財務分析の目的


■はじめに

下記企業のBSPLを分析して、資金繰りの状況が悪いと判断できる方や

資金繰り悪化の兆しが現れていることが理解できる方は、このページを

お読み頂く必要はありません。


しかし、下記企業のBSとPLを分析して、資金繰りの状況が悪いと判断

できない方や、資金繰り悪化の兆しが現れていることや資金ショート

可能性があることを理解できない方は、間違いなく財務分析の基本が

身についていません。


特に、経理部財務部経営企画部などに所属する方が、経営分析の基本が

身についていなければ、致命的なスキル不足であることは明白といえますので、

続けてこのページを御覧頂くことをお勧めいたします。

貸借対照表(BS)

項目 2006年12月期 2007年12月期 2008年12月期
現預金 1,000 1,000 1,000
売上債権 2,000 2,600 3,900
棚卸資産 1,300 2,000 2,800
固定資産 1,690 1,900 2,300
資産合計 5,990 7,500 10,000
仕入債務 3,350 2,500 1,900
未払法人税等 40 120 240
短期借入金 900 3,000 5,620
負債合計 4,290 5,620 7,760
純資産 1,700 1,880 2,240
負債・純資産合計 5,990 7,500 10,000


損益計算書(PL)

項目 2006年12月期 2007年12月期 2008年12月期
売上高 15,000 18,000 24,000
売上原価 12,800 15,300 20,200
売上総利益 2,200 2,700 3,800
販管費 2,100 2,400 3,200
営業利益 100 300 600
法人税等 40 120 240
当期純利益 60 180 360



■一般的な財務分析に対する認識

このページを御覧頂いている方の大半は、流動比率という財務指標

御存じでしょう。


では、ここで質問ですが、下記A企業の流動比率が150%であった場合、

皆さんは、A企業の債務の返済能力をどのように評価しますか?

A企業

流動資産 流動負債
1,500,000 1,000,000




おそらく、大多数の人は、流動比率が150%であれば、債務の返済能力は

問題ないと判断するでしょう。


ここで、A企業の債務返済能力は問題ないと判断した方に更に質問をしますが、

何故、A企業の流動比率が150%だと債務返済能力は問題ないと考えるの

でしょうか?


おそらく、大多数の方は、一般的に流動比率は120%~140%程度あれば

よいということが知識としてあるので、A企業の債務返済能力に問題ないと

短絡的に判断してしまう方が圧倒的に多いはずです。


しかし、本当にそのような判断の仕方で問題ないのでしょうか?


そのような小学生にでもできる分析方法で、財務分析ができてしまうなら、

財務分析をすることに、なんら価値などありません。


現実のビジネスでは、流動比率が150%であったり、流動比率が300%

あるような企業でも、資金ショートを起こしている事例は幾らでも存在

するのです。


だからこそ、財務分析は、企業経営にとって不可欠な業務ですし、

重要な業務なのです。


要するに、流動比率や当座比率の様な、キャッシュフローに重要性の無い

財務指標を分析したところで、債務の返済能力を判断することはできませんし、

財務指標の計算式に従って各種財務指標を算出するだけでは、財務分析で

最も重要な、企業のキャッシュフローの状態を判断することはできないのです。


ゆえに、財務分析ができるようになるためには、財務の仕組みを理解する

必要があるのです。


■財務分析の目的

財務分析は、分析をすることがゴールではありませんので、

何のために分析をするかによってその後にやるべきことが異なります。


この財務分析の目的としては、下記の3つに分類することができます。


①自社の財務内容を把握して、経営計画に財務の改善内容を盛り込む為。
②自社の取引先の財務内容を把握して、与信管理に活かすため。
③M&Aを実行する前に、M&Aを検討している企業の財務内容を把握して、
投資の失敗を防ぐ為。


上記3つの分析の目的を見ても明らかなように、財務分析をする目的は、

経営計画に活かす場合と、何らかの意思決定の判断材料になる場合に

大別できます。


財務分析をする目的

①財務分析後→経営計画作成
②財務分析後→与信管理
③財務分析後→M&A


そうすると、財務分析をするために、各種財務指標を算出するだけで

終わっているようでは、この分析の目的を果たしたことにはならないのです。


また、財務分析は、上記3つの分析の目的を果たすために最初に

やるべきことともいえます。


このように、企業では、財務分析ができた後に、経営計画を作成したり、

与信管理をしたりすることになるのです。