総合予算


■総合予算体系

総合予算とは、企業において計画された全ての予算を集約して作成した

財務計画のことです。


財務計画は、具体的・客観的な数字により作成する経営計画のことなので、

定量計画とも呼ばれています。


予算を集約して作成したものが総合予算とすれば、この予算の構成要素は、貸借対照表

損益計算書、キャッシュフロー計算書ということになります。


よって、見積財務諸表、予測財務諸表、総合予算は、全て財務計画といえます。


総合予算体系の概要を示すと、下記のようになります。

総合予算体系の概要

  • 経常予算

    ・損益予算
    ・資金予算

  • 資本予算

    ・設備予算
    ・投資予算
    ・資本調達予算



次に、経常予算と資本予算体系の概要を示すと、下記のようになります。

経常予算と資本予算体系の概要

  • 損益予算

    ・売上予算
    ・仕入予算
    ・在庫予算
    ・販管費予算
    ・営業外損益予算
    ・特別損益予算
    ・法人税等予算

  • 資金予算

    ・売上代金回収計画
    ・仕入代金支払計画
    ・販管費支払計画
    ・営業外損益収支計画
    ・特別損益収支計画
    ・法人税等支払計画



最後に、設備予算、投資予算、資本調達予算体系の概要を示すと、

下記のようになります。

設備予算、投資予算、資本調達予算体系の概要

  • 設備予算

    ・設備投資予算
    ・固定資産売却予算
    ・固定資産除却予算
    ・固定資産購入代金支払計画
    ・固定資産売却代金回収計画

  • 投資予算

    ・金融商品購入予算
    ・投資用不動産購入予算
    ・金融商品売却予算
    ・投資用不動産売却予算
    ・金融商品購入代金支払計画
    ・金融商品売却代金回収計画
    ・投資用不動産購入代金支払計画
    ・投資用不動産売却代金回収計画

