貸借対照表(バランスシート・BS)


■貸借対照表とは

貸借対照表とは、企業の一時点での財政状態を表す財務諸表で、

バランスシートとも呼ばれています。


また、バランスシートの英語表記が、Balance sheetといことから、

この頭文字を取って、BSと呼ばれることもあります。


貸借対照表は資金の調達源泉と資金の運用形態を表した財務諸表であり、

バランスシートの分析は、損益計算書の分析より重要です。


この貸借対照表は、表の左側に資産の項目が記載され、右側に負債の項目と

資本の項目が記載されています。


バランスシートは、企業の財務方針を示す財務諸表といえます。


貸借対照表の見方の基本は、この財務諸表の数値だけを見るのではなく、

損益計算書の数値を組み合わせて分析することです。


バランシートを大別した場合の構成項目は下記の通りです。

BSの構成項目

①流動資産(資産の部)
②固定資産(資産の部)
③繰延資産(資産の部)
④流動負債(負債の部)
⑤固定負債(負債の部)
⑥純資産(資本の部)


また、貸借対照表を見れば、どれくらいの自己資本や他人資本があり、

その調達した資本で、どのような資産運用をしているかがわかります。


そして、貸借対照表の項目である、売上債権、棚卸資産、仕入債務は、資金繰りに

大きな影響を与えますので、これらの運転資金を構成する項目についても、予算を作成

して、運転資金のコントロールをする必要がありますし、財務を改善する為には、

バランスシートの予算作成と予算実績管理は必要不可欠です。


なお、総合予算には、損益計算書の予算だけでなく、貸借対照表やCF計算書の予算も

含まれています。


ちなみに、景気が悪化すると、バランスシート不況やバランスシート調整という

キーワードが登場してくることがあります。


バランスシート不況とは、資産価格が下落したり、不良資産が増加することを

原因とする不況のことです。


バランスシート調整とは、企業が総資産を圧縮する為に、過剰債務を減らし、

不良資産を処理して、本業に関係のない資産も売却し、収益性を向上させる為に、

設備投資等を抑えることです。


■流動資産

流動資産とは、正常営業循環基準や一年基準(ワンイヤールール)で判定して、

貸借対照表の流動資産の区分に分類された資産のことです。


流動資産には、数多くの勘定科目が存在しますが、特に重要な勘定科目と、

その関連する事項について解説をします。


・売掛金

売掛金とは、取引先との間で商品又はサービスを信用取引によって

提供することで発生した金額を処理する資産の勘定科目です。


売掛金は、営業取引上の代金を受領する権利である未収入金であり、

このような営業取引上の過程で発生する債権を売上債権や営業債権と呼びます。


売掛金は、バランスシートでは流動資産の部に表示します。


この売掛金は、取引先に信用供与することによって生じますが、

取引先の経営状態が悪化すると、売掛金が回収不能になったり、

売掛金の回収遅延が発生するので、資金繰りにも影響があります。


資金繰りに支障をきたさないために、売掛金年齢表を作成することが

売掛金管理の基本です。


売掛金の管理において重要な、売掛金の回収サイトとは、締め日から、

売掛金が回収される迄の期間のことです。


また、売掛金の回収サイトは、運転資金に影響を与える重要な項目でもあるので、

売掛金の回収サイトを含めた売掛金の管理は重要な業務といえます。


尚、売掛金の管理ポイントは次の通りです。


1.クライアント毎に売掛金管理台帳を作成する。

2.売掛金の回収基準毎にグループ分けする。

3.得意先毎の売掛金管理台帳より売掛金残高と回収予定日・回収予定金額を
全ての得意先の概要が確認出来る資料を作成し売掛金全体の概要を把握する。

4.得意先へ請求書の発行や売掛金回収は取引条件通りに確実に実行する。

5.与信管理においては、与信限度額を信じ込み機械的に処理せず、クライアント
の現状調査情報を営業サイドからヒヤリングする


・受取手形

受取手形とは、取引先から営業活動によって受け取った手形債権を処理する資産の

勘定科目のことです。


このような営業取引上の過程で発生する債権を売上債権や営業債権と呼びます。


受取手形は、正常営業循環基準により、正常な営業により発生した受取手形は、

バランスシートでは流動資産に区分されます。


この受取手形の種類としては、取引先から営業活動によって受け取る約束手形と

為替手形があります。


ちなみに、受取手形の回収サイトとは、手形を受け取ってから、手形を現金化できる

迄の期間のことです。


また、受取手形を区別する際は、取引先との営業活動によって生じる以外の手形債権は

金融手形として処理します。


そして、受取手形で売掛金を回収したら、銀行に手形を取立依頼して現金化したり、

仕入債務支払いの為、受取手形を裏書して第三者に譲渡したりします。


受取手形の権利が無くなる時は、受取手形を振出した取引先が倒産することによる

手形が不渡りになったときです。


保有する受取手形を手形割引した手形を割引手形と呼び、債務の支払の為に、

手形の裏面に必要事項を記入し第三者に譲渡した手形を裏書手形と呼んでいます。


保有している手形の手形ジャンプを依頼された場合は、不渡となり不渡手形となる

可能性が高くなるために、支払期日の延長を簡単に応じることは避けるべきです。


・約束手形

約束手形とは、手形の振出人が、受取人である名宛人に対して、将来の一定の期日に

一定の金額を支払うことを約束した有価証券のことです。


約束手形は、約手と略して呼ばれることもあり、手形の場合は、手形における債務者

のことを振出人といい、債権者のことを名宛人といいます。


この約束手形を発行する為には、銀行や信用金庫等の金融機関に当座預金を開設

する必要があり、約束手形は、小切手と同様に、決済期日が到来したら手形交換所を

通して、当座預金から引き落とし処理をされます。


約束手形の時の振出人は手形代金の支払義務はありますが、為替手形の時の手形代金

の支払義務は名宛人にあります。


約束手形の時の名宛人は、手形代金を受け取る側でしたが、為替手形の時に手形代金

を受け取るのは指図人で、約束手形の時は、指図人は登場しませんが、為替手形の時

には指図人が登場します。


また、約束手形を保有していれば、その約束手形を銀行や手形割引専門業者に持ち込み

手形割引依頼をすると、手形の額面から支払期日までの支払利息に相当する割引料を

差し引いた金額を現金化することができます。


約束手形は、印紙税額一覧表の第3号文書に該当するので、振り出した手形金額に

応じて印紙税が課税されることになりますが、振り出した時に、手形金額の記載の

ない手形は非課税です。


尚、約束手形に関する会計処理は、約束手形を振り出した時は支払手形で処理し、

約束手形を受け取った時は受取手形で処理することになります。


手形を割り引いたり(割引手形)、手形を裏書き(裏書手形)した場合は、将来、手形を

割り引いたり、手形を裏書きした手形が不渡りになって、突然支払い義務が発生する

場合がありますが、このような債務の事を偶発債務と呼んでいます。


・為替手形

為替手形とは、手形の振出人が、将来の一定の期日に一定の金額を指図人に支払う

ように第3者である名宛人に支払うように依頼した有価証券のことです。


為替手形は、約束手形と異なり、手形の振出人に支払義務はありません。


また、為替手形は、印紙税額一覧表の第3号文書に該当するので、振り出した手形金額

に応じて印紙税が課税されることになりますが、振り出した時に、手形金額の記載の

ない手形は非課税です。


そして、為替手形を振り出した時の仕訳は、

(借方)買掛金○○○円(貸方)売掛金○○○円と、

債権と債務の相殺をする仕訳をします。


尚、為替手形には、自己受為替手形と自己宛為替手形という種類が有ります。


自己受為替手形とは、振出人と指図人が同じ為替手形で、

自己宛為替手形とは、 振出人と名宛人が同じ為替手形です。


・棚卸資産(在庫)

