資金調達


■内部金融と外部金融

会社の資金調達手段を大別すると、内部資金による調達と外部資金による調達

に分類できます。


資金調達をする際は、自社の最適な財務バランスの範囲内で財務レバレッジを高め、

資金調達コストとキャッシュフローを考慮して、自己資本による資金調達か

デットファイナンスによる資金調達を決定することになります。


企業において資金調達を管理するのは、財務部の役割です。


そして、資金調達には、必ず資金調達をする為のコストが発生しますので、

調達額と調達コストとの関係も調達方法を決定する際は考慮します。


内部金融とは、外部から資金調達をするのではなく、利益留保と

減価償却費などの非現金支出費用によって必要資金を賄うことでです。


内部金融は、自己金融とも呼ばれています。


この内部金融は、厳密には、完全に資金調達になっているのではありません。


その理由は、自己金融効果として、内部留保された金額は、発生ベースで

計上されている為、企業間信用取引が加味されおらず、自己金融効果と

される金額の全てが現金として手元に残るわけではないからです。


また、内部金融金融は、利益留保と非現金支出費用で構成されていますが、

製造業では、固定資産が多い為、減価償却費が多額に発生するので、

自己金融機能が大きい業種といえます。


一般的に、内部金融は、キャッシュフローの目安になるといわれることが多いのですが、

自己金融には、キャッシュフローに大きく影響する、運転資金が考慮されていません

ので、自己金融の金額を、キャッシュフローと見ることは無理があります。


尚、厳密に、自力で資金調達した金額を計算したければ、自己金融の金額を

計算するのではなく、営業キャッシュフローやフリーキャッシュフローを

計算するべきです。


もう一つの資金調達手段である外部金融とは、企業が自らの経営活動による

内部留保以外である、外部から資金を調達することです。


外部金融の資金調達手段の種類は、企業間信用、直接金融、間接金融があります。


この外部金融は、企業業績の拡大の為には、必要不可欠なものなのですが、

過度に間接金融に頼りすぎて、現状のレバレッジ比率が適切なレバレッジ比率より

大きく悪化してしまうと、資金ショートを起こす原因ともなりますので、

自社の適切なレバレッジ比率の範囲内に、コントロールする必要があります。


■外部金融の資金調達手段の方法

・企業間信用

企業間信用とは、営業活動をすることにより企業間で発生する債権・債務を、

企業間で定めた条件により、一定期間猶予することです。


この企業間信用は、営業活動の中で、クライアントに与信を与えたり、取引先から

与信を与えられたりする、信用取引をしていることなので、取引先から与信を与えら

れなければ、企業間信用が資金調達手段とはなりません。


ちなみに、営業活動において、クライアントに与信を与えることにより

発生するのが売上債権で、取引先から与信を与えられることにより発生するのが

仕入債務であり、未収入金や未払金の発生も、企業間信用取引の発生に含まれます。


また、厳密にいうと、企業間信用で資金調達となっているのは、仕入債務の支払いを猶予

している場合と、運転資金がマイナスとなり、余剰資金が発生している場合です。


そして、企業間信用は、重要な資金調達手段なので、資金計画を作成する際に、

どの程度、企業間信用で資金調達をするかは重要なポイントであり、企業間信用は、

運転資金計画を左右する項目でもあります。


尚、企業間信用の利用方法によっては、実質的には、企業間信用が資金調達手段と

ならないケースもありますので、企業間信用を活用する際は、事前に、運転資金計画を

作成しておくことは、資金繰りの面からも必要なことです。


・直接金融

直接金融とは、企業が株式や債券などを発行して、直接投資家から

資金調達をすることです。


直接金融は企業の業績や信用力の裏づけがあれば、非上場企業でも直接金融により

資金調達をすることは可能です。


直接金融の最大のメリットは、償還期限が無いか、償還期限が到来するまで元本の

返済が必要ないことです。


ちなみに、金融とは、お金の流れやお金の貸し借りのことです。


この直接金融の手段としては、エクイティファイナンスやデットファイナンス

があります。


また、直接金融で資金調達出来る企業は、信用力がある企業なので、間接金融よりも

有利な条件で資金調達が出来る可能性が高くなります。


ちなみに、メザニンファイナンスは、デットファイナンスとエクイティファイナンスの

中間的な資金調達手段で、劣後債や劣後ローンがあります。


・間接金融

間接金融とは、企業が銀行等の金融機関から資金調達をすることです。