  • 資本調達予算
    ・借入金調達計画
    ・借入金返済計画
    ・社債発行計画
    ・社債償還計画
    ・増資計画



総合予算体系とは、企業においては、個別の計画を相互に関連させて、論理的に

全体の構成を纏めた、予算の設計図の様なものです。


総合予算体系は、企業や業種によって多少異なりますが、基本的な予算体系は、

企業や業種によって大きく変わることはありません。


このような体系の総合予算を作成する目的は、財務をコントロールする為であり、

総合予算の作成は、財務をコントロールするためのスタートラインといえます。


総合予算の作成の仕事は、企業に財務部経営企画部が存在しない場合は、

経理部の仕事になります。


また、総合予算を作成する前には、財務戦略を策定しておくことが基本といえます。


この総合予算は、企業活動に必要になる資金をどのように調達して、その調達した資金

を、何に使うのか決定する計画といえます。


すなわち、資金の調達と資金の使途を決定することこそが、総合予算の役割

ともいえますので、この予算は、企業の利益計画と資金計画と呼ぶこともできます。


ゆえに、総合予算を作成しなければ、経営管理をすることは不可能なのです。


この予算を作成する最終段階では、最低保持すべき現金預金残高を考慮して、

最終調整をすることになります。


尚、総合予算は、長期的な経営の方向性とリンクさせて、中期経営計画や

単年度経営計画の異なる時間軸毎に作成します。


ちなみに、経理部、財務部、経営企画部に所属している方は、この予算の

作成スキルを身につけることは必須といえます。


■予算とは

予算とは、ある計画の収支や収益・費用についてあらかじめ考えて、

数値による見積もりをすることです。


企業における予算のゴールは、経営計画の定量計画(総合予算)の作成であり、

予算は、企業のあるべき姿を客観的な数値により表現したものです。


この予算は、企業の単年度経営計画(単年度事業計画)や中長期経営計画の

定量的な計画であり、一般的に予算は、財務計画とも呼ばれています。


予算編成の役割を担う部署は経営企画室ですが、組織に経営企画室が

存在しない場合は、経理部や財務部が予算業務の役割を担う部署となります。


ただし、予算を作成するタイミングは、経営企画部やマーケティング部において、

会社の戦略が決定された後になり、特に儲かる仕組みをつくる為に重要なポイントは

マーケティングです。


会社予算の作り方としては、最初に長期的な経営ビションに基づき長期経営計画を

整備します。


次に、企業の長期的な経営の方向性とリンクさせて、中期経営計画や単年度経営計画の

異なる時間軸毎に、各年度において、長期経営計画のあるべき姿と現在の姿のギャップを

埋める為の数値計画である定量計画を立てることになります。


また、過去の実績などを考慮せずに、一から必要な予算や優先順位などを

検討し計画を策定した予算が、ゼロベース予算です。


そして、企業予算を作成する流れとしては、予算作成の方針に基づいた、

各種経常予算と資本予算をまず作成します。


それらの会社予算を作成した後に、総合予算が完成することになります。


ところで、会社の予算の設定方法には、経営陣が予算の数値目標を決める

トップダウン型と、各部門毎に予算の数値目標を決めそれらの数値を積上げて

全社予算とするボトムアップ型の2通りがあります。


一般的に、これら会社の予算の設定方法については、それぞれのデメリット面ばかりが

クローズアップされることが多く、その主なデメリット面とは下記の通りです。


トップダウン型予算設定方法の主なデメリット面

①トップダウン型の場合は、経営陣が一方的に予算を決定するので、
現場サイドはその予算をノルマと受け取り、モチベーションの低下に
繋がりやすいこと。

ボトムアップ型予算設定方法の主なデメリット面

①ボトムアップ型の場合は、各部門で予算を設定し積上げて全社予算を
決定する方式である為、各部門の予算を積上げた結果が、経営陣が
イメージする全社ベースのあるべき姿と大きく乖離する可能性があること。


