期間の計算式は正反対の計算式になります。


総資産回転期間・・・回転期間=総資産÷売上高

総資産回転率・・・・回転率=売上高÷総資産


■回転率

回転率とは、企業が経営活動において、経営資源である資産・負債・資本を

どれだけ効率的に活用しているかを示す指標です。


この財務指標は効率性分析で効率性を客観的に示すツールとして利用され、

財務戦略には欠かせない指標です。


この財務指標は、主に総資産(総資本)、売上債権、棚卸資産等の効率性分析

の際に利用します。


ちなみに、プロダクトミックスを決定する際は、商品回転率を用いて、

交差比率を算出します。


この財務指標の種類には、下記の種類があります。

各種回転率の種類

①売上債権回転率
②仕入債務回転率
③棚卸資産回転率
④固定資産回転率
⑤有形固定資産回転率
⑥営業債権回転率
⑦営業債務回転率
⑧商品回転率
⑨仕掛品回転率
⑩原材料回転率
⑪在庫回転率
⑫製品回転率
⑬総資産回転率(総資本回転率)


また、企業の生命線である経常収支を改善する為には、回転率の乖離と

利益率の改善しか無いといっても過言では無く、この指標をコントロールする

ことは経常収支を改善させる為にはとても重要な業務プロセスなのです。


■回収サイト

回収サイトとは、クライアントとの取引代金の締日から回収日までの

期間のことです。


このサイトは、キャッシュコンバージョンサイクルの原因です。


このサイトは、一般的にクライアント毎に決定し、企業の資金繰りにも影響

を与える重要な経営管理の項目です。


このサイトは、回転期間と密接な関係があるので、財務分析において

回転期間分析は、重要な分析手法なのです。


このサイトは、企業規模が大きくなり取引先が増えてくると、事務処理の効率化などを

目的として、一律のサイトにする企業が大半です。


しかし、一律の回収サイトにすると資金繰りを改善し、財務体質の強化改善をしたい

時などに支障がでることもあり、このサイトは、何らかの合理的な基準により決定する

ことが望ましいといえます。


そして、このような回収サイトなどの経営判断の結果が貸借対照表に

反映されるので、貸借対照表(バランスシート)はコントロールする

ことが可能なのです。


また、このサイトは、与信管理との兼ね合いで考慮すべきで、与信は企業毎に

違って当然であるため、このサイトはクライアント一律に適用するのではなく、

クライアント毎に決定すべきなのです。


そして、企業で実際に適用されている回収サイトが、売上計画を作成する際の

売掛金や受取手形などの回収の前提条件となります。


この予定と実際の回収サイトを予算実績管理などの際に比較分析し、

このサイトの計画値と乖離があれば、直ちに原因を究明して、その課題に

対して改善策を速やかに実施する必要があります。


尚、このサイトは支払サイトとともに、企業のキャッシュフローに大きな

影響を与える運転資本(運転資金)の金額を左右するので、経営計画の予算を

作成をする時は、計画ベースの資金繰りの状況を睨みつつ、クライアント毎の

サイトの見直しも考慮すべきです。


■支払サイト

支払サイトとは、取引先(仕入先)との取引代金の締日から支払日までの

期間のことです。


このサイトは、キャッシュコンバージョンサイクルの原因です。


このサイトは、一般的に取引先(仕入先)毎に決定し、企業の資金繰りにも

影響を与える重要な経営管理項目です。


このサイトは、回転期間と密接な関係があるので、財務分析において

回転期間分析は、重要な分析手法なのです。


支払サイトの英語表記は、「Payment site」、「Payment terms」と表記します。


このサイト計算方法は、支払の締め日から実際の支払日までをカウントする

ことでサイトを計算することができます。


実質支払サイトの計算方法は、仕入れた日から実際の支払日までをカウント

することで実質サイトを計算することができます。


このサイトは、企業規模が大きくなり取引先が増えてくると、

事務処理の効率化などを目的として、一律のサイトにする企業が大半です。


しかし、一律の支払サイトにすると資金繰りを改善し、財務体質の強化・改善

につなげたい時などに支障がでることもあり、このサイトは、取引先一律に

するのではなく、何らかの合理的な基準により、サイトを決定すること

が望ましいといえます。


このような支払サイトなどの経営判断の結果が反映されるものが貸借対照表

であるので、貸借対照表(バランスシート)はコントロールすることが

可能なのです。


また、資金繰りが苦しい取引先から、このサイトの延長を依頼されることが

ありますが、サイト変更やサイトを延長する際には、口頭で済ませる

のではなく、覚書を交わすことが一般的です。


サイトの変更や延長交渉をする際は、延長による担保の有無やサイトを

延長した期日に支払わなかった場合のペナルティーについても

取り決めしておくべきで、サイトの延長交渉をする担当者は、決裁権限

のある者が担当者となるべきです。


また、企業で実際に適用されている支払サイトが、財務計画を作成する際の

買掛金や支払手形などの支払いの前提条件となり、この予定サイトと

実際のサイトを予算実績管理などの際に比較分析し、サイトの計画値

と乖離があれば、直ちに原因を究明して、その課題に対して改善策を速やかに

実施する必要があります。


そして、このサイトは回収サイトとともに、企業のキャッシュフローに大きな

影響を与える運転資金(運転資本)の金額を左右するので、経営計画の予算を

作成をする時は、計画ベースの資金繰りの状況を睨みつつ、取引先毎の

サイトの見直しも考慮すべきです。


ちなみに、このサイトは、事業者の資本金規模と取引内容により下請法で

規制されていますので、経理担当者はこのサイトには注意すべきです。


■効率性指標

・総資産回転期間

総資産回転期間とは、どの程度総資産(総資本)を

効率的に活用しているかを示す財務指標です。


この回転期間は、総資本回期間とも呼ばれています。


この回転期間の算出は、総資産を売上高で割って計算し、この回転期間は、

企業がどの程度総資産(総資本)を効率的に活用しているかを評価出来る指標

で、財務分析の効率性分析手法の指標でもあります。


また、総資本回転期間は、計算結果が小さいほど、少ない資産で大きな

売上高を上げていることになり、企業が保有する資産を効率的に活用して、

収益に結び付けていることをこの回転期間は表しています。


この回転期間の計算において総資産を用いる理由は、総資産は企業が

自己資本と他人資本により資金調達をし、資金投下された資本の

全ての運用形態を表しているからです。


そして、この回転期間の計算式における総資産は、期首総資産と期末総資産

の平均値を用いる場合と、期末総資産のみを利用する場合があります。


また、異業種は単純に比較することは難しく、一般的に利益率の低い業種は、

この回転期間は小さく算出される傾向があります。


尚、この回転期間の向上には、まずは、不要な資産の処分・圧縮をして

総資産を減らすとともに、経営戦略を駆使し売上高を増加させる

しかありません。


計算式・・・総資産回転期間= 総資産 ÷ 売上高


・固定資産回転期間

固定資産回転期間とは、企業が保有する工場などの固定資産を

どれだけ効率よく活用しているかを示す財務指標です。


この回転期間は、設備などの固定資産への投資額が適切であったのか

を示す指標ともいえます。


この回転期間は、効率性分析における効率性指標の1つです。


この回転期間は、固定資産の利用度を客観的に示す指標で、

この回転期間の数値が小さければ小さいほど、工場などの生産設備の

利用度が高く、固定資産の生産性が高いことを示しています。


また、この回転期間は、重厚長大型産業の製造業と固定資産を

それほど必要としない業種では大きく異なりますので、財務分析をする際は、

同業他社や同業種平均の回転期間と比較しないと、固定資産を有効活用出来て

いるかどうかは分かりません。


そして、この回転期間の算出結果が多きければ、固定資産が

有効活用できていないことを示しています。


そのような企業は、固定資産の減価償却費が過大で利益を圧迫し、固定資産を

維持するランニングコストがキャッシュフローを減少させる要因にもなって

いるので、過剰な設備を調整する為の設備廃棄などの措置が必要であると

いえます。


尚、固定資産回転期間の計算式の意味は、ある期間当たりの売上高を

生むためにどれだけの固定資産が必要であるかを示しています。


計算式・・・固定資産回転期間(日数) = 固定資産 ÷ (売上高 ÷365日)


・棚卸資産回転期間

棚卸資産回転期間とは、在庫を何日分あるいは何ヶ月分保有しているかを

示す財務指標です。


この回転期間の英語表記は、Days Inventory Outstandingであり、この頭文字を

取って、DIOと略して呼ばれることもあります。


この回転期間は、キャッシュコンバージョンサイクルの構成要素です。


自社のこの回転期間を評価するには、同業種の標準・自社の過去の実績値・

在庫投資の計画を作成した際の計画値等と比較して判断します。


また、この回転期間は自社の商品や製品等の販売効率を示す指標で、

財務分析の効率性分析手法でもあり、在庫管理にも利用されます。


DIOの原因は、販売サイトにありますので、企業は、売れ筋商品

の販売に注力するわけです。


この回転期間は、この回転期間数値が短ければ短いほど、原材料、

仕掛品、半製品、製品、商品における各業務プロセスが短期間であることを

示し在庫効率が良いといえます。


この回転期間は、適正在庫を決定する際のデータとしても利用されています。


そして、この回転期間に影響を与えるものとしては、企業の商品・製品の

ブランド力、企業の営業・販売力、ジャストインタイム生産システム等の

生産技術等があります。


ちなみに、財務分析をする際は、異業種の企業との棚卸資産回転期間との比較は、

あまり参考にならないケースが多いので注意が必要です。


また、DIOが長期化すると、在庫が不良資産に変わるリスクが高くなったり、

企業の資金繰りを圧迫して運転資金を増加させる要因になり、その結果有利子

負債が増加することによる支払利息の発生や更なる在庫管理コスト負担等の

資金コストの増加に繋がります。


尚、中計で、運転資金計画を作成する際や在庫を削減する在庫計画を

作りたい場合に、どれくらいのペースで仕入れを行い、どれくらい在庫を

徐々に落とせばよいかの計画にも、DIOを活用することになります。


棚卸資産回転期間の計算式

・棚卸資産回転期間(日数) = 棚卸資産額÷(売上原価÷365日)