棚卸資産(在庫)とは、販売する目的で仕入れ、一時的に保有している

原材料や仕掛品、商品、製品、半製品等のことです。


棚卸資産は、貸借対照表上では、流動資産の部に表示され、棚卸資産は、仕入高と共に

売上原価の算定には欠かせない勘定科目です。


棚卸資産と税金の関係では、在庫を保有しているだけで税金は発生しませんが、

在庫を取得する際には消費税は発生しています。


バランスシートに計上される棚卸資産には消費税は含まれていません。


この棚卸資産(在庫)の回転期間は、資金繰りに大きな影響を与え、

運転資金を増減させます。


また、中小企業が保有する棚卸資産(在庫)を担保にして、銀行より借入を行う場合に、

信用保証協会が融資金額の80%の保証を行う棚卸資産担保融資保証制度があります。


棚卸資産を管理する際は、在庫投資を計画する際に作成した、予算の棚卸資産の

回転期間と実績の棚卸資産の回転期間を常時チェックすることが必要です。


棚卸資産管理規程は、棚卸資産の管理業務を正確に遂行し経営効率向上の為にも

定めるべき規定で、棚卸資産管理規程は、株式公開準備の際にも定めておくべき

規定の1つです。


在庫計画の棚卸資産の回転期間より実際の棚卸資産の回転期間が長期化すれば、

それだけ資金繰りを圧迫することになるので、棚卸資産回転期間の管理は、

資金繰りを管理するうえでも、とても重要な業務プロセスです。


ちなみに、棚卸資産回転期間と棚卸資産回転率の計算結果は同じ意味です。


棚卸資産(在庫)の増加は、運転資金の増加を招き、在庫の保管費用等の資金コストが

増加して資金繰りを圧迫し、企業のキャッシュフローにはマイナスに働きます。


不良資産となっている在庫の処分や棚卸資産の販売サイクルプロセスを短期化し、

適正在庫を実現することは、企業のキャッシュフローを改善させる効果があります。


なお、在庫管理をする際に、管理会計では、在庫金利という概念を設定することがあり、

プロダクトミックスを決定する際は、棚卸資産回転率を用いて、交差比率を算出します。


交差比率の計算方法は、商品や製品の粗利益率に棚卸資産回転率を掛けて算出します。


粉飾決算の手法としては、棚卸資産(在庫)を操作をすることが一般的です。


棚卸資産の金額を操作して財務諸表を良く見せても、回転期間分析等で棚卸資産の金額が

異常値であることは発見できる為、粉飾決算の際に棚卸資産の数値だけを操作しても、

粉飾決算はすぐに見破られてしまいます。


棚卸資産(在庫)の四半期末における時価が簿価を下回っている場合は、

棚卸資産の収益性が低下していると考えられます。


各四半期末毎に、時価と帳簿価額を比較して、帳簿価額が時価を下回っている場合は、

その差額を棚卸資産評価損として計上し、簿価を切り下げる必要があります。


IFRSの棚卸資産の定義は、通常の販売サイクルの過程により保有されているものや、

販売の為に生産途中のもの、生産の際に消費される原材料等のことです。


ゆえに、IFRSの棚卸資産の定義と従来の棚卸資産の定義が大きく異なっている

ことはなく、IFRSの棚卸資産の評価では、原価と正味実現可能価額のいずれか

低い金額による会計処理方法が強制されています。


・適正在庫

適正在庫とは、販売機会の損失を防ぐとともに、様々なコストの観点からも

考えて最適な在庫量のことです。


適正在庫の考え方としては、商品の購買コスト、商品の管理コスト、商品の品切れや

欠品による販売機会損失等の観点から適正な在庫の量を考えるのが基本です。


適正在庫を決定することは、プロダクトミックスを決定することでもあり、

適正在庫を無視した仕入を行った場合、デッドストックが発生する原因となります。


この適正在庫を計算する際は、商品を発注してから商品が納入されるまでの

リードタイム、棚卸資産回転期間、棚卸資産回転率、交差比率、商品の購買コスト、

商品の管理コストなどのデータを参考としますので、自社の適正在庫を決定する際は、

何を基準とするかが理解できていれば、適正在庫を算出することが出来ます。


この適正在庫の中に、安全在庫が含まれているという考え方で在庫計画を作成する

ことが、基本的な在庫計画に対するスタンスといえます。


ちなみに、リードタイムとは、作業を着手してから、作業の終了までに要する

時間のことです。


尚、適正在庫を実現する在庫投資の量や金額を決定することは、在庫管理の

スタートラインであり、在庫は、運転資金を左右し、キャッシュフローにも影響を

与える要素なので、適正在庫を維持することは、貸借対照表の管理の中でも、

重要なポイントといえます。


・安全在庫

安全在庫とは、さまざまな需要の不確実性に対処して品切れを起こしたり、

販売機会を逃してしまわないように、ある一定数量を維持するために必要と

なる在庫のことです。


安全在庫が多くなりすぎると、在庫コストが増加したり在庫投資のリスクも

大きくなるので、安全在庫の予測精度を向上させる必要があります。


この安全在庫の計算式(安全在庫量の計算式)としては、一般的には、下記の計算式

にて解説している場合が多いようです。


安全在庫の計算式(安全在庫量の計算式)