理想の予算の設定方法は、経営陣が予算の全体像を示し、その予算の大枠の中で

各部門が予算の細部を詰める方法であるトップダウン型です。


その理由を戦争に例えて説明すると、ボトムアップ型である予算の設定方法は、

これから戦争を始めるときに、戦争に関する全ての情報を持たない各部隊の

責任者に作戦を考えさせるようなものです。


戦争の大枠の作戦は、戦争に関する全ての情報を持つ、軍隊のトップとその参謀達が

方向性を示し、その方向性の範囲内で、各部隊の責任者に作戦の運用を任せるやり方

でなければ、戦争に勝つ事は難しいはずです。


このように、会社の予算の大枠を策定するのも、社内外の全ての情報を持つ、

経営陣が予算の設定をすることが理にかなっているといえます。


但し、幾らトップダウン型が理想だとしても、現場のモチベーションを低下させては

意味がありませんので、予算を作成する際は、経営陣と各部門責任者が予算の議論を

する場である予算委員会を設けて、各部門責任者が納得するまで議論を重ねるべきです。


また、会社の予算は、作成しただけでは意味が無く、計画である予算と実績を

比較分析する経営管理の仕組みである予算実績管理が必要です。


予算実績管理を実施することで、計画数値と実績数値のギャップの原因を特定し、

そのギャップを克服する為の具体的な施策を考え改善する業務プロセスである

PDCAサイクルを運用することができます。


ちなみに、ギャップをタイムリーに特定し、直ちにその課題に対する対策を実施

できるのが優れた企業の条件ですが、一般的な予算実績管理手法では、予算に対する

課題を適時に把握することは不可能です。


■総合予算の構成要素説明

・経常予算

経常予算とは、事業期間において毎期継続的・反復的に繰り返される

事業活動と臨時的・例外的・偶発的な要因による活動を対象とした予算です。


この予算は、損益予算と資金予算で構成されています。


この経常予算は、総合予算を作成する際の、中核となる予算です。


財務計画の精度は、この予算の内容次第と言っても過言ではありません。


精度の高い経常予算を作成する為には、財務の基本である、回転期間と運転資金の

関係を理解する必要があります。


・資本予算

資本予算とは、企業の予算において、企業価値の向上や競争力を

維持する為に必要不可欠な投資活動等に関する予算のことです。


この予算は、設備予算、投資予算、資本調達予算で構成されています。


資本予算を作成する際は、固定長期適合率や予算ベースの資金運用表も

考慮する必要があります。


資本予算次第で、予算のフリーキャッシュフロー(FCF)が大きく

変化しますので、この予算に関する資金支出は、営業キャッシュフローの

範囲内に収めることが基本となります。


尚、この予算を決定する際は、投資対象への投資金額と、その投資対象が

生み出す将来のキャッシュフローを現在価値に計算して、投資金額と投資を

することにより得られる金額を比較して投資の採算性を判断することになります。


・損益予算

損益予算とは、見積損益計算書を構成する売上高や売上原価などの

予算のことです。


この予算は、資金予算とともに、経常予算を構成するものです。


この予算の作成は、予算作成のスタートラインであり、

総合予算を作成する中で、最も基本的な予算です。


一般的な企業では、予算といえば、この損益予算のことだけを指しています。


また、この予算は、売上予算の内容次第で大きく変化します。


売上予算は、経常予算作成のスタートライトとなる計画でもあるので、

損益予算において、売上予算は、最も重要な計画なのです。


そして、この予算は、企業においては、部門別に作成し、部門別損益予算

を合算して、全社損益予算となります。


この部門別損益予算は、各部署に作成を依頼して予算を立ててもらうのが、

理想なのですが、各部署が予算を独自に作成しているような企業は、

ある程度規模の大きな会社のみとなっているのが現状です。


・資金予算

資金予算とは、事業期間において毎期継続的・反復的に繰り返される

事業活動と臨時的・例外的・偶発的な要因による活動を対象とした

資金収支の予算のことです。


この予算だけを作成して、資金表を作成しても、論理的整合性の無い、

資金表しか作ることはできません。


資金予算は、資金計画とも呼ばれています。


売上代金回収計画や仕入代金支払計画を作成する際は、あるべき姿の

売上債権回転期間や仕入債務回転期間を実現する計画であるべきですが、

現実を無視した計画では意味がありません。


また、資金予算の精度が、経常収支や経常収支比率に大きな影響を

与えますので、この予算を作成する際は、来期の資金需要とその資金を

どのように調達すべきかを検討することと、来期の総合資金収支を検討

することになります。


その検討の際には、資金運用表や資金移動表を用いることになります。