間接金融では、企業は金融機関からの評価によって、調達額や調達コストは変化します。


間接金融で調達した借入金は、1年以内に返済期日が到来する借入金は、短期借入金で、

1年を超えて期日が到来する借入金は長期借入金になります。


間接金融と呼ばれる理由は、銀行などの金融機関は、預金者等から資金調達した資金を、

銀行等が間に入って、企業に融通する仕組みなので、間接金融と呼ばれています。


間接金融において、通常利払いを伴い、利払いを伴う負債による資金調達のことを

デットファイナンスと呼びます。


また、非上場企業で、企業規模が大きくなく財務体質も普通ぐらいの企業では、

金融機関と金銭消費貸借契約を締結し借入れする際に、会社代表者を連帯保証人と

することを求められるのが一般的です。


なお、新規に開業する場合は、日本政策金融公庫の創業融資支援を活用して、

創業に不足する資金を手当てしたり、少人数私募債を活用して、運転資金や設備投資

に充当する資金の手当ても可能です。


・エクイティファイナンス

エクイティファイナンスとは、新株発行や新株予約権付社債の

発行のように、純資産の増加を伴う資金調達のことです。


エクイティファイナンスは、企業の成長を促進する新規事業進出に伴う資金需要と

財務体質の強化・改善には欠かせないもので、エクイティファイナンスは、企業に

とって返済期限の無い資金調達手段です。


主要なエクイティファイナンスの種類

①増資
②新株予約権
③新株予約権付社債


このエクイティファイナンスを実行すると、企業のバランスシートの自己資本は増加を

しますが、発行済株式数も増加し希薄化をまねく為、エクイティファイナンスを実行する

時の自社の株価次第では、既存株主にとっては、大きなマイナス要因になりかねません。


このようなエクイティファイナンスを実行する時は、基本的に自社の株価が高い評価

の時に実行すべきで、自社の株価が高い評価の時に公募増資を実行すれば、資金調達額

も多くなり、希薄化も最小限にすることが出来ます。


また、経営計画などで新規事業に進出する予定や設備投資を実施する予定が

あれば、その予定の前にエクイティファイナンスを実行すれば、新規事業や設備投資

のイニシャルコストと運転資金などのランニングコストも資金手当て出来るので、

新規事業進出や設備投資実行による資金繰りへの影響も最小限にすることが出来ます。


ちなみに、設備投資は1年以上使用する固定資産の取得がメインになるために、

エクイティファイナンスによる資金調達が出来れば、資金繰りの悪化に繋がる、

固定比率の上昇を防ぐことが出来ます。


・デットファイナンス

デットファイナンスとは、将来償還する義務や返済する義務を負う

方法により資金調達をすることです。


デットファイナンスには、銀行などからの借入金による間接金融と、投資家に社債や

コマーシャルペーパー(CP)を発行して資本市場から直接資金調達をする直接金融があり、

デットファイナンスは、返済期限のある他人資本であるため、キャッシュフローには

注意が必要です。


主要なデットファイナンスの種類

①借入金
②社債
③新株予約権付社債
④コマーシャルペーパー(CP)
⑤手形割引


デットファイナンスにより調達した負債のことを、有利子負債と呼びます。


このデットファイナンスを実行する際は、自己資本と他人資本のバランスである

財務レバレッジやレバレッジ比率に注意する必要があります。


自己資本に比べて過大にデットファイナンスを増加すれば、財務コントロールが

しっかりしている企業でなければ、資金繰りを圧迫し資金ショートを招く要因に

なったり、レバレッジ効果のマイナスの側面がでて、事業で大きな損失を出す

可能性もあります。


■資金調達方法の種類

・増資

増資とは、会社の資本金の総額を増やすことで、株式会社が、資金調達を目的として

増資をする場合は、新たに、新株を発行することになります。


増資をすることにより、企業の成長を促進する新規事業進出に伴う資金需要を満たし

たり、財務体質の強化・改善に利用します。


この増資は、企業による代表的なエクイティファイナンスの1つです。


この増資には、資金調達を目的として増資をする有償増資と資金の払い込みをせず、

帳簿上において形式的に資本金の総額を増やす無償増資があります。


有償増資には、株主割当、第三者割当、公募増資などの方法があります。


株主割当とは、既存の株主の利益を損なわないように、既存の株主に対して、

持ち株数に応じた新株引受権を与えて、資金を振り込んでもらい、新しい株式を

発行し資本金を増やす資金調達のことで、株主割当は、有償増資の方法の1つです。


この株主割当は、会社の株主構成を変えずに、増資をしたい場合に適した方法です。


