棚卸資産回転期間の計算式


自社の財務分析や他社の財務分析をする際の、代表的な財務指標

各種回転期間分析があります。


各種回転期間分析の中でも、在庫に関する状況を把握できる

棚卸資産の回転期間分析は特に重要です。


企業は、本業が重要であることは言うまでもないことなので、

その本業に関わる在庫の状況や、商品毎の売れ行きを確認することが

経営管理や財務分析において重要なわけです。


しかし、一般的に、在庫の回転期間の重要性はあまり認識されて

いないようです。


なぜなら、本当の棚卸資産回転期間の計算方法を知っている方は、

意外に少ないからです。


このような話をすると、皆さんは驚かれるかもしれませんが、

おそらく皆さんが知っているこの回転期間の計算式は、下記の計算式

であるはずです。


棚卸資産回転期間の計算式

・棚卸資産残高÷(売上原価÷365日)


一般的な財務の書籍においても、この計算方法が紹介されているので、

在庫の回転期間を分析する際は、この計算方法を用いて計算している方

しかいないと思います。


稀に、上記、回転期間の計算式にある売上原価を売上高にして

計算する方法も紹介されていますが、その方法は更に誤りと言えます。


なぜなら、売上高を365日で割って計算すると1日当たりの売上高が

算出されることになりますが、在庫残高を1日当たりの売上高で割って、

何か意味のある数値が計算されるのでしょうか?


それよりも、粗利が含まれていない、売上原価を365日で割った

1日当たりの売上原価を計算し、棚卸資産残高を1日当たりの売上原価で

割る方が、意味のある数値であると思いませんか?


本題に戻りますが、他社の在庫回転期間を分析する場合は、

一般的な在庫の回転期間の計算式を利用せざるおえませんが、

自社の棚卸資産回転期間を分析する場合は、そのような実態を反映

していない計算方法を用いるべきではありません。


では、なぜ、一般的なこの回転期間の計算式が、実態を反映して

いないかを理解して頂くためには、計算式で利用されている在庫残高が、

どこから導きだされているのかを知れば分かるはずです。


説明する迄もなく、この回転期間の計算式で利用されている

在庫残高は、貸借対照表の流動資産に計上されている棚卸資産残高

の数値が用いられています。


では、この棚卸資産残高の数値は、どのように決定しているのかと言うと、

期末の在庫数量に在庫単価を掛けて計算されています。


要するに、事業年度末の営業が終わった時点で、在庫数量が多ければ、

必然的に、貸借対照表に計上される棚卸資産残高の数値は大きくなるのです。


そうすると、事業年度末の営業が終わった時点に何らかの理由で、

たまたま在庫数量が多かったり少なかったりするだけで、貸借対照表に

計上される棚卸資産残高の数値は変化するわけです。


そのような実態を反映していない数値を用い、棚卸資産回転期間を計算

して意味のある結果がでるはずがありません。


では、どのような数値を用いて、在庫の回転期間を計算

するべきでしょうか?


それは、この回転期間の仕組みを理解すれば、どの部分のデータを

利用するべきかが明らかになります。


また、棚卸資産回転期間の仕組みは、財務分析に限らず、適正在庫の考え方

を盛り込んだ、貸借対照表の予算を作成する際にも、必要になりますので、

財務管理に携わる者にとっては、必須の知識といえるでしょう。


このように、一般的な、棚卸資産回転期間の計算式は、他社の財務分析

でしか利用できませんし、自社の回転期間の分析に利用すると、

経営の意思決定を誤ってしまう場合がありますので、気をつけるべきです。