・売上予算

売上予算とは、売上計画の構成要素である売上高の予算のことです。


この予算の立て方としては、クライアント別、商品別に計画する事が基本です。

売上予算は、売上計画とも呼ばれています。


この予算は、総合予算の要となる予算なので、この予算が確定しなければ、

他の経常予算や資本予算を作成することができません。


この予算の立て方次第で、運転資金計画をはじめとした、他の予算も大きく影響を

受けますので、前年度の実績だけを考慮する予算の作成方法では、経営をコントロール

することも難しいでしょう。


また、売上予算の立て方としては、最初に、どのセグメントに経営資源を

集中するべきかを決定する必要がありますので、利益貢献度の高い商品が

何であるかを把握する必要があります。


ちなみに、製造業や非製造業に関わらず、客観的に、利益貢献度の高い商品の

分析をする際は、商品の粗利益率や商品回転率だけで判断するのではなく、

商品の交差比率を計算する必要があります。


増加する売上高に対応する為の、資金の調達が難しい場合は、売上予算を見直す

場合もあり、この場合の資金の調達とは、金融機関からの借入や市場からの調達

のことだけを指しているのではなく、総合的な資金の調達のことを意味しています。


尚、売上予算は、売上に関する目標であり、予想の売上ともいえますので、

この予算の根拠となる、営業活動計画の作成は当然必要なので、営業活動計画

を作成しない予算は、机上の空論といえます。


・仕入予算

仕入予算とは、仕入計画の構成要素である仕入高の予算のことです。


この予算の立て方としては、取引先別、商品別に計画する事が基本です。


仕入予算は、仕入計画とも呼ばれています。


この予算は、過剰在庫を防ぐだめにも、適正在庫を実現する為の仕入量と

するべきものなので、在庫計画とともに作成する必要があります。


仕入の量を先行して決定する仕入予算の作成方法では、適正在庫を実現する

為の仕入高の予算は作成できません。


この予算の立て方のスタートラインは、仕入先の選定です。


仕入先の選定とは、自社の売上予算を達成する為の、商品供給、供給の安定性

や、戦略・活動の修正の参考となるトレンド情報の提供、仕入債務回転期間

などを考慮して、仕入先を決定することです。


そして、この予算は、運転資金計画を左右する要素の1つなので、

仕入先を選定する際は、運転資金計画の方向性も考慮する必要があります。


尚、仕入予算は、仕入活動の方針でもあるので、実際の仕入活動をする際は、

基本的にこの予算に従い仕入活動を行うことになりますが、販売量の変化によって

適正在庫も変化するので、実際の仕入活動も、販売量の変化によって、

仕入量を予算とは変える必要があります。


・在庫予算

在庫予算とは、企業においては、単年度経営計画や中期経営計画にて、

あるべき姿の月末在庫量や期末在庫量の目標をどのように達成していくかを

示した予算のことです。


この予算の立て方としては、在庫である商品ごとに作成することが

基本となり、各月末や期末に、どれくらいの商品を保有しておきたいかを

計画した予算です。


この予算は、在庫計画とも呼ばれています。


また、製造業の在庫予算は、各月末や期末の製品の在庫、仕掛品の在庫、原材料の在庫

をどのようにするかの計画となります。


ちなみに、製造業の在庫予算は、製造予算の構成要素の1つです。


また、この予算は、売上予算が完成した後に、作成できる予算なので、

売上予算の作成前に、この予算だけを単独で作成することはありませんし、

仕入予算についても同様のことがいえます。


この予算作成のポイントは、適正在庫を算定し、どのように適正在庫を実現するかです。


在庫予算を作成する際は、販売機会の損失を防ぎ、商品の購買コスト、

商品の管理コストなどの様々なコストの観点から検討することが

基本となります。


尚、この予算は、運転資金を左右する要素の1つでもあるので、

この予算を作成する際は、運転資金計画の方向性に沿うことができる、

棚卸資産回転期間であるかも考慮する必要があります。


・販菅費予算

販菅費予算とは、企業の営業活動や一般管理業務をすることにより

発生する費用の予算のことで、損益予算の構成要素です。


この予算には、損益計算書(PL)の売上原価や財務活動に伴う費用は

含まれず、この予算は、営業予算や販菅費計画とも呼ばれています。


この予算の中の販売費は、販売活動における費用であり、販売費には、

営業社員の人件費である給料手当や法定福利費、販売手数料、販売促進費、

広告宣伝費、旅費交通費等が該当します。


そして、販菅費予算の中の一般管理費は、企業の管理部門における

管理業務全般の費用です。


一般管理費には、役員や管理部門(経理部・総務部・人事部・財務部・

