運転資金の借り方と仕組み


■運転資金融資を受ける為のキーワードは「資金使途」

運転資金の借り方を知っていますか」と問われると、中小企業で資金調達

の経験豊富な経営者の方でもない限り、返答に困る方が大半でしょう。


この問いに的確に答えられるためのキーワードは、「資金使途」です。


銀行から事業資金の融資を受けた経験がある方はご存じでしょうが、

融資を受ける際は、必ず銀行から尋ねられることがあります。


その1つが、「資金使途」なのです。


皆さんが、お金を貸す側の立場だとすると理解しやすいのですが、赤字を垂れ流し

ている会社に融資をしたいとは思わないはずです。


当たり前なことではありますが、お金を貸す側の立場からすれば、企業が赤字を補填

するために融資をするよりも、企業が事業を拡大するための、運転資金や設備投資の

資金として融資をしたいはずです。


それに、銀行が、赤字で、営業キャッシュフローがマイナスの企業に融資をしても、

融資が焦げ付く可能性が高いと思うのは当然なことです。


そうすると、企業が、融資面談の際に、最初に質問される資金使途についての質問

に対して、あいまいな返答しかできなかったり、資金使途を明らかにしなければ、

銀行からは、資金使途は、赤字を補填するためや、正当な目的ではないと勘繰られる

はずです。


しかし、金融機関から、資金使途を問われて、運転資金に使用する目的とだけ答えた

としても、そのような返答では、資金使途を明らかにしたことにはなりません。


なぜなら、この資金は、非常に多岐にわたるので、金融機関に対して、具体的な

資金の内容を明らかにしなければ、銀行から、融資を受けることは不可能

でしょう。


このような資金の性質を考えると、この資金について、正しく理解して

いなければ、金融機関との融資交渉が上手くいくことないはずです。


ゆえに、この資金の借り方を知るための第一歩は、この資金の構造を、

理解することだといえます。


■運転資金の仕組み

運転資金は、企業が経営活動をしていくうえで必要になる資金であることは、

どなたも理解されていることでしょうが、この資金について正確に理解できて

いる人は、あまり多くはないのが現実です。


この資金の構造を概観すると、広義の運転資金と狭義の運転資金に分類する

ことができます。


広義のこの資金は、大多数の皆さんが認識している概念であり、その対象範囲は、

商品や原材料の仕入代金、販売費や一般管理費などの支払い、借入金の返済、

支払利息の支払い、各種税金の支払い、設備投資の支払いなど、企業が、

経営サイクルの中で支出する全てなのです。


この説明を聞けば、何故、金融機関から、資金使途を問われて、運転資金に

使用する目的とだけ答えたとしても、そのような返答では、資金使途を明らかに

したことにならないかが、理解できることでしょう。


銀行と融資の交渉をする際は、具体的な内容とその金額を説明することで、

資金使途についての問題がクリアできるのですが、簡単に説明をすることが

難しい性質のものがあります。


それこそが、大多数の経営者の皆さんだけでなく、経理業務や財務業務を

専門にする人、はたまた、税理士や公認会計士に至るまで、仕組みが理解されて

いない、狭義の運転資金なのです。


狭義のこの資金は、財務上の運転資金と呼ばれるものであり、企業の営業CFが

マイナスになる最大の原因となる、最重要の財務管理項目なのです。


狭義のこの資金は、広義の運転資金に含まれている、商品や原材料の仕入代金、

販売費や一般管理費などの支払い、借入金の返済、支払利息の支払い、各種税金の

支払い、設備投資の支払いなどのように、明確に、誰の目にも見える性質のもの

ではありません。


狭義のこの資金を把握するためには、この発生の仕組みを理解しなければ、

具体的に、どれくらいの支出負担があるのか分からないのです。


ゆえに、企業が、銀行に、狭義の運転資金の融資を申し込む際は、この資金コスト

の発生の仕組みを理解していなければ、銀行に、資金使途の具体的な説明ができ

ないということになるわけです。


■財務上の運転資金の仕組み

財務上のこの資金の仕組みは、財務の専門家でなければ理解できないような、

難解な理論ではありませんが、経営者をはじめとした、経理業務や財務業務

などの資金管理に携わる人の多くが、この資金の仕組みを理解できて

いないのです。


その原因の一つとしては、一般的に知られている、この資金の計算式を盲目的に

受け入れていることがあります。


その計算式とは、例外なく、下記のように説明されています。


・棚卸資産+売上債権(売掛金+受取手形)-仕入債務(買掛金+支払手形)


本当の財務の専門家は、この資金を計算する際に、このような計算式を活用する

ことはありません。


そうすると、上記のような計算式で、財務上のこの資金が算定できると主張する人は、

財務の本質を理解できていない人であるといえます。


では、正確な財務上のこの資金を算定するためには、どのように計算すれば

よいのでしょうか?


まずは、自分の頭をフルに働かせて、そもそもこの資金とは何かと考えてみます。


それは、至って単純で、資金の支出を伴うもののはずです。


そのような視点を頭の片隅において、一般的に知られている、この資金の計算式

を見れば、何故、そのような項目が計算式に入っているのかという疑問が浮かび

上がってくるはずです。


そして、もう一つの視点としては、一般的に知られている、この資金の計算式には、

この資金の原因に相当する項目が入っていないのです。


何ごとも、原因と結果の法則から逃れることはできないので、原因を無視した、

計算式が正しいはずはなく、そのような計算式が財務管理上、利用価値がある

はずがありません。


いきなり、棚卸資産、売上債権、仕入債務という結果である金額が生じるのではなく、

その前に、棚卸資産、売上債権、仕入債務という金額を発生させる原因があるのです。


その原因とは、金額とは無関係の財務上の重要な項目なのです。


その項目は、財務の専門家でなくても、会社で働いた経験がある方なら、

一度は聞いたことがある基本的な項目で、その項目を用いて計算することで、

正確な金額を算定できます。


これらのことを理解すると、運転資金の融資を受ける際に、この資金の中で、

明確に示すことが困難であると思われていた、財務上のこの資金を正確に計算

することができますので、銀行に、資金使途を明確に示すことが可能となります。