安全在庫=安全在庫係数×出庫量の標準偏差×√調達リードタイム


また、安全在庫の計算式には、安全在庫係数や標準偏差などの理解しづらい項目が

含まれていますが、現場においては、そのような机上の空論の安全在庫係数や標準偏差

などを用いて計算した安全在庫数量が全く役に立たなかったことなどは、日常茶飯事に

起こっています。


ゆえに、上記に示したような統計学を駆使した安全在庫の計算式を盲目的に信じ

多大な労力とコストをかけて安全在庫量を算出するのではなく、現場で活用するとき

にも実用的な在庫計画とは、どのようなものであるかに労力とコストを掛けること

こそが、利益とキャッシュフローを最大化することに繋がります。


ちなみに、企業が保有する在庫は、販売する先が決定している在庫と、販売する先が

決定していない在庫に大別することができます。


販売する先が決定していない在庫は、ある計画に基づいて積み増した在庫と

不測の事態を想定した在庫に分類することができます。


よって、不測の事態を想定した在庫のことを安全在庫と定義する方が、

経営管理をする立場から考えると理解しやすいと思います。


・デッドストック

デッドストックとは、売れ残り品、過剰在庫、不良在庫、長期間倉庫に

眠っている死蔵在庫などのことです。


デッドストックが発生する原因は、下記の通りです。


・適正在庫を無視した仕入を行った場合

・需要予測を過大に見積もって過剰な生産をした場合

・販売計画の失敗により販売機会を逃した場合


このデッドストックが増加すると、運転資金が増加し、在庫の保管コストも増加

することにより、資金繰りを圧迫する要因となります。


デッドストックの発生を防ぐ為には、在庫管理をして、仕入や生産を機動的に

調整するしかありません。


また、デッドストックを発生させないためにも、商品や製品毎に、商品回転期間や

製品回転期間を常にチェックして、デッドストックになる兆しを見逃さないこと

が重要です。


尚、デッドストックの語源としては、活用せずに無駄にしまって、倉庫で死んだように

動かなくなってしまっているところから、死蔵(デッド)した在庫(ストック)ということ

で、デッドストックと呼ばれています。


・棚卸

棚卸とは、企業の決算の際に、商品、製品、半製品、仕掛品、原材料等の

在庫数量を確認する為の作業のことです。


棚卸には、実地棚卸と帳簿棚卸があり、通常、棚卸は、実際の在庫数量を実地に

確認して、帳簿の在庫数量と照合して在庫の数量差異を把握します。


実地棚卸の現場の作業としては、実際に商品を手に取り数を数えて、

正確に棚卸票に数を記入する業務なのですが、在庫数が多かったり、

棚卸をする場所が複数あると膨大な作業時間となります。


また、棚卸の時期としては、定期棚卸、常時棚卸、不定期棚卸の3つがあります。


棚卸の方法としては、一斉棚卸と循環棚卸があります。


一斉棚卸とは、会社や倉庫にある全ての在庫について、時間を決め一斉に実施棚卸を

行うことで、循環棚卸とは、棚卸をする種類ごとに、順番に棚卸を行なう方法です。


棚卸の準備から完了までのフローの概要は下記の通りです。


①棚卸責任者の決定

②棚卸日時の決定

③棚卸実施方法の決定

④棚卸の場所や種類を決定

⑤棚卸の実施

⑥棚卸記入用紙の回収・集計


また、実地棚卸をする際の主なポイントは下記の通りです。


①棚卸のスケジュール作成等の事前準備

②棚卸原票への記載はポールペンを利用する

③棚卸を実施する社員は、通常管理をしている社員以外で対応する

④棚卸原票への記録は2人1組で行い、1人が数えて、もう1人が記録する


棚卸は、棚卸をした在庫数量により、利益が変動してくるので、企業の利益管理の為には

大変重要な業務で、実地棚卸は在庫管理の重要なプロセスの1つといえます。


棚卸を、商品有高帳などを利用して、帳簿棚卸だけで行なうと正確な在庫数量の

把握は出来ません。


その理由は、商品有高帳への記帳ミスがあったり、在庫は盗難や紛失等の可能性があり、

それらの原因により帳簿残高と実際の在庫残高が一致することはありえないからです。


なお、この棚卸が完了した後は、棚卸資産(在庫)台帳と実地棚卸の数量の

在庫差異分析を行なうことになります。


在庫数量が合わなくなる理由は、不正や盗難以外では、従業員の記入漏れ(入力漏れ)、

記入間違い(入力間違い)などしか通常はありえないため、こららのミスを少なく

する為にも、在庫数量差異の原因を特定して、その対策を在庫管理に取り入れる

必要があります。


・繰延税金資産

繰延税金資産とは、将来還付される税金を見込んで税効果会計を用い、

流動資産に計上したものです。


安定した収益力の無い企業の繰延税金資産は脆弱な資産であり、資産に占める

繰延税金資産の割合が高い企業には注意が必要です。


2003年当時には、メガバンクの繰延税金資産の問題が頻繁に話題に上っていました。


その理由としては、メガバンクの資産に占める繰延税金資産の割合が

非常に高った為です。


繰延税金資産は収益が上がらない限りは、みせかけの資産に過ぎない為、

2003年当時は、メガバンクの将来の収益性が非常に問題視されていました。


この繰延税金資産は、会計上は、法人税等の前払に相当し、課税所得を減少させる

効果がある将来減算一時差異ですが、将来の課税所得が発生しなければ、減算効果は

当然得られません。


ゆえに、繰延税金資産の計上のポイントは、将来の課税所得をどのように見積るかが

重要になりますが、具体的には、繰延税金資産の回収可能性については、企業の過去

の業績の推移と、将来の収益力の予測を主な判断基準として、繰延税金資産がどの程度

回収されるのかを判定することになります。


ちなみに、税効果会計にて繰延税金資産が計上されるケースの概要は下記の通りです。


繰延税金資産(将来減算一時差異)が計上されるケース

①企業会計上の資産が税法上の資産より小さい場合
②企業会計上の負債が税法上の負債より大きい場合


尚、税効果会計を適用した際に、翌期に解消される見込みの一時差異は、

流動資産又は流動負債に繰延税金資産や繰延税金負債として表示し、

翌期に解消される見込み以外のものは、投資その他の資産又は固定負債に、

長期繰延税金資産又は長期繰延税金負債として表示します。


■流動負債

流動負債とは、正常営業循環基準や一年基準(ワンイヤールール)で判定して、

貸借対照表の流動負債の区分に分類された負債のことです。


流動負債にも、数多くの勘定科目が存在しますが、特に重要な勘定科目と、

その関連する事項について解説をします。


・買掛金

買掛金とは、仕入先との間で商品又はサービスを信用取引によって

提供することで発生した金額を処理する負債の勘定科目です。


買掛金は、営業取引上の代金を支払う義務である未払金であり、

このような営業取引上の過程で発生する債務を仕入債務や営業債務と呼びます。


買掛金は、バランスシート上では流動負債の部に表示することになります。


この買掛金は、仕入先から信用供与を受けることによって生じますが、

主要な仕入先の経営状態が悪化すると、商品や原材料の調達が困難になり、

製品の製造に支障をきたしたり、商品の納期が遅れたりすることで、

販売サイクルが長期化し、資金繰りにも影響がでるケースがあります。


買掛金の支払サイトとは、締め日から、買掛金を支払う迄の期間のことです。


また、買掛金の支払サイトは、運転資金に影響を与える重要な項目でもあるので、

買掛金の支払サイトを含めた買掛金の管理は重要な業務といえます。


買掛金と未払金の違いが分からない方のために説明すると、買掛金は、会社の営業取引

において、販売目的の商品を仕入れたり、製品を製造する為の原材料の仕入れをした

時に、その場で現金払いをせず、後払いにした場合に使用します。


一方、未払金は、会社の営業取引において、何かを購入したり、何かのサービスを

利用した際に、その場で現金払いをせず、後払いにした場合に使用します。


尚、買掛金の管理ポイントは次の通りです。


1.取引先毎に買掛金管理台帳を作成する。

2.買掛金の支払基準毎にグループ分けする。

3.仕入先毎の買掛金管理台帳より買掛金残高と支払予定日・支払予定金額を
全ての仕入先の概要が確認出来る資料を作成し買掛金全体の概要を把握する。

4.仕入先への買掛金支払いは取引条件通りに確実に実行する。

5.仕入先の与信管理もするべきで、購買担当部署より仕入先の現状調査情報を
ヒヤリングする。

6.取引先毎に買掛金の年齢を調査する


・支払手形

支払手形とは、取引先に対して営業活動によって振り出した手形債務を

処理する負債の勘定科目のことです。


このような営業取引上の過程で発生する債務を仕入債務と呼び、支払手形は、

正常営業循環基準により、正常な営業により発生した支払手形は、バランスシート

では流動負債に区分されます。


この支払手形の種類としては、取引先に対して支払う約束手形と為替手形があり、

約束手形は手形の振出人が受取人に指定期日に手形に記載された金額を支払う約束を

した支払手形です。


ちなみに、支払手形の支払サイトとは、手形の振出日から支払期日までの

期間のことです。


為替手形は、仕入れ先振り出しの為替手形を引き受けた場合と自己を

名宛人とする為替手形を振り出した場合の支払手形です。


また、支払手形を区別する際は、取引先との営業活動によって生じる以外の

手形債権は金融手形として処理します。


手形を振り出し時は、支払手形台帳に手形の支払期日と金額を記録して管理し、

支払期日に預金残高不足により不渡りにならないように注意する必要があり、

資金ショートを防ぐ為に、手形ジャンプを依頼する場合があります。


・割引手形

割引手形とは、保有する受取手形を、その手形の満期日が到来する前に

銀行などに持ち込み、裏書譲渡し換金した手形のことです。


割引手形を譲渡した者は、銀行などに対し裏書人として手形遡及義務を負い、

割引手形は、裏書手形と同様に、偶発債務の1つです。


この割引手形の会計処理方法は、金融商品会計が導入されるまでは、

一般的に、注記による割引手形の金額を記載する処理がされていました。


金融商品会計の導入後は、割引いた手形の貸倒率を算定し保証債務を時価評価して、

貸借対照表の流動負債の部に保証債務として計上し、借方の相手科目は、保証債務費用

か手形売却損として計上することになります。


また、割引手形が不渡りとなると、手形割引をした銀行などから買戻し請求を

されることになります。


銀行の買戻し請求に応じて支払った金額は、不渡手形として会計処理されることになり、

不渡手形は、貸借対照表上は、その他流動資産に表示しますが、不渡手形が決算期末

の翌日から1年以上回収されないことが確実な場合は、固定資産の投資その他の資産

に表示します。


そして、割引手形につきものなのが、手形を割引く際の金融機関などに支払う

割引料です。


この割引料は資金調達コストであり、割引料の金利は、その時の金利の水準と割引を

依頼した人の信用力や手形を振出した人の信用力によって決定する為、割引料である

金利は何時も一定ではなく、基本的に変動することになります。


・短期借入金

短期借入金とは、銀行などの金融機関から融資を受けた金額のうち、

1年以内に返済期日が到来する借入金(債務)を処理する負債の勘定科目です。


金融機関等から短期借入金を借り入れる方法は、下記の通りです。


・金銭消費貸借契約書による証書借入

・銀行を受取人とする約束手形を差し入れる手形借入

・当座貸越契約をすることによる当座貸越


この3種類の借入方法の内容は下記の通りです。


短期借入金の借入方法である証書借入とは、金銭消費貸借契約書に、借入額、返済条件、

利率などの借入条件を記載した契約書を取り交わすことで借入を行う方法で、

証書借入は、一般的に1年以上の借入のケースに利用されることが多くなっています。


次に、短期借入金の借入方法である手形借入とは、金融機関等を受取人とする

約束手形を振出して割引くことにより借入をする方法で、手形借入は、証書借入を

するよりも印紙税の負担が軽くなります。


最後に、短期借入金の借入方法である当座貸越とは、当座預金口座を持つ

企業が、銀行と融資の限度額を予め設定して、その限度額までは自由に資金の

借入ができる方法のことで、当座貸越契約を銀行と結ぶ際は、一般的に担保を

要求されます。


尚、短期借入金を利用して、長期で使用する固定資産を購入すると、資金繰りを圧迫

する原因となりますので、長期で使用する固定資産への投資は、財務の健全性を維持

する為にも、返済期限がない株主資本や返済期間の長い長期借入金にて行うべきです。


・繰延税金負債

繰延税金負債とは、法人税等の未払額に相当する金額を、

税効果会計を用い、バランスシートの流動負債に計上したものです。


繰延税金負債は、税効果会計適用時に認識した将来加算一時差異に、

法定実行税率を乗じた金額であり、税法上の課税所得と企業会計上の利益との

差額を捉えたものです。


この繰延税金負債は、将来の課税所得を増加させる効果がある将来加算一時差異で、

将来支払う可能性がある当期の利益に対応させるべき税額が繰延税金負債です。


また、流動・固定に属する繰延税金資産と繰延税金負債がある場合は、

それぞれの区分ごとに相殺します。


借方残の場合は流動資産又は投資その他の資産に繰延税金資産や長期繰延税金資産として

表示し、貸方残の場合は流動負債又は固定負債に繰延税金負債や長期繰延税金負債として

表示します。


連結財務諸表では、異なる納税主体の繰延税金資産と繰延税金負債を相殺することは

認められていません。


また、税法上の課税所得と企業会計上の利益の一時的な益金に対する認識時期の違いを

調整する項目のなかで、永久に解消されることがない受取配当金のような差異の場合は、

税法上の課税所得と企業会計上の利益の不一致が永久に解消されない差異なので、

繰延税金負債の計上は認められていません。


ちなみに、税効果会計にて繰延税金負債が計上されるケースの概要は下記の通りです。


繰延税金負債(将来加算一時差異)が計上されるケース

・企業会計上の資産が税法上の資産より大きい場合
・企業会計上の負債が税法上の負債より小さい場合


■固定資産

固定資産とは、営業活動の中で販売目的で保有する資産ではなく、

企業が長期に渡り自社で継続的に使用する為の有形・無形の資産のことです。


固定資産は、有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産に分類されます。


調整対象固定資産とは、建物等の資産で、課税仕入れに係る支払対価の105分の100

に相当する金額が100万円以上の固定資産のことです。


少額固定資産とは、少額減価償却資産のことで、少額固定資産は取得金額により

判定されます。


この固定資産は、定額法や定率法による減価償却をすることにより使用可能な

耐用年数の各期間に減価償却費として費用化出来る減価償却資産と減価償却が

出来ない非減価償却資産に分類できます。


固定資産に関する重要な財務指標は、固定資産回転期間です。


ちなみに、固定資産期間と固定資産回転率の計算結果は同じ意味です。


また、固定資産の取得を計画する際は、財務バランスに注意する必要がありますが、

固定資産に関する財務分析で注意すべき指標は固定長期適合比率や固定比率です。


ゆえに、長期で使用する固定資産への投資は、財務の健全性を維持する為にも、

返済期限がない株主資本や返済期間の長い固定負債で調達することが基本です。


国際会計基準(IFRS)における固定資産管理においては、資産除去債務などの業務が

新たに増えることになります。


固定資産にも、数多くの勘定科目が存在しますが、特に重要な勘定科目と、

その関連する事項について解説をします。


・有形固定資産

有形固定資産とは、形状を有する長期にわたって利用出来る固定資産です。


有形固定資産は一定金額を超えるものであり、その資産自体の価値が減少する償却資産

と、利用しても資産価値が減少しない非償却資産が有形固定資産にはあります。


主な有形固定資産は、下記の通りです。

  • 建物

    建物とは、土地に定着する工作物で、柱、壁、屋根の構造を有する建築物を購入したり自家建設をした場合に使用する資産

  • 建物付属設備

    建物付属設備とは、建物に付属し建物と一体となっている電気設備、給排水設備、昇降機設備などで、建物付属設備は、建物の価値を高めて建物を利用する上で不可欠な設備を購入したり自家建設をした場合に使用する資産

  • 構築物

    構築物とは、土地の上に定着する工作物・建造物・土木設備のことで、構築物は、建物以外の工作物を購入したり自家建設をした場合に使用する資産

  • 機械装置

    機械装置とは、企業が事業活動での建設や工作及び運搬などで長期に渡り自社で継続的に使用する機械や装置の設備を購入したり自家建設をした場合に使用する資産

  • 工具器具備品

    工具器具備品とは、1年以上の長期に渡り工場などで使用される工具と事務所などで使用される器具備品を購入したり自家製造をした場合に使用する資産

  • 車両運搬具

    車両運搬具とは、企業が事業活動で人や物を陸路で運搬や牽引する車両を購入したり自家建設をした場合に使用する資産

  • 船舶

    船舶とは、企業が事業活動で使用する貨物船、客船、漁船等の人や物を乗せる水上運搬具を購入したり自家建設をした場合に使用する資産

  • 土地

    土地とは、企業が事業活動において長期に渡り所有する敷地を購入した際に使用する資産の勘定科目

  • 建設仮勘定

    建設仮勘定とは、企業が自社で使用する為の、建設途中にある建物等の有形固定資産に対する支出額を会計処理した資産



償却資産税とは、土地や建物以外の事業用固定資産に課税される税金のことです。


有形固定資産に関する重要な財務指標としては、有形固定資産回転期間です。


ちなみに、有形固定資産と有形固定資産回転率の計算結果は同じ意味です。


有形固定資産のうち償却資産は、使用によって磨耗し、時間の経過とともに劣化・

陳腐化していずれ利用出来なくなります。


有形固定資産の中の償却資産は、定額法か定率法により減価償却を

することにより使用可能な耐用年数の各期間に減価償却費として費用化されます。


有形固定資産の取得価格の決定方法は、購入金額+購入付随費用で、

購入付随費用は有形固定資産の取得価格に含めない場合があります。


また、長期で使用する有形固定資産は、財務の健全性を維持する為にも、

返済期限がない株主資本や返済期間の長い長期の固定負債で調達するのがベストです。


有形固定資産を取得する際は、財務バランスに注意する必要があります。


無理な設備投資計画を実施して財務バランスを崩してしまうと、資金繰りに

支障をきたす要因になりますので、設備投資の際は固定長期適合率などの

指標を参考にして、有形固定資産の調達資金計画を作成する必要があります。


・無形固定資産

無形固定資産とは、形状を有しないが価値がある資産のことです。


無形固定資産は経済活動上の権利とそれ以外のもので構成されており、

別の言い方をすると無形固定資産は法律上の権利と、それ以外の権利である

といえます。


また、無形固定資産は、資産自体の価値が減少する償却資産と、

利用しても資産価値が減少しない非償却資産が無形固定資産にはあります。


無形資産の種類としては、知的財産、組織価値、人的資本等があります。


無形固定資産は、減価償却が出来る特許権、営業権・ソフトウェア

資産等の償却資産と、減価償却が出来ない借地権等の非償却資産があります。


また、無形固定資産の中には、企業の収益力の源泉になる特許権や版権など

の法的権利に基づいたものがあります。


それら特許権や版権などの無形固定資産は、その資産価値が正確に貸借対照表に

反映していないことが多いのが現状です。


その無形固定資産である版権を利用した有名な企業にウォルト・ディズニーがあります。


版権ビジネスとは、版権保有者が保有している人気のあるアニメやマンガの

キャラクター等を、企業が各種自社商品にキャラクターを使用し販売する為に、

企業が版権保有者と版権利用契約をし、版権保有者が、企業が版権を利用した

商品の売上に応じて一定の版権料を受取るビジネスです。


このような無形固定資産である版権を保有している企業は、貸借対照表にその資産価格

が正確に反映されていない為、割安に放置されていることが多く、M&Aや株式投資の

観点から見ると、版権ビジネスを展開する企業は狙い目といえます。


尚、無形固定資産の取得価格の決定方法は、購入金額+購入付随費用で、

購入付随費用は無形固定資産の取得価格に含めない場合があります。


・投資その他の資産

投資その他の資産とは、長期保有される投資資産と長期債権のことです。


投資その他の資産に入る長期保有の長期とは1年以内に期日がくるかどうかで、

投資その他の資産は、有形固定資産・無形固定資産以外の固定資産になります。


この投資その他の資産は、経営支配目的や取引関係維持目的等の長期の株式保有や、

余裕資金の長期的運用のための投資と、長期前払費用、破産債権等の長期債権で

構成されています。


投資その他の資産に分類される有価証券は、子会社株式、関連会社株式と流動資産

に分類される以外の有価証券です。


流動資産に分類される有価証券、子会社株式、関連会社株式以外の有価証券は、

貸借対照表上、投資その他の資産の部に投資有価証券として表示します。


連結決算をする場合、グループ内の投資勘定は相殺消去されますので、親会社の

個別財務諸表の投資その他の資産の部と、連結決算後の投資その他の資産の部は、

大きく異なる場合があります。


尚、投資その他の資産も、減損会計の対象資産となります。


投資その他の資産の主な具体例は下記の通りです。

①投資有価証券
②子会社株式
③関連会社株式
④長期貸付金
⑤長期預金(長期性預金)
⑥投資不動産
⑦保証金
⑧敷金
⑨長期前払費用
⑩長期繰延税金資産
⑪保険積立金
⑫破産債権
⑬その他の資産であって投資その他の資産に属する資産とすべきもの
⑭のれん(営業権)