経営企画室)等の人件費や、企業全体を維持運営管理するための費用が

該当します。


また、販菅費予算を作成する際は、各事業部門や部署毎に予算を作成

しますが、本社経費は予算作成後、各事業部門へ適切な配賦基準で配賦

することになります。


本社経費の各部門への配賦額が決定すると、予算上で各事業部門が負担

すべき経費が決定します。


尚、本社経費とは、役員に関わる費用、経理・人事・総務・経営企画等の

間接部門の経費、会社全体に関わる費用などで構成されています。


本社経費は固定費と見るべき費用でもあるため、販売費及び一般管理費

を削減する際は、最初に本社経費の見直しからはじめる企業が一般的です。


ちなみに、経営において、最もコントロールしやすいものは、自社の判断

で発生が決定する、販売費及び一般管理費です。


販売費及び一般管理費を、損益予算を作成することで決定した、販管費率

の範囲内に収めたり、予算の販売費及び一般管理費の総額の範囲内で収める

ことは、企業の予算管理においては、最も基本的で初歩的なことであり、

最も容易なことです。


・製造予算

製造予算とは、企業においては、単年度経営計画や中期経営計画にて、

あるべき姿の製品の生産量、原材料在庫、仕掛品在庫、製品在庫、

製品の製造原価を作成する予算で、損益予算の構成要素です。


この予算は、製造計画とも呼ばれ、原価計算を活用して予算を作成

することになります。


この予算の作り方としては、製品別に、生産量、原材料在庫、仕掛品在庫、

製品在庫、製品製造原価を作成し、製品の生産量は、製品の適正在庫を

実現する生産量にて計画を作成することになります。


ちなみに、この予算の作成内容と作成手順は下記の通りです。


製品別製造予算の作成内容と製品別製造予算の作成フロー

①製品別作業工程表の作成
②製品別生産計画・製品別在庫予算表の作成
③製品別の直接材料費・直接労務費・直接経費・製造間接費予算表の作成
④製品別の製造原価予算表の作成


また、この予算の作成方法のポイントは、適正在庫を実現する生産量を

計画することです。


その生産量と工場の生産能力を把握して、生産能力が不足していないか

どうかを考慮することも、製造予算作成の重要なポイントであり、

もし生産能力が不足している場合は、人員の増加や設備投資を実施する

必要がでてきます。


そして、この予算を作成することは、製品の予定原価を設定することなので、

この予算を作成していれば、目標の製造原価である予定原価と実際の原価を

比較することで、製品の生産活動の課題が明確になり、ムダをなくす原価低減

活動に活かすこともできます。


尚、製造予算を作成していれば、売上予算に基づいた、製品の生産計画も

作成することになりますので、製品の販売数量に変化があった場合は、生産量を

適正在庫を維持する量に調節することもでき、過剰に製品を生産することや

製品が不足することも防ぐことができます。


・設備予算

設備予算とは、製品の製造や事業活動に不可欠な、土地、建物、機械装置、

工具器具備品、ソフトウエアなどの購入・売却・除却などの予算のことです。


この予算は、長期的な経営計画の、設備投資計画に基づき作成されます。


設備予算を作成する際は、固定長期適合率や予算ベースの資金運用表も考慮

する必要があります。


そして、この予算を実行すると、資金を長期間固定化することになり、 新たな固定費

などの維持管理コストが発生し、企業の資金繰りにも大きな 影響を与えますので、

長期で使用する固定資産は、財務の健全性を維持する為にも、返済期限がない株主資本

や返済期間の長い固定負債で資金調達すれば、 適正な固定比率や固定長期適合率を維持

できます。


尚、設備予算は、ROI(投下資本利益率)なども考慮して、計画を作成するべきですが、

ROIとは、投資した資本に対してどれだけ利益を得られたかを示す 指標で、ROIは、

投下した資本が効率よく利用されているかを客観的に示すものです。


・投資予算

投資予算とは、資金を運用する投資目的の場合と、子会社や関連会社とする目的、

あるいは、販路拡大や業務提携をする目的の場合に有価証券等に投資する

予算のことです。


この予算は、長期的な経営計画の、投資計画に基づき作成されます。


この投資予算は、定期預金に預けたり、市場に流通している有価証券を

購入したり、子会社株式や関連会社株式とする為に企業の株式を

購入したりする等に関する全ての予算が集約されています。


子会社株式とは、自社で、議決権の過半数以上を所有している企業の株式と

議決権の過半数以下の所有だが意思決定機関を支配している企業のことです。


関連会社株式とは、自社で、議決権の20%以上50%未満を所有している

企業の株式と議決権の15%以上20%未満の所有だが実質的な影響力を与える

ことができる企業のことです。


・実効税率(法定実効税率)

