損益計算書(PL)


■損益計算書とは

損益計算書とは、企業のある事業期間における企業の儲けである

経営成績を表す財務諸表です。


損益計算書は、PLと略して呼ぶことが一般的です。


この損益計算書は、企業の株主・債権者等に経営状況を報告する為の財務諸表です。


損益計算書は、貸借対照表、キャッシュフロー計算書とともに企業経営に必要な

経営管理ツールです。


この損益計算書(PL)は、売上総利益の区分、営業損益の区分、経常損益の区分、

税引前損益の区分、当期純損益の区分の5つに分類されています。


財務分析をする際に損益計算書(PL)を読む時の留意点としては、

まず当期純損益が黒字なのか赤字であるのかを確認し、次に赤字であれば、

損益計算書のどの段階で赤字に陥っているのかを確認し原因を大雑把に

掴む事が重要です。


また、 損益計算書の数値は、単年度の財務指標だけで判断するのではなく、

時系列で見ることで指標の数値の良し悪しを判断する必要があります。


損益計算書(PL)を分析する際は、まずは、過去の事業年度データを並べて

時系列分析をすることが基本です。


そして、損益計算書は、同業他社の財務指標と比較することで、自社の強みと弱みが

明らかになり、改善すべき項目を具体的に把握することが可能になります。


また、損益計算書(PL)は、企業全体の損益だけを把握する為だけではいけません。


管理会計の分野である、どのセグメントやどのクライアントが会社の利益に

貢献しているかも把握する必要があります。


予算実績管理をする際は、企業の様々なセグメント別損益計算書を作成したり、

限界利益や損益分岐点を管理する為の変動費・固定費の把握等の為に、様々な形式の

損益計算書を作成分析することが企業にとってはより重要なことです。


尚、損益計算書は、貸借対照表の制約を受けますので、予算損益計算書(PL)作成

だけをしても、机上の空論となってしまいます。


よって、予算バランスシート(BS)も合わせて作成することが、総合予算作成の基本

となります。


■損益計算書の構成要素

損益計算書には数多くの勘定科目が存在しますが、経営において特に重要な勘定科目に

ついて解説します。


・売上高

売上高とは、企業が提供する主たる営業活動である商品・製品の販売や

サービスの提供などにより獲得した金額を処理する収益の勘定科目です。


会計の知識の無い方は、年商と売上高の違いについて質問される方が多いのですが、

年商とは、年間売上高のことを意味しています。


課税売上高とは、消費税が課税される対象の売上高のことです。


売上高は、企業が複数の事業を営む場合には適当な区分により分類する必要があります。


また、売上高は、企業活動の結果、企業が成長しているかどうかを的確に

示すものなので、損益計算書(PL)の中でも最も重要視すべき勘定科目の1つです。


売上高の金額は、単価と数量で決定しますので、売上高を増加させるためには、

単価を増加させるか、数量を増やす企業努力をする必要があります。


売上高の計上基準には、①出荷基準、②販売基準、③検収基準があります。


ちなみに、予算である売上計画は、売上予算と売上代金回収計画で構成されており、

売上管理をする為のスタートラインは、売上計画を作成することです。


売上高の控除勘定科目には、売上値引高(売上値引)、売上戻り高、

売上割戻し、売上割引などがあります。


純売上高とは、総売上高から、売上戻り高、売上割戻し、売上割引を差し引いて

算出した金額のことです。


売上値引高、売上戻り高、売上割戻し、の勘定科目は、総額主義に基づく会計処理

をした場合に用いられ、売上割引は金融費用の性質を持つ為、売上高から直接控除

はできません。


外貨建取引の売上高を会計処理する場合は、取引発生時点の為替相場により円換算を

行い、売上高を計上することになります。


その、外貨建取引の売上高を会計処理する場合の、取引発生時点の為替相場とは、

取引日の対顧客電信売相場(TTS)ではなく、対顧客電信買相場(TTB)か対顧客電信

仲値相場(TTM)のことです。


継続適用を条件に、取引日の属する月の前月や前週の平均相場のような、

1ヵ月以内の一定期間内のTTB(電信買相場)かTTM(電信売買相場の仲値)の

平均値を適用することも出来ます。


尚、売上高の外貨建取引の会計処理については、法人税法では、TTMの適用が原則で、

電信売買レートについても、企業の主たる取引金融機関のものを適用することが原則

とされています。


ちなみに、人時売上高とは、売上高を総労働時間数で割ることにより算出した数値の

ことで、人時売上高の数値は高い方が好ましいことはいうまでもありません。


人時売上高計算式

・人時売上高=売上高÷総労働時間数(全従業員の労働時間数合計)