・売上債権回転期間

売上債権回転期間とは、売上債権が売上高の何日分残っているかを

示す財務指標です。


この回転期間の英語表記は、Days Sales Outstandingであり、この頭文字を

取って、DSOと略して呼ばれることもあります。


この回転期間は、キャッシュコンバージョンサイクルの構成要素です。


この回転期間の計算は、売上債権残高を売上高で割り365日を

掛けて算出します。


この回転期間が長期化してくると資金繰りを圧迫することになり、

回転期間は、財務分析の効率性分析手法でもあります。


また、この回転期間が長期化すれば与信リスクも上昇し、

この回転期間が長くなれば、更に運転資金が増え資金コストも増加します。


DSOの改善策は、回収サイトであるクライアントとの取引条件の

変更になります。


取引条件変更は難しい課題ですので、自社のブラント力を上げていく地道な

営業・販売活動が必要でしょう。


そして、他社の財務分析をした際に、売上債権回転期間が、

不自然に長期化している場合は、粉飾決算の疑いがあります。


この回転期間が不自然に長期化している場合とは、例えば、

同業他社に比べ極端に長い回転期間であったり、過去数期間と比べて

著しく長くなっている場合です。


また、DSOは短かければ短いほど、資金繰りにとっては当然プラスに影響します

し、回転期間の改善は、財務体質の強化・改善にも繋がります。


そして、他社の売上債権回転期間の分析をする場合に分析上考慮することは、

売上が期末直前に集中するような業種であるか等を注意する必要があります。


尚、中計で、運転資金計画を作成する際にも、DSOを活用します。


計算式・・・売上債権回転期間(日数) = 売上債権残高 ÷ (売上高÷365日)


・仕入債務回転期間

仕入債務回転期間とは、仕入債務が売上原価の何日分残っているかを

示す財務指標です。


この回転期間の英語表記は、Days Payable Outstandingであり、この頭文字を

取って、DPOと略して呼ばれることもあります。


この回転期間は、キャッシュコンバージョンサイクルの構成要素です。


この回転期間の計算は、仕入債務残高を売上原価で割り365日を

掛けて算出します。


この回転期間が短くなると運転資金が増え資金コストが増加し

資金繰りを圧迫することになり、この回転期間は、財務分析の

効率性分析手法でもあります。


また、支払サイトが短期間であれば、仕入債務回転期間の数値も低下します。


そして、この回転期間が低下する状態は、運転資金が増え資金コストが

増加し資金繰りを圧迫します。


逆に、支払サイトが長期間だと、DPOの数値も上昇し、この回転期間が上昇する

状態は、運転資金が減り資金コストが減少して、資金繰りを改善し、財務体質の

強化・改善に繋がります。


そして、仕入債務回転期間はその計算上、売上原価の金額に影響を受けるので、

売上原価率の上昇や売上減少による売上原価の減少等も合わせて分析をする

ことで、正しい財務の判断を下すことが出来ます。


尚、中計で、運転資金計画を作成する際にも、この回転期間を活用します。


計算式・・・仕入債務回転期間(日数) = 仕入債務残高 ÷ (売上原価 ÷365日)


・総資産利益率(ROA)

総資産利益率(ROA)とは、総資産に対する利益率で、当期純利益を総資産で

割って算出した数値です。


この指標は、財務分析の効率性分析手法でもあります。


この指標は、企業が保有する全ての資産を活用して事業でどれだけ

効率的に利益を上げているかをあらわす指標であり、この指標は、

企業の総合的な効率性を示す財務指標ともいえます。


また、総資産利益率は、ROAと呼ばれることも多いのですが、ROAは、

Return On Assetsを略したものです。


そして、この指標と並んで財務分析で用いられる指標に、

株主資本利益率(ROE)があります。


株主資本利益率は、財務レバレッジを効かせることで改善することが

できるので、企業の総合的な効率性を見る場合は、この指標よりも

総資産利益率を見るべきです。


また、総資産利益率を改善する為には、ROAの計算式を見ても明らかなように、

分子である利益を増加させるか、分母である総資産を圧縮すれば、

この利益率は改善します。


この利益率の改善方法としては、不要資産を処分し総資産を圧縮

することと、各資産の回転期間を短縮することがまず考えられます。


次に、利益を増加させて、ROAを改善する策としては、

財務レバレッジを効かせることが考えられます。


他人資本コスト(金利)より、事業の利益率が高くなければ、ROA

の改善には繋がらない可能性もありますので、本業の収益力が高い企業で

なければ、財務レバレッジを効かせて、この利益率を改善することは

難しいでしょう。


また、金融市場からの調達コストが上昇している経済状況の中では、

当然、財務レバレッジを効かして、この利益率を改善することは

難しくなります。


尚、ROAは、固定資産の多い製造業などの業種分析に適した

財務指標でもあり、総資産利益率を見ることで、保有する固定資産をどれだけ

有効活用しているかを測定することもできます。


計算式・・・総資産利益率= 当期純利益 ÷ 総資産 × 100


・株主資本利益率(ROE)

株主資本利益率(ROE)とは、自己資本利益率とも呼ばれ、株主資本に対する

当期純利益の比率です。


この指標は、どれだけ純資産を活用して効率的に利益を

上げているかを示したり、株主持分に対しどれだけのリターンを生んで

いるかを示す財務指標です。


この利益率は、財務分析の効率性分析手法でもあります。


この指標は、ROEと呼ばれることも多いのですが、ROEは、

Return On Equityを略したものです。


また、ROEと並んで財務分析で用いられる財務指標に、ROAがあります。


この利益率は財務レバレッジを効かせることで改善することができるので、

企業の真の収益力を見る場合は、ROEよりもROAを見るべきです。


尚、株主資本利益率を向上させる為には、主に次の3つの方法があります。


①売上高営業利益率を向上させる 
②総資産回転率を向上させる 
③財務レバレッジを高める 


計算式・・・株主資本利益率= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100


・交差比率

交差比率とは、在庫投資の効率性を示す財務指標のことです。


この財務指標は、商品回転率に粗利益率を乗じて算出し、一般的に、

この比率は、プロダクトミックスを決定する際に、商品ごとに算出して、

利益貢献度の分析に用いる指標で、在庫管理にも利用されます。


この財務指標は、効率性分析の際にも利用されています。


この財務指標は、在庫が少なく、売上総利益率が高ければ、この比率を

計算した値は高くなり、在庫が多く、売上総利益率が低ければ、この比率を

計算した値は低くなります。


ちなみに、回転率と回転期間の計算式は反対なので、棚卸資産回転期間と

棚卸資産回転率の計算結果も反対になります。


また、交差比率についての解説で多い内容としては、商品回転率と粗利益率は、

トレードオフの関係と説明され、商品の回転率を上げれば売上総利益率は低下し、

逆に、売上総利益率を上げれば商品の回転率が下がると説明されることです。


しかし、商品回転率と粗利益率がトレードオフの関係であることは

当たり前です。


どんな商品でも、値段を上げれば、商品の売れ行きは悪くなりますし、

価格を下げれば、商品の売れ行きが良くなることは当たり前なので、交差比率は、

商品の売れ行きを、客観的な数値で表した指標であると理解すればよいのです。


尚、商品の売れ行きを、客観的な数値で表す為には、商品回転率を用いて、

この比率を計算する方が分かりやすいでしょうが、在庫計画を作成する際は、

商品回転期間を用いることが基本となります。


ちなみに、商品や製品を販売する企業では、商品別・製品別の交差比率を

チェックすることは基本となり、自社のこの財務指標の評価をする際は、

自社が属する業界平均データなどを基準にして、自社の財務指標の分析をします。


計算式・・・交差比率 = 粗利益率 × 商品回転率


・有形固定資産回転期間

有形固定資産回転期間とは、建物や機械装置などの有形固定資産を

利用して、どれだけ効率的に売上高を上げているかを示す財務指標です。


この指標は、生産設備をどれくらい有効活用できているかを

示す客観的な指標であり、この指標は、経営分析における

財務分析で利用する効率性指標です。


この回転期間は、設備投資の投資効率を示す指標ともいえます。


この指標の計算結果が小さければ、生産性が高く生産設備を

有効活用していることを示しています。


逆に、この回転期間の計算結果が多いと、有形固定資を有効活用

できていないと判断できたり、生産設備である有形固定資産が過剰であると

判断できるので、この指標が改善しない場合は、余剰設備を廃棄

したり、設備投資を縮小させる必要があります。


また、固定資産回転期間は、有形固定資産回転期間と異なり、

無形固定資産である特許権や営業権、投資その他の資産である、

子会社株式、関連会社株式、投資有価証券等も含まれているので、

全ての固定資産を利用して、どれだけ効率的に売上高を上げているかを

示す指標です。


尚、この回転期間を活用して効率性分析をする際は、同業他社や

同業種平均の回転期間と比較する必要があります。


計算式・・・有形固定資産回転期間(日数) = 有形固定資産 ÷ (売上高 ÷365日)