実効税率とは、法人所得や個人所得に対しての理論上の税率のことです。


この税率は、実際の納税で利用することは無く、税効果会計や総合予算の作成にて、

法人税等を想定する際に用いることが一般的です。


この法人所得の実効税率と表面税率は全く違います。


その違いは、法人事業税は損金算入であり、その節税効果を考慮している為で、

この税率は理論上の税負担率となっています。


法定実効税率とは、税務上の課税所得に対する税金の割合のことで、

単に、実効税率と呼ぶ場合もあります。


また、表面税率とは、法人税、法人住民税、法人事業税それぞれの税率を

単純に合計したものです。


この税率の計算式は、下記のようになります。


法定実行税率の計算式

〔法人税率+(法人税率×住民税率)+事業税率〕÷(1+事業税率)


この税率は、期末資本金の金額や所得金額によって最低21.42%から最高36.05%

となっているので、(期末資本金1億円以下で所得が2500万円以下の企業の場合)

予算作成の実務では、期末資本金の金額や所得の金額に応じて、この税率を使い

分けることになります。


大半の中小企業が該当する法人所得の実行税率は下記の通りです。


期末資本金1億円以下で所得が2500万円以下の企業の場合

所得 税率
所得400万円以下の部分 21.42%
所得400万円以上800万円以下の部分 23.20%
所得800万円以上の部分 36.05%



また、世界の主要国の、法人所得税の、この税率の国際比較は下記の通りです。


2014年3月現在 財務省調査法人所得税の実効税率の国際比較

名称 税率
米国 40.75%
日本 37.00%
フランス 33.33%
ドイツ 29.59%
中国 25.00%
韓国 24.20%
イギリス 23.00%
シンガポール 17.00%