・仕入高

仕入高とは、企業が提供する主たる営業活動である商品を販売する為や、

製品を製造する為に仕入れた商品や原材料などを処理する勘定科目です。


仕入高は、売上原価を算定する為の重要な費用の勘定科目です。


この仕入高の計上基準としては、①出荷基準、②入荷基準、③検収基準があります。


ちなみに、予算である仕入計画は、仕入予算と仕入代金支払計画で構成されており、

仕入管理をする為のスタートラインは、仕入計画を作成することです。


また、小規模な未上場企業では、請求書が到着した際に仕入高を計上している

会社もありますが、仕入高の計上基準に請求書到着基準はありません。


一度決定した仕入高の計上基準は継続して適用する必要があります。


また、仕入高の控除勘定科目には、仕入値引高(仕入値引)、仕入戻し高、

仕入割戻し、仕入割引などがあります。


仕入値引高、仕入戻し高、仕入割戻し、の勘定科目は、総額主義に基づく会計処理を

した場合に用いられ、仕入割引は金融収益の性質を持つ為、仕入高から直接控除は

できません。


仕入高には、仕入に要した付随費用である、運送料、運送保険料、購入手数料、

荷役費、関税、引取運賃などを加算しますが、これらの付随費用が小額である

場合は、仕入高に参入しないことも出来ます。


付随費用の金額が小額かどうかの判定基準は、仕入高の3%以内の金額が目安です。


次に、外貨建取引の仕入高を会計処理する場合は、取引発生時点の

為替相場により円換算を行い、仕入高を計上することになります。


その、外貨建取引の仕入高を会計処理する場合の、取引発生時点の為替相場とは、

取引日のTTS(電信売相場)かTTM(電信売買相場の仲値)のことです。


継続適用を条件に、取引日の属する月の前月や前週の平均相場のような、

1月以内の一定期間内のTTSかTTMの平均値を適用することも出来ます。


尚、仕入高の外貨建取引の会計処理については、法人税法では、

TTM(電信売買相場の仲値)の適用が原則で、電信売買レートについても、

企業の主たる取引金融機関のものを適用することが原則とされています。


ちなみに、売上原価を算定する際は、当期の仕入高と期首と期末の

棚卸資産を活用し、計算式は下記のようになります。


・売上原価=期首棚卸高+当期仕入高-期末棚卸高


・売上総利益

売上総利益とは、損益計算書上において、売上高から売上原価を

差し引いて算出する金額を処理する収益の勘定科目です。


売上総利益は、粗利益やマージンとも呼ばれています。


売上総利益は、企業にとっての利益や競争力の源泉を示すものであり、

営業利益や経常利益を伸ばす為には、まずは、売上総利益を増やす為の

施策を講じる必要があります。


この売上総利益は、 損益計算書(PL)においては、売上高から売上原価を

差し引いて計算されます。


売上総利益が増加するケースとしては、下記の通りです。


売上総利益が増加するケース

①売上件数の増加
②売上単価の上昇
③仕入単価の減少


①のケースは、売上件数の増加により、売上高が増えることで、

売上総利益も増加します。


②のケースは、売上単価が上昇することで、売上高が増えて、

売上総利益の増加に繋がります。


③のケースは、仕入単価が減少することで、原価率が低下し、売上総利益が

増加することになります。


また、売上総利益を財務分析する際は、時系列で金額自体の量の部分と利益率

である質の部分の両方の推移を確認する必要があります。


そして、売上高に対する売上総利益の利益率である売上総利益率が高いことは、

その企業の商品やサービスにブランド力があることを示すものです。


ちなみに、ブランドとは、顧客に対する約束であるといえます。


・売上原価

売上原価とは、売上高である商品・製品の販売やサービスの提供を

する為に直接要した原価を処理する費用の勘定科目です。


説明するまでもなく、製造業の製造原価は、売上原価ではありません。


卸売業の損益計算書(PL)における売上原価の計算式は、期首の棚卸資産に

当期仕入高を足して、期末の棚卸資産を差し引いて算出することになります。


また、製造業の売上原価の計算式は、期首の棚卸資産に当期総製造費用を

足して、期末の棚卸資産を差し引いて算出します。


建設業の売上原価の計算式は、期首未成工事支出金に当期総工事費用を足して、

期末未成工事支出金を差し引いて算出します。


この売上原価の構成要素は、物品を仕入れて販売する卸売業や小売業、

製品を製造する製造業、建物などを建設する建設業、サービスを提供する

サービス業では異なります。


ちなみに、製造予算では、製品の生産量、原材料在庫、仕掛品在庫、製品在庫、

製品製造原価を作成することになり、製造予算を作成することは、製品の予定原価を

設定することです。


売上原価は、棚卸資産をどのように評価するかで金額が増減しますが、

この棚卸資産の評価方法には原価法と低価法があります。


・販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費とは、企業の営業活動や一般管理業務をすることにより

