財務の仕事


■財務の仕事

財務の仕事とは、「資金繰り」であるといえるほど、企業の生命線ともいえる、

キャッシュフローに関する業務がメインとなります。


財務部の役割をその目的を基準として分類すると、次の3つに分類できます。


財務の仕事

①資金の出納管理をする仕事

②直接金融や間接金融による資金調達をする仕事

③財務戦略の策定や財務管理をする仕事


上記①の資金の出納管理をする仕事とは、現預金の管理を入出金の業務フロー

に基づき管理することや企業全体又は関連会社を含めたグループ全体の資金を

集中管理する業務のことです。


次に、上記②の資金調達をする仕事とは、資金需要が発生した時に、

自己資本による調達や他人資本による調達により、金融機関やマーケットから

資金調達をする仕事のことです。


最後に、上記③の財務戦略の策定や財務管理をする仕事とは、企業の財務の

方向性を客観的な数値で表現することと、財務計画・財務統制・戦略活動修正

に関する業務のことです。


ところで、財務のメインの仕事は、「資金繰り」に関する業務であることは

間違いありませんが、この業務を遂行するために、最低限必要なスキルを、

皆さんは、ご存じでしょうか?


この質問に対して、直ぐに具体的に必要なスキルが浮かんだ方は、

財務管理のスキル身についていますか?の頁を御覧頂いて、

ご自身の財務スキルのレベルをご確認ください。


具体的に必要なスキルが浮かばなかった方は、もう少し、

この頁にお付き合いください。


「資金繰り」には、資金繰り表を作成することが欠かせませんが、

皆さんは、資金繰り表を作成する際に、下記の項目ついて、どのように、

資金表に反映させていますか?


①売上の見通し(どのように把握するか?)
②仕入の見通し(適正な仕入とは?)
③在庫の見通し(適正在庫とは?)
④借入金の返済と調達(無駄な借り入れは無いか?)
⑤最低保持すべき現預金残高(算定根拠?)


上記の項目について、具体的にどのように資金繰り表に反映させるのかを、

1つでも答えることができなければ、皆さんが作成している資金表は、

致命的な欠陥があるといえるでしょう。


断言できますが、上記の項目全てを、最低限、資金繰り表に反映させて

いなければ、資金繰りの見通しが立つはずがありません。


そのような曖昧なスキルしか身に付いていない財務部の社員が、企業の生命線とも

いえる、資金繰りに関する業務に携わっていることは、人災で、資金ショートを

引き起こす原因となります。


よって、財務の仕事に携わる者が、必ず身に付けておくべきスキルが、

「財務管理」のスキルなのです。


この「財務管理」のスキルを身に付けずに、財務部の役割を果たすことは

不可能ですし、何時までたっても、支払業務などのルーチン業務を担当していては、

経営陣からも、「支払屋さん」としか評価されません。


ゆえに、財務の仕事に携わる者は、経営管理のスキルを身につける必要があるのです。


■リストラ対象となる仕事


世の中が不況になったり、企業が業績不振に陥ると財務部門でもリストラがあります。


バックオフィスである財務の仕事をリストラする際は、経理部門と財務部門が

統廃合され、いかに少人数でバックオフィスの仕事を運営できるかという基準

により聖域をもうけず行われます。


そのような状況の際に、真っ先にリストラ候補に挙げられるのは、新卒の社員でも

できるような支払業務や経費の精算業務等のルーチン業務に携わっている人です。


特に、大企業では、業務が個人毎に細分化されており、新卒から10年以上

経過しても、支払業務や経費の精算業務等のルーチン業務を担当している人

が数多くいます。


リストラを実施して、経理部門と財務部門が統廃合され、ルーチン業務が

アウトソーシングされると、会社に残った業務は、高度な業務のみとなります。


ゆえに、ルーチン業務を担当してい人は、経理部と財務部が統廃合された

場合でも、会社が期待するような業務を遂行することができないので、

真っ先にリストラ対象となるのです。


このように、この仕事に携わる者にとっても、リストラは他人事では

ありません。


■仕事の実情


財務部の仕事の実情としては、経理と異なり、ペーパー知識だけでは、

直ぐに仕事の役には立たないことが多いのが現状です。


実務経験を積んで、実務で通用する専門知識を身につけなければ、

財務において、重要な仕事を任せられることは無いでしょう。


また、この仕事は、経理の仕事と異なり、業務上のミスが、会社の業績

や会社の経営に重大な影響を与える場合がありますので、この仕事は、

非常に責任の重い仕事といえます。


一般的な、この仕事のイメージとしては、電卓片手に、ひたすらお金の勘定

をしている堅苦しいイメージがあるようですが、この仕事は、経理と異なり、

簿記や会計の知識があれば直ぐにできる仕事ではありませんので、

一種の職人的な部分があるといえます。


尚、この仕事のルーチン業務についても、更に、効率化・合理化が

進むことは間違いありません。


■銀行融資で重要なこと


財務の仕事は、資金の管理が重要なので、当然、銀行融資についても財務

が担当することになります。


財務では、銀行から借り入れをする際は、銀行から提出を求められている

資料を準備して提出する必要がありますが、最も重要な提出資料が何かを

理解しているでしょうか?