この税率を国際比較すると、日本の実効税率はトップクラス

に高いことは明らかです。


日本企業の税負担が他国の企業と比較して多いことは、間違いなく国際競争力

において不利になり、このまま日本の法人税が高いままだと、有力な企業は

税負担の少ない国へ本社を移転してしまう可能性もあります。


日本の国としても大幅に税収が減少することも考えられるため、

日本の法人税率の引き下げは、日本の税制の大きな課題です。


なお、中小企業の、この税率は、上記にも示している様に資本金や課税所得

により異なりますので、中小企業実効税率を予算を作成する際に用いる場合は、

中小企業の資本金や課税所得により使い分ける必要があります。


■予算管理

予算管理とは、自社のあるべき姿を客観的な予算として予算編成し、 予算と実績を

比較して、分析・評価・対策までの活動全体を含む 仕組みのことです。


この予算管理の英語表記は、Budget Control (バジェットコントロール)であり、

この頭文字を取って、BCと略して呼ばれることもあります。


この予算管理は、経営をコントロールする為の仕組みであり、管理会計

概念の1つです。


予算管理のプロセスは、予算編成、予算統制、戦略活動の修正の3つの プロセスで

構成されています。


また、予算管理において、総合予算を全て管理する理由としては、 あるべき姿とは、

損益計算書だけにあるのではないことと、損益計算書は、 総合予算の構成要素の一つに

過ぎず、損益計算書は、貸借対照表の資金や設備の制約を受けるからです。


そして、予算管理を実施している大半の企業では、予算と実績の差額だけを 計算して、

予算実績管理表などに纏めるだけで、予算実績差異の原因を 明らかにしていないので、

本当の意味で、予算管理をしている企業が少ない のが現状といえます。


予算実績差異とは、単年度経営計画や中期経営計画で作成した定量計画である

予算と実績との差異のことです。


予算実績差異は、月次単位で、計画した予算と実績の差異を把握することが

一般的であり、予算実績管理をすることで、BS・PL・CFの

予算実績差異が明らかとなります。


この予算実績差異を求める理由は、予算と実績の差異の原因を調査することに

ありますが、予算実績差異を求めるだけで、その差異という結果の原因を

掘り下げて調べなければ、経営課題が解決されることはありません。


また、予算実績差異分析をして意味がある場合は、予算のBS・PL・CFを

作成する際に、それらの計画が合理的根拠を基に作成されている場合で、

合理的根拠もなく作成された予算を用いて、予算実績差異を算出しても、

予算と実績の差異の金額を計算するだけで、差異という結果の原因を掘り

下げることはできません。


そして、簿記の検定試験などにおいても、予算実績差異を求める問題が

出題されているようですが、簿記で出題されるレベルは、予算実績差異の結果

を計算するだけの内容なので、実務において、役に立つ内容ではありません。


予算実績差異分析とは、単年度経営計画や中期経営計画で作成した

定量計画である予算と実績との差異の原因を分析することです。


予算実績差異分析は、月次単位で、計画した予算と実績の差異を

分析することが一般的で、予算実績差異分析をすることで、差異の原因が

どこりあり、何故、差異が発生したのかを明らかにします。


この予算実績差異を分析する目的は、予算が未達となった場合に、

その未達となった原因を分析することで、早期に、経営課題の解決策や

改善策を検討し戦略等の変更をする為です。


また、予算実績差異分析をする際は、予算と実績の差異の金額を

計算したり、予算に対する進捗率を算出したりしますが、それらは、

結果であり、予算実績差異分析をする本来の目的ではないので、

それらを計算するのは、本来の目的を果たす為の、スタートラインです。


そして、予算実績差異分析は、管理会計の範疇となりますが、一般的な

分析アプローチの方法としては、項目別分析と要因別分析があります。


項目別分析とは、売上高、変動費、固定費などの利益を構成する要素に

分類して分析することで、要因別分析とは、外部要因に影響される、

販売数量、販売価格、変動費などを分析することです。


尚、企業において、予算実績管理をする部署は、組織に経営企画室が

存在する場合は、経営企画室の役割となりますが、組織に経営企画室が

存在しない場合は、経理部の役割となります。


ちなみに、予算管理において、戦略活動の修正のプロセスを機能させるためには、

経営の見える化の導入が必須といえます。


■予算編成方針

予算編成方針とは、予算編成をするうえで、基本的な考え方を纏めたものです。


企業において、予算編成方針が決定する過程としては、最初に、経営陣が、

予算編成方針骨子を示し、次に、予算委員会で、審議・検討・調整され、

取締役会にて、予算編成方針が決定されます。


予算編成方針は、予算管理の構成要素の1つであり、スタートラインです。


この予算編成方針は、企業として、どのような考え方で予算作成していくかを、

具体的な言葉と数字で示したものなので、予算編成プロセスの中で

最も重要なプロセスといえます。


また、予算編成方針の叩き台となる、予算編成方針骨子を作成する際は、

経営陣の基本的な考えを、経営企画室が、纏めて具現化することになります。


ちなみに、予算編成方針の中に盛り込まれる主な項目としては、