発生する費用です。


販売費及び一般管理費には、損益計算書(PL)の売上原価や財務活動に伴う費用は

含まれず、販売費及び一般管理費は、営業費とも呼ばれています。


この販売費及び一般管理費の中の販売費は、販売活動における費用です。


販売費及び一般管理費の中の一般管理費は、企業の管理部門における

管理業務全般の費用です。


一般管理費には、役員や管理部門(経理部・総務部・人事部・財務部・経営企画室)等の

人件費や、企業全体を維持運営管理するための費用が該当します。


また、販売費及び一般管理費の予算を作成する際は、各事業部門や

部署毎に予算を作成します。


本社経費は予算作成後、各事業部門へ適切な配賦基準で配賦することになり、

本社経費の各部門への配賦額が決定すると、予算上で各事業部門が負担すべき

経費が決定します。


尚、本社経費は固定費と見るべき費用でもあるため、販売費及び一般管理費を

削減する際は、最初に本社経費の見直しからはじめる企業が一般的です。


主な販売費及び一般管理費の勘定科目

  • 役員報酬-役員に支払う給与を処理する。

  • 給与手当-従業員に支払う給与を処理する。

  • 法定福利費-会社が負担すべき各種社会保険料等を処理する。

  • 福利厚生費-役員や従業員の福利厚生の為に支出した費用を処理する。

  • 減価償却費-固定資産の、時の経過等による価値の目減り分を処理する。

  • 地代家賃-事務所、工場、倉庫などの建物の家賃を処理する。

  • 修繕費-修理や改修などに要した費用を処理する。

  • リース料-所有者から当該物件を賃借した使用料を処理する。

  • 旅費交通費-交通機関の利用料金や国内外の出張にかかる諸経費を処理する。

  • 通信費-電話回線の使用料やインターネット接続料金などの費用を処理する。

  • 水道光熱費-電気代やガス代などの費用を処理する。

  • 租税公課-国税や地方税などを支払った際に処理する。

  • 寄付金-無償で現金や物品などを供与する経済的利益の贈与をした時に処理する。

  • 接待交際費-接待、贈答、供応、慰安などの費用を処理する。

  • 保険料-生命保険や損害保険のなどの各種掛け捨て保険の費用を処理する。

  • 支払手数料-業務委託した際に支払う手数料を処理する。

  • 消耗品費-固定資産に計上しない備品を処理する。

  • 諸会費-商工会議所や同業者団体などの様々な団体に支払う会費を処理する。

  • 貸倒引当金繰入額-金銭債権に対する回収不能見込額を費用として計上する際に処理する。

  • 研究開発費-新しい技術などの研究開発や、既存技術などの研究開発の為に支出される費用を処理する。

  • 雑費-販売費及び一般管理費のいずれの勘定科目にも該当せず、金額も小額であり、発生頻度も少ない費用を処理する。



・営業利益

営業利益とは、企業の営業活動によって生まれる本業の利益を表す

収益の勘定科目です。


営業利益の計算は、売上高から売上原価・販売費及び一般管理費の本業に

関わるコストを差引き算出します。


営業利益は、経常利益と異なり、本業での利益を示すので、損益計算書(PL)の中で、

最も重要な勘定科目の1つといえます。


この営業利益は、金額自体の大きさは当然重要ですが、売上高に対する

売上高営業利益率、減価償却前営業利益であるEBITDA、総資産に対する

総資産営業利益率なども確認すべき項目です。


また、営業利益を分析する際は、自社の時系列データの推移を比較したり、

同業他社や同業種の平均値と比較をし分析することになります。


このような営業利益の分析アプローチ手法は、経営分析における財務分析の

収益性分析です。


営業利益が増加するケースとしては下記の通りです。


営業利益が増加するケース

①売上件数の増加
②売上単価の上昇
③仕入単価の減少
④販売費及び一般管理費の減少
⑤総資産の圧縮


また、工場や設備などの固定資産を多く持つ製造業の企業は、減価償却前営業利益

であるEBITDAが高くなる傾向にあります。


大まかなキャッシュフローの推移を掴むには、EBITDAと棚卸資産・売上債権・

仕入債務の増減の推移を掴んでおけば充分です。


・経常利益

経常利益とは、企業の営業活動によって生まれる本業の営業利益に

本業以外の投資活動や財務活動などにより経常的に発生する営業外収益と