銀行から融資を受ける際に、銀行に提出する最も重要な資料が何かを

知らないことは、銀行が融資を断る理由を知らないことと同じことです。


企業の生命線である資金繰りを担っている財務がそのようなことでは、

企業業績はいうに及ばず、企業の存続も危うくしますので、財務の仕事に

携わる者は、銀行が融資を断る理由を理解しておく必要があります。


■仕事のやりがいと財務管理業務


財務の仕事のやりがいは、会社の命運を握るといえるほど、責任の重い仕事

である点です。


また、この仕事は、企業の生命線である、会社の資金とバランスシート

をコントロールする仕事なので、この仕事のでき次第で、会社が良くも

悪くもなることは、大きな励みになり、大きなやりがいを感じるはずです。


財務のもとには、会社の様々な取引の情報が集まってくるので、

会社の現状の取引状況を通じて、会社の方向性や会社の未来の姿を垣間見る

ことができることも、この仕事のやりがいといえます。


このように、財務管理業務は、利益貢献度の高い業務です。


■必要な資格や知識


経理と異なり、財務の仕事には、必ず必要な資格はありませんが、

簿記の知識は身につけるべきです。


また、この仕事では、会社の資金とバランスシートをコントロールする

専門性の高い仕事なので、企業の財務構造の理解は必須となります。


ゆえに、日商簿記検定に合格する為の知識ではなく、企業の財務構造を

理解する為に、簿記の仕組みを学び、企業の財務構造を理解する必要があります。


この仕事は、一見難しそうに見えますが、初歩的な知識さえあれば

未経験の転職も可能といえます。


また、財務には、会社の財務上の問題点を把握する為の財務分析スキルと、

理想のバランスシートを作成する為の総合予算作成スキルは必須といえます。


■財務の仕事と経理の仕事の違い


財務部の仕事は、経理の仕事と混同されることが多いようです。


経理の仕事は、企業会計原則に沿って企業の決算書を作成し、社内に決算情報

や会計情報等を提供したり、会計情報の開示である、税務申告、決算短信や

有価証券報告書などの提出をしたりすることです。


要するに、経理の仕事は、外部の第三者に報告目的で活用する財務会計業務です。


小規模の企業では、経理部と財務部を区別せず、経理の中に財務課があったり、

財務課という部署も設けず、経理部の業務の中で財務業務をおこなっている

ことがほとんどです。


組織編成をする際は、経理と財務の機能は、まったく異なっていること

に留意する必要があります。


尚、組織上、経理と財務を明確に区分しているのは、上場企業などの

ある程度規模の大きな企業で、中小企業では、経理と財務を区別している

ことは稀です。


■財務の最も重要な仕事


財務の最も重要な仕事は、財務管理です。


財務管理をする為には、財務計画を作成する必要があります。


この財務計画には、適正在庫を加味した運転資金計画が中核となり、

利益計画や設備投資計画も盛り込まれています。


また、適正在庫を実現する計画とは、販売機会損失を避け、過剰在庫とならない

適正な在庫量を実現した計画であるとこは、説明するまでもないことです。


バランスシート計画は、利益計画に基づいた、キャッシュコンバージョンサイクル計画、

運転資金計画、設備投資計画を作成し、最低保持すべき現預金残高を考慮して、

資金計画を作成することで完成します。


このバランスシート計画は、財務の5つの要素を改善する計画なので、現場の活動プロセス

を理解していないと、精度の高いバランスシートの計画を作成することはできません。


尚、一般的な予算実績管理手法では、予算に対する課題を適時に把握することは

不可能なので、予算と実績のギャップの原因である課題をタイムリーに把握出来る、

経営の仕組みを構築する必要があります。


■ファクタリング


ファクタリングとは、企業の売掛債権をファクタリング会社に売却し

売掛債権の早期回収が出来る手段です。


ファクタリングは、資金調達の1つの手法でもあります。


ファクタリングは、企業の事務負担の軽減と資金回収リスクを低下させます。


このファクタリングは、ファクタリング会社に売掛債権等を売却した際に、

売掛先企業の信用リスクに応じた手数料が差し引かれ、その手数料が

ファクタリング利用時のコストになります。


また、ファクタリングを利用することで、資産の圧縮化を図ることができ、

資産効率も向上しますが、ファクタリングを利用する時は、資金繰りの状況と

ファクタリングを利用することで発生するコスト面も考慮する必要があります。


資金繰りの改善の為、ファクタリングを利用して売上債権の早期現金化をする

