中小企業の資金調達方法


■中小企業の資金調達方法の現状・問題と課題

なにげなく中小企業という表現をよく使用しますが、この言葉の定義を確認すると、

中小企業基本法では、対象企業の範囲を、下記のように定めています。


・基本法における定義

業種 資本金・従業員数
製造業・その他の業種(下記を除く) 3億円以下300人以下
卸売業 1億円以下100人以下
小売業 5000万円以下50人以下
サービス業 5000万円以下100人以下


上記の内容を確認すると、業種ごとに、資本金と従業員数により定義が

異なることが分かります。


ただし、この定義を用いて資金調達構造の現状を把握しようとすると

難しいので、ここでは、便宜上、資本金が1億円未満の企業を、中小企業として

取り扱います。


次に、公的機関が公表している客観的なデータを確認して、資金調達構造の現状を

把握しますが、データは、財務省の施設等機関である、財務総合政策研究所が公表

している法人企業統計年報データを参考にします。


この法人企業統計年報データの平成24年度統計表では、全産業で2,739,810社の

データが集計されています。


全産業2,739,810社のうち、2,708,546社が資本金1億円未満の企業なので、

その割合は98.8%となっています。


このデータでは、2,708,546社が資本金1億円未満の中小企業に該当しますので、

その資金調達先の現状を、法人企業統計年報データで確認してみます。


そのデータを確認すると、資金調達割合は、約70%が負債の活用による

調達で、残りの30%が資本の活用による調達となっています。


ベンチャー会社では、一般的に、新株発行による増資が困難なので、負債の活用に

よる調達に依存しているわけです。


・負債による調達割合

負債による調達項目内訳 調達割合
金融機関からの借入 42.4%
経営者本人・知人などのその他の借入 17.3%
買掛金・支払手形 16.4%
各種引当金 2.0%
社債 1.2%
その他 20.7%
合計 100.0%



上記の結果を見ても、小規模な会社では、いまだに負債の調達先は、日本政策金公庫、

銀行、信用金庫、信用組合などの金融機関と、経営者本人・家族・知人などからの、

借入に依存しているのが現状なのです。


これらの借入は、いわゆる間接金融なので、相手の状況次第で、調達の道を閉ざされる

可能性がある、非常に危うい不安定な調達手段といえますので、銀行融資依存から脱却

する必要があります。


よって、資金調達方法の問題としては、資金調達バランスが悪いことで、

資金調達方法の課題としては、間接金融の比率を低下させ、直接金融の比率

を上昇させることだといえます。


ちなみに、中小企業の資金調達業務は、経理部の役割財務部の役割です。


■中小企業の資金調達方法の種類

資金調達というと、なんだか専門的な知識や経験が無いと難しいと思われる方が

多いかもしれませんが、結論から説明すると、そんなことはありません。


資金不足対策でもある、会社の調達手段を大別すると、内部資金による調達と外部資金

による調達に分類できます。


内部資金による調達とは、①事業活動による利益の獲得、②現金の支出を伴わない

減価償却費、という2つの手段により、企業内部に現金が蓄積されます。


但し、内部資金による調達は、資金需要に応じて随時調達できる性質のものではない

点が、デメリットで、自力で調達できる点がメリットといえるでしょう。


もう一つが、外部資金による調達で、この調達手段の中には、専門家でなければ、

調達スキームをプランニングすることも難しい調達手段も存在します。


この外部資金による調達方法は、①集める、②借りる、③売却する、④信用の活用、

というシンプルな活動に分類することができます。


この①集める、②借りる、③売却する、④信用の活用、という4つの活動を、

もう少し専門的に説明すると、①集める→資本調達、②借りる→負債調達、

③売却する→資産の現金化、④信用の活用→企業間信用、という具合になります。


ちなみに、企業間信用とは、企業間における債権・債務の決済を取り決めにより

決定した期間だけ猶予することで、資本調達とは、自己資本調達であり、負債調達は、

他人資本調達とも呼ばれています。


要するに、外部資金による調達方法の種類としては、①資本を増加すること、

②負債を増加すること、③資産の現金化、④信用の活用の、4つに集約することが

できるわけです。


そうすると、どんな小規模会社でも採用できる調達方法の種類としては、

次の6種類です。


・ベンチャー会社でも採用できる調達方法の種類

①利益の獲得
②減価償却費
③資本の増加
④負債の増加
⑤資産の現金化
⑥信用の活用


上記の6つの手段の中から、最も自社の資本政策にとって、最適な方法を選択する

ことになります。


この6つの調達手法を難易度でランク付けすれば、下記のようになります。

・調達手法の難易度ランク

1.利益の獲得(安定した利益の獲得は難しい)
2.資本の増加(会社自体の総合的な信用と将来性が必要)
3.信用の活用(財務上の運転資金の削減、財務を理解していなければ難しい)
4.負債の増加(金融機関などからお金を借りる)
5.資産の現金化(保有資産を売るだけ)
6.減価償却費(何もする必要がないから)