・仕掛品回転期間

仕掛品回転期間とは、製品の製造を開始してから、製品が完成するまでの

期間を示す財務指標のことです。


この回転期間は、キャッシュコンバージョンサイクルの構成要素です。


この回転期間は、製造工程の多さや製品の種類によって全く異なった

計算結果となり、この回転期間は、財務分析の効率性分析手法です。


この回転期間は、在庫である製品を製造する生産効率を示す指標なので、

この回転期間を改善する為には、この回転期間の計算式からも

明らかなように、仕掛品の在庫を減らす必要があります。


また、この在庫を減らす為には、製造工程を減らしたり、1工程の製造時間を

減らす必要がありますので、どうすれば製造工程を減すことができるのか、

または、どうすれば1工程の製造時間を短縮するかを考え改善策を施すことが、

この回転期間の改善策となります。


そして、この回転期間が短縮すれば、運転資金が減少し、キャッシュフローの

改善にも繋がりますので、製品の製造プロセスの管理も、資金繰り(資金管理)には

必要なことであることは明らかです。


尚、製造業の棚卸資産回転期間とは、製品回転期間・仕掛品回転期間・

原材料回転期間で構成されています。


製造業の棚卸資産回転期間を短縮する為には、在庫計画に、棚卸資産回転期間を

構成する各業務プロセスを効率化する改善策を盛り込み、予算と実績のギャップ

を適時に把握し課題を解決する為に、PDCAサイクルを運用する必要があります。


・原材料回転期間

原材料回転期間とは、原材料を仕入れてから、原材料を使用するまでの

期間を示す財務指標のことです。


この回転期間は、キャッシュコンバージョンサイクルの構成要素です。


この回転期間は、原材料の種類ごとに回転期間を計算し、効率性を確認する

必要があり、財務分析の効率性分析手法です。


この回転期間の計算結果が大きいと、在庫である原材料を仕入れてから、

原材料を使用するまでの期間が長いことを示しています。


逆に、この回転期間の計算結果が小さいと、原材料を仕入れてから、原材料を

使用するまでの期間が短いことを示します。


ちなみに、この回転期間に限らず、各種の回転期間や回転率を計算するときは、

適切な項目を利用して計算する必要があります。


また、この回転期間が長いと、原材料が製品の製造に使用されず、

倉庫に眠っている期間が長いことになるので、運転資金を増加させる要因となり、

キャッシュフローを減少させます。


・ROI(投下資本利益率)

ROI(投下資本利益率)とは、投資した資本に対してどれだけ利益を

得られたかを示す指標です。


ROIは、投下した資本が効率よく利用されているかを客観的に示すものです。


ROIは、設備投資等の投資の採算性を判断するために用いられます。


実際のビジネスでは、設備投資を計画した場合には、投下する予定の資金

の回収予測期間を検討する際に、ROI(投下資本利益率)も参考にして、設備投資の

実行の可否を判断することになります。


また、ROI(投下資本利益率)は、投資家が企業に資金を投資する際にも

活用されるほか、新規に起業した際の事業計画を作成する際にも

利用されます。


ROI(投下資本利益率)の算出結果が高ければ高いほど投資効率が良く、

資金の回収期間が早期であることを示しています。


ちなみに、ROI(投下資本利益率)を算出して20%という結果が出た場合は、

投下資金を全額回収する為には5年必要であることを示しています。


尚、ROIは、Return On Investmentを略したものです。


計算式・・・ROI(%) = 利益 ÷ 投下資本 × 100


・人件費率

人件費率とは、給料(給与)、賞与などの賃金や役員報酬、法定福利費、福利厚生費

などの給与手当以外の人件費を合計した金額が売上高に対してどれくらいの割合

になっているのかを示す財務指標です。


この人件費率が大きければ大きいほど、企業にとって人件費の負担割合が重いこと

を示しており、逆に、人件費率が小さければ小さいほど、会社にとって人件費の

負担割合が軽いことを示しています。


また、人件費に含まれている項目としては、役員給与、役員賞与、従業員給与、

従業員賞与、法定福利費、福利厚生費、退職金(退職給付費用含む)などがあり、

人件費には、給与以外で人件費に分類される項目も全て含まれています。


尚、人件費率の適正や人件費率の目安は、業種業界や会社の規模によって異なり

ますので、自社の人件費率の参考にする際は、同業で同規模の人件費率データと

比較する必要があります。


人件費率の計算式・・・人件費率(%)=人件費÷売上高×100


・1人当たり人件費

1人当たり人件費とは、会社の年間人件費金額を合計して、会社に所属する人数で

割ることで算出した財務指標です。


また、従業員等の総数を計算する際に注意する点としては、パートやアルバイトを

正社員の勤務時間に換算して算出するなどの方法を講じないと、1人当たり人件費の

金額が実際よりも低く算定されてしまいます。


会社の経営という観点から1人当たり人件費を見ると、1人当たり人件費が高すぎれば、

会社の利益を圧迫して、資金繰りにも支障をきたしかねないので、適切な範囲内で管理

したい指標といえます。


従業員の立場から1人当たり人件費の金額を確認すれば、この指標が高い企業は、

従業員を大切にする会社と判断出来たり、従業員に対して待遇の良い会社と見る

こともできます。


尚、1人当たり人件費を算出する場合は、役員を含めて計算する場合と役員を除いて

計算する場合がありますので、1人当たり人件費データを見る際は、人数の計算式に

役員が含まれているかどうかを確認するべきでしょう。


1人当たり人件費計算式・・・1人当たり人件費=人件費÷人数


■安全性指標

・流動比率

流動比率とは、流動資産が流動負債をどれくらいカバーしている

かを示す財務分析における安全性分析の財務指標です。


この比率が高いほど、一般的には短期的な資金繰りに余裕があると見られており、

この比率は財務比率分析の1つで静態的分析手法の指標です。


この比率を計算する上で用いる流動資産には、現預金・売上債権・

棚卸資産・有価証券等があります。


流動比率の算定は、換金化が難しい棚卸資産が含まれて計算されているので、

この比率を利用するよりは、当座比率を利用する方が、更に企業の支払能力を

シビアに見ることが出来ます。


しかし、この比率や当座比率等の財務比率分析は静態分析なので、

企業の真の支払能力を掴むには限界があります。


企業の的確な資金繰りの状態を掴みたければ、流動比率等の財務比率分析

ではなく、資金表を利用して、企業の真の資金繰りの状態を把握するべきです。


尚、流動比率の一般的なチェックポイントとしては、この比率の計算結果

が120%以上の場合は、高い支払能力を持つ企業と判断することができ、

この比率の計算結果が90%~100%の場合は、標準的な支払能力を

持つ企業と判断することができ、この比率の計算結果が80%以下の場合は、

注意を要する企業と判断することができます。


計算式・・・流動比率(%) = 流動資産 ÷ 流動負債


・当座比率

当座比率とは、流動負債に対する当座資産の比率のことです。


この比率は、企業の短期支払能力を判断する財務指標でもあります。


この比率は、流動比率よりも更に企業の支払能力をシビアに見ることが

できる指標です。


この比率は、財務分析における安全性分析手法の指標でもあります。


この当座比率は、計算式からも明らかな様に、当座資産が流動負債を

上回る100%以上の計算結果が望ましいのですが、この比率の数字だけで

資金繰りの状態を判断することは出来ません。


また、この比率が高いことは、企業の手元流動性が高いと判断出来ますが、

資産効率の観点から見ると、必ずしもこの比率が高すぎることは好ましい

ことではありません。


そして、当座比率等の財務比率分析は静態的分析と呼ばれています。


企業の真の支払能力を掴むには限界がありますので、企業の的確な資金繰り

の状態を掴みたければ、当座比率等の財務比率分析ではなく、動態的分析と

呼ばれる資金移動表を作成して、企業の資金繰りの状態を把握するべきです。


計算式・・・当座比率(%) = (当座資産 ÷ 流動負債) × 100


・現預金比率

現預金比率とは、流動負債に対する現金・当座預金・普通預金を

合計した割合のことです。


現預金比率は、企業の短期の支払能力(安全性)を見るための安全性分析の指標です。


現預金比率は、現金預金を流動負債で割って算出します。


この現預金比率は、財務分析における安全性分析の指標の1つですが、

この種の指標の中では、最も企業の短期の支払能力を厳しく見る指標です。


また、現預金比率は、財務諸表作成時点での情報に過ぎないので、現在から将来の

支払能力を的確に示した指標ではないことに注意すべきです。


この現預金比率の計算結果は、当然、高ければ高いほど好ましいのですが、

一般的に、現預金比率は、20%以上が理想値とされています。


・固定比率

固定比率とは、自己資本でどれだけ固定資産を賄っているかを

示す財務指標です。


固定資産は1年以上使用する資産なので、この比率は100%以下が

望ましいのですが、現実的には、この比率が100以下の企業は多くありません。


この比率は、財務分析の安全性分析手法の指標でもあります。


また、この比率は、業種に関係なく一律に適用すると、

企業の実態を見誤りますので、この比率は、事業活動をする上で

固定資産の活用が多い製造業の分析に適しているといえます。


そして、固定比率を100%以下に維持する意味でも、固定資産の

調達源泉は返済期限のない株主資本で賄うのが望ましいのですが、

他人資本で調達する場合は、長期の借入金で調達することが

基本になります。


尚、企業の財務分析をする上では、この比率よりも固定長期適合率の方が

企業の財務分析には適しているといえます。


計算式・・・固定比率(%) = 固定資産 ÷ 自己資本 × 100


ちなみに、固定比率の目安としては、下記の通りです。


固定比率の判断基準

120%以上 不良
100%以上~120%以下 普通
50%以上~100%以下 良好
50%以下 優良


・固定長期適合率

固定長期適合率とは、固定資産をどれくらい長期性資本で

まかなっているかを示す財務指標です。


この財務指標を計算することで、長期や短期の資金源泉と長期や短期の

資金使途とのバランスを分析する事ができます。


この財務指標は、バランスシートの改善の目安にもなる重要な指標であり、

この比率は、財務分析における安全性分析手法の指標でもあります。


また、この財務指標が100%を越えている状態は、固定資産の一部を

短期資金で賄っている状態であり、資金繰りを圧迫する要因になります。


そして、この財務指標を改善する為には、遊休資産の売却や、借入金を

短期から長期へ借り換えたり、資本金の増資、利益獲得による内部留保の

増加等が、この比率の改善策になります。


以上のように、適正な固定長期適合率にする為には、長期で使用する資産は、

財務の健全性を維持する為にも、返済期限がない株主資本や返済期間の

長い固定負債で調達するのがベストなのです。


この財務指標の計算式

固定長期適合率(%) = 固定資産 ÷ (自己資本 + 固定負債) × 100


ちなみに、この財務指標の目安としては、下記の通りです。


固定長期適合率の判断基準

100%以上 不良
60%以上~100%以下 普通
50%以上~60%以下 良好
50%以下 優良


・インタレストカバレッジ

インタレストカバレッジとは、企業の借入金等の利息支払能力を

測定する為の財務指標です。


インタレストカバレッジは、事業活動により得た利益が有利子負債の支払利息等

である金融費用の何倍であるかを示しています。


この財務指標の倍率が高ければ財務の安全性が高いと言われており、

財務分析における安全性分析手法でもあります。


この財務指標は、企業の金利負担能力を示しているものなので、この数値が

大きい企業ほど債権者にとっては安全な貸出先です。


この財務指標が高ければ、企業は有利な条件で資金調達を

出来る可能性も高くなります。


尚、インタレストカバレッジの改善ポイントは、営業キャッシュフローの

増加、有利子負債削減による金融費用の減少が改善ポイントになります。


インタレストカバレッジ計算式(倍)
= (営業利益+受取利息配当金) ÷ 金融費用(支払利息・割引料)