ちなみに、のれんとは、買収企業の買収価格が被買収企業の純資産を超えている

場合に発生する会計上の資産の勘定科目のことです。


のれんは、買収企業をバランスシートの数字以上に高く評価すること

により発生します。


買収企業の買収価格が被買収企業の純資産を超えている場合には、正ののれんと

呼んだり、買収価格が被買収企業の純資産を下回っている場合には、負ののれんと

呼んだりする場合があります。


のれんは、以前は、営業権とも呼ばれていました。


以前の、のれんの貸借対照表上の表示は、連結決算では連結調整勘定として

表示し、単体決算では営業権として表示されていました。


「のれん」が、正式名称ですが、のれん代と呼ばれることもあります。


この、のれんは、買収された企業が地道な事業活動により積み重ねた信頼の証である

ブランドやサービス・商品・営業のノウハウ、人材等の全ての価値を評価したものです。


のれんが発生する主な企業としては、含み資産が多額に存在する企業や版権や特許権

などの法的な権利である資産を多数保有している企業、地道な経営活動により積み重ね

た信頼の証である商品やサービスのブランド価値の高い企業などです。


また、のれんに関する国際会計基準(IFRS)と日本の会計基準の相違は、

正ののれん償却に関する取り扱い方法だけになっています。


また、無形資産であるのれんの種類には、自己創設のれんと呼ばれるものもあります。


自己創設のれんとは、長年の企業活動によって創出されてきたブランドをはじめとした

超過収益力を自己で評価したものです。


自己創設のれんは、取得原価を正確に測定できず、経営者が自らの考えで自己評価

した金額を対価の金額とてしまう可能性があるために、自己創設のれんは、IFRSに

おいても貸借対照表に計上することはできません。


ifrsにおける、無形資産の認識条件は、取得原価を信頼しうる方法で測定できる

ことという点です。


自己創設のれんは、のれん自体を企業から分離したり、のれん自体を単独で売却譲渡

したり、のれん自体のライセンス付与をしたり、のれん自体を賃貸や交換することが

不可能であることも、ifrsにおいても財務諸表に計上禁止となっている理由です。


これらの理由から、例え、自己創設のれんが、将来の経済的便益を生むものである

としても、取得価額を信頼しうる方法で測定できず、客観的な貨幣価値にて評価する

ことが不可能であるので、無形資産として認識することができないわけです。


しかし、いくら貸借対照表に計上することができなくても、自己創設のれんは、

企業の立派な資産といえるものなので、数字では評価していない、簿外の含み資産

といえるものです。


■繰延資産

繰延資産とは、会社で支出した費用のうち、その支出した効果が将来に

わたって続くと期待されている費用を処理する勘定科目です。


繰延資産は、代価の支払も完了し、これに対応する役務の提供も受けているので

換金することはできません。


繰延資産のバランスシートへの計上は企業の任意であり、資産価値を持たない繰延資産

は、配当可能限度額の計算では、資本金や自己株式等とともにマイナス項目になります。


この繰延資産には、会社法上の繰延資産と法人税法上の繰延資産があります。


会社法上の繰延資産とは、創立費、開業費、開発費、株式交付費、

社債発行費のことです。


法人税法上の繰延資産とは、公共的施設の設置又は改良のために支出する費用、

資産を賃借するための礼金・更新料・権利金等、共同的施設の設置又は改良のために

支出する費用などが該当します。


また、税法上の繰延資産は、支出した金額が20万円未満の場合は、全額損金とする

ことができますが、支出した金額が20万円を超える場合は、会社法の繰延資産と

区別する為に、長期前払費用として計上することになります。


長期前払費用は、投資その他の資産の部に表示されます。


そして、旧商法での繰延資産の償却は、年割償却で計算されていたのですが、

会社法での繰延資産の償却は、年割償却で計算するのではなく、月割償却で

計算します。


ちなみに、旧商法での繰延資産は、創立費、開業費、試験研究費、開発費、

新株発行費、社債発行費、社債発行差金、建設利息です。


■固定負債

固定負債とは、支払期限の到来が1年を超える負債です。


固定負債も、他の資産・負債と同様に1年基準(ワンイヤールール)と正常営業循環基準

で、流動と固定を区別します。


この固定負債の主な具体例としては、社債、転換社債、長期借入金、

退職給付引当金、長期繰延税金負債、長期未払金等が固定負債に該当します。


固定負債は、適切な財務計画に基づき財務バランスに注意してコントロールする

必要があります。


固定負債の財務バランスが崩れている場合によく問題が生じやすいことは、

資金繰りに関することで、固定負債の財務バランスが崩れると、資金繰りに支障を

きたし資金ショートを招く恐れもあります。


また、長期で使用する固定資産は、財務の健全性を維持する為にも、返済期限がない

株主資本や返済期間の長い固定負債で調達するのがベストです。


長期で使用する固定資産は、株主資本と固定負債で賄うべきですが、固定長期適合率

が100%を越えている状態は、固定資産の一部を短期資金で賄っている状態であり、

固定負債の財務バランスを欠いているので、資金繰りを圧迫する要因になります。


ゆえに、適切な固定負債のバランスを保つ事は、財務戦略の中でも重要な

項目の1つなのです。


固定負債にも、数多くの勘定科目が存在しますが、特に重要な勘定科目と、

その関連する事項について解説をします。


・長期借入金

長期借入金とは、銀行などの金融機関から融資を受けた金額のうち、

1年を超えて返済期日が到来する借入金(債務)を処理する負債の勘定科目です。


金融機関等から長期借入金を借り入れる方法には、金銭消費貸借契約書による

借入である証書借入が一般的であり、長期借入金は、バランスシート上では

固定負債の部に表示することになります。


この長期借入金は、長期で使用する固定資産を購入するなどの設備投資を

実行する際に利用することが多い調達手段です。


金融機関等から長期借入金を借り入れる方法には、有価証券や土地や建物の不動産を

担保とする金銭消費貸借契約書による証書借入の借入方法が一般的です。


長期借入金の返済方法は、元金均等返済と元利金等返済があり、返済方法は、

元金均等返済による方法が採用されることが多いようです。


短期借入金と長期借入金のバランスの取り方が分からない方は、財務のスキルが

不足しています。


ちなみに、担保に差し入れた資産については、貸借対照表の注記事項であるので、

その旨を貸借対照表の欄外に注記する必要があります。


また、長期借入金の返済期日が1年以内となった金額については、1年以内に

返済すべき金額を、1年以内返済長期借入金の勘定科目に振替えることになります。


尚、長期で使用する固定資産を購入する際に、短期借入金を活用すると、

資金繰りを圧迫する原因となりますので、長期で使用する固定資産への

投資は、財務の健全性を維持する為にも、返済期限がない株主資本や

返済期間の長い長期借入金にて行うべきです。


■引当金の種類

・引当金

引当金とは、現時点では履行すべき債務は存在しないが、将来、履行すべき

債務が発生する可能性が高く、その債務の金額を合理的に見積もることが

可能な場合に、当期の負担とすべき金額を貸借対照表上に計上しておく

金額のことです。


偶発債務務と引当金の違いは、偶発債務は引当金に比べて債務の発生する

可能性が低いことです。


企業会計原則における引当金の計上要件は、下記の通りです。


引当金の計上要件

・将来の費用や損失であること
・費用や損失の発生が当期以前の事象に起因すること
・費用や損失の発生の可能性が高いこと
・費用や損失の金額を合理的に見積もることができること


引当金を計上する場合の仕訳例は下記の通りです。


引当金の仕訳例

(借方)○○○引当金繰入 ××× (貸方) ○○○引当金 ×××


また、引当金を分類すると、負債性引当金と評価性引当金に大別できます。


負債性引当金は、負債の部に記載され、評価性引当金は、資産の部に記載されます。


引当金を計上することは、費用が発生することになるので、利益を押し下げる

ことになりますが、引当金を計上しても税金を計算する際は、全て課税所得から

差し引かれるわけではありませんので、引当金が増えても税金が少なくなる

とは限りません。


尚、引当金の取り崩しとは、過去に計上した引当金がある場合に、当期に費用が

確定して支出する場合に、借方の項目を費用とせずに、引当金を減少させる仕訳

のことを指しています。


・偶発債務

偶発債務とは、現時点では履行すべき債務は存在しないが、一定の事由が成立

した場合に負担しなければならない潜在的な債務の総称です。


偶発債務には、手形割引・受取手形の裏書譲渡・他人のためにした債務保証・

係争中事件の損害賠償・先物売買契約・オプション取引・CDS等があります。


偶発債務を仕訳する時期は、偶発債務が発生した時点です。


偶発債務を仕訳する理由は、偶発債務を忘れない為であり、

偶発債務が解消された場合は、備忘仕訳の逆仕訳を行います。


また、財務諸表を作成する際は、偶発債務は注記する必要がありますが、

発生する可能性が高い偶発債務については、貸倒引当金などの引当金

として計上するべきでしょうし、監査法人からもその様に指導されるはずです。


日本基準と国際会計基準(IFRS)の引当金の基準は違いますが、ifrs偶発債務

計上基準は下記の条件を満たした場合です。


ifrs偶発債務計上基準

①企業が過去の事象の結果として現在の法的債務又は推定的債務を有している場合

②当該債務決済の為に経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高い場合

③当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合


尚、他人のためにした債務保証も偶発債務に該当するので、このような偶発債務を

備忘仕訳する際は、偶発債務を保証債務勘定で処理します。


債務保証をした企業等の業績不振に陥り資金繰りの状態も危なくなってきた

場合は、貸倒引当金の計上が必要になるでしょう。


・貸倒引当金

貸倒引当金とは、金銭債権の回収不能見込額を決算期末に見積り

引当金計上する際に用いる流動資産に計上される勘定科目です。


貸借対照表上は、貸倒引当金は金銭債権を直接減額するのではなく、

金銭債権から間接控除される形式で表示されます。


また、貸倒引当金は債権区分毎に貸倒見積額を計算します。


この貸倒引当金の繰入方法は、差額補充法と洗替法があります。


差額補充法とは、当期引当金額と前期の残高を比較して、足りない分

の差額を補充する方法です。


洗替法とは前期の貸倒引当金の残高を戻し入れ処理をして、

当期分を新たに計上する方法です。


また、貸倒引当金に関する法人税法の規定では、企業の資本金が1億円以下と

資本金1億円以上で扱いが異なります。


資本金1億円以上の企業では、売上債権毎の個別評価方法と売上債権の

一括評価方法があります。


個別評価方法は、その名称の通り個別に計算する方法であり、

一括評価方法は、過去3年間の貸倒実績率により貸倒見込額を計算します。


資本金が1億円以下の企業では、企業が属する業種の法定繰入率か

過去3年間の貸倒実績率のいずれか多い繰入率を貸倒引当金繰入額の計算に

採用できます。


また、個別評価の際に破綻懸念先債権の貸倒引当金を設定する場合は、

担保処分見積額と保証による回収見込額を計算し、当該企業の経営成績や

財政状態と信用情報を入手の上分析し、貸倒引当金を算定します。


破産更正債権等の貸倒引当金を設定する場合は、当該債権額から担保処分見積額

と保証による回収見込額を差引いた金額を貸倒引当金として設定します。


尚、貸倒引当金は、税務上においては、一定要件を満たした場合のみ

損金算入を認めており、会計上で貸倒引当金を計上した金額が、

税務上認められる損金算入額を超えた場合、その超えた貸倒引当金の

金額部分は損金不算入となります。


・賞与引当金

賞与引当金とは、当期の費用に負担すべき従業員の賞与金額を

見積り引当金計上した負債の勘定科目です。


賞与引当金の対象者は、使用人と使用人兼務役員です。


賞与引当金は、会計上の費用ではありますが、税法上は費用(損金)