株主割当の流れとしては、最初に、既存の株主に新株予約権を無償で割り当てて、

次に、既存の株主に資金を振り込んでもらい、最後に、新株式を発行することに

なります。


第三者割当とは、既存の株主であるかどうかに関係なく、特定の第三者に新株引受権

を与えて、資金を振り込んでもらい、新しい株式を発行し資本金を増やす資金調達

のことです。


この第三者割当は、特定の第三者だけに、増資を引き受けて貰いたい場合に

適した方法です。


第三者割当の流れとしては、最初に、特定の第三者に新株予約権を無償で割り当てて、

次に、特定の第三者に資金を振り込んでもらい、最後に、新株式を発行することに

なります。


公募増資とは、不特定多数の投資家に対して出資の募集を募り、不特定多数の投資家に

新株引受権を与えて、資金を振り込んでもらい、新しい株式を発行し資本金を増やす

資金調達のことです。


この公募増資は、不特定多数の投資家に対して、時価により株式を発行することを

原則としています。


公募増資の流れとしては、最初に、不特定多数の投資家に対して取得の申込を勧誘して、

申し込んできた投資家に新株予約権を無償で割り当てて、次に、申し込んできた投資家

に資金を振り込んでもらい、最後に、新株式を発行することになります。


尚、増資をすると問題になるのが希薄化です。


希薄化とは、企業が新株の発行をすることにより発行済株式総数が増加して、1株当たり

の価値が低下することで、希薄化により、一時的に既存株主の利益は損なわれる可能性

もあり、一般的には企業が新株の発行をして、大幅に希薄化する場合は、株式市場では

嫌気される傾向があります。


ちなみに、増資に対するのが減資で、減資とは、企業の資本金を減少させる手続き

のことです。


減資には、有償減資と無償減資があります。


減資の手続きをする際は、株主総会による特別決議が原則必要になりますが、

一定の要件を満たす場合には株主総会の普通決議のみでも減資の手続きが出来ます。


有償減資とは、株主に会社財産の一部である金銭を払い戻すことによる方法です。


有償減資をする理由としては、事業規模を縮小すること等があり、

有償減資は、過大な会社財産の一部を株主に払い戻すことです。


無償減資とは、会社の財産が減少しない手続きの方法です。


無償減資には、資本金の金額のみを減少させる場合と、資本金の金額と

発行済株式数を減少させる場合があります。


この無償減資を行なう目的としては、未処理損失を解消したい場合や、

配当可能な剰余金を増加させて配当財源の確保をしたい場合などがあります。


無償減資は、株主資本全体の金額に変化はありませんので、トータルの

株式の価値が減少することにはならないので、減資をするだけで、

株主責任を問うことにはなりません。


また、無償減資を行なう場合に、発行済株式数を減少させる場合が株式併合です。


10株を1株に株式併合すれば発行済株式数は90%減少し、2株を1株に株式併合すれば

発行済株式数は50%減少することになり、発行済株式数を減少させる株式併合は、

1株当たりの価値が増加することになります。


そして、100%減資をする場合は、企業が既存株主が保有する株式全てを

取得し消却することになり、既存株主の経済的利益は全て消滅することを

意味するため、100%減資と99%減資は既存株主の立場から見ると全く

意味合いが異なり、100%減資をした時のみ、株主は、株主責任を負った

ことになります。


ちなみに、100%減資が行なわれる場合は、第三者割当による増資がセットで

行われることになり、株主が総入れ替えされることになります。


・社債

社債とは、公募や私募により資金調達をする為に、事業会社が発行する債券

のことです。


社債は企業が直接市場から資金調達をするので直接金融と呼ばれており、

社債の発行は他人資本の増加にともなう調達手段です。


この社債の種類には、普通社債と新株予約権付社債の2種類があり、

現在発行されている社債は無担保社債が主流となっていますが、

担保付社債の場合もあります。


また、企業が社債を発行するためには、バランスシートや収益力等の財務内容が

優れている必要があり、格付機関が行なう格付けが社債の信用度の目安として利用

され、格付機関が行なう格付けが社債利回りにも影響を与えます。


尚、社債を発行することが可能かどうかは、基本的に企業の財務内容いかんでは

ありますが、社債を公募する際は、格付機関による格付けの取得が必要な場合があり、

公募とは、不特定多数(50名以上)の投資家に対して、新規に発行する有価証券の募集

を行うことで、公募以外のものは私募になります。


・コマーシャルペーパー(CP)