・損益分岐点

損益分岐点とは、損益がゼロになる時の売上高のことで、

BEPとも呼ばれています。


BEPが低ければ収益力が高いと判断出来たり、固定費が

少ないとも判断できるので、損益分岐点は、経営の安定度を見る

目安として安全性分析としても利用できます。


BEPの把握は、管理会計の基本といえます。


この損益分岐点を把握することが、CVP分析において最も

重要なことであり、損益分岐点を理解する為には、下記の計算式の

関係を理解する必要があります。


限界利益率が高ければBEPは低くなり、逆に、限界利益率が

低ければ損益分岐点は高くなります。


CVP分析とは、売上、費用、利益の関係を分析することです。


CVP分析各種計算式

①売上高-変動費=限界利益(貢献利益)

②限界利益÷売上高=限界利益率

③変動費+固定費=原価

④売上高-原価=0(これが損益分岐点の状態です)

⑤固定費÷限界利益率=損益分岐点売上高


上記の計算式の中の固定費とは、売上高や生産量に関係なく必要な費用のことで、

損益分岐点売上高は、固定費をまかなうために必要な売上高ともいえます。


限界利益率を高めれば、損益分岐点の改善に繋がります。


また、変動費を抑えることは、BEPの改善に繋がります。


なお、損益分岐点と限界利益率、固定費、変動費の関係を理解すれば、

事業計画の中で目標とする利益を達成する為には、自社の場合にはどの数字を

コントロールをすべきかが把握できます。


計算式・・・BEP)= 固定費 ÷ (1-(変動費÷売上高))