営業外費用を加減したものを処理する収益の勘定科目です。


経常利益は、平常の事業期間において毎期継続的・反復的に繰り返される事業活動の

結果による利益であり、経常利益は、企業の本業の営業・財務・投資活動を含めた

トータルな実力を示す利益といえます。


この経常利益は、金額自体の大きさは当然重要ですが、売上高に対する

売上高経常利益率、総資産に対する総資産経常利益率なども確認すべき項目です。


経常利益が増加するケースとしては下記の通りです。


経常利益が増加する主なケース

①売上総利益の増加
②販売費及び一般管理費の減少
③有利子負債の減少
④総資産の圧縮
⑤金融資産の増加


尚、損益計算書の項目である経常利益と比較されることが多いのが、

資金表の項目である経常収支です。


・税引前当期純利益

税引前当期純利益とは、企業の本業の営業活動・投資活動・財務活動等の

経常的に発生する経常利益に、臨時的・例外的・偶発的な要因の特別利益、

特別損失を加減して算出した利益を処理する収益の勘定科目です。


税引前当期純利益は、法人税法上の課税所得に近い利益であり、税引前当期純利益は、

企業が事業活動において獲得した全ての利益の金額を示すものです。


この税引前当期純利益は、経常利益の金額とほぼ同じ金額になることが一般的です。


事業年度において、企業にとって大きな事件が発生した場合には、多額の特別損失を

計上することになりますので、経常利益より税引前当期純利益が大幅に減少している

場合は、企業に、何か大きな出来事が起こったと考えられます。


また、税引前当期純利益から、法人税等調整額や法人税、住民税及び事業税を

差し引いて当期純利益を算出することになるのですが、連結決算の場合は、

税引前当期純利益から、少数株主の持分である少数株主利益も差し引いて

当期純利益を算出します。


尚、損益計算書上において、経常利益の金額に特別利益を加えた金額よりも

特別損失の金額が上回った場合は、税引前当期純損失の勘定科目を用いる

事になります。


・法人税等調整額

法人税等調整額とは、税効果会計の適用により計上される、当期事業年度の

法人税、法人住民税、法人事業税の調整額を処理する勘定科目です。


法人税等調整額が計上されることは、繰延税金資産か繰延税金負債が発生している

ことを意味しており、法人税等調整額は、損益計算書(PL)上で、税引前当期純利益

に加減することになる為、当期純利益の金額に影響を与えます。


この法人税等調整額は、税効果会計を適用することにより、繰延税金資産か

繰延税金負債が発生する場合に計上されます。


税効果会計は、会計上と税務上にて取り扱いが異なる項目の調整をする会計処理です。


税効果会計において、取り扱いが異なる項目は、永久差異と一時差異に分類され、

税効果会計の対象となるのは一時差異であり、永久差異は、税効果会計の対象

ではありません。


ゆえに、法人税等調整額の計上に、永久差異は関係することはありません。


ちなみに、永久差異とは、会計上では費用や収益となるが、税務上では、

損金や益金とならないものであり、その具体例としては、交際費、寄付金、

受取配当金などがあります。


・当期純利益

当期純利益とは、税引前当期純利益に、法人税・住民税及び事業税と

税効果会計による法人税等調整額などを加減して算出した利益を

処理する収益の勘定科目です。


当期純利益が計上されていれば、その金額だけ企業の正味財産が増え、

株主資本も増加することになります。


この当期純利益は、企業価値を示す1株利益(EPS)やPER(株価収益率)を

算出する際に用いられる利益なのですが、企業の真の収益力を示すのは、

当期純利益ではなく、経常利益です。


その理由として、経常利益は、本業の営業活動や経常的な投資活動・財務活動の

数値のみが反映された利益であるからです。


ゆえに、当期純利益を用いて算出した、1株利益(EPS)やPER(株価収益率)は、

企業価値を示す参考程度のデータにすぎない指標といえます。


なお、稀に、損益計算書上の税引前当期純利益より、当期純利益の金額の方が

大きくなるケースがありますが、その原因としては、税効果会計適用による

法人税等調整額が影響しています。


■その他の損益計算書の構成要素

・売上値引高(売上値引)