下記の通りです。


予算編成方針主要項目

①利益計画
②貸借対照表計画
③キャッシュフロー計画
④営業・販売方針
⑤生産・仕入管理方針
⑥設備投資方針
⑦資金調達方針


そして、予算編成方針が決定されて、予算編成スケジュールも確定すると、次は、

各部門の予算編成方針を作成することになりますが、各部門の予算編成方針を

作成する際は、会社予算の編成方針に沿って、部門の予算編成方針を

作成することになります。


尚、企業において、予算編成方針を纏める部署は、組織に経営企画室が

存在する場合は、経営企画室の役割となりますが、組織に経営企画室が

存在しない場合は、経理部の役割となります。


■予算編成

予算編成とは、ある計画の収支や費用についてあらかじめ考えて、数値による

見積もりをするプロセスや活動全般のことです。


予算編成は、予算編成方針に基づき、各業務において活動を計画を立て、

それらの活動計画を経常予算と資本予算に纏めて、総合予算を作成する活動

なのです。


予算編成は、予算管理の構成要素の1つです。


企業予算の編成をする際は、企業の予算体系に基づいて作成されること

になります。


この予算編成の最終的なゴールは、企業において計画された全ての

予算を集約して作成する、見積貸借対照表、見積損益計算書、

見積キャッシュフロー計算書、見積資金繰り表で構成される

総合予算を完成させることです。


また、予算編成は、予算管理のプロセスの一部であり、単年度の予算編成の

主要業務と、その流れは下記の通りです。


①当期着地見込みの作成
②当期着地見込みと予算の差異分析
③予算編成方針素案の作成
④予算編成方針の作成(予算を作成するうえで基本的な考え方を纏めたもの)
⑤予算編成スケジュールの作成
⑥各部門予算編成方針の作成
⑦各種経常予算と資本予算の作成
⑧総合予算(貸借対照表・損益計算書・キャシュフロー計算書・資金繰り表)の作成


そして、予算編成業務の課題がないという企業は、まず皆無でしょうが、

もし、予算編成業務の課題がないという企業があるとすれば、その企業は、

理想の予算編成業務や予算の仕組みを理解していないか、理想が、

低い企業といえます。


尚、企業において、予算編成をする部署は、組織に経営企画室が

存在する場合は、経営企画室の役割となりますが、組織に経営企画室が

存在しない場合は、経理部の役割となります。


■予算統制

予算統制とは、経営計画で策定した定量計画と実績を比較分析して経営課題を

顕在化させる経営の仕組みのことです。


予算統制の対象範囲としては、損益予算だけでなく、総合予算の全てであり、

予算統制は、予算実績管理とも呼ばれています。


この予算統制は、予算管理システムのプロセスの一つなので、予算統制が

上手く機能する為には、予算統制をする対象である、総合予算が、机上の空論

ではなく、実際の活動プロセスを基に積み上げられて作成されている必要があり

、損益予算しか作成されていないようでは、予算統制をする意味がありません。


また、予算統制は、経営をコントロールする為には欠かせないものなので、

予算を作成する際は、経営をコントロールする為には必要な項目を全て

計画する必要があります。


そのような、経営をコントロールする為に必要な項目が、予算に反映されて

いてこそ、経営課題を顕在化させることに繋がります。


財務をコントロールする為に必要な項目とは、売上債権回転期間、

棚卸資産回転期間、仕入債務回転期間を決定することにより完成する、

運転資金計画や在庫計画があります。


これらの経常予算を作成することで、実用的な総合予算である、見積貸借対照表、

見積損益計算書、見積キャッシュフロー計算書、見積資金繰り表が完成します。


予算統制の役割を担う部署は、経営企画室か、組織に経営企画室が

存在しない場合は、経理部がその役割を担う部署となります。


ちなみに、ゼロベース予算とは、過去の実績などを考慮せずに、一から必要な予算や

優先順位などを検討し計画を策定する予算のことです。


予算編成の際にゼロベース予算を採用する時は、業績不振の時や、企業が沈滞ムード

の時に、会社を再建しようとするときであり、ゼロベース予算の目的を、費用の観点から

考えると、単純なコスト削減だけの為ではなく、無駄の排除であるといえます。


このゼロベース予算は、自社にとっての売上高や経費などの、あるべき姿を

最優先する予算の設定方法なので、全ての予算項目について、過去のしがらみや

既得権益を排除し、費用や設備投資についても、優先順位をつけて、

必要なものにだけ予算をつけることになります。


また、ゼロベース予算の、予算の立案をする際の基本的な考え方としては、

自社が得意とするコアコンピタンスを明確にして、総花化を廃止し、選択と集中による

重点的な配分をすることなので、ゼロベース予算を作成する際は、事業部門の優先順位、

業務の優先順位、投資の優先順位などを明確にする必要があります。


予算編成に携わる者が、固定観念や過去の成功体験や経験に囚われる人が多ければ、

ゼロベース予算の作成は不可能なので、本気でゼロベース予算を作成しようとする際は、

予算編成責任者には、固定観念や過去のしがらみに囚われない人にすべきです。


なお、財務戦略の作成方法や総合予算の作成方法のスキルを身に付けたい方には、

弊所予算作成セミナーの、総合コースのセミナーがお勧めでございます。