・自己資本比率

自己資本比率とは、過去から現在に至るまで、株主が出資したお金と会社が

稼ぎ蓄積したお金である、返済不要の純資産が総資産に占める割合を

示した財務指標です。


自己資本比率が高いほど、経営が安定している優良企業と見ることができ、

この財務指標は、財務分析の安全性分析手法でもあります。


ちなみに、一般的に、自己資本比率と純資産比率は、

同じ意味で使われています。


この純資産比率は、高ければ高いほど会社経営の安定性が増すと

言えますが、資金繰りの観点からこの財務指標を見た場合は、必ずしも

純資産比率が高い企業が、資金繰りの不安が無いとは言い切れません。


その理由として、仮に自己資本比率が高くても、直ぐに換金化できる資産が

無かったり、財務戦略に失敗して、運転資金を考慮せずに、資産の大半を

固定化してしまう設備投資を実施したりすれば、当然、資金繰りに行き詰る

可能性があります。


ゆえに、純資産比率はあくまでも経営の安定度を見る目安にしか過ぎない

ため、企業の資金繰りの状態を分析する為には、動態的分析(フロー分析)が

必ず必要になります。


また、銀行や信用金庫などの金融機関の自己資本比率は、国際取引を行う

場合は、国際決済銀行(BIS)のBIS規制があります。


国際取引を行う銀行や信用金庫の自己資本比率は8%を維持することが条件

となっており、国内業務に特化した銀行や信用金庫の自己資本比率は4%を

維持することが条件となっています。


この様な、金融機関への規制は、自己資本比率規制と呼ばれており、

国際決済銀行のBIS規制がこれに当たり、日本では金融庁がBIS規制の

管理・監督を行っています。


尚、財務レバレッジは財務分析での分析指標の1つであり、

純資産比率の逆数になります。


自己資本比率計算式

自己資本比率(%)=(自己資本÷総資産)×100%


・キャッシュフロー流動負債倍率

キャッシュフロー流動負債倍率とは、キャッシュフローが流動負債の何倍で

あるかを示した財務指標です。


計算式が示すように、キャッシュフロー流動負債倍率の

計算結果が大きいほど、短期の支払能力が高いことを示しています。


この財務指標は、財務分析における安全性分析手法です。


このキャッシュフロー流動負債倍率は、静態的分析手法である、流動比率や

当座比率よりは、企業の支払能力を的確に示す指標ではありますが、

キャッシュフロー流動負債倍率と回転期間による分析を同時に行うことで、

更に、的確な企業の支払能力を把握することができます。


ちなみに、キャッシュフロー流動負債倍率を計算する際のキャッシュフローには、

営業キャッシュフローかフリーキャッシュフローを用います。


また、キャッシュフロー流動負債倍率自体の数字は当然重要ではあります。


しかし、より重要なのは、その内容であり、例えば、営業利益の金額よりも、

営業キャッシュフローが大幅に減少している場合に、何が原因で、

営業利益の金額と営業キャッシュフローの金額に差異があるのかを分析する方が、

キャッシュフロー流動負債倍率を計算するより遥かに重要なことです。


尚、キャッシュフロー流動負債倍率は、動態的分析手法ではありますが、

より的確に、企業の資金繰りの状態を把握したい場合は、動態的分析手法の中で、

最も的確に企業の支払能力を示す、資金移動表を利用する必要があります。


・安全余裕率

安全余裕率とは、売上高がどれくらい減少したら利益が0になるかを

示した指標です。


算出された、安全余裕率が高ければ高いほど、経営的に余裕があることを示し、

安全余裕率は、現在の売上高が採算ラインをどの位上回っているかを教えて

くれます。


また、この指標は、CVP分析の中で利用される指標であり、CVP分析とは、

売上、費用、利益の関係を分析することです。


そして、この指標が高いことは、限界利益率が高いことや固定費が

少ないことを示し、この指標の数値を見ることで、どれだけ効率的な

経営がされているかの判断をすることも出来ます。


また、安全余裕率を改善する為には、限界利益率を向上させるか、

固定費を圧縮する必要があります。


そして、限界利益率を向上させる為には、売上単価を引き上げるか、

原材料費と作業員の工賃の見直し等が必要です。


固定費を圧縮する為には、遊休資産の処分、管理部門等の営業や生産に

関わらない人件費の削減、財務体質改善による資金調達コストの引き下げ

が必要であり、これらの施策を着実に実施することが安全余裕率の改善に

繋がります。


尚、安全余裕率の計算式と、算出する際に必要になる

損益分岐点売上高の計算式は下記の通りです。


・安全余裕率=(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高

・損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率

・損益分岐点売上高=固定費÷〔1-(変動費÷売上高)〕


・負債比率

負債比率とは、自己資本に対する他人資本(負債合計)の比率を示す

財務指標です。


負債比率が高いほど、財務レバレッジを効かせる財務戦略を

取っていることになり、負債比率は、財務の安定性を評価する、

財務分析における安全性分析の指標なのです。


この負債比率は、高ければ高いほど財務の安定性が低いとされていますが、

一般的に、負債比率が低すぎれば、事業の利益率も低い傾向がありますので、

ある程度の、財務レバレッジは効かせる必要があります。


また、適正な負債比率の数値は、企業によって異なるのが当然で、例えば、

同業種の企業の平均負債比率が100%だったとしても、経常収支は、企業によって

異なりますので、負債比率だけを無理に同じにしたりすると、債務の返済が

追いつかず、資金ショートを起こす可能性すらあります。


そして、財務のプロフェッショナル社員が居ない企業が、他人資本を増加させ

負債比率を高める財務戦略を採用した場合は、人災による、資金ショートの

可能性が高くなる傾向がありますので、財務戦略を駆使して、業績の拡大を

図りたい場合は、自社の経理部や財務部に優秀な社員を採用する必要があります。


ちなみに、他人資本とは、利払いを伴なわない負債と利払いを伴なう負債の

ことです。


計算式・・・負債比率=他人資本÷自己資本


・ギアリング比率

ギアリング比率とは、自己資本に対して、何倍の他人資本(負債合計)を

使用しているかを示す財務指標です。


ギアリング比率が高いほど、財務レバレッジを効かせる財務戦略を取っている

ことになり、ギアリング比率は、企業の債務支払能力を示す財務分析における

安全性分析の財務指標の一つなのです。


このギアリング比率が高ければ高いほど、てこの力を利用してギアリング効果を

狙った積極的な財務戦略を採用している企業と見ることができます。


また、ギアリング比率を高めれば高めるほど、事業において、少ない自己資本で

大きな利益を稼げる可能性が高まりますが、ギアリング比率が高まれば、それだけ

他人資本が増加することを意味するので、経常利益に比例して、経常収支も

増加していなければ、資金ショートの可能性が高くなり、黒字倒産を引き起こし

かねません。


ちなみに、他人資本とは、利払いを伴なわない負債と利払いを伴なう負債の

ことです。


このように、ギアリング比率を高める財務戦略を採用する際に必要な経営資源は、

財務のプロと言える優秀な経理部や財務部の社員なので、自社に、財務に強い

経理部や財務部の社員が居なければ、ギアリング比率を高める財務戦略を採用

することは自殺行為です。


計算式・・・ギアリング比率=他人資本÷自己資本


・有利子負債比率

有利子負債比率とは、自己資本に対する有利子負債の比率を

示す財務指標です。


有利子負債比率は、企業がどれくらい借入金等の有利子負債に依存しているか

を示した指標であり、有利子負債比率は、財務の安定性を評価する、財務分析に

おける安全性分析の指標なのです。


この有利子負債比率が低ければ、財務の健全性は保たれますが、

企業が成長段階の時に、有利子負債比率に配慮しすぎて、

有利子負債を積極的に活用する財務戦略を採用しない場合は、

企業によっては、業績の成長スピードが鈍化する場合もあります。


また、低金利の時代には、将来の金利変動リスクに備えて、有利子負債を

変動金利から固定金利へ借り換えたり、あるいは、中期経営計画で

計画している設備投資資金を低金利の時代に前倒しで資金調達する

場合もあります。


企業の外部環境の変化によっては、仮に、有利子負債比率が

大幅に悪化したとしても、将来の金利上昇リスク等を避けるために、

積極的に有利子負債を増やした方が良い場合も当然あるのです。


ちなみに、有利子負債比率に似た指標として、有利子負債依存度が

ありますが、有利子負債依存度とは、総資産に対する有利子負債の

比率を示す指標のことです。


計算式・・・有利子負債比率=有利子負債÷自己資本


・有利子負債依存度

有利子負債依存度とは、総資産に対する有利子負債の比率を示す財務指標です。


有利子負債依存度は、企業がどれくらい借入金等の有利子負債に

依存しているかを示した指標であり、有利子負債依存度が高いほど、

利子の支払いが利益を圧迫します。


この有利子負債依存度が高い企業ほど、金利上昇局面で利払いの

負担が増加して、利益を圧迫する要因となり、資金繰りも苦しくなるため、

財務の健全性が低いといえます。


また、有利子負債依存度は、財務の安定性を評価する、

財務分析における安全性分析の指標であり、この指標は、経済誌などで、

上場企業の倒産危険度ランキングなどのセンセーショナルな見出しで、

有利子負債依存度ランキングの記事が掲載されています。


そして、総資産に対して有利子負債依存度が50%近くに達していれば、

一般的に、危険水域といわれていますが、実際の支払能力は、

動態的分析である、資金移動表分析や回転期間分析にて分析しなければ、

企業の本当の財務体質を把握することは出来ません。


ちなみに、有利子負債依存度に似た指標として、有利子負債比率が

ありますが、有利子負債比率とは、自己資本に対する有利子負債の

比率を示す指標のことです。


計算式・・・有利子負債依存度=有利子負債÷総資産


・D/Eレシオ

D/Eレシオとは、自己資本に対して、他人資本を何倍利用しているかを示す

財務の健全性を計る財務指標です。


D/Eレシオは計算された数値が低いほど財務内容が健全であり、D/Eレシオは

企業がどれだけ財務レバレッジを効かせているかを示しているともいえる

指標です。


また、D/Eレシオは、Debt Equity ratioの略で、Debtとは負債であり、

Equityとは資本のことなので、D/Eレシオを算出する際の負債には、

負債合計である他人資本を利用することが基本になります。


しかし、一般的にD/Eレシオを算出する際の負債には、有利子負債残高を

用いるケースが多く、D/Eレシオを利用する際は目的に応じて、

どの負債を活用するか選択するべきです。


そして、D/Eレシオをより厳格な指標としたい時は、ネットD/Eレシオを

利用する方がよく、ネットD/Eレシオの計算式は、他人資本から現預金を

差引いて自己資本で割ることにより算出します。


また、D/Eレシオを改善する為には、他人資本の削減か、増資か利益を

積み重ねることで、自己資本を増加させる必要があります。


ちなみに、D/Eレシオの適切な倍率は、企業毎に異なる収益力や

キャッシュフローを加味して評価すべきものであるため、企業の収益力や

キャッシュフローを無視して、D/Eレシオの倍率のみでその評価をすること

はナンセンスです。


計算式・・・D/Eレシオ=負債合計÷ 自己資本


・ネットD/Eレシオ

ネットD/Eレシオとは、会社の財務の安定性や健全性を示す財務指標の

一つです。


ネットD/Eレシオは、計算された数値が低いほど、財務の安全性が

高いと判断でき、ネットD/Eレシオは、経営分析における財務分析で利用する

安全性指標です。


このネットD/Eレシオは、D/Eレシオをより厳格な指標にしたものであり、

ネットD/Eレシオを算出する方法は、他人資本から現金及び預金や

現金同等物などのすぐに換金化できる資産を差し引いた金額を

自己資本で割ることにより計算できます。


また、ネットD/Eレシオが高ければ、財務レバレッジを効かせる財務戦略を

採用していることになります。


しかし、過度に、レバレッジ比率を高め過ぎると、余程財務のコントロールが

できる企業以外は、資金繰りを圧迫し資金ショートを招く要因になりますので、

安定成長を望む企業は、資金繰りを圧迫しない範囲に、ネットD/Eレシオを

維持することが必要です。


そして、一般的に、ネットD/Eレシオを算出する際の負債には、有利子負債残高を

用いるケースが多いのですが、ネットD/Eレシオを利用する際は目的に応じて、

どの負債を活用するか選択するべきです。


ちなみに、ネットD/Eレシオの適切な倍率は、企業毎に異なる収益力や

キャッシュフローを加味して評価すべきものであるため、企業の収益力や

キャッシュフローを無視して、ネットD/Eレシオの倍率のみでその評価を

することはナンセンスです。


・手元流動性

手元流動性とは、直ぐに使用できる現金・当座預金・普通預金などと、

容易に換金化出来る短期所有有価証券の合計額のことです。


手元流動性が潤沢な企業ほど、短期的な支払能力が高いといえ、手元流動性は、

財務の安定性を評価する、財務分析における安全性分析の指標なのです。


この手元流動性が多ければ、短期的な資金繰りにはプラスですが、

手元流動性が多すぎる場合は、資産を有効活用出来ていないと

見ることもできます。


上場会社で、1株純資産を大幅に下回るほど株価が低迷し、手元流動性が多い

企業は、敵対的買収のターゲットになる可能性もあり、手元流動性が多すぎる

と、企業経営にとってマイナスの事態に陥る可能性もあります。


尚、手元流動性は、月商(1か月の売上高)の何ヵ月分あるかで、短期的な

支払能力がどれくらいあるかを判断材料にするのが一般的です。


この手元流動性を月商(1か月の売上高)で除したものが手元流動性比率

と呼ばれている財務指標です。


・手元流動性比率

手元流動性比率とは、企業の売上高の規模に対して、手元にありすぐに

使用できる資金がどの程度あるかを示した財務指標です。


手元流動性比率が高ければ、資金繰りに余裕があることを示しており、

手元流動性比率は、財務の安定性を評価する、財務分析における安全性分析

の指標なのです。


この手元流動性比率は、日銀短観の調査項目の1つですが、日銀短観の

調査結果にて、手元流動性比率が上昇している時は、銀行をはじめとした

金融機関の融資姿勢が厳格になっている場合が多く、そのような時は、

企業は資金ショートを避けるために、手元流動性を厚くする行動に走るので、

結果として、日銀短観の手元流動性比率が上昇する結果として現れます。


また、手元流動性比率の目安としては、一般的に、月商の2ヶ月前後と

いわれていますが、これは、あくまでも一般的な目安であり、企業の

キャッシュフローの状況によっては、2ヶ月分の手元流動性を確保していても、

資金が不足する可能性は当然ありえます。


尚、手元流動性比率の計算は、手元流動性を月商で割って算出します。


計算式・・・手元流動性比率=手元流動性÷(売上高÷12)