売上値引高(売上値引)とは、販売した商品等について、品違い、量目不足、

品質不良、納期遅延、損傷、汚れなどの理由で売上取引の金額を減額修正する

勘定科目のことです。


売上値引高は、損益計算書(PL)上では、売上に対する控除項目として、

売上高から控除して表示します。


この売上値引高(売上値引)は、総額主義に基づく会計処理をした場合に

使用されます。


売上値引きに関する総額主義とは、売上値引きの金額を帳簿上で

明確にするために売上値引高を用いて会計処理することです。


また、売上値引高(売上値引)を用いない会計処理が純額主義で、売上値引きに

関する純額主義とは、売上高を直接減額する会計処理です。


ちなみに、企業会計原則では、総額主義の原則があります。


・売上戻り高

売上戻り高とは、販売した商品等について、品違い、量目不足、品質不良、

納期遅延、損傷、汚れなどの理由で返品されたため、売上取引の金額を

減額修正する勘定科目のことです。


売上戻り高は、損益計算書(PL)上では、売上に対する控除項目として、

売上高から控除して表示します。


この売上戻り高は、総額主義に基づく会計処理をした場合に使用されます。


・売上割戻し

売上割戻しとは、一定期間内に売上高などを基準として、売上代金の

一部を割戻した際に用いる勘定科目です。


このような売上割戻しは、商習慣上一般的で、売上割戻しは、

一種のリベートなので、売上値引や売上戻りとは性質が異なります。


売上割戻しは、損益計算書(PL)上では、売上に対する控除項目として、

売上高から控除して表示します。


この売上割戻しとは、総額主義に基づく会計処理をした場合に使用されます。


・売上割引

売上割引とは、売上代金を期日前に支払を受けたり、売上代金の

支払方法を手形支払から現金支払に変更してもらった時等に用いる

勘定科目です。


売上割引は、得意先から売上債権を前倒しで支払を受けることに

対する金融費用の性質があります。


売上割引は、損益計算書上では、営業外費用の項目に表示します。


この売上割引は、金融取引の性質があるため、売上値引きなどのように、

売上高からを売上割引を直接減額する会計処理はできません。


・仕入値引高(仕入値引)