とはなりません。


この賞与引当金の対象者は、使用人と使用人兼務役員、臨時に雇われている

アルバイトやパートタイマーなどの、継続的に雇用され雇用期間が限定されず

賞与の支給対象になっている者です。


賞与引当金の会計処理が出来る条件としては、賞与の支給金額が確定しておらず、

賞与の支給金額を各人別に見積計算した場合です。


賞与の支給金額が確定しており、支給対象期間に基づき算出している場合は

賞与引当金ではなく未払費用で処理します。


賞与の支払が確定しており支給対象期間以外の理由で算定されている場合も

賞与引当金ではなく未払金で処理します。


尚、賞与引当金繰入額は、会計上は費用になりますが、税務上では損金とは

なりませんので、税務申告書を作成する際の賞与引当金繰入額の取り扱いは、

別表4の加算項目に賞与引当金否認や賞与引当金認容という名称で課税所得に

加算する必要があります。


・修繕引当金

修繕引当金とは、修繕費の発生を継続的に見込む企業が、

将来の修繕コストを見積り引当金計上した負債の勘定科目です。


修繕引当金は、一般的な企業が採用する会計処理ではなく、

大きな設備投資を要する重化学工業や装置型産業等の

設備集約型企業の為のものです。


修繕引当金は、会計上の費用ではありますが、税法上は費用(損金)