・キャッシュフロー比率

キャッシュフロー比率とは、有利子負債の残高と、本業のキャッシュフロー

である営業キャッシュフローの関係を示した財務指標です。


キャッシュフロー比率が高ければ、有利子負債の返済に不安が無いことを

示しており、キャッシュフロー比率は、財務の安定性を評価する、財務分析に

おける安全性分析の指標なのです。


このキャッシュフロー比率の計算で使用するキャッシュフローには、

一般的に、営業キャッシュフローが用いられていますが、

フリーキャッシュフロー(FCF)を計算に用いる方が、より厳密に有利子負債

の支払能力を把握することが出来ます。


また、キャッシュフロー比率の計算に、当期純利益と減価償却費を足した数値を

キャッシュフローとすることは、大まかな計算をする際は問題ありませんが、

この数値は、キャッシュフローに大きな影響を与える運転資金の要素を

考慮に入れていないので、正確なキャッシュフローとはいえません。


そして、キャッシュフロー比率を計算する時に、一緒に計算することが

多い指標がインタレストカバレッジです。


計算式・・・キャッシュフロー比率=営業キャッシュフロー÷有利子負債


・金融費用負担率

金融費用負担率とは、支払利息や社債発行費などの資金調達に要した

費用が売上高に対してどれくらいの負担となっているかを示した財務指標です。


金融費用負担率が増加するケースとしては、有利子負債の残高に比例して

増加する場合と、売上高の減少により増加する場合があります。


この金融費用負担率は、売上高と金融費用の比率を計算することで、

借入金等の有利子負債の限度額を把握しようとする場合にも用いられます。


金融費用負担率が、売上高営業利益率を上回るようになれば、

有利子負債の残高が、収益力と比較して多すぎる状態であると

判断することができます。


また、金融費用の支払能力を見る指標には、インタレストカバレッジという

指標があります。


尚、金融費用負担率が増加するケースとしては、設備投資を実行する為の

資金調達が一般的です。


しかし、設備投資をしても、想定した売上高の増加を果たせない場合は、過剰な

供給能力を持ってしまったことになり、過剰な供給能力は、金融費用負担率を

増加させるだけでなく、設備を維持する為の固定費も増加させ、資金繰りや

限界利益を圧迫する要因になりますので、設備の稼働状況によっては、

過剰な設備を廃棄する判断が必要になります。


計算式・・・金融費用負担率=金融費用÷売上高


・レバレッジ比率

レバレッジ比率とは、自己資金にどれだけのてこをかけて資金を

運用しているかを示す財務指標です。


レバレッジ比率は、企業の財務内容の健全性を見る指標の1つであり、

レバレッジ比率は、算出した結果の数値が低いほど財務の安定性が高い

と判断できます。


また、自己資金に対するリターンを高める為にレバレッジをかけると、

当然、レバレッジ比率は高まりレバレッジ効果も大きくなります。


しかし、レバレッジ効果は、プラスの効果だけでなく、マイナスの効果も

ありますので、自己資金に比べて大きな資金を運用しているときは、大きな利益

を期待できる反面、大きな損失に繋がるケースもあります。


よって、過度なレバレッジをかけて大きなレバレッジ効果を期待して

レバレッジ比率を高めることは、リスク管理が出来ていなければ、非常に危険

なことなのです。


そして、レバレッジ比率を高める為には、有利子負債の増加、仕入債務の

支払サイトの長期化、自社株買いや配当性向を高め自己資本をスリム化する等

の方法があります。


逆に、レバレッジ比率を低下させる為には、有利子負債の削減、仕入債務の

支払サイトの短縮化、利益の拡大や増資で自己資本を増加させる等の方法が

あります。


尚、レバレッジ効果を狙い、財務レバレッジを効かせてレバレッジ比率を

高めると企業の業績の成長スピードを速めることも可能です。


ちなみに、レバレッジ比率は、負債比率、D/Eレシオ、ギアリング比率等と

同種の指標です。


計算式・・・レバレッジ比率=他人資本÷自己資本


・経常収支比率

経常収支比率とは、資金収支表である資金繰り表などの経常収入に

対する経常支出の割合のことです。


経常収支比率が100%の時が、現金収入と現金支出が釣り合っている

状態です。


経常収支比率は企業の資金繰りの状態を示す重要な財務指標の1つで、

経常収支比率は、財務分析の安全性分析手法でもあります。


この経常収支比率は、企業の真の支払能力を的確に示す指標なので、

経常収支比率は、企業の倒産危険度を示す指標ともいえます。


当座比率等の財務比率分析が静態的分析と呼ばれるのに対して、

経常収支比率分析は動態的分析と呼ばれ的確に企業の資金繰りの

状態を表す分析手法なのです。


ちなみに、経常収支比率を計算するだけでは意味がなく、結果である、

経常収支比率の数値に至った原因が、どこにあるのかを分析しなければ、

予算である財務計画に、財務の改善策を盛り込むことはできません。


また、企業のバランスシート上の資産と負債のストックの関係を分析する

当座比率等の財務比率分析が、静態分析です。


経常収支比率は企業のお金の流れ(フロー)を捉え、資金繰りの状況や支払能力

を測定する動的分析です。


経常収支比率は、資金繰り表の概要を示す各項目の中でも経常収支とともに、

最も重要な項目の1つです。


このように、企業の資金繰りの分析をする上では、経常収支比率分析は

最重要の分析手法ともいえます。


企業の資金繰りを改善する上では、いかに経常収支比率を改善するかは

重要事項であり、企業の財務分析をする際に、経常収支比率の各事業年度

の推移を確認することは、企業の資金ショートのシグナルを掴むことに

繋がります。


また、経常収支比率が3事業年度以上100%を割る状態が続き、直近の

経常収支比率が80%を下回る、著しい資金繰りの悪化を示した場合は、

資金ショート=倒産の可能性がかなり高くなり、利益が多額に計上されて

いる場合でも、黒字倒産の可能性すらあります。


そして、企業の支払能力を分析する際は、資金繰り表を分析するよりも、

資金移動表を分析するほうが、企業の支払能力を的確に把握することができます。


また、経常収支比率の仕組みを理解することは、財務を理解することでも

あるので、会社の財務を預る、経理部、財務部、経営企画部に所属する社員

にとっては、経常収支比率の仕組みの理解は欠かせません。


経常収支比率計算式・・・経常収支比率(%) = 経常収入÷経常支出×100


最後に、国や地方公共団体の場合、一般企業の経常収支比率に相当するのが、

基礎的財政収支比率です。


この基礎的財政収支比率の計算では、過去の借金の元利金支払や新規の国債

や地方債の発行収入は除外されており、基礎的財政収支比率は、単年度の税収

と一般支出の関係を示したものです。


国や地方公共団体でも、あるべき姿の経常収支比率を実現する為に、

企業の予算編成手法を含んだ、予算管理のシステムを導入すべきでしょう。


■収益性指標

・EBITDAマージン

EBITDAマージンとは、企業が本社を置く国の、税率、金利水準、会計基準

の違いを取り除いた利益を売上高で割った財務指標のことです。


この財務指標は、設備集約型の製造業は高くなる傾向があり、

経営分析における収益性分析で利用する収益性指標です。


この財務指標は、基本的には、自国の企業と比較するのではなく、

外国の同業他社や同業種の平均値と比較する為の財務指標であり、

分析する際は、時系列データの推移を確認する必要があります。


また、この財務指標以外の収益性指標には下記の指標があります。


代表的な収益性指標

①売上高売上総利益率
②売上高営業利益率
③売上高経常利益率
④売上高当期純利益率


上記の収益性指標とEBITDAマージンの基本的な違いとしては、企業が本社を

置く国の、税率、金利水準、会計基準の違いを取り除いているかであるので、

単純に、財務諸表の売上高と各利益の比率を比較しても、その企業の実態の

利益率が浮き彫りになることはありません。


また、この財務指標以外の、EBITDAを利用した財務指標としては、

EBITDA倍率があります。


ちなみに、EBITDAとは、Earnings Before Interest & Tax & Depreciation

& Amortization を略したものです。


・EBITDA倍率

EBITDA倍率とは、 EV(企業価値)がEBITDAの何倍であるかを

示す財務指標です。


この財務指標は、M&Aの際の買収費用を何年で回収できるかを表す

簡易買収倍率もであります。


一般的に、EBITDA倍率といえば、EV/EBITDA倍率のことを指して使用

されている場合が多いようです。


この財務指標が低ければ、企業の株価は割安であると判断できます。


逆に、この財務指標が高ければ、企業の株価は割高であると判断する

ことができ、基本的に、EBITDA倍率は、他国の企業と比較する際に

用いる収益性分析指標です。


また、この財務指標の計算の際に用いる EV(企業価値)とは、