仕入値引高(仕入値引)とは、仕入れた商品等について、品違い、

量目不足、品質不良、納期遅延、損傷、汚れなどの理由で仕入取引の

金額を減額修正する勘定科目のことです。


仕入値引高は、損益計算書(PL)上では、仕入に対する控除項目として、

仕入高から控除して表示します。


この仕入値引高(仕入値引)は、総額主義に基づく会計処理をした場合に

使用され、仕入値引きに関する総額主義とは、仕入値引きの金額を帳簿上で

明確にするために仕入値引高を用いて会計処理することです。


また、仕入値引高(仕入値引)を用いない会計処理が純額主義で、仕入値引きに

関する純額主義とは、仕入高を直接減額する会計処理です。


・仕入戻し高

仕入戻し高とは、仕入れた商品等について、品違い、量目不足、品質不良、

納期遅延、損傷、汚れなどの理由で返品したために、仕入れ取引の金額を

減額修正する勘定科目のことです。


仕入戻し高は、損益計算書(PL)上では、仕入に対する控除項目として、

仕入高から控除して表示します。


この仕入戻し高は、総額主義に基づく会計処理をした場合に使用されます。


・仕入割戻し

仕入割戻しとは、一定期間内に仕入高などを基準として、仕入代金の

一部を割戻しを受けた際に用いる勘定科目です。


このような仕入割戻しは、商習慣上一般的で、仕入割戻しは、

一種のリベートなので、仕入値引や仕入戻しとは性質が異なります。


仕入割戻しは、損益計算書(PL)上では、仕入に対する控除項目として、

仕入高から控除して表示します。


この仕入割戻しとは、総額主義に基づく会計処理をした場合に使用されます。


・仕入割引

仕入割引とは、仕入代金を期日前に支払をしたり、仕入代金の支払方法を

手形支払から現金支払に変更した時等に用いる勘定科目です。


仕入割引は、取引先へ仕入債務を前倒しで支払を受けることに対する金融収益の性質が

あり、仕入割引は、損益計算書上では、営業外収益の項目に表示します。


この仕入割引は、金融取引の性質があるため、仕入値引きなどのように、

仕入高から仕入割引を直接減額する会計処理はできません。


・創立費

創立費とは、会社に帰属する会社の設立準備から設立登記迄の

期間に要した費用を処理する資産の勘定科目です。


創立費は、会社法における繰延資産に該当します。


創立費の会計処理は、支出時に営業外費用として処理するか、

繰延資産に計上して5年以内に償却をする処理が選択できます。


創立費は、バランスシート上では繰延資産の部に表示します。


この創立費に含まれるものとしては、下記の通りです。


・定款や会社の諸規則作成に要した費用
・設立事務に使用する使用人の給料手当などの費用
・株式募集その他のための広告費
・株式申込証・目論見書・株券などの印刷費用
・銀行や証券会社などの金融機関の取扱手数料
・発起人が受ける報酬
・創立総会に関する費用
・会社設立事務に要した費用
・行政書士や司法書士に支払う設立登記報酬
・設立登記の登録免許税


また、創立費の会計処理は、原則として、支出時に営業外費用として

処理することになります。


会社法での創立費の償却は、年割償却で計算するのではなく、

月割償却で計算します。


・開業費

開業費とは、法的に法人の設立となる法人設立登記後から営業を

開始するまでの期間に要した費用を処理する資産の勘定科目です。


開業費は、会社法における繰延資産に該当し、開業費の会計処理は、

支出時に営業外費用として処理するか、繰延資産に計上して5年以内に償却を

する処理が選択できます。


開業費は、バランスシート上では繰延資産の部に表示します。


この開業費に含まれるものとしては、下記の通りです。


・役員に支払う役員報酬
・従業員に支払う給与手当
・社会保険料などの法定福利費
・地代家賃、通信費、広告宣伝費、消耗品費などの販売費及び一般管理費
・支払利息などの営業外費用


