在庫計画と生産計画の関係


企業の工場で生産された製品が出荷され、売れ残った製品が在庫と

なりますので、適正在庫を実現する為には、在庫計画と生産計画は、

一体で考える必要があります。


この説明に関しては、誰しもが異論のないところでしょうが、

企業においては、在庫計画と生産計画の作成を、別々の部門で作成

していることが多いのです。


例えば、在庫計画は、販売部門が作成して、生産計画は、製造部門が

作成しているようなケースのことです。


製造予算でもある生産計画の作成を、製造部門が担当することは、

当たり前のことの様に感じる方が多いかもしれませんが、企業によっては、

生産計画を製造部門が作成すると、キャッシュフローを圧迫する要因

になるのです。


生産計画というと、簿記の知識がある方は、工場で製品の生産量が増加

すればするほど、製品1個当たりの固定費が減少し製品原価が下がるので、

このことからも、工場の生産能力を増やすことは好ましいことだと理解

している方が多いと思います。


確かに、生産量を増やせば、固定費を吸収できることには違いありませんが、

問題は、そのような製品原価を下げる目的で、大量に製品を生産しても、

実際に販売することができるのかが問われてくるのです。


もし、大量に製品を生産して、実際に販売が不調で、大量の在庫を抱えて

しまったらどうなるでしょう?


当然、棚卸資産が増えることは、資金が在庫に滞留することになりますので、

キャッシュフローを悪化させる原因になるわけです。


ここで考えなくてはならないことは、製品原価を下げることと、

キャッシュフローを悪化させないことは、どちらが、経営という視点

から考えた時に、重要なことなのでしょうか?


企業の生命線は資金繰りであるということを考えても、

キャッシュフローを悪化させないことの方が重要であることは

間違いないと思います。


そうすると、生産計画の作成を、製造部門に担当させてしまうと、

製造部門がキャッシュフローのことを重要視していなければ、製品原価を

下げる目的で、大量に製品を生産する計画を作成してしまう可能性が

あるのです。


このような背景もあり、在庫計画と生産計画を切り離して作成すると、

キャッシュフローを悪化させる要因となりますので、別々な部門で作成

することは、好ましいことではないのです。


ここまでの説明で、在庫計画と生産計画は、同じ部門で作成する

ことが理想であるということが分かったところで、次に問題になることは、

その作成方法です。


過剰な在庫にならず、販売機会損失を防ぐ適正在庫を実現する為には、

どのような手順で計画を作成するべきかが、実務においては重要に

なってきますが、その順番も、何を重視すべきかが理解できていれば、

直ぐに明らかになります。


在庫計画と生産計画の作成において重要なことは、適正在庫を

実現することなので、その為に何を最初に手をつけるべきかは、

説明するまでもありませんよね。


但し、適正在庫を考えるうえでは、在庫計画と生産計画だけを考えても、

適正在庫を実現する計画を作成することは不可能なので、在庫計画に

密接に関係する、販売計画の存在が必須であること言うまでもありません。


ここまでの説明で明らかなように、生産計画を製造部門が作成することは、

キャッシュフローを圧迫する要因になりますので、生産計画の大枠については、

製造部門以外の部署が作成し、その計画の微調整をするために、製造部門の

意見を反映させるという役割分担にすることが必要でしょう。


ゆえに、企業の予算編成においては、販売部門が販売計画、製造部門が

生産計画という具合に、組織を基準にして各計画を担当することが多い

のですが、そのような組織を基準とすることは、在庫計画と生産計画の関係

のように、不合理な点が生まれやすいことを認識する必要があるでしょう。