貸借対照表分析のポイント


財務分析の分野の中で、苦手意識を持つ方が多いのが、貸借対照表の分析

ですが、バランスシート(貸借対照表・BS)のどこが、多くの方に苦手意識

を持たせているのでしょうか?


このことを考える上では、簿記の知識がある方と簿記の知識がない方で、

その背景が全く異なるようです。


まず簿記の知識がない方は、貸借対照表の見方が分からなくても当然

といえば当然なのですが、簿記の知識がない方が、貸借対照表を見て

混乱する原因は、何を重視して見るべきかが分からないことが影響して

いるのだと思います。


例えば、財務諸表の仲間でもある損益計算書については、簿記の知識が

ない方でも、それほど苦手意識を持たれている方は多くはないと思います。


その理由は、損益計算書を見る際は、どれだけ利益が計上されていて、

利益率がどれくらいであるのかという問題意識であったり、何を見るべき

かが明確だからです。


そうすると、貸借対照表についても、例え、簿記の知識がなかったとしても、

何を見るべきかが明確で、問題意識を持って見ることができれば、苦手意識

がなくなるはずです。


次に、簿記の知識がある方でも、貸借対照表分析に苦手意識を持つ方は

意外に多いのですが、その原因は一体どこにあるのでしょう?


簿記の知識がある人は、勘定科目の意味位は誰しもが知っており、

貸借対照表に記載されている各勘定科目の意味も当然分かるはずなので、

それらの各勘定科目の数字が多ければ好ましいのか、少なければ問題が

あるのか位は誰でも理解できるのです。


このように考えていくと、簿記の知識がある方が、貸借対照表の分析に

苦手意識を持つ理由としては、簿記の本質が理解できていないことしか

考えられません。


簿記の本質とは、簿記の仕組みそのもののことなのですが、

簿記の原理を知識として知っているだけでは、貸借対照表を分析する

ことは難しいでしょう。


例えば、貸借対照表とは、資産、負債、純資産の状況を示した財務諸表

であることは、簿記の知識がある方なら誰でも知っていますが、この表

には、もう一つの顔があるのです。


貸借対照表のもう一つの顔が何かを知らなければ、この表が読める

とはいえません。


その貸借対照表のもう一つの顔とは、企業が、ある時点で、どんな資金を

調達して、その調達した資金を何に使ったのかを示した表という、

資金の調達源泉と資金の使途を表現したものなのです。


仮に、各勘定科目の意味を厳密に理解していなくても、このような見方で

負債・純資産項目を見ると、資金調達の○○%を負債で調達して、

資金調達の○○%を純資産で調達しているという具合に、

資金の調達源泉を簡単に把握することができます。


また、資産の項目は、調達した資金を、何に使用しているのかを示して

いるので、資産の項目を見れば、資金の使途を簡単に把握することが

できるわけです。


ここからは、本題の、これだけは知っておきたい貸借対照表分析のポイント

について解説致しますが、ここまでに説明した内容で気がついた方もいる

かと思いますが、この表を見れば、キャッシュフローを把握する

ことができるということが最初のポイントです。


先ほども説明したように、貸借対照表は、資金の調達源泉と資金の使途

を表現した表であるということは、この表は、キャッシュフローを

示しているとも考えることができます。


また、2期間の貸借対照表を活用すれば、営業キャッシュフロー、

投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローも簡単に把握すること

もできるのです。


もう一つだけ貸借対照表分析のポイントをあげるとすれば、固定比率と

固定長期適合率の利用の仕方です。


この貸借対照表を見れば、キャッシュフローを把握することができますし、

固定比率と固定長期適合比率の活用方法とその意味するところが理解する

ことができれば、キャッシュフローという観点から貸借対照表を

財務分析することについては、重要な論点はほぼ把握したことになるのです。


ちなみに、固定比率と固定長期適合率の見方は、資金調達の仕方にも影響

を与える重要なことなのです。


こんな具合に貸借対照表を分析すると、一見難解に見えるこの表も、

難解どころか、簡単に分析することができますので、何ごとも、ものの見方

考え方が重要であるといえます。