会社法での開業費の償却は、年割償却で計算するのではなく、

月割償却で計算することになります。


・開発費

開発費とは、新技術の採用、新経営組織の採用、資源の開発及び

市場の開拓などの企業の新たな経営企画や組織運営に係る費用を

処理する資産の勘定科目です。


開発費は、会社法における繰延資産に該当し、開発費の会計処理は、

支出時に営業外費用として処理するか、繰延資産に計上して5年以内に

償却をする処理が選択できます。


開発費は、バランスシート上では繰延資産の部に表示します。


この開発費に似た勘定科目に研究開発費があります。


研究開発費とは、企業が新しい技術や新しい製品の調査発見の為の研究開発や、

既存技術や既存製品の著しい改良などの調査発見の為の研究開発の為に

支出される費用を処理する勘定科目です。


研究開発費は、発生時に全て費用処理することが原則であり、一般的に

研究開発費は、原価性がないと考えられているので、販売費及び一般管理費

の区分に表示することになります。


開発費と研究開発費の違いのポイントは、開発計画や研究段階の

費用であるかどうかです。


会社法での開発費の償却は、年割償却で計算するのではなく、月割償却で

計算することになります。


・株式交付費

株式交付費とは、会社設立後、財務活動である資金調達をする為に

新たな株式を発行するために要した株式募集のための広告費などに

直接支出した費用や自己株式の処分に係る費用を処理する資産の

勘定科目です。


株式交付費は、会社法における繰延資産に該当し、株式交付費の会計処理は、

支出時に営業外費用として処理するか、繰延資産に計上して3年以内に償却

をする処理が選択できます。


株式交付費は、バランスシート上では繰延資産の部に表示します。


この株式交付費に該当するものとしては、下記の通りです。


・株式募集のための広告費
・銀行や証券会社などの金融機関に支払う手数料
・株式申込書
・目論見書
・変更登記の登録免許税
・その他新株発行に直接要した費用


会社法での株式交付費の償却は、年割償却で計算するのではなく、

月割償却で計算することになります。


・社債発行費

社債発行費とは、財務活動である資金調達をする為に、社債募集の

広告費などのような社債発行の為に直接要した費用を処理する資産の

勘定科目です。


社債発行費は、会社法における繰延資産に該当します。


社債発行費の会計処理は、支出時に営業外費用として処理するか、

繰延資産に計上して3年以内に償却をする処理が選択できます。


社債発行費は、バランスシート上では繰延資産の部に表示します。


この社債発行費に該当するものとしては、下記の通りです。


・社債募集のための広告費
・銀行や証券会社などの金融機関に支払う手数料
・社債申込書
・目論見書
・社債登記の登録免許税
・その他社債発行に直接要した費用


社債発行費を繰延資産に計上した場合、社債の償還期間にわたり

利息法により償却することが原則ですが、継続適用を条件に定額法にて

償却することも可能です。


会社法での社債発行費の償却は、年割償却で計算するのではなく、

月割償却で計算することになります。


また、新株予約権の発行に係る費用についても、財務活動である

資金調達をする為のものは、繰延資産として会計処理することができ、

償却方法は3年以内に定額法にて償却をすることになります。


・営業外収益

営業外収益とは、本業以外の投資活動や財務活動などにより経常的に

発生する収益を処理する収益の勘定科目です。


営業外収益は、損益計算書の経常損益の部に表示します。


また、営業外収益には、法人税法上、益金不算入になる受取配当金が

含まれますが、この受取配当金が全て益金不算入になる訳ではなく、

特定株式等からの受取配当金のみ全額益金不算入になります。


それ以外の配当金は、法人税法の規定されている計算式に従い

受取配当金の益金不算入の金額を計算することになります。


営業外収益全体の10%を超える同一の内容の取引金額がある場合は、

その内容を適切に示した勘定科目が使用されることになりますが、

それ以外の小額な取引や重要性の低い取引は雑収入の勘定科目で

処理することになります。


ちなみに、会社法においては、営業外収益と営業外費用を区分せず、

営業外収益と営業外費用の差額を営業外損益として区分することができます。


営業外収益勘定科目一覧

・受取利息 (預貯金や貸付金などに対する利子)
・受取配当金 (株式や出資金などを保有していると得られる配当金)
・有価証券売却益 (有価証券を売却した際の利益額)
・有価証券利息(国債や社債などの債券の利息)
・仕入割引 (仕入代金の早期の支払による割引額)
・持分法による投資利益(持分法適用会社の純利益を、出資比率に応じて計上した金額)
・雑収入 (経常的な活動をする中で発生する小額な取引や重要性の低い収益)
・為替差益 (決済時や期末の為替レートが円安の場合に発生する収益)


・営業外費用

営業外費用とは、本業以外の投資活動や財務活動などにより経常的に

発生する費用を処理する費用の勘定科目です。


一般的に、営業外費用は、大部分が金融費用で占められている場合が多く、

営業外費用は、損益計算書の経常損益の部に表示します。


営業外費用全体の10%を超える同一の内容の取引金額がある場合は、

その内容を適切に示した勘定科目が使用されることになりますが、

それ以外の小額な取引や重要性の低い取引は雑損失の勘定科目で

会計処理することになります。


営業外費用勘定科目一覧

・支払利息(銀行などから借入をしている場合に発生する利息)
・有価証券売却損(有価証券を売却した際の損失額)
・社債利息(社債を発行した際に発生する支払利息)
・売上割引(売上代金を早期に支払を受けることによる割引額)
・持分法による投資損失 (持分法適用会社の純損失を、出資比率に応じて計上した金額)
・雑損失 (経常的な活動をする中で発生する小額な取引や重要性の低い費用)
・為替差損 (決済時や期末の為替レートが円高の場合に発生する費用)