とはなりません。


また、修繕引当金は、修繕費の支出が1年以内のものは、

貸借対照表の中では流動負債に区分され、修繕費の支出が1年を越える

見込みのものは、貸借対照表の中では固定負債に区分されます。


数年に1度行われるような大規模な修繕に対する引当金は、

特別修繕引当金として計上し、通常の修繕引当金と区別します。


尚、修繕引当金繰入額は、会計上は費用になりますが、税務上では

損金とはなりませんので、税務申告書を作成する際の修繕引当金繰入額の

取り扱いは、別表4の加算項目に修繕引当金否認や修繕引当金認容という名称で

課税所得に加算する必要があります。


・製品保証等引当金

製品保証等引当金とは、製品等を販売した後に無償保証契約になっている

場合や製品等の瑕疵担保責任に備える目的の引当金を処理する負債の勘定科目です。


製品保証等引当金は、製造業等に特有の引当金です。


また、製品保証等引当金は、会計上の費用ではありますが、

税法上は費用(損金)とはなりません。


この製品保証等引当金を計上する際は、過去の製品等のアフターサービス費用の

製品等の売上に対する実績率等を考慮して、将来の見積保証額である

製品保証等引当金を算定します。


また、製品保証等引当金は、保障期間によって貸借対照表での表示区分が

異なり、1年以内の保証である製品保証等引当金は、流動負債へ表示し、

1年を越える保証である製品保証等引当金は、固定負債へ表示します。


尚、製品保証等引当金繰入額は、会計上は費用になりますが、税務上では

損金とはなりませんので、税務申告書を作成する際の製品保証等引当金繰入額の

取り扱いは、別表4の加算項目に製品保証等引当金否認や製品保証等引当金認容の

名称で課税所得に加算する必要があります。


・役員退職慰労引当金

役員退職慰労引当金とは、取締役や監査役が役員を退職する際に、

在任期間中の役務の提供を考慮し株主総会の決議を経て支給される

退職金を引当金計上した負債の勘定科目です。


役員退職慰労引当金は、会社の規定に基づき金額が計上されます。


役員退職慰労引当金は、退職給付会計基準の対象ではありません。


この役員退職慰労引当金の対象者は取締役と監査役です。


役員退職慰労引当金の計算は、功績倍率方式による計算が一般的であり、

功績倍率とは、役員の退職慰労金算定にあたり使用される倍率のことです。


功績倍率は、会社毎に役員退職慰労金規定に、社長5倍、専務3倍、

常務2倍などと役職毎に規定されています。


一般的な役員退職慰労引当金の計算式例

役員退職慰労引当金=最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率


また、役員退職慰労引当金が退職給付会計の対象となっていない

理由として、取締役や監査役へ支払う退職金は、労働の対価として

支払うというよりも、在任中の会社への貢献などに応じて支払う

意味合いが強いことがあります。


役員退職慰労引当金として積み立てた役員退職慰労金を支給するには、

株主総会の決議を得る必要がありますので、役員退職慰労引当金は、

株主総会の決議を得る前は法律上の確定債務ではありません。


尚、役員退職慰労引当金への繰入額である役員退職慰労引当金繰入額は、

販売費及び一般管理費に計上しても、法人税法上は損金に算入されません。


・退職給付引当金

退職給付引当金とは、当期までに発生した従業員などの退職金である退職一時金と

確定給付企業年金を退職給付会計により計上した引当金を処理する負債の

勘定科目です。


退職給付引当金の計上方法には原則法と従業員300人未満の企業が適用できる

簡便法があります。


この退職給付引当金は、個人毎の退職給付債務の総額で算出し、

退職給付引当金の算定手順は下記の通りです。


退職給付引当金の算定フロー

①退職給付債務見込額の計算

②各事業年度の退職給付見込額の計算

③退職給付引当金の計算


まず、①の退職給付債務見込額の計算をする際は、従業員の予想退職時期毎に

退職一時金の支給見込額と年金現価の支給見込額に退職率・死亡率を加味し

算出します。


次に、②の各事業年度の退職給付支給見込額の計算をする際は、原則、

退職給付支給見込額を全勤務期間で除した金額を各事業年度の

退職給付支給見込額とします。


最後に、③の退職給付引当金の計算をする際は、各事業年度の

退職給付支給見込額を割引率を用いて現在価値に割引き計算します。


また、退職給付引当金を算定する際に用いる退職率は、各企業毎に、リストラ等の

異常値を除いた過去の実績に基づき合理的に算定し、死亡率は、生命統計表などに

基づき合理的に算定します。


退職給付引当金を算定する際に用いる割引率は、期末の長期国債・

政府機関債・優良社債等の利回りを適用することになります。


尚、退職給付引当金は、退職給付債務の総額から期待運用収益の金額を差引き

算定し、期待運用収益とは、企業の年金資産の運用により期待される収益の

事で、年金資産額に期待運用収益率を乗じて計算することになります。


ちなみに、退職給付引当金の金額は、その算出過程からも明らかなように、

割引率と期待運用収益率の数値次第で大きく変化することになります。


■その他の資産に関する勘定科目

・現金

現金とは、一般的には、紙幣と硬貨を総称したもの名称です。


現金は、強制通用力のある通貨であり、法律に基づき強制的に

支払い手段とできるものです。


簿記においての現金は、紙幣と硬貨の通貨だけでなく、通貨代用証券も

含めて処理される流動資産に計上される勘定科目です。


この現金は、簿記においては、事務所などで保有している硬貨や

紙幣などの通貨、振出しの当座小切手、送金小切手、トラベラーズチェック、

期限の到来した公社債の利札、配当金領収証、郵便為替証書、外国通貨、

その他貨幣代用物を処理する勘定科目です。


また、外国通貨を受取った場合も、簿記においては、現金として処理することに

なりますが、その外国通貨を現金として処理する際は、外貨建取引等会計処理基準

に基づき、取引発生時の為替相場で円換算し、期末に外国通貨を保有している場合は、

決算時の為替相場で円換算することになります。


これらの外国通貨を決済した時や期末まで保有していた時は、

外国通貨を取得した時の為替相場より円高になっていれば為替差損が

発生し、円安になっていれば為替差益が発生することになります。


現金である外国通貨を円換算する際に利用する為替相場には、取引発生時や決算時

のTTB(電信買相場)とTTM(電信売買相場の仲値)があります。


法人税法では、TTMの適用が原則で、電信売買レートについても、

企業の主たる取引金融機関のものを適用することが原則とされています。


尚、帳簿上の現金残高と実際に手元にある現金残高が一致しない場合に、

暫定的に未決算勘定として現金過不足を用います。


現金過不足は、現金が合わない理由が判明次第、適切な勘定科目への振替仕訳を行い、

決算期末まで現金過不足の原因が不明の場合は、雑収入か雑損失として

処理をすることになります。


ちなみに、紙幣や硬貨を総称した通貨とは、流通貨幣の略称のことです。


・小口現金

小口現金とは、会社内の小額な経費などの支払に備えて、一定限度額を

手許に準備した現金を処理する資産の勘定科目です。


小口現金の管理方法である現金の補充方法には、定額資金前渡制度

と随時補給制度があります。


財務諸表作成の際は、小口現金は現金と合算され、現金及び預金として流動資産

の部に表示することになります。


この小口現金は、小規模な企業では、経理部が現金とは別の金庫を

用意して管理していますが、ある程度規模の大きな会社では、経理部や

財務部以外の部署ごとに用度係を決め、小口現金を管理・保管しています。


ちなみに、用度係とは、物品の購入や出納管理をする担当者のことです。


定額資金前渡制度の実務上のフローは下記の通りです。


小口現金・定額資金前渡制度(インプレストシステム)フロー

①小口現金制度を開始する時は、一定期間の小口現金の使用金額を
見積、経理部又は財務部が用度係に小切手か現金を渡す。

②用度係は、小口現金で小額な支払をした時は、その支払額を
小口現金出納帳などに記録する。

③用度係は、一定期間の小口現金の使用額を経理部又は財務部に報告する。

④経理部又は財務部は、用度係から報告を受けた小口現金の使用額と
同額の金額を渡す。


上記のように、一定期間が終了した時点で、その一定期間に使用された

小口現金と同額を補充する制度が定額資金前渡制度なのです。


また、小口現金のもう1つの現金の補充方法に随時補給制度がありますが、

随時補給制度とは、小口現金の残高が少なくなった時や必要に応じて、

不定期に補給する方法のことです。


尚、簿記のテキストでは、小口現金の定額資金前渡制度なども定番のように

登場し、小口現金の仕訳の方法も解説されていますが、実務上は、盗難や

紛失などのリスクへの対応や事務処理の手間を考慮して、小口現金の

制度自体を廃止する企業も多くなっています。


ちなみに、小口の経費の精算にも、ファームバンキングを利用する企業が

増えています。


・当座預金

当座預金とは、主に企業が小切手や手形での支払をする為に、

銀行と当座勘定取引契約を結ぶことで開設できる預金口座です。


当座預金は、決済用預金に該当し、利息が全くつかない無利息預金で、

当座預金には通帳が無い為、銀行から毎月、当座勘定照合表という

取引明細が送付されてきます。


この当座預金は、小切手や手形の支払を決済する口座である為、

口座を開設する場合は、銀行の所定の信用調査があります。


会社設立直後では、当座預金口座を開設できないことが一般的です。


口座開設の際に、銀行で調査されるチェック事項には、登記簿謄本による

会社の存在確認、事業内容、財務内容、代表者、過去の銀行取引などがあります。


当座預金口座が開設された場合は、小切手帳と約束手形帳を購入し、

小切手と手形が利用できるようになります。


当座預金口座を持つ企業が、銀行と融資の限度額を予め設定して、

その限度額までは自由に資金の借入ができる資金調達方法が当座貸越です。


なお、最近は、企業も法人専用のクレジットカードを使用することが多くなり、

小額の小切手の利用が減少しているようです。


・普通預金

普通預金とは、何時でも自由に出し入れが可能な銀行との

普通預金取引契約に基づく入出金取引を処理する資産の勘定科目です。


普通預金の金利は、変動金利で利息の計算は日割計算です。


普通預金は、財務諸表作成の際は、バランスシートの流動資産の部に

現金などと合算され、現金及び預金として表示することになります。


この普通預金口座が、複数の銀行に存在する場合は、日常的な会計処理を

する場合は、銀行口座ごとに補助科目を使用します。


また、普通預金には、一般的に2月と8月の半年毎に日割計算にて利息が

つきますが、その利息は源泉所得税である国税15%と利子割である

都道府県民税の地方税5%の合計20%が課税されて、税引き後の金額が

普通預金口座に振り込まれます。


この普通預金の利息が振り込まれる際に差引かれた、源泉所得税である

国税と利子割である都道府県民税は、法人税や法人住民税の前払いで

あるため、会計処理をする際は、仮払税金として処理し、決算時に法人税や

法人住民税から控除することになります。


また、普通預金は当座預金と異なり、金利が低いとはいえ利息がつきますので、

会社の資金は、基本的には何時でも支払ができ利息もつく普通預金に入れて

おき、普通預金から当座預金へ資金を移動する際は、当座預金で支払が

発生する前日に必要な金額をだけを移動させることが一般的です。


・定期預金

定期預金とは、あらかじめ決められた一定期間、払い戻し請求ができない

預金を処理する資産の勘定科目です。


定期預金の金利は、固定金利で普通預金の金利より高めに設定されています。


定期預金は、満期日が決算日の翌日から1年以内であれば、財務諸表作成の際は、

バランスシートの流動資産の部に現金などと合算され、現金及び預金として表示

することになります。


この定期預金口座が、複数の銀行に存在する場合、日常的な会計処理を

する場合は、銀行口座ごとに補助科目を使用します。


また、定期預金は、満期日が決算日の翌日から1年以内であれば、

流動資産の部に表示しますが、満期日が決算日の翌日から1年を超える場合は、

固定資産の投資その他の資産の部に、その他投資等として表示することに

なります。


・貯蔵品

貯蔵品とは、未使用の切手・収入印紙・消耗品などを処理する資産の勘定科目です。


貯蔵品として処理するケースは、消耗品などを購入した時に貯蔵品として

処理する場合と、消耗品などを購入した際に費用処理して、決算時に未使用な

ものを貯蔵品に振替える場合があります。


貯蔵品は、バランスシートでは流動資産の部に表示します。



この貯蔵品に該当するものは、棚卸資産に該当する商品や製品を製造する

際に必要な原材料など以外の、販売を目的としないものです。


貯蔵品の主な例としては、文房具などの事務用品、灯油などの燃料、 広告宣伝用の

カレンダー・手帳・うちわ・タオルや会社案内(パンフレット)、包装材料、

収入印紙、切手、封筒、見本品、テレホンカードなどがあります。


また、法人税法上は、金銭等価物の貯蔵品と金銭等価物でない貯蔵品で

会計処理の仕方が異なり、金銭等価物の貯蔵品の場合は購入した時ではなく、

実際に使用したときに損金に算入することができます。


金銭等価物でない貯蔵品の場合は、原則は、購入した時ではなく、実際に使用

したときに損金に算入することになります。


購入時に損金算入出来る条件としては、おおむね各事業年度一定数量を取得し、

その取得したものがその事業年度で消費され、毎期購入時に損金算入をしていれば、

取得時に全額損金算入ができます。


尚、金銭等価物の貯蔵品とは、収入印紙、切手、テレホンカードなどの金銭と

同様の価値を持つものが該当します。


ちなみに、貯蔵品に該当するもので、金額的に重要な収入印紙などや内容的に

重要な会社案内などは、それらを購入時に貯蔵品として資産計上して、それらの

使用記録に基づき、費用処理する管理方法を採用することは、内部統制の

整備においても重要なことです。


・仮払消費税等

仮払消費税等とは、企業が会計処理方法に税抜き処理を採用している

場合、支払った消費税・地方消費税額を処理する資産の勘定科目です。


仮払消費税等は、決算時には仮受消費税等と相殺して、仮払消費税等と

相殺しきれない金額はバランスシートの流動負債の部に未払消費税等として

表示することになります。


仮払消費税等は、流動資産に計上されます。


この仮払消費税等は、商品や製品の販売やサービスの提供などを受けた

際に支払った金額の中に含まれている消費税のことです。


また、仮払消費税等という勘定科目が発生するのは、経理処理方法において

税抜き処理を採用している場合になります。


経理処理方法で税込経理方式を採用している場合は、仮払消費税という勘定科目

が使用されることはなく、税込経理方式と税抜経理方式のどちらを採用するかは

事業者の任意になっています。


尚、仮払消費税等は、一種の経過勘定のようなものなので、月次決算の際も、

仮払消費税等と仮受消費税等は相殺し、未払消費税等か未収消費税等として

表示するべきです。


ちなみに、仮払消費税等は、仮払消費税と記述されたり、仮払消費税等と

記述されたりしていますが、厳密には、仮払消費税等と記述すべきです。


仮払消費税のみの記述であると、国税の消費税のみを指していることになりますので、

地方消費税も含めていることを表現する為に、仮払消費税等と表示します。


・出資金

出資金とは、有限会社、信用金庫などの株式会社以外の会社や組合の

持分を処理する資産の勘定科目です。


出資金は、株式会社の株式と同様に会社の資本を構成するものです。


出資金は、バランスシート上では、固定資産の部の投資その他の資産に

分類されています。


この出資金に該当するものとしては、有限会社、合名会社、合資会社等の

企業への出資や、信用金庫の会員や信用組合の組合員になる為の出資、

協同組合等への出資、民法上の任意組合への出資などがあります。


また、出資金を証明する書類には、出資金証明書、出資金払込書、

出資証券等があり、それらの書類で持分を確認することができます。


この出資金の回収方法は、出資している対象によって異なりますが、

有限会社に対する出資金を回収する場合は、基本的には持分を他の法人や個人に

売却する必要があり、合名会社と合資会社の出資金を回収する場合は、出資して

いる会社に持分の払戻を請求することができます。


また、出資金の出資とは、広義では、資金や財産などの提供を

意味している為、出資という言葉は、有限会社、信用金庫、民法上の

任意組合だけでなく株式会社に対して資金を出資する時も使用されて

います。


・子会社株式

子会社株式とは、自社で、議決権の過半数以上を所有している企業の

株式と議決権の過半数以下の所有だが意思決定機関を支配している

企業の株式を処理する資産の勘定科目です。


子会社株式も、減損処理の対象資産であり、子会社株式は、バランスシート上では、

固定資産の部の投資その他の資産に分類されています。


この子会社株式は、個別財務諸表においては、基本的に時価評価は

せず取得原価にて評価しますが、子会社株式の時価等が著しく下落した場合は、

減損処理の対象となります。


子会社株式の減損処理の判定をする場合、市場価格のない株式と市場価格の

ある株式ではその判定方法が異なります。


また、所有する株式が子会社株式であるかどうかを判定する基準としては、

持株比率が過半数を超えている場合と持株比率が40%以上~50%以下の場合です。


実質的に影響力があると認められる場合は、子会社株式に該当します。


尚、子会社株式に該当する実質的な影響力の主な項目は下記の通りです。


①自社と緊密な者が株式を保有し、自社の持分と合わせて過半数を越える場合
②自社の役員や従業員で取締役の過半数を占めている場合
③自社が借入の過半数の融資をしている場合
④自社が意思決定機関を支配していると考えられる事実などが存在する場合


尚、上記の判定項目は、連結決算の際の連結子会社の対象を判定する項目と同様です。


ちなみに、発行済株式数の100%の株式を所有している企業を完全子会社と

呼んでいます。


・関連会社株式

関連会社株式とは、自社で、議決権の20%以上50%未満を所有している

企業の株式と議決権の15%以上20%未満の所有だが実質的な影響力を

与えることができる企業の株式を処理する資産の勘定科目です。


関連会社株式も、減損処理の対象資産であり、関連会社株式は、

バランスシート上では、固定資産の部の投資その他の資産に分類されています。


この関連会社株式は、個別財務諸表においては、基本的に時価評価は

せず取得原価にて評価しますが、関連会社株式の時価等が著しく下落した場合は、

減損処理の対象となります。


関連会社株式の減損処理の判定をする場合、市場価格のない株式と市場価格

のある株式ではその判定方法が異なります。


また、所有する株式が関連会社株式であるかどうかを判定する基準としては、

持株比率が20%以上50%未満の場合と持株比率が15%以上20%未満の場合です。


実質的に影響力があると認められる場合は、関連会社株式に該当します。


尚、関連会社株式に該当する実質的な影響力の主な項目は下記の通りです。


①事業方針に影響を与えることができる関連会社に役員などを派遣している場合
②重要な融資をしている場合
③重要な技術供与などをしている場合
④事業方針などに重要な影響を与える事実が存在する場合


尚、上記の判定項目は、連結決算の際の持分法の対象を判定する項目と同様です。


・長期預金(長期性預金)