コマーシャルペーパー(CP)とは、企業が国内で発行する無担保の約束手形です。


コマーシャルペーパーの発行は優良企業に限られており、コマーシャルペーパーは

事業活動に必要な短期資金を資金調達する為の、企業のデットファイナンスによる

資金調達の1つの調達手段です。


このコマーシャルペーパー(CP)は、金融機関や証券会社が発行の取り扱いをし、

コマーシャルペーパーの販売は、金融機関、証券会社、短資会社が行っています。


また、コマーシャルペーパーの販売対象は、機関投資家等に限定されており、

個人へ販売することはできません。


そして、コマーシャルペーパーは割引方式である為、CP券面額と販売価格の差額は、

コマーシャルペーパー利息として会計処理することになります。


また、コマーシャルペーパー(CP)は貸借対照表上は、金額の重要性がある場合には、

流動負債の区分にコマーシャルペーパーとして表示しますが、通常は流動負債の

区分のその他流動負債に含めて表示します。


そして、コマーシャルペーパー(CP)と社債は、企業にとっては直接金融による

調達手段の方法ではありますが、この2つの調達手段の大きな違いは調達できる

期間の長さです。


コマーシャルペーパーは一般的に償還期間が1年未満で、30日以内の短期の償還期間

のものが多く、コマーシャルペーパーは主に短期的な資金繰りの為に利用されること

が多い調達手段です。


社債の償還期間は1年以上のものが多く、社債の主な発行目的は、有利子負債に対する

銀行借入などの間接金融の比率を低下させる為や設備投資資金として利用する場合など

があります。


コマーシャルペーパー(CP)の発行適格企業には格付け基準が導入されており、

適格格付機関が高い格付けを与えた格付けの高い優良企業のみがCPを発行する

ことができます。


コマーシャルペーパー(CP)は、一般的に、プライムレートより低い金利で資金調達

をすることが可能です。


なお、本格付研究所(JCR)が、コマーシャルペーパー(CP)等の短期格付けをする

際に重視している財務指標には下記の指標があります。


コマーシャルペーパー(CP)の格付けに重視する財務指標

・当座比率
・流動比率
・経常収支比率
・手元流動性回転期間
・売上債権回転期間
・棚卸資産回転期間
・仕入債務回転期間


・新株予約権付社債

新株予約権付社債とは、企業が発行する社債の種類の1つで、

デットファイナンスとエクイティファイナンスの両面を持っています。


商法改正により、従来の転換社債とワラント債は新株予約権付社債に

分類され、新株予約権付社債を企業が発行するためには、バランスシートや

収益力等の財務内容が優れている必要があります。


また、新株予約権付社債は、発行する企業の株を取得する権利が付与されている

社債ですが、企業は新株予約権だけを単独で発行することもできます。


この新株予約権を無償で与える制度がストックオプションです。


ストックオプションは主に会社の取締役や従業員に対して業績向上への

インセンティブとして支給され、ストックオプションを付与された者は、

付与された企業の株価が上昇すれば、キャピタルゲインを手にする事が出来ます。


また、従来の転換社債と呼ばれていたものが、転換社債型新株予約権付社債で、

この社債を取得した者は、株価が転換価格を上回れば社債を株式に換えること

ができます。


転換社債型新株予約権付社債を株式に転換すれば、市場で売却し値上がり益を

得ることも可能です。


但し、一度、権利行使をすると社債部分が消滅し、再度社債に戻すことは

