適正な人件費の管理方法


会社にとって人材は、最も重要な経営資源ではありますが、人材も在庫と

同じで、多すぎても少なすぎても経営に支障がでますので、適正な人件費を

常に保つ必要があります。


適正な人件費の方法は、経営者だけではなく、経理部、財務部、経営企画部に所属する

社員であれば、 理解しておくべきことです。


適正な人件費の管理方法といえば、財務指標の労働分配率が最も有名だと思います。


この労働分配率とは、付加価値と人件費を比べて、付加価値額に対する人件費

の割合が高ければ、人件費率が高いと判断し、低ければ人件費率が低いと

判断します。


付加価値額という概念が分かりにくいので、有名な割には、労働分配率は、

人件費の管理にはあまり利用されていないのが現状です。


自社の適正な人件費を考える上で重要になることは、

利益と人件費のバランスです。


そうすると、自社の適正な人件費を考える上では、利益の源泉である売上高

に対する人件費率や売上総利益に対する人件費率が重要になってくるはずです。


ここで押さえておきたい視点としては、社員数が○○人になったら、

売上高は、どれ位必要になるのかということです。


適正な人件費マネジメントをするということは、過去の実績の人件費や

人件費率を確認するだけではなく、将来の人件費や人件費率をどうする

のかを管理するということなのです。


将来の人件費や人件費率をどう考えるべきかという基準があれば、

先ほどご紹介した視点である、社員数が○○人になったら、売上高は、

どれ位必要なのかという問いに対して答えることも容易なわけです。


例えば、現在、A会社の社員数が100人で、人件費の総額が7億2千万円

だとします。


このA会社では、来年社員を10人増やしたい(10人分の人件費は6千万円)

と考えていたとします。


このような時に、A会社の売上高は、どれ位必要なのかを把握しておくことが、

適正な人件費の管理においては、重要になってきます。


そうすると、A会社は、来期、110人体制で、人件費の総額が7億8千万円に

なる計画になっていることになります。


この人件費のケースの理想の売上高が計算できていなければ、

来期に適正な人件費を保つことができないということになるわけです。


このような時に利用するのが、理想の人件費率であり、自社にとっての理想

の人件費率が把握的できていれば、会社の人件費の総額を、理想の人件費率

で割ることで、理想の売上高を算定することが可能です。


これを先ほどのケースに当てはめると、A会社の理想の人件費率が50%だと

すれば、A会社の理想の売上高は、来期の人件費総額7億8千万円を人件費率50%

で割ると、15億6千万円ということになるわけです。


このような、自社の理想の人件費率を把握しておくと、簡単に、適正な人件費

を保つための売上高を算定することが可能になるのですが、ここで問題になる

のは、どうやって理想の人件費率を計算しておくのかということです。


理想の人件費率の目安の付け方として最も簡単な方法は、同業の業界平均の

人件費率や、同業において、収益力が最も高い企業の人件費率を参考にする

ことです。


このような客観的な人件費率のデータと、自社の実績の人件費率を比較すれば、

自社にとっての理想の人件費率算定の参考になるはずです。


最後に、適正な人件費の管理において、最も重要になる視点は、

会社のオペレーション方法です。


そもそも、人件費の総額は、会社のオペレーション方法によって大きく

変化しますので、会社の基本事業戦略によって、人件費の総額は、

大きな影響を受けるのです。


このことを理解せずに、小手先の人件費管理方法だけを考えていては、

本末転倒ということになりますので、適正な人件費の管理において、

最も影響を与える項目は、会社の基本事業戦略であるということを認識する

必要があるのです。