収益還元法


■収益還元法とは

収益還元法とは、将来生み出すであろうと期待されるキャッシュフローに基づき、

投資評価対象の価格を算出する方法です。


収益還元法では、将来のキャッシュフローを現在価値に換算し期待収益率で割り、

投資対象の価格を算定します。


収益還元法により計算された理論価格が、収益還元価格です。


収益還元法は、ディスカウントキャッシュフロー法(DCF法)と、

直接還元法があります。


直接還元法とは、一定期間の純収益を、還元利回りで割って、

投資対象の価格を計算する評価手法です。


この直接還元法の純収益は、一定期間の総収益から一定期間総費用を

差し引いて算出します。


この評価方法の基本的な考え方としては、収益性で購入価格を求めるなら

という考えに基づいて投資対象の価格を計算しています。


例えば、投資対象の純収益が1億円で、還元利回りが5%なら、

1億円÷5%で投資対象の購入価格は20億円という具合になります。


そうすると、直接還元法による評価対象は、収益があるものなら

どのようなモノでも評価することができるわけです。


ディスカウントキャッシュフロー(DCF)とは、将来キャッシュフローを現在価値

に割引き投資対象の価格を算定する評価方法です。


このディスカウントキャッシュフロー(DCF)により評価する際の重要なポイントは、

将来数年間のキャッシュフローをどのように見積もるかということと、将来CFを

現在価値にする為に割引く際の、期待収益率をどのように算定するかです。


この2つのポイント次第で、ディスカウントキャッシュフローに基づく評価価値は

大きく変動するので、この評価方法は、非常に主観的な評価方法であるといえます。


また、ディスカウントキャッシュフロー(DCF)にて将来キャッシュフローを

割引く際の割引率とは期待収益率のことで、リスクの高い金融商品や

財務の脆弱な企業に投資を実行する時は、将来価値を現在価値に換算する

割引率は当然高くなります。


現在価値算定に用いる割引率は、一般的に長期国債などの安全性の高い長期債券利回り

を用いることが多く、企業価値評価の際は加重平均資本コスト(WACC)

を活用することが一般的です。


不動産鑑定評価方法には、収益還元法以外では、不原価法と取引事例比較法があります。


尚、現在でも、収益用不動産である、賃貸ビル等の価値を算定する際は、

売買取引事例方法により価格を算定することが多く、収益還元法により

不動産価格を算定するのは、主に不動産投資ファンドが多い傾向があります。


■収益還元法評価で重要な概念


・現在価値

現在価値とは、将来の現金が、現在の現金の価値の幾らに相当するかを示します。


現在価値は、金融商品購入検討時や企業価値評価の際にも利用され、

将来得られる価値を現在価値に計算する為には割引率を用いる必要があります。


企業価値評価の際は、企業が稼ぎ出す将来のキャッシャフローを現在の価値である、

現在価値を計算する必要があり、現在価値を計算する際には、将来得られる

キャッシャフローを割引率を用いて現在の価値を算定します。


この現在価値は、ある投資対象を評価する人がどのくらいの期待収益率を

想定しているかで大きく変化するので、現在価値は非常に主観的な面があります。


ゆえに、将来価値を現在価値に計算する際に用いる割引率の値を決定することが、

現在価値を算定する中で最も難しいことの1つです。


・割引率

割引率とは、将来価値を現在価値に変換する際に用いる利率のことです。


割引率は、通常年率換算し%表示にて表します。


この割引率は、さまざまな将来価値を現在価値に変換する際に用いられます。


一般的には、将来発生するキャッシュフローを現在価値に変換する際に用いられるので、

キャッシュを生み出すものであれば、その将来発生するキャッシュフローを予測して、

割引率を用いて将来価値を現在価値に変換することができることになります。


なお、割引率の算定方法としては、一般的にリスクフリーレートに

リスクプレミアムを加えて算定するといわれています。


・リスクプレミアム

リスクプレミアムとは、リスクの程度に応じて変化する、

投資家が投資を実行に移す際の上乗せ分の期待リターンのことです。


リスクプレミアムは、投資家のリスク許容度を示すものであり、

リスクの高い投資案件ほど高い利回りが期待できなければ投資対象に

なることはありえないため、リスクの高さとリスクプレミアムの

大きさは比例します。


このリスクプレミアムは、投資家の期待収益率から無リスクで金利を

得ることができると考えられている安全な金融商品の利回りを0差引いた

ものでもあり、これを計算式で表すと下記のようになります。


・無リスク金利+リスクプレミアム=期待収益率(割引率)


また、無リスクの金利のことをリスクフリーレートといいます。


そして、リスクプレミアムは、投資家のセンチメント(市場心理)次第で大きく変動

するものなのです。


多くの市場参加者が熱狂しているバブル相場の時期やほとんどの市場参加者が総悲観

の状態である暴落相場の時期は、結果としてリスクプレミアムが大きく変化すること

になりますので、リスクプレミアムも株価と同様にその時々の相場全体や金融市場の

ムードや雰囲気に影響を受けやすいので、様々な市場参加者の思惑を反映したものに

なるといえます。


尚、リスクプレミアムは、投資対象の様々なリスクを投資家が考慮して

利回りを上乗せすることなので、リスクプレミアムは、投資対象毎に

異なることが当たり前の為、基準となる利回りが無くて当然なのです。


・リスクフリーレート

リスクフリーレートとは、元本保証された金融商品の利回りのことです。


一般的に、リスクフリーレートの金融商品としては、銀行預金や国債が

ありますが、期待収益率を算出する際は、金融市場で最も安全な資産と

みなされている国債の利回りが利用されています。


このリスクフリーレートは、無リスク金利とも呼ばれています。


一般的にリスクフリーレートの金融商品といわれる銀行預金や国債も、

デフォルトリスクは存在しており、現実的に規模の大きな銀行の倒産や

国家破産は過去に何度も発生している為、リスクフリーレートは、

その時の金融市場が最も安全な資産とみなしている利回りとも定義する

ことができます。


なお、リスクフリーレートは、割引率を算出する際にも利用され、

割引率は、期待収益率と呼ぶこともできます。