出来ないので注意が必要です。


尚、企業が新株予約権付社債は発行した時の会計処理は、一括法と区分法の

2種類の会計処理があります。


一括法は、新株予約権と社債を区別せず社債発行の時と同様に会計処理をする

方法であり、区分法は、新株予約権付社債の発行時に、割引発行をした場合に

社債発行差金が生じる時にその額面との差額の金額を、新株予約権とする会計処理

になります。


・資産流動化

資産流動化とは、主に企業が保有する金銭債権である売掛債権や

不動産の資産を特別目的会社に譲渡して資金調達する手法です。


企業は資産流動化することで、バランスシートをスリム化できます。


この資産流動化は、当該資産自体の価値やキャッシュフローを裏づけにした

手法なので、資産流動化をする企業の信用力で資金調達コストが決定するのでは

ありません。


資産流動化の資金調達コストは、流動化をするその資産自体の信用で証券を発行

するため、一般的に資産流動化する企業が銀行等から借入れするより、資産流動化

での調達コストのほうが低コストになります。


また、資産流動化のメリットととしては、バランスシートのスリム化による

各種財務指標の改善、資金調達の多様化と効率化、資金調達コストの削減等が

あります。


ちなみに、サブプライムローン問題の際に利用されていた粉飾決算は、

資産流動化の手法を悪用し、不良資産をオフバランス処理することで、

脆弱な財務内容を隠す目的でも資産流動化が利用されていました。


尚、サブプライムローンとは、信用力が低く低所得である個人向けローンのことです。


このような信用力が低い低所得者をサブプライムと呼ぶところからこのような名称

となり、サブプライムローンのプライムとは、優良という意味である為、サブプライム

ローンは、直訳すると準優良ローンという意味になります。


・劣後債

劣後債とは、企業がデフォルトし倒産や破綻に至った際に、

元利金の支払順位が他の債務よりも低い直接金融である社債です。


劣後債は、一般債務を返済した後に返済される債務なので自己資本に近い性格を

持っています。


銀行などの金融機関は、BIS規制により一定割合の劣後債を自己資本に算入する

ことができる為、実質的な資本の増強であっても希薄化も回避できることも要因となり、

劣後債の発行は金融機関が多くなっています。


劣後債の種類としては、期限付劣後債と期限の定めがない永久劣後債があります。


期限付劣後債とは、企業がデフォルトし倒産や破綻に至った際に、

元利金の支払順位が他の債務よりも低い期限の定めがある社債です。


期限付劣後債は、デフォルト時の支払順位が低い社債であるため、一般の社債に

比べて利率が高く設定されていることもあり、機関投資家などが好んで

投資対象としています。


永久劣後債とは、企業がデフォルトし倒産や破綻に至った際に、

元利金の支払順位が他の債務よりも低い期限の定めがない社債です。


永久劣後債は、一般債務を返済した後に返済される債務なので自己資本に近い性格

を持ち、BIS規制により、銀行などの金融機関は、一定割合の永久劣後債を自己資本に

算入することができる為、実質的な資本の増強であっても希薄化も回避できる

ことも要因となり、永久劣後債の発行は金融機関が多くなっています。


この劣後債は、デフォルト時の支払順位が低い社債ですが、その支払順位を

負債・資本項目で示すと下記のようになります。


支払優先度

①一般債務
②普通社債
③劣後債
④優先株
➄普通株


また、劣後債は、劣後事由が発生した際は、停止条件の成就まで劣後債の