新しい調達手段としては、ネットを活用して小口資金を不特定多数から調達する、

クラウドファンディングという手法があります。


■中小企業の資金調達の目的

企業が、資金を調達しようというからには、何らかの意図や目的があるわけですが、

一般的な調達の目的としては、下記の2つに大別することができます。


1つ目の目的は、企業における、運転資金の不足を解消するためです。


この運転資金を広く捉えると、仕入代金の支払いに加えて、会社の経費である

販管費や、金融機関からの借入金返済などを含んだ、会社が支出するあらゆる

ものが対象となります。


逆に、狭義の運転資金とは、いわゆる財務における運転資金のことであり、

この財務上の運転資金が、企業の資金繰りを、最も圧迫する要因なのです。


ちなみに、一般的に、財務上の運転資金の計算式は、下記のように説明されています。

①売上債権+②棚卸資産-③仕入債務=財務上の運転資金


ここでは、詳細な解説は省きますが、結論だけ説明すると、上記の、一般的な、

財務上の運転資金の計算式は誤っています。


この財務上の運転資金の仕組みと運転資金の借り方に興味がある方、

運転資金の借り方と運転資金の仕組み」の頁をご覧ください。


数多くの財務の専門書でも、運転資金についての誤った解説がされていますし、

税理士や公認会計士ですら、財務上の運転資金の仕組みを理解できている人は、

意外に少ないのです。


もう一つの目的は、企業における、設備投資資金の確保のためです。


設備投資資金が確保できなければ、事業規模を拡大することはできませんし、

新規事業に進出することもできません。


この設備投資は、企業が成長するためには、必要不可欠な投資なので、

設備投資資金が調達できなければ、企業の成長が停滞することを意味するのです。


ゆえに、企業は、経営活動を停滞させたりしないためにも、機動的に資金を調達

できる手段が必要なのです。


■中小企業の資金調達方法の課題に対する解決策

ベンチャー会社の負債による調達先は、金融機関と、経営者本人などからの借入に依存

しているのが現状なので、間接金融の比率を低下させ、直接金融の比率を上昇

させる必要があります。


経営者本人からの借り入れも、限界があることは言うまでもありませんし、

金融機関からの借り入れも同様です。


そうすると、金融機関や経営者本人以外からの、直接金融による方法の採用を検討

する必要があるわけです。


その直接金融による方法の中で、小規模な会社に最適な調達手段が、少人数私募債

という社債の発行なのです。


財務総合政策研究所が公表しているデータを見ても、小規模会社の資金調達構造の中で、

社債が占めている割合は僅か1.2%で、小規模会社は、社債を全く活用できていません。


この少人数私募債という社債の発行こそが、中小企業の資金調達方法の課題に

対する資金不足対策の切り札といえます。


少人数私募債は、50人未満の投資家に対して勧誘をするので、金融商品取引法

(金商法)が規定する、公募(募集)に該当しないので、財務局への煩雑な届出

も一切不要であり、低コストで資金調達ができるのです。


この少人数私募債は、経営者が、資金調達額、利率、償還期間(返済期日)などの

調達に関する項目を、決定することができるので、非常に有利な調達手段

ともいえます。


また、少人数私募債は、償還期間(返済期日)が到来しても、一定の条件を満たせば、

借り換えも可能なので、10年以上の長期の資金調達も可能なのです。


更に、新株予約権付社債(転換社債)として発行すれば、社債を引受けた投資家が、

株式への転換請求をすれば資本金が増加し、社債の償還による資金負担も削減できる

ので、増資を実施したことと同じ効果が実現します。


このように、少人数私募債は、中小企業にとって非常に有利な調達方法なので、

この調達手段に興味がある方は、少人数私募債による資金調達支援の頁をご覧

くださいませ。