ことは、悪い財務方針ではありませんが、このファクタリングを利用する時は、

他にやるべき手段を講じることが先決です。


その手段とは、キャッシュフローを改善する為にまず実行すべきである回収サイト

の改善に繋がる、クライアントとの売上代金の回収条件の内容見直しや支払サイト

の改善に繋がる、仕入先との仕入代金の支払条件の内容見直す方法があります。


あるいは在庫削減に繋がる施策を実施するなどの基本的なキャッシュフローの改善活動

を行なったのちに、他の資金調達手段と比較して利用を決定すべきものです。


なお、 近年は、流動資産を利用した融資制度である、流動資産担保融資保証制度

の活用が増加しています。


■ファームバンキング


ファームバンキングとは、自社のパソコンや専用端末と通信回線を利用して、

取引銀行の振込手続きや入出金明細紹介等のサービスを利用することです。


ファームバンキングはインターネット環境を利用するのが一般的であり、

ファームバンキングは経理業務プロセスを大幅に短縮するツールです。


ファームバンキングのフォーマットには、全銀形式と呼ばれている

全国銀行協会連合会が定めたファイルフォーマットがあります。


また、ファームバンキングのメリットは、経理の銀行関係の業務プロセスを

大幅に短縮することが出来ることと、ファームバンキングを利用して振込みを

すれば振込手数料が安くなることです。


FBデータの作成とは、ファームバンキングのFB作成の画面で一件ずつ振込先

と振込金額を入力する業務のことです。


FBとは、Firm Banking(ファームバンキング)の略です。


このファームバンキングが出現する以前は、振込手続きをする際は、

必ず銀行の窓口まで行く必要がありました。


このファームバンキングを導入すれば、企業から銀行までの往復の移動時間

と銀行での待ち時間を全て無くすことができ、財務部社員の業務効率を大幅に

向上させ管理コストの削減にも繋がります。


次に、ファームバンキングのデメリットはセキュリティー面で、

アクセスパスワードを知ることが出来たら銀行に行かずに

多額の資金の振込みが出来ることです。


また、ファームバンキングの機能には、振込みを実行する際の様々な

セキュリティー面の機能が盛り込まれています。


しかし、現時点でのファームバンキングのセキュリティー内容では、

不正をする意思がある人間であれば、不正を働くことが出来る可能性が高いので、

ファームバンキングのセキュリティーを過信することは注意が必要です。


尚、ファームバンキングを導入する際に特に気をつけるべきところは、

ファームバンキングのシステム管理者、振込みをする際の決裁者、

振込み決済前までの振込み手続きを行なう人、以上の三人に最低分けて

登録設定出きるシステムであるかどうかを確認することです。


ちなみに、ファームバンキングでの振込処理等は、組織に財務部があれば

財務の仕事になりますが、組織に財務部がない場合は、経理の仕事になります。


■金融機関・格付機関への対応


財務の仕事である対外的な業務としては、銀行と緊密な信頼関係を築く

ことと、格付機関への対応です。


格付機関による格付けは、直接金融にて資金調達をする際は、

資金調達の額や資金調達コストに非常に大きな影響を及ぼします。


よって、 財務が中心となり、自社の格付けを向上させる社内改善活動をする

必要があります。


■株式公開準備と内部統制


株式公開(IPO)を目指す企業は、主計部門である経理と出納部門である

財務を独立した部署にするか、少なくとも、同一の社員が主計業務と出納業務

を担当することは解消する必要があります。


また、経理部門と財務部門の分離は、株式公開準備の基本です。


仮に、株式公開(IPO)を目指さない場合でも、経理の仕事と財務の仕事を

明確にすることは内部統制の観点からも必要なことです。


■転職市場で評価されるスキル


財務の転職でも、人材紹介会社を経由した転職が増えています。


財務の転職成功のポイントとしては、財務管理の実務遂行能力が、

どれくらいあるのかが最も重要です。


財務管理の基本を理解できている人はそれほど多くありませんので、

財務のスペシャリストは、いつの時代でも、引く手あまたといえます。


尚、少数ながら、ヘッドハンティングでの財務の転職のケースもあります。


財務において、ヘッドハンティングをされるような人材は、

CFO(最高財務責任者)の役割を果たせるようなCFOクラスの人材に

限られているのが実情です。


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