元利金支払いは停止されますが、その劣後債の主な劣後事由は下記の通りです。


①会社更生手続の開始
②民事再生手続の開始
③破産手続の開始


ちなみに、永久劣後債に該当する要件は、金融庁告示第6条第1項第4号の

項目を全て満たす必要があります。


尚、その項目は下記の通りです。


①無担保で、かつ、他の債務に劣後する払込済みのものであること。

②第6項に規定する場合を除き、償還されないものであること。

③損失の補てんに充当されるものであること。

④利払の義務の延期が認められるものであること


・劣後ローン

劣後ローンとは、企業がデフォルトし倒産や破綻に至った際に、

元利金の支払順位が他の債務よりも劣る間接金融である借入金のことです。


劣後ローンは、一般債務を返済した後に返済される債務なので

自己資本に近い性格を持っています。


銀行などの金融機関は、BIS規制により一定割合の劣後ローンを自己資本に算入する

ことができる為、自己資本比率が上昇し自己資本の充実となる実質的な資本の増強で

あっても希薄化も回避できることも要因となり、劣後ローンの活用は金融機関が

多くなっています。


劣後ローンの種類としては、期限付劣後ローンと期限の定めがない永久劣後ローンが

あります。


期限付劣後ローンとは、企業がデフォルトし倒産や破綻に至った際に、

元利金の支払順位が他の債務よりも劣る期限の定めがある借入金のことです。


永久劣後ローンとは、企業がデフォルトし倒産や破綻に至った際に、

元利金の支払順位が他の債務よりも劣る期限の定めがない借入金のことです。


この劣後ローンは、銀行などから借入金として資金調達した

ものである為、社債である劣後債とは異なるものです。


また、劣後ローンは、資金を貸し付ける銀行などの金融機関から

みた場合は、貸付金というよりは、投資に近い近い性質のものです。


劣後ローンは、デフォルト時の支払順位が低い借入金ですが、

その支払順位を負債・資本項目で示すと下記のようになります。


支払優先度

①一般債務
②普通社債
③劣後ローン
④優先株
➄普通株


なお、劣後ローンの借入条件は、貸出期間5年超で長期プライムレートを基準

とする変動金利という内容が多くなっており、劣後ローンは、通常の借入よりも

金利が高く設定されることが一般的です。


・当座貸越契約

当座貸越契約とは、当座預金口座を持つ企業が、銀行と融資の限度額を予め設定して、

その限度額までは自由に資金の借入ができる資金調達方法のことです。


この当座貸越契約には、専用当座貸越と一般当座貸越の2種類の借入方法があり、

当座貸越契約の金利は、短期プライムレートに連動して年2 回見直されることが

一般的です。


専用当座貸越とは、貸出専用口座をつくり、融資極度額までは、銀行所定の方法により、

自由に資金の借入と返済が出来る資金調達方法です。


この専用当座貸越は、当座貸越伝票や当座貸越専用のキャッシュカードを利用して、

貸越限度額の範囲内で、何時でも資金を借りることができ、専用当座貸越の返済は、

何時でもすることができます。


専用当座貸越契約をする際は、通常は、銀行は担保を要求してきますが、

銀行からの信頼がある財務体質の良い優良企業は、無担保で専用当座貸越契約を

結んでいるケースもあり、無担保で専用当座貸越契約を結べることは、

企業にとっては、銀行からの信頼度を示すバロメーターともいえます。


一般当座貸越とは、当座預金と連動するもので、当座預金残高が、

支払手形や小切手等が決済される時に当座預金に資金が不足した場合に、

