売掛金回収遅延の対策


企業における各部署には、それぞれ特有の役割がありますが、

皆さんは、その役割を意識して仕事に携わっているでしょうか?


弊所がクライアントにコンサルティングサービスを提供する際には、

会社の各部署で働いている人に対して、あなたの主要な役割はなんですか

という質問をすることがあります。


的確な返答が返ってくる人や頓珍漢な返答が返ってくる人等さまざまですが、

営業に携わる方に、「営業マンの仕事とは」という質問をすると大多数の方

が次の様に返答をします。


「営業マンの仕事は、売上をあげることです」という返答です。


確かに、この返答は、間違いではありませんが、何かが足りない様な

気がしませんか?


もし、営業マンの仕事は、売上をあげることだけだと考えているのなら、

一営業マンとしても一人前とは言えませんし、これが営業管理職なら、

失格の烙印を押されることは間違いありません。


では、営業マンの仕事は、売上をあげること以外に、何が重要だという

のでしょうか?


その答えはいたってシンプルで、営業マンの仕事は、売上をあげて、

売掛金を回収するまでが仕事なのです。


ちなみに、もう一つ営業マンの重要な仕事を付けくわえるとすると、

クライアントのアフターフォローがあり、トップ営業マンは、

クライアントのアフターフォローについても抜かりありません。


先ほどご紹介した、営業マンは、売上をあげて、売掛金を回収するまで

が仕事であることは、営業マンなら誰でも知っているはずなのですが、

大半の営業マンは、売上をあげることに比べると、売掛金を回収すること

に対しては、意識が希薄なのです。


しかし、売掛金を期日までに回収することは、企業の資金繰りを左右する

重要なことなので、売掛金回収遅延を予防したり、売掛金回収遅延の対策を

図ることも、営業部の役割なのです。


では、会社にとって問題となる売掛金回収遅延の対策は、どのようなこと

が考えられるでしょうか。


まず、基本的なことではありますが、クライアント毎に決められた期日まで

に確実に請求書を送付することが第一歩です。


クライアントの側では、決められた日までに請求書が到着しなければ、

当然、売掛金を支払ってくれることはありませんので、確実に請求書の

締め日の期日に間に合うように請求書を送付する必要があるのです。


この確実に期日に間に合うように請求書を送付することは、売掛金回収遅延

の予防ともいえます。


次に、実際に、売掛金回収遅延が発生した場合に、どうするべきかを

解説致します。


その回収遅延の原因が、クライアント側で、何らかの事務処理上のミスで

遅れただけなら大した問題ではありませんが、問題となるのは、回収遅延

の原因が、クライアント側で、意図的に行われたような場合です。


そのようなケースでは、遅延発生当初は、粘り強くクライアントに支払

を求める対応しかできません。


クライアントに支払交渉をして無事に回収ができればよいのですが、

問題は、なかなか回収ができないケースです。


売掛金回収が長期化しそうな場合に考えるべきことは、売掛金の時効です。


売掛金は、ある一定期間が経過し、ある要件を満たすと、法的に時効が

成立するのです。


この売掛金の時効とは、売掛金をクライアントから回収できなくなる

ことを意味しています。


そうすると、売掛金回収が長期化しそうな場合は、どうにかして時効の成立

を阻止するか、法的手段を用いた回収を検討する必要があるのです。


ちなみに、売掛金回収遅延が発生した場合に、クライアントに毎月請求書

を出していた場合でも、それ以外に何も対策をしていなければ、時効は成立

してしまいますので要注意です。


売掛金回収遅延が発生した場合に、クライアントに請求書を発送することは、

法的には催告に当たりますが、その行為は、時効の完成を6ヵ月遅らせる

効果しかないのです。


このことを知っておかなければ、支払が滞っているクライアントに毎月請求書

をだしていたとしても、法的効果はほとんどないわけです。


時効の完成を阻止する手段としては、法的には、

①請求(※請求書をだすことではありません)

②差押え、仮差押え又は仮処分

③承認

上記3つの方法がありますが、自社の力でできる方法としては

③の承認という方法を活用することです。


この承認という方法は、支払が滞っているクライアントに、支払っていない

売掛金が存在することを認めさせることなので、支払約束書などの書面を

用意して、クライアントに署名押印してもらえば時効が中断します。


このような時効の中断が成功すれば、時効期間は再スタートとなりますので、

その期間内のうちに、法的手段を含めた抜本的な対策を講じる時間ができる

ことになります。


このように、売掛金回収遅延の対策ポイントは、基本は、自社で対応できる

対策を最初に講じ、それでも回収が難しい場合は、法律の専門家の協力を

得て法的手段の行使を検討するべきといえます。