長期預金(長期性預金)とは、満期日が決算日の翌日から1年を超える

場合の預金を処理する資産の勘定科目です。


長期預金には、銀行などの長期定期預金と信託銀行の長期貸付信託などがあります。


長期預金は、バランスシート上では、固定資産の部の投資その他の資産に

分類されています。


この長期預金(長期性預金)口座が、複数の銀行に存在する場合、

日常的な会計処理をする場合は、銀行口座ごとに補助科目を

使用します。


・投資不動産

投資不動産とは、本業の営業活動とは関係なくキャピタルゲインや

インカムゲインを得る投資目的で保有する不動産を処理する資産の

勘定科目です。


投資不動産は、減損処理の対象資産であり、投資不動産は、バランスシート上では、

固定資産の部の投資その他の資産に分類されています。


この投資不動産に該当するものは、中古マンションやアパートの一室を

所有する区分所有、ビル、マンション、工場、倉庫などの建物の一棟所有、

機械式駐車場とその敷地の所有、更地の所有などがあります。


また、投資不動産の会計処理は、国際会計基準(IFRS)では、取得原価か

公正価値である時価のいずれかを選択し評価することになっています。


公正価値とは、不動産市場で取引されている市場価格などが考えられ、

投資不動産から得られる収益や費用は、営業外収益や営業外費用に

計上します。


・保証金

保証金とは、契約に基づき役務の提供を一定期間受けるために

担保として支払った金額を処理する資産の勘定科目です。


保証金の金額に、契約期間終了時に返還されない金額が含まれていれば、

その金額は税法上の繰延資産に該当し、保証金は、バランスシート上では、

固定資産の部の投資その他の資産に分類されています。


この保証金が発生する主なケースとしては下記の通りです。


保証金が発生する主なケース

①信用取引である掛け仕入取引をする際に取引先へ担保として金銭等を支払った時
②公的な許認可を受ける際に供託金として納付した時
③事業用の事務所やオフィスとして不動産を賃貸借契約する時
※オフィスの保証金の相場は、一般的には月額賃料の10ヶ月分~12ヶ月分です。
④店舗として不動産を賃貸借契約をする時
⑤工場として不動産を賃貸借契約をする時
⑥更地を資材置き場として賃貸借契約をする時


また、オフィス・事務所・店舗・工場の賃貸借契約をした時に、保証金に相当する内容の

金額を不動産会社に支払った時は、保証金の勘定科目ではなく、敷金という勘定科目を

使用して会計処理する場合があります。


尚、不動産の賃貸借契約時に支出した保証金の契約条件に、保証金の償却・礼金・更新料

などの契約期間終了時に返還されない金額が含まれていれば、その金額は税法上の

繰延資産に該当します。


その税法上の繰延資産に該当する金額は、長期前払費用として保証金とは区別して

会計処理し、その長期前払費用が20万円未満の場合は支出時に全額損金として

地代家賃に計上することができます。


20万円以上の場合は長期前払費用として契約期間か5年で償却することになります。


・敷金

敷金とは、店舗や事務所などを賃貸借契約する際に担保として支払った

金額を処理する資産の勘定科目です。


敷金の金額に、契約期間終了時に返還されない金額が含まれていれば、

その金額は税法上の繰延資産に該当します。


敷金は、バランスシート上では、固定資産の部の投資その他の資産に

分類されています。


・長期貸付金

長期貸付金とは、金銭消費貸借契約に基づき金銭を貸し付けた場合に

生じた債権で回収期限が貸借対照表の翌日から起算し1年を超えて

到来する貸付金を処理する資産の勘定科目です。


長期貸付金は、貸倒引当金の設定対象です。


長期貸付金は、バランスシート上では、固定資産の

部の投資その他の資産に分類されています。


この長期貸付金は、企業外部などの一般の貸付先と区別できるように

適切な名称を貸付金の前に付けることが原則です。


そのような勘定科目の種類としては、子会社貸付金、関係会社貸付金、従業員貸付金、

役員貸付金等があり、役員や従業員に対する無利息の貸付は、給与と認定される

可能性もあります。


また、役員に対する貸付は、従業員に対する貸付と異なり、利益相反取引の

可能性があるため、会社法では、取締役会設置会社の場合の役員に対する貸付は、

取締役会の承認が必要です。


取締役会設置会社でない場合は、株主総会の承認が義務付けられています。


尚、長期貸付金の弁済期日が1年以内となった際は、短期貸付金へ

振替える会計処理をすることになります。


・長期前払費用

長期前払費用とは、すでに支払ってある前払費用のうち貸借対照表の

翌日から起算し1年を超える期間を経て費用化されるものを処理する

資産の勘定科目です。


長期前払費用には、税法上の繰延資産も計上されます。


長期前払費用は、バランスシート上では、固定資産の部の

投資その他の資産に分類されています。


また、長期前払費用である法人税法上の繰延資産に該当する場合でも、

支出した金額が20万円未満の場合は、支出した全額を損金に算入する

ことができます。


尚、長期前払費用である法人税法上の繰延資産に該当する主な

ものは下記の通りです。


①公共施設負担金
②商店街の共同アーケード等の共同施設負担金
③同業者団体等の加入金
④建物等を賃借する際の権利金
⑤広告宣伝用資産を贈与した費用
⑥電子計算機等の賃借に伴う費用
⑦ノウハウの設定契約に関する頭金
⑧出版権の設定に伴う費用
⑨プロスポーツ選手等との契約金
⑩スキー場のゲレンデ整備費用


・未収消費税等

未収消費税等とは、企業が決算をすることで確定した還付される消費税を

処理する資産の勘定科目のことです。


未収消費税等は、仮受消費税等から仮払消費税等と納付済みの予定納税額を

差し引いて算出し、未収消費税等は企業の国や地方に対する債権なのです。


未収消費税等は、流動資産に計上されます。


この未収消費税等の算定は、企業が営業活動の中で、クライアントから

預かった消費税から、仕入の支払い・経費の支払い・資産の取得の際に

支払った消費税と既に納付済みの予定納税額を差引いて、未収消費税等を

計算します。


ちなみに、クライアントから預かった消費税は仮受消費税等として会計処理し、

仕入の支払い・経費の支払い・資産の取得の際に支払った消費税は

仮払消費税等として会計処理し、その計算の結果によって、未収消費税等と

なったり、未払消費税等となったりします。


尚、未収消費税等のバランスシート上の表示は、未収消費税等として

流動資産の部に表示し、重要性が無い場合等は、未収入金等に含めて

表示することになります。


・前払金(前渡金)