自動的に融資極度額までは不足金額を借入することができる方法です。


この一般当座貸越契約をしておけば、融資の限度額までは、手形の不渡りである

不渡手形を発生させることを防ぐ機能があります。


一般当座貸越契約をして、当座預金がマイナスになっている場合は、

1年以内に当座預金のマイナスを解消できる場合は、短期借入金に

振替仕訳をし、1年以内に当座預金のマイナスを解消できない場合は、

長期借入金に振替仕訳をすることになります。


ちなみに、一般当座貸越契約をする際は、通常は、銀行は担保を要求してきますが、

銀行からの信頼がある財務体質の良い優良企業は、無担保で一般当座貸越契約を

結んでいるケースもあり、無担保で一般当座貸越契約を結べることは、

企業にとっては、銀行からの信頼度を示すバロメーターともいえます。


尚、当座貸越契約書は、記載金額のない第1号の3文書に

該当しますので、当座貸越契約の印紙税は200円となります。


・コミットメントライン契約

コミットメントライン契約とは、企業が銀行とある一定期間の間に

一定の融資枠を設定・維持し、その範囲内であれば、銀行が企業の求めに応じて

融資が受けられる契約のことです。


このコミットメントライン契約は、当座貸越契約と似た契約内容では

ありますが、コミットメントライン契約には、当座貸越契約と異なり、

契約締結をした際に銀行に対して手数料を支払う必要があります。


そして、コミットメントライン契約は、当座貸越の契約に比べて、

融資枠の範囲内であればほぼ確実に融資を受けることができますが、

当座貸越契約では、銀行サイドの融資スタンス次第で融資枠が減額されたり、

当座貸越契約自体を解約される可能性もあることに注意する必要があります。


なお、コミットメントライン契約は、コミットメントというだけのことはあり、

銀行サイドの融資の拒絶要件が契約上明示されていることが多く、当座貸越契約よりも

確実に融資を受けることができます。


ちなみに、コミットメントライン契約のコミットメントとは、

約束、公約、誓約という責任をもつという意味です。


■資金調達コスト


資金調達コストとは、企業が事業を行うための、資金調達に要した

コストのことで、金融費用とも呼ばれています。


資金調達コストには、資本コストと負債コストがあり、資金調達コストは、

事業を継続する上で必要な、企業の血液である資金を供給し続ける為の

コストなのです。


この資金調達コストであるエクイティファイナンスに伴う資本コストは、

株主が企業に期待する利回りが資本コストになります。


企業が成長段階の時は、株価上昇が株主の期待利回りを満たす役割を果たし、

資本コストは低くなる傾向があります。


資金調達コストであるデットファイナンスに伴う負債コストは、

債権者が企業に期待する利回りが負債コストになりますが、財務抜群な

優良企業であれば、負債コストを抑えることが出来ます。


また、直接金融によるデットファイナンスに伴う資金調達コストは、

基本的に企業の財務内容に基づく、格付機関の格付けによって異なってきます。


基本的には財務の健全性を保っていれば、デットファイナンスに伴う

資金調達コストを押さえることはできるでしょうが、格付けは第三者

である格付機関が設定する為、ある程度、格付機関対策は必要になってきます。


尚、資金調達コストが低いからといって、必要以上に財務レバレッジを

効かせることは危険であり、デットファイナンスは、返済期限のある他人資本

であるため、資金繰りには注意が必要です。


ちなみに、資金調達コストも、年率換算で表現します。