株式の時価総額とネット有利子負債とを合計したものであり、

ネット有利子負債とは、有利子負債残高から、現預金や有価証券などの

すぐに換金化できうる資産を差し引いた金額のことです。


ちなみに、株式の時価総額は、企業の株価に発行済株式数を乗じて算出します。


この財務指標以外の、EBITDAを利用した財務指標としては、

EBITDAマージンがあります。


・ネット有利子負債

ネット有利子負債とは、有利子負債残高から現金及び預金や

現金同等物などのすぐに換金化できる資産を差し引いた金額のことです。


ネット有利子負債に含めるものは、利払いを伴うものだけを含め、

ネット有利子負債は、純有利子負債とも呼ばれています。


このネット有利子負債を利用した財務指標には、EBITDA倍率や

ネットD/Eレシオがあります。


EBITDA倍率とは、EV(企業価値)がEBITDAの何倍であるかを示す指標です。


ネットD/Eレシオとは、他人資本から現金及び預金や現金同等物などのすぐ

に換金化できる資産を差し引いた金額を自己資本で割ることにより算出する

指標です。


また、ネット有利子負債が、株主資本が増加するペース以上に増えたとしても、

そのことだけで、財務体質が悪化していると判断するのは早計です。


ネット有利子負債の多寡を判断するには、経常収支やフリーキャッシュフローと

合わせて判断する必要があります。


そして、ネット有利子負債は、経済誌などでもたびたび取り上げられる

指標です。


この指標は、上場企業の倒産危険度ランキングなどの読者の目を引く

センセーショナルな見出しで、ネット有利子負債ランキングの記事として

掲載されることが多く、ネット有利子負債が多額な企業は、金利上昇に対する

抵抗力が低い財務の脆弱な企業として解説されています。


尚、ネット有利子負債に含まれるものとしては、短期借入金、

一年以内返済長期借入金、長期借入金、社債、コマーシャルペーパー等があり、

これらの有利子負債を活用した財務指標には、有利子負債比率、

有利子負債依存度があります。


・EBITDA

EBITDAとは、企業が本社を置く国の、税率、金利水準、会計基準の

違いを取り除いた利益の額のことです。


この財務指標は、税引前当期純利益に支払利息と減価償却費を加えて算出する

ことが一般的であり、EBITDAは、簡易的なキャッシュフローを示します。


また、EBITDAは、各種の非現金支出費用が多額に計上されている企業の

キャッシュフローを簡易的に確認したい時に威力を発揮する財務指標です。


この財務指標の計算を更に簡略化した場合に利用されている計算式は

下記の通りです。


簡易的なEBITDAの計算式

EBITDA=営業利益+減価償却費


この財務指標は、企業価値評価の際にも重要視されている指標です。


また、EBITDAは、一般的に、多国籍企業のような、異なる国に本社を

置く企業を財務分析する際に利用される指標でもあるので、他国の企業と

比較する以外の目的で、この財務指標の数値を算出することはあまり意味が

ありません。


また、この財務指標では、減価償却費以外の、各種償却費や非現金支出費用を

考慮せず算出することが一般的です。


正確な財務分析をする場合は、EBITDAにおいて一般的に利用されている

項目以外の、各種償却費や非現金支出費用(のれん代・減損損失等)も考慮

することで、正確なEBITDAを算出することができます。


そして、真の企業のキュッシュ創出能力を算出したければ、EBITDAを

算出するのではなく、営業キャッシュフローやフリーキャッシュフローを

計算する必要があります。


また、この財務指標を利用した財務指標としては、EBITDAマージンや

EBITDA倍率があります。


尚、この財務指標を算出する際は、どのような計算方法によりEBITDAを

計算したのかを示すことが一般的です。


ちなみに、EBITDAとは、Earnings Before Interest & Tax & Depreciation &

Amortization を略したものです。


ところで、EBITDAと企業買収についてですが、企業買収とは、会社の総資産

を買収することで、会社の総資産を買収するということは、自己資本と他人資本

も全て買収するということです。


また、企業買収をする際に投資判断において重要となるのは、EBITDAの実績値

よりも、予想値のほうです。


その理由として、企業の買収者にとっては、買収金額を何年で回収できる

のかが最も重要視することなのです。


買収後の企業が創出するキャッシュフローに関心があるためEBITDAの予想値

を重視することになります。


しかし、EBITDAでは、運転資金が考慮されていない為、運転資金が

考慮されている、営業キャッシュフローの予想値やフリーキャッシュフロー

予想値を投資の参考とするべきでしょう。


ちなみに、M&Aの実務においては、EBITDAマルチプルが利用されるケース

がありますが、この財務指標は、EVがEBITDAの何倍であるかを示した指標です。


EBITDAマルチプルは、EBITDA倍率とも呼ばれています。


■生産性指標

・労働生産性

労働生産性とは、企業が生み出した付加価値を従業員数で割った

財務指標のことです。


労働生産性は、計算結果が多きければ多きいほど、労働生産性が高いことを

示しており、労働生産性は、生産性分析における生産性指標の1つです。


この労働生産性を向上させるには、設備などの有形固定資産を導入して、

人手がかからないようにする必要がありますが、設備を導入しても、

その設備を使いこなすことが出来なければ、付加価値が増えることもなく、

労働生産性の向上には繋がりません。


また、労働生産性は、一般的に、設備集約型の製造業の方が労働集約型の

サービス業より高い傾向があります。


そして、労働生産性を計算する際に活用する付加価値とは、企業が事業活動

において、ヒト・モノ・カネの経営資源を活用して生みだした価値のことです。


付加価値の計算方式は、控除方式と加算方式があり、付加価値に占める、

人件費の割合が、労働分配率という財務指標です。


尚、労働装備率が大きいほど、一般的に、企業の労働生産性は高くなると

言われて労働装備率が大きければ大きいほど、企業の労働生産性も比例して

高くなります。


ちなみに、労働生産性を計算する際の従業員数は、期首と期末の平均従業員数を

活用することが一般的です。


計算式・・・労働生産性 = 付加価値 ÷ 従業員数


・設備生産性

設備生産性とは、企業が設備投資した有形固定資産などの生産設備が、

どれくらい効率的に活用されているかを示す財務指標です。


設備生産性は、付加価値を有形固定資産で割って算出するのが一般的であり、

設備生産性は、生産性分析における生産性指標の1つです。


この設備生産性は、計算結果が大きいほど、生産性が高いことを示しており、

設備生産性を向上させるためには、付加価値を増加させるか、無駄な設備投資を

削減し、有形固定資産を必要最小限に抑える必要があります。


また、設備生産性は、老朽化した設備を多数保有している企業より、

最新鋭の設備を多数保有している企業の方が、設備生産性が高くなる

傾向はありますが、機械などの設備を使うのは、人間であるため、

いくら設備の性能が良くても、使う側の人間が、上手く設備を使いこなすことが

できなければ、宝の持ち腐れです。


そして、設備生産性と共に、一緒に分析する指標に、労働生産性や

労働装備率があります。


尚、設備生産性の計算に用いる付加価値とは、企業が事業活動において、

ヒト・モノ・カネの経営資源を活用して生みだした価値のことです。


計算式・・・設備生産性=付加価値÷有形固定資産


・資本生産性

資本生産性とは、企業が投下した資産(資本)1円当たりに対して

どれだけ付加価値を生み出したかを示す財務指標です。


少ない資産で大きな利益をあげている企業は、資本生産性が高く、資本生産性は、

生産性分析における生産性指標の1つです。


この資本生産性を高めるためには、付加価値を増加させるか、

総資産(総資本)を圧縮する必要があります。


総資産(総資本)を圧縮する為には、売上債権回転期間、棚卸資産回転期間、

仕入債務回転期間を短くしたり、不要な遊休資産を処分したり、

必要最低限だけに現預金の残高を減らす等の方法があります。


しかし、経常収支の金額を無視して、資本生産性を急激に向上させようとすると、

資金ショートを引き起こす要因にもなりかねませんので注意が必要です。


また、労働生産性を高めようとして、人手を減らし生産効率を高めるために、

設備投資を実行し有形固定資産が増加すると、総資産(総資本)が増加する

ことになるので、資本生産性と労働生産性は、トレードオフの関係といえます。


そして、資本生産性と共に分析する指標に、労働生産性や設備生産性の

指標があります。


尚、資本生産性の計算に用いる付加価値とは、企業が事業活動において、

ヒト・モノ・カネの経営資源を活用して生みだした価値のことです。


計算式・・・資本生産性=付加価値÷総資産(総資本)