・特別利益

特別利益とは、毎期継続的・反復的に繰り返される企業の本業の営業活動・

財務活動・投資活動以外で生じた臨時的・例外的・偶発的な要因の収益を

処理する勘定科目です。


特別利益は、ある事業年度だけに特別な理由により発生する利益といえます。


この特別利益が発生する理由は、臨時的・例外的・偶発的な要因であり、

特別利益の種類は多岐にわたりますが、主な特別利益の項目は下記の

通りです。


主な特別利益の項目

①固定資産の売却による固定資産売却益
②投資目的で所有していた投資有価証券の売却により発生する投資有価証券売却益
③子会社株式を売却することにより発生する子会社売却益
④関連会社株式を売却することにより発生する関連会社株式売却益
⑤過年度の損益の修正による前期損益修正益
⑥社債を買入償還した際に、買入価額が簿価を下回った場合に発生する社債償還益
⑦借入金などの債務免除を受けた際の債務免除益
⑧火災などの災害で確定した保険金額が、固定資産簿価より高い場合に発生する保険差益
⑨国から受けた助成金を処理する国庫補助金収入
⑩取引先・役員・株主等から資産の贈与を受けた場合等の金額を処理する受贈益
⑪企業が独自運用する厚生年金基金を厚生労働省に代行返上し発生する代行返上益


ちなみに、会社法においては、特別利益と特別損失を区分せず、特別利益と特別損失の

差額を特別損益として区分することができます。


・特別損失

特別損失とは、毎期継続的・反復的に繰り返される企業の本業の営業活動・

財務活動・投資活動以外で生じた臨時的・例外的・偶発的な要因の損失を

処理する費用の勘定科目です。


この特別損失が発生する理由は、臨時的・例外的・偶発的な要因であり、

特別損失の種類は多岐にわたりますが、主な特別損失の項目は下記の通りです。


主な特別損失の項目

①固定資産の売却による固定資産売却損
②固定資産の除却による固定資産除却損
③投資目的で所有していた投資有価証券を売却し発生する投資有価証券売却損
④子会社株式を売却することにより発生する子会社株式売却損
⑤関連会社株式を売却することにより発生する関連会社株式売却損
⑥過年度の損益の修正による前期損益修正損
⑦社債を買入償還した際に、買入価額が簿価を上回った場合に発生する社債償還損
⑧災害や事故などの避けられない原因による損失である臨時損失


・過年度税効果調整額

過年度税効果調整額とは、税効果会計の適用初年度に一時差異等に

係る繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する際に用いる勘定科目です。


過年度税効果調整額は、法人税等調整額のように、税引前当期純利益に

対して調整するのではなく、前期繰越利益剰余金に対しての調整項目となります。


過年度税効果調整額は、当期純利益には影響することはありません。


この過年度税効果調整額は、旧商法では、損益計算書の末尾に表示される

未処分利益を算出する際に、前期繰越利益の調整額として表示していましたが、

会社法においては、株主資本等変動計算書の項目である繰越利益剰余金の

当期変動額に表示します。


なお、過年度税効果調整額を計上する際には、繰延税金資産か繰延税金負債が

計上されることになります。


■売上高や仕入高の計上基準

・出荷基準

出荷基準とは、売上高や仕入高の計上基準の1つです。


出荷基準は、発送基準とも呼ばれています。


出荷基準は、商品を販売する企業が、商品を出荷した時点で収益や費用を

認識する基準です。


出荷基準は、出荷記録等の証憑で出荷(発送)の事実を証明する必要があります。


ちなみに、小規模な未上場企業では、請求書発行時点に売上を計上することが

多いのですが、売上の計上基準に、請求書発行基準はありません。


・販売基準

販売基準とは、売上高の計上基準の1つです。


仕入側から見ると、入荷基準と呼びます。


この販売基準は、引渡基準や納品基準とも呼ばれています。


販売基準では、商品や製品を相手に引渡したり、サービスを提供した時点で

収益を認識する基準です。


実務上は販売基準が、一般的に売上の計上基準に採用されています。


・検収基準

検収基準とは、売上高や仕入高の計上基準のひとつです。


検収基準は、自社又は取引先が納品された商品などの内容を確認し、注文した商品に

間違いないと自社又は取引先が相手へ書面などで意思表示をして、その確認通知を

自社又は取引先が受け取った時に収益や費用を認識する基準のことです。


検収基準は、保守的で堅実な会計処理といえます。


この検収基準は、相手が注文した内容と納品を受けた商品の内容を確認し、

これでOKであるとの検収完了の意思表示を書面にて行なうことからも、債権・債務の

発生時期ともいえ、最も確実で合理性のある収益や費用の計上基準です。


ちなみに、検収基準を採用することは、検収時に再度、発注時の内容と比較・検証する

検収という行為が必ず必要になる為に、企業間でよくトラブルになる商品の仕様の問題

や発注金額の問題などを防ぐ効果もあります。