前払金(前渡金)とは、企業の通常の営業活動の取引により、

商品や原材料等の仕入れ前に、代金の一部又は全部を手付金として

支払うことです。


前払金は資産としての性質があり、前払金は、貸借対照表上では、

流動資産の部に表示されます。


また、前払金(前渡金)は、商品や原材料等の提供を受けた後に、

適切な勘定科目へ振り返られることになります。


商習慣上においても、商品や原材料等の仕入れ前に、現金の授受を

行なった方が、それらの仕入れを確実に出来る可能性が高くなるため、

前払金(前渡金)を活用することになります。


また、商品や原材料等の仕入れ前に現金を先に支払、前払金(前渡金)が

発生した際は、その商品や原材料等の仕入が実際に行なわれるまでは、

消費税の計算においては、課税仕入に該当しません。


よって、決算期末においては、商品や原材料等の仕入が実際に行なわれた

のかを証憑などで確認した後に、仮払消費税として仕入税額控除の対象

とすることができます。


当期中に、商品や原材料等の仕入が実際に行われなかった場合は、

次の事業年度において仕入が実際に行われた時に、前払金(前渡金)の

仕入税額控除を行なうことになります。


・立替金

立替金とは、お金を立て替えてもらう側と、立て替える側の企業が

暗黙の了解により、一時的に立替払いにより貸し付けをしたものです。


立替金は金銭消費貸借契約書を交わすほどのものではない小額なケースが多く、

立替金は主に、役員、従業員、取引先に一時的にお金を立替えるケースに

使用される科目です。


また、立替金は、その性質上一時的に発生する資産の勘定科目なので、

立替金が発生した場合は速やかに回収する必要があります。


役員に対する立替金が長期間返済されず放置されていると、税務当局に貸付金

などと認定されて認定利息が発生したり、場合によっては役員賞与とみなされる

ケースもありうるため、役員に対する立替金の取り扱いには特に注意が必要です。


この立替金は、役員、従業員、取引先などが全額負担すべき

ものであるため、消費税の計算には全く関係の無い取引になります。


尚、立替金は、貸借対照表の流動資産の部に表示され、立替金の金額が

総資産の100分の1を超える場合は、貸借対照表上では立替金と明示します。


立替金の金額が総資産の100分の1を超えない場合は、貸借対照表上では

その他の流動資産に含めて会計処理することになります。


・仮払金

仮払金とは、お金を出金する際に、その使途やその金額が未確定の

場合に用いられる資産の勘定科目です。


仮払金は、主に役員、従業員に一時的にお金を仮払いしたケースに

使用される科目です。


また、仮払金は、企業が役員や従業員の営業活動に伴う旅費や経費の

概算金額を支払う場合にも使用します。


この仮払金は、その性質上決算までには精算をすることが望ましく、

仮払金が精算されたら、本来会計処理されるべき勘定科目へ仮払金を

振替仕訳する必要があります。


役員に対する仮払金が長期間返済されず放置されていると、税務当局に貸付金

などと認定されて認定利息が発生したり、場合によっては役員賞与とみなされる

ケースもありうるため、役員に対する仮払金の取り扱いには特に注意が必要です。


尚、仮払金は、貸借対照表の流動資産の部に表示され、仮払金の金額が

総資産の100分の1を超える場合は、貸借対照表上では仮払金と明示します。


仮払金の金額が総資産の100分の1を超えない場合は、貸借対照表上では

その他の流動資産に含めて会計処理することになります。


・未収入金

未収入金とは、営業活動以外の取引で発生した未収入の額を表す資産の

勘定科目です。


未収入金も会社の大事な債権である為、長期に滞留する未収入金の発生を防ぐ為、

売掛債権と共に債権管理表で管理する必要があります。


未収入金は主に、有価証券や土地や建物などの固定資産の売却時等に発生し、

流動資産に計上されます。


この未収入金の貸借対照表の表示区分は、1年基準に基づき判断します。


回収が1年以内の未収入金は貸借対照表の流動資産に計上し、

回収が1年を超える未収入金は貸借対照表の投資その他の資産に計上します。


また、未収入金についても、与信管理の対象とすべきであり、期末において

未収入金の残高があれば、売上債権とともに未収入金についても、

貸倒引当金の設定をすることになります。


なお、未収入金は、総資産の100分の1を超える場合は、貸借対照表上では

未収入金と明示します。


未収入金の金額が総資産の100分の1を超えない場合は、貸借対照表上では

流動資産か投資その他の資産に、その他として会計処理することになります。


・未収収益

未収収益とは、主たる営業活動以外の継続して収益が発生する取引の

未収入の額を表す資産の勘定科目です。


未収収益は金額からみて重要性が乏しいもの以外は、全て計上するべきでしょう。


未収収益は、貸借対照表の流動資産の部に表示され、未収収益の金額が

総資産の100分の1を超える場合は、貸借対照表上では未収収益と明示します。


未収収益の金額が総資産の100分の1を超えない場合は、貸借対照表上では

その他の流動資産に含めて会計処理することになります。


・仮払税金

仮払税金とは、中間申告や予定申告で納付した法人税、法人住民税、

法人事業税を処理する資産の勘定科目です。


仮払税金は、確定申告の際は確定した税額から控除することができるので、

会計処理上は仮払税金として会計処理しておけば決算時には処理しやす

くなります。


中間申告や予定申告で納付した法人税、法人住民税、法人事業税は

あくまでも通期の税額を想定し支払った仮払いに過ぎないので、

それらを支払った際は仮払税金で会計処理することになります。


また、中間申告や予定申告で納付した法人税などを仮払税金で

処理するのではなく、租税公課で処理し決算を確定したとしても、

法人税などは損金とはなりませんので、別表4で課税所得に

加算されることになります。


仮払税金は、決算時には残高が残ることはありませんので、

決算時に当期の負担すべき税額を算定したら、それら金額から仮払税金を

差引き未払法人税等として計上することになります。


・建設仮勘定

建設仮勘定とは、企業が自社で使用する為の、建設途中にある建物等の

有形固定資産に対する支出額を会計処理した資産の勘定科目です。


建設仮勘定は、当該固定資産が完成するまでの一時的な経過勘定科目なので、

完成時には建設仮勘定から適切な科目へ振替える会計処理が必要になります。


この建設仮勘定に含めるものとしては、建設会社への手付金の支出、

建設の為の資材の購入費用、建設に直接要する労務費や経費も対象です。


それら以外では、建物で使用する機械等も含まれることになり、

建設仮勘定は、建物の完成前に支出する建設に伴う支払いの全てを

会計処理する仮勘定です。


また、建設仮勘定は、建設業者から引渡しを受けるまでや、自家建設で

完成するまでは、建設仮勘定のままであり、建設仮勘定の間は減価償却の

対象とはなりません。


しかし、建設仮勘定は、減損処理の対象となりますので、

減損会計の手続きに従い検討することになります。


尚、建設仮勘定の貸借対照表上の表示は、固定資産の有形固定資産の区分に

建設仮勘定と表示します。


・前払費用

前払費用とは、継続して役務の提供が行なわれており、

その役務が全て終了していない場合や、支払期限の到来前に、

その費用を先払いした場合に用いられる資産の勘定科目です。


前払費用は、費用の繰延勘定ともいえ、前払費用は、貸借対照表上では

流動資産の項目に表示されます。


この前払費用は、支出した際は資産計上し、役務の提供が行なわれた時に、

前払費用から適切な勘定科目へ振替え、経費として会計処理されることになります。


1年を超える期間を得て費用化される前払費用は、長期前払費用として

会計処理することになります。


また、法人税法では、前払費用として支払ったもので、支払った日から

1年以内に役務の提供を受ける場合のものは、その支払った金額を継続して、

その事業年度の経費として損金算入することを条件に、短期前払費用として

その支払時点で損金の額に算入することが認められています。


ただし、短期前払費用に該当するような支払った日から1年以内に役務の提供を

受けるものであっても、借入金を有価証券などで運用する際に発生する借入金の

支払利息のように、収益と費用を対応させる必要がある取引については、

1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入することは

認められていません。


・現金過不足

現金過不足とは、帳簿上の現金残高と実際に手元にある現金残高が一致しない

場合に、暫定的に未決算勘定として処理する時に用いる流動資産に計上され

る勘定科目です。


この現金過不足は、現金が合わない理由が判明次第、適切な勘定科目への

振替仕訳を行い、決算期末まで現金過不足の原因が不明の場合は、

雑収入か雑損失として処理をすることになります。


また現金過不足が発生する場合は、帳簿上の現金残高が実際に手元にある

現金残高より多い場合か、帳簿上の現金残高が実際に手元にある現金残高

より少ない場合があります。


この現金過不足の原因としては、現金を実際に使用し支払いを済ませているが、

現金出納帳にその取引の記帳漏れがある場合や、なんらかの理由で現金を受け

取ったが現金出納帳にその取引の記帳漏れがある場合、あるいは、現金出納帳

の記帳内容事態に誤りがある場合などが原因として考えられます。


現金過不足を処理をする際の消費税の区分としては、現金過不足自体に

何ら対価性がない為に、不課税に区分される為、課税売上や課税仕入には

該当しません。


なお、決算期末まで現金過不足の原因が不明の場合、実際の現金有高より

帳簿上の現金残高が少ない場合の現金過不足残高は、雑収入の勘定科目に

振替られます。


実際の現金有高より帳簿上の現金残高が多い場合の現金過不足残高は、

雑損失の勘定科目に振替ることになります。


■その他の負債に計上される勘定科目

・未払金

未払金とは、企業の通常の営業活動の取引により確定した

未払いの債務のことです。


1年基準に基づき1年以内に支払期限が到来するものは、

貸借対照表の流動負債に未払金として表示します。


1年を超えて支払期限が到来するものは、固定負債に

未払金として表示します。


この未払金は、企業の販売費及び一般管理費に関わる取引だけでなく、

固定資産等の購入や法人税等の未払金も含め処理する負債の勘定科目です。


また、未払金は、金額や内容に重要性がある場合は、設備未払金や

未払法人税等、未払事業税等、未払消費税などと名称を付して表示します。


未払金の支払サイトは資金繰りに大きく影響する項目でもあり、

多額な設備未払金などが発生する際は、キャッシュフローに注意して

支払条件を決定する必要があります。


尚、未払金は請求書や契約書により確定した確定債務です。


・未払費用

未払費用とは、企業の通常の営業活動の取引による発生した債務である

未払いの費用のことです。


未払費用の貸借対照表における表示は、流動負債に未払費用として表示します。


未払費用は、一回限りの取引で終了する経費ではない負債の勘定科目です。


未払費用以外の経過勘定には、前受収益、前払費用、未収収益があります。


この未払費用は、契約に従い、継続して役務の提供を受けているもので、

その提供された役務に対して、対価の支払いが終了していないものになります。


主な未払費用として計上される勘定科目としては、役員報酬、給料手当、

法定福利費、水道光熱費、地代家賃、リース料、支払利息などがあります。


・前受金

前受金とは、企業の通常の営業活動の取引により、商品や製品等の販売前に、

代金の一部又は全部を手付金や内金として受け取った金銭のことです。


前受金は負債としての性質があり、前受金は、貸借対照表上では、

流動負債の部に表示されます。


また、前受金は、商品や製品等の提供をして売上高が計上される時に、

売上代金に充当します。


商習慣上においても、商品や製品等の販売前に、現金の授受を行なった方が、

それらの販売を確実に出来る可能性が高くなるため、前受金を活用する

ことになります。


ちなみに、前受金としてお金を受取る際に、手付金や内金等の用語が

出て来ますが、内金とは売買代金や報酬の一部前払いであり、

内金を支払えば契約の履行に着手したとみなされます。


法的根拠が無ければ、内金を授受した後は、契約解除は出来ません。


手付金は、特に法的根拠がなくても、契約解除をすることができますので、

前受金等の金銭の授受の際は、授受をする金銭の性格をはっきりとさせ

書面に明記すべきです。


・預り金

預り金とは、役員や従業員又は取引先等から一時的に金銭を預り、

その後受け取った者もしくはそれ以外の者へ返金する必要がある金銭です。


預り金は、負債としての性質があり、預り金は、貸借対照表上では、

流動負債の部に表示されます。


預り金で会計処理する際に多いケースは、給料の支給時に給料から控除される、

源泉所得税・住民税・健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料を預かった

場合です。


それらは会社と本人の負担割合に応じて、本人負担の場合は預り金とし、

社会保険料の会社負担の場合は、法定福利費として会計処理することになります。


営業取引に関連する預り金としては、営業保証金などの、一般的な取引慣行

において預かった短期間に返却をするものなどは預り保証金で処理します。


この預り保証金は、貸借対照表上は流動負債の部に預り金に含めて表示する

ことになりますが、この預り保証金が金額的重要性がある場合には、

預り保証金として預り金とは別に表示することになります。


・仮受金

仮受金とは、金銭を受け取った際に、その内容やその金額が

未確定の場合に一時的に用いられる負債の勘定科目です。


仮受金は、負債としての性質を持ち、仮受金は、貸借対照表上では、

流動負債の部に表示されます。


また、仮受金は、その性質上決算までには内容を確定させ振替る

必要があり、内容や金額が確定したら、取引内容に応じて本来会計処理

されるべき勘定科目へ仮受金を振替仕訳することになります。


仮受金で会計処理した場合、貸借対照表上では、流動負債の部の

その他流動負債として表示するのが基本ですが、仮受金に金額的な重要性

がある場合は、仮受金として流動負債の中に明示する必要があります。


・仮受消費税等

仮受消費税等とは、企業が会計処理方法に税抜き処理を採用している

場合、受け取った消費税・地方消費税額を処理する負債の勘定科目です。


仮受消費税等は、決算時には仮払消費税等と相殺して、仮受消費税等と

相殺しきれない金額はバランスシートの流動資産の部に未収消費税等として

表示することになります。


仮受消費税等は、流動負債に計上されます。


この仮受消費税等は、商品や製品の販売やサービスの提供をした際に

受け取った金額の中に含まれている消費税のことです。


尚、仮受消費税等は、一種の経過勘定のようなものなので、月次決算の際も、

仮受消費税等と仮払消費税等は相殺し、未払消費税等か未収消費税等として

表示するべきです。


・未払法人税等

未払法人税等とは、企業が決算をすることで、算定された利益に対して

発生する金額の未払部分の法人税・住民税・事業税を処理する勘定科目です。


未払法人税等は、当期に負担すべき税額から、既に納付済みの予定納税額等を

差引いたものであり、未払法人税等は企業の国や地方に対する債務です。


未払法人税等の中の法人税の算定は、企業の課税所得に税率を乗じて計算します。


未払法人税等の中の住民税の算定は、法人税額に税率を乗じて計算する部分と、

課税所得とは関係無く資本金や従業員数で決定する均等割の税額の部分を

合計して計算します。


未払法人税等の中の事業税の算定は、課税所得に税率を乗じて計算される部分と、

課税所得とは関係無く資本金で決定する部分及び、付加価値割に対して税率を乗じて

計算する部分を合計したものです。


尚、未払法人税等の金額が、負債と資本の合計の100分の1を超える場合は、

貸借対照表上では流動負債に未払法人税等と明示する必要があります。


・未払消費税等

未払消費税等とは、企業が決算をすることで確定した納付すべき消費税を

処理する勘定科目のことです。


未払消費税等は、当期に支払うべき税額から、既に納付済みの予定納税額等

を差引いたものです。


未払消費税等は企業の国や地方に対する債務です。


この未払消費税等の算定は、企業が営業活動の中で、クライアントから預かった

消費税から、仕入の支払い・経費の支払い・資産の取得の際に支払った消費税

と既に納付済みの予定納税額を差引いて、未払消費税等を計算します。


また、未払消費税等は、法人税等と異なり、預り金の様な性格を有する

税金なので、日頃から未払消費税等の概算が幾らあるのかを把握して、

納期限には納税出来るように注意すべきです。


尚、未払消費税等の貸借対照表上の表示は、流動負債の部に未払消費税等として

表示し、重要性が無い場合等は、未払金等に含めて表示することになります。


■純資産

純資産とは、株主が出資した金額とその金額を利用して獲得した利益を

内部留保した金額等の合計のことです。


純資産は、貸借対照表の総資産合計から負債合計を差引いて計算することができ、

新会社法の施行前は、純資産=自己資本=株主資本でした。


純資産は、財務の5つの構成要素の1つです。


この純資産は、株主資本と評価・換算差額等に分類できます。


株主資本とは、資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式の合計です。


評価・換算差額等とは、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、

土地再評価差額金、為替換算調整勘定などの合計となっています。