・売上高付加価値率

売上高付加価値率とは、企業が事業活動において、ヒト・モノ・カネの

経営資源を活用して生みだした価値を売上高で割ることにより算出した

財務指標です。


売上高付加価値率が高い企業は、企業が新たに生み出した

価値が大きく生産性が高い企業であり、売上高付加価値率は、

生産性分析における生産性指標の1つです。


この売上高付加価値率を向上させるためには、まずは、付加価値を

高める必要がありますが、付加価値を高める為に基本的なこととしては、

自社で提供する商品・製品・サービスを質の高いものにして、

売上高総利益率を改善することです。


また、同業他社と比較して、売上高付加価値率が高い企業は、ブランド力が

高いといえ、ブランドは、商品・製品・サービスの質を高めるだけで向上する

ものではなく、企業としての総合的な取り組みを改善することでのみ、

ブランドを高めることができます。


なお、売上高付加価値率とともに、利用される財務指標には、労働分配率、

労働生産性などがあります。


計算式・・・売上高付加価値率 = 付加価値÷売上高


・付加価値

付加価値とは、企業が事業活動において、ヒト・モノ・カネの経営資源を

活用して生みだした価値のことです。


付加価値の計算方式は、控除方式と加算方式があり、付加価値に占める、

人件費の割合が、労働分配率という財務指標です。


この付加価値を計算する方法には、売上高から外部購入費用を控除する

計算方式である付加価値の控除方式と、費用や利益を加算していく

計算方式である付加価値の加算方式があります。


また、付加価値を利用した財務指標には、労働生産性があり、労働生産性とは、

従業員1人当たりの付加価値を見るための財務指標です。


尚、付加価値の主な計算方法は、次の4つの計算方式があります。


①日本銀行方式(加算方式)
・付加価値=経常利益+人件費+金融費用+租税公課+減価償却費

②経済産業省方式(加算方式)
・付加価値=実質金融費用+当期純利益+人件費+租税公課+減価償却費

③中小企業庁方式(控除方式)
・付加価値=生産高-外部購入価額

④財務省方式(加算方式)
・付加価値=役員報酬+従業員給料手当+福利費+動産・不動産賃借料+
支払利息割引料+営業利益+租税公課


・労働分配率

労働分配率とは、企業が生み出した付加価値に対する人件費の割合を

示した財務指標のことです。


労働分配率は、業種によって大きく異なるので、財務分析をする際は、

同業種の企業と比較する必要があります。


労働分配率は、自社の適正な人件費率を実現する為の参考となる指標です。


この労働分配率が高い企業は、給与水準が高い企業か労働集約型産業の

企業です。


労働分配率が低い企業は、給与水準が低い企業か装置型産業の企業といえます。


労働集約型産業とは、人手や手間がかかる、労働者1人当たりの

固定資産の額が低い業種です。


装置型産業とは、製品の生産やサービスを提供する為に、大規模な生産設備や

施設が必要な、労働者1人当たりの固定資産の額が高い業種のことです。


ちなみに、労働集約型産業の企業の労働分配率は、60%前後の企業が多く、

装置型産業の企業の労働分配率は、20%前後の企業が多いようです。


また、労働分配率は、春闘の賃上げ要求の客観的な根拠として利用されている

指標でもあり、労働分配率の業種別・規模別平均データを取得する方法としては、

財務省が調査し、HP上で公表している法人企業統計調査にアクセスすれば

データを取得できます。


計算式・・・労働分配率(%) = 人件費 ÷ 付加価値 × 100


・労働装備率

労働装備率とは、建物や機械装置などの有形固定資産が、

従業員1人当たりどれくらい利用されているかを示す財務指標です。


労働装備率が大きければ大きいほど企業の労働生産性は高くなり、

労働装備率は、一般的に、製造業が大きい傾向にあります。


この労働装備率が大きいほど、一般的に、企業の労働生産性は

高くなると言われていますが、杓子定規に、労働装備率を改善する

為だけに、設備投資をして有形固定資産を増加させたり、従業員数を

削減したりすることは論外です。


また、労働装備率は、参考程度に見るぐらいで充分な指標なので、

企業の財務において、それほど重要視する必要はありません。


財務分析をする際は、回転期間による分析に力を入れるべきで、回転期間が

企業の経常収支にどれくらい影響を与えているかを理解できるようになって、

はじめて、企業の財務構造の基本が理解できたといえます。


尚、労働装備率は、労働生産性と一緒に解説されることが多いのですが、

労働生産性とは、従業員1人当たりの付加価値を見るための財務指標です。


計算式・・・労働装備率 = 有形固定資産÷平均従業員数


■成長性指標

・営業利益成長率

営業利益成長率とは、企業の本業での利益の成長率を客観的に

評価する財務指標です。


営業利益成長率は、基準となる事業年度の営業利益からどれだけ営業利益が

増加したかをまず計算し、その増加率を計算した指標です。


営業利益成長率は、営業利益伸び率とも呼ばれる成長性分析の指標です。


この営業利益成長率が、売上高成長率を上回る伸びを示している時は、

その企業の商品・製品・サービスの質やブランド力が高いと見ることが

できたり、損益分岐点が低く、コストコントロールが優れた企業と

見ることもでき、営業利益成長率が高ければ、当然、キャッシュフローにも

プラスの効果があります。


また、営業利益成長率を分析する場合は、単年度だけの数値を

見るのではなく、複数の事業年度を見るべきです。


同業他社の営業利益成長率を自社の営業利益成長率の方が上回っている

場合は、同業他社よりも自社の方が強いブランド力を持っていると

評価することもできます。


そして、営業利益成長率が伸びていたとしても、売上高が減収で

営業利益だけが伸びている、減収増益の状態では、企業の将来の

利益の成長にも限界がでてくるはずなので、売上高が増収で営業利益が

伸びている増収増益の状態が理想の企業の成長の姿であるといえます。


尚、企業の総合的な利益の成長率を分析したい場合は、企業の総合的な

実力を示す、経常利益の伸び率である、経常利益成長率の指標で評価します。


計算式・・・営業利益成長率=営業利益増加額÷基準年度の営業利益


・経常利益成長率

経常利益成長率とは、企業の経常的な利益の成長率を客観的に評価する

財務指標です。


経常利益成長率は、基準となる事業年度の経常利益からどれだけ経常利益が増加

したかをまず計算し、その増加率を計算した指標であり、経常利益成長率は、

経常利益伸び率とも呼ばれる成長性分析の指標です。


この経常利益成長率は、企業の本業の営業・財務・投資活動を含めた

トータルな実力を示す利益の伸び率といえます。


経常利益成長率が、売上高成長率を下回る状態が続いている場合は、

収益力に比べて、有利子負債が過大である可能性もあるので、経常収支比率

の状態にも注意したいところです。


また、経常利益成長率がどんなに高くても、経常収支比率が年々悪化していれば、

黒字倒産という可能性もありますので、発生ベースの利益の成長率だけでなく、

現金ベースの、資金収支の成長率も、当然、把握しておくべきです。


そして、企業にとって、好ましい成長の状態は、売上高や営業利益の増加率より、

経常利益成長率が高い状態の時であり、そのような状態が続いている時は、

金融資産が増加して、有利子負債が減少している時であり、キャッシュフローも

年々増加して、財務体質が強化されていると見ることもできます。


尚、企業の本業での利益の成長率を客観的に分析したい場合は、

営業利益成長率を調べて評価することになります。


計算式・・・経常利益成長率=経常利益増加額÷基準年度の経常利益


・自己資本増加率

自己資本増加率とは、企業の株主が出資した金額とその金額を

利用して獲得した利益を内部留保した金額等の合計である純資産の

成長率を示す財務指標です。


自己資本増加率は、基準となる事業年度の純資産からどれだけ純資産が増加

したかをまず計算し、その増加率を計算した指標です。


自己資本増加率は、自己資本伸び率とも呼ばれる成長性分析の指標です。


この自己資本増加率は、企業にとって、返済する必要がない資本が、

どれだけ増加したかを示した指標なので、自己資本増加率が、

高ければ高いいほど、財務体質が改善しているといえます。



また、自己資本増加率が大きくても、キャッシュフローが必ず

改善しているとは限りません。


キャッシュフローは、売上債権回転期間、棚卸資産回転期間、仕入債務回転期間

の影響を強く受けるので、仮に、自己資本増加率が大きかったとしても、

売上債権回転期間、棚卸資産回転期間、仕入債務回転期間が大きく悪化して

いれば、経常収支がマイナスになっている可能性すらあります。


ちなみに、経常収支がマイナスの状態の時に、経常収支比率の

計算結果が100%以下となります。


そして、自己資本増加率を計算する際の、自己資本には、

会社法上の純資産を活用するのが一般的で、会社法上の純資産とは、

自己資本、新株予約権、少数株主持分の合計金額です。


尚、企業のストックの成長率を評価する際は、自己資本増加率や

総資本増加率を用いますが、企業のフローの成長率を評価する際は、

売上高成長率、営業利益成長率、経常利益成長率などを活用して

評価することになります。


計算式・・・自己資本増加率=純資産増加額÷基準年度の純資産


・総資本増加率

総資本増加率とは、企業が保有する全ての資産がどれくらい増加しているかを

示す財務指標です。


総資本増加率は、売上高の増加率とともに、会社の規模がどれくらい大きく

なったのかを示す指標です。


総資本増加率は、成長性分析の指標の1つです。


この総資本増加率は、売上高、営業利益、純資産などと異なり、必ずしも

増加することが良いとみなすことができない指標であり、売上高などの

伸び率と比較して、総資本増加率の伸び率が大きい状態が続けば、

それは、企業にとって、危険なシグナルが出ていることを示しています。


また、総資本増加率が、売上高の増加率や当期純利益の増加率より

大きければ、総資産回転期間や総資産利益率(ROA)が、悪化することに

なりますので、企業の財務構造を理解していれば、財務体質の改善には

何が必要かが、容易に理解することが出来ます。


そして、総資本増加率が自己資本増加率を大きく上回っている状態は、

財務レバレッジを積極的に活用している状態ですが、あまりにも高い

レバレッジ効果を求め、財務レバレッジを高めることになるレバレッジ比率を

大きくしすぎると、大きな損失を被る可能性や資金繰りを圧迫する可能性も

あります。


尚、企業のストックの成長率を評価する際は、自己資本増加率や

総資本増加率を用いますが、企業のフローの成長率を評価する際は、

売上高成長率、営業利益成長率、経常利益成長率などを活用して評価する

ことになります。


計算式・・・総資本増加率=総資産増加額÷基準年度の総資産


■その他分析手法

・マトリックス分析

マトリックス分析とは、異なる切り口をベースに関連性等を

分析する手法です。


この分析は、計数管理の問題分析の手法であり、管理会計の範疇でもある

セグメント分析でよく利用される分析手法です。


セグメント分析とは、自社に最適なセグメントを抽出し、実態に近いセグメント

毎の収益性を把握し、重点的に経営資源を投下するセグメントを絞り込むこむ

為の重要な分析です。


そのセグメント分析の中にマトリックス分析の手法は取り入れられています。


また、この分析で有名なのは、プロダクトポートフォリオマネジメント

(PPM)で利用されるケースです。


PPMとは、事業の組み合わせを最も効率的で最も効果的な組み合わせに最適化

するための考え方ですが、シンプルなマトリックス分析でのアプローチが、

改善ポイントを顕在化させてくれます。


ちなみに、この分析のマトリックスとは、数字や文字の要素を行や列で

構成される方形に並べたもので、この分析の世界は奥が深いです。


・セグメント分析

セグメント分析とは、事業、製品・サービス、地域、クライアント、

チャネル等の様々な切り口(セグメント)から、全社の売上・利益・

経費その他経営指標を分析することです。


この分析は、セグメント情報を分析することで、売れ筋の商品・

製品の特性や価格帯も分析でき収益改善に役立ちます。


この分析は、管理会計の範疇に属します。

この分析をする際は、企業毎に運用方法が異なることは当然です。


自社に最適なセグメントを抽出することで、実態に近いセグメント毎の収益性

を把握し、重点的に経営資源を投下すべきセグメントを絞り込む為にも

この分析は欠かせません。


また、この分析は、財務会計上のコストである勘定科目情報からは

把握が難しい、各セグメント別のコスト構造を把握できるものです。


コスト構造を改善するための、コスト発生要因やコスト増加要因等を

把握する為にも、この分析は定期的に行なわれるべきものです。


そして、この分析は、マトリックス分析を活用することが

多い分析手法です。


尚、この分析では、各セグメントの限界利益(貢献利益)や、

限界利益率(貢献利益率)についても、分析することになります。


■財務指標データ


財務指標を管理する際に参考になるデータは、 全産業、製造業、非製造業、

業種別の平均財務指標データがあります。


業界別財務指標データを確認したい場合は、財務省の施設等機関である

財務総合政策研究所が公表している法人企業統計年報を活用して算定できます。


下記の財務指標データは、平成25年度の法人企業統計年報を活用し算定した、全産業、

製造業、非製造業の平均財務指標データです。


財務指標データ

財務指標名称 全産業 製造業 非製造業
売上債権回転期間 57日 71日 51日
棚卸資産回転期間 36日 47日 32日
仕入債務回転期間 57日 62日 54日
現金循環化日数 36日 56日 29日
総資産回転期間 396日 388日 398日
固定資産回転期間 222日 197日 232日
有形固定資産回転期間 118日 92日 128日
売上総利益率 20.13% 16.25% 21.63%
売上高営業利益率 3.45% 4.10% 3.20%
売上高経常利益率 4.23% 5.50% 3.74%
売上高当期純利益率 2.67% 3.56% 2.32%
流動比率 133% 144% 129%
当座比率 84% 91% 81%
手元流動性比率 1.71ヵ月 1.65ヵ月 1.73ヵ月
DEレシオ 1.7倍 1.2倍 1.9倍
有利子負債依存度 33.8% 25.9% 36.8%
固定比率 149.3% 112.3% 167.6%
固定長期適合率 83.7% 77% 86%
自己資本比率 38% 45% 35%
株主資本利益率(ROE) 6.5% 7.4% 6.1%
総資産利益率(ROA) 2.5% 3.3% 2.1%
配当性向 38% 41% 37%
人件費率 13.63% 13.82% 13.55%
労働分配率 69.5% 71.7% 68.7%
運転資金月商倍率 1.35倍 1.93倍 1.13倍
運転資金 57,843,391円 172,810,852円 40,094,425円
1人当たり人件費 4,228,794円 5,322,601円 3,910,643円
1人当たり売上高 35,201,127円 41,972,815円 33,125,750円
平均年収 3,611,788円 4,463,829円 3,350,655円
平均月額給与 259,091円 304,616円 245,138円
平均賞与 1.94ヵ月 2.65ヵ月 1.67ヵ月
平均賞与 502,697円 808,433円 408,996円




なお、定性的な経営分析の方法や財務分析の手法を身に付けたい方には、 弊所の、

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