資金表とキャッシュフロー


■資金表とキャッシュフロー

・資金表

資金表とは、企業が事業活動の為に利用する資金の収入と支出の状況を示した

表のことです。


この表には、資金の収入総額と支出総額を示す種類の表と、利益金額に、

財務諸表の勘定科目を増減することで、キャッシュベースに変換する種類の表

があります。


この表は、資金繰り(資金管理)をする際や、財務分析をする際に、

必ず必要な表といえます。


この現金収支を示す資金表には、ある過去の事業期間の資金残高が、

どのような資金フローにより、その資金残高となったのかを示す実績ベース

の表と、経営計画の定量計画として作成される、予測ベースの表があります。


ちなみに、代表的な資金表としては、資金繰り表、資金移動表、

キャッシュフロー計算書、資金運用表があり、これらの表は、

一般的に、資金4表と呼ばれています。


また、この表を作成する目的は、企業の将来の資金の運用と調達の計画を

示すことです。


資金表は、結果である、実績の資金繰り表、実績の資金移動表、

実績のキャッシュフロー計算書、実績の資金運用表を作成するだけでは、

経営という観点からは意味がありません。


・キャッシュフロー

キャッシュフローとは、現金収支のことです。


現金収支は、現金の流入(キャッシュインフロー)と、 現金の流出

(キャッシュアウトフロー)で構成されています。


企業の事業活動の場合では、事業活動による現金収入と事業活動に伴う

現金支出により、手元に残る資金の流れを示したものがキャッシュフローです。


現金収支を重視した経営とは、純現金収支(フリーキャッシュフロー)を

増加させることです。


キャッシュフロー計算書や資金繰り表等のキャッシュフローを示した表は、

資金ベースの損益計算書といえます。


キャッシュフローは、財務の5つの構成要素の1つです。


このキャッシュフローは現金収支であるため、損益計算書(PL)の利益と

現金収支により手元に残る現金は、必ずしも一致しません。


現金収支は、下記のように区分することができます。


①営業活動による現金収支(営業CF)
②投資活動による現金収支(投資CF)
③財務活動による現金収支(財務CF)
④営業活動と投資活動による現金収支を足した純現金収支(FCF)


また、キャッシュフローを改善する為には、売上や利益を増加させ、

運転資金と設備投資をコントロールする必要があります。


運転資金をコントロールすることとは、売上債権回転期間、棚卸資産回転期間、

仕入債務回転期間の回転期間をコントロールすることです。


そして、企業のキャッシュフローを的確に把握することが資金繰りで、

資金繰りとは、資金管理でもあります。


資金繰りをする為には、予測ベースのキャッシュフローを把握する

必要があります。


予測ベースのキャッシュフローの把握ができてはじめて資金収支を

コントロールすることが可能となり、黒字倒産という資金ショート

防ぐことに繋がります。


また、最近はキャッシュフロー経営が叫ばれていますが、キャッシュフロー経営

の重要な目的の一つは、フリーキャッシュフロー(純現金収支)を増加させる

ことです。


なお、企業のキャッシュフローを示すツールには、資金4表と呼ばれる、

資金繰り表、資金移動表、キャッシュフロー計算書、資金運用表があります。


ちなみに、現金収支の管理とは、自社のあるべき姿である理想の現金収支を

予算編成し、予算と実績を比較して、分析・評価・対策までの活動全体を

含む仕組みのことです。


■キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書とは、企業会計におけるバランスシートや

損益計算書と共に財務諸表の1つです。


この計算書は、財務分析の安全性分析の際にも利用される資金表です。


この資金表は、会計期間の資金の流れを営業活動・投資活動・

財務活動に区分して表示する計算書です。


このCF計算書の種類としては、間接法による書式と直接法による書式

の2種類ありますが、間接法による作成が一般的です。


直接法によるキャッシュフロー計算書とは、現金収入や現金支出の金額を

各項目毎に表示する財務諸表です。


直接法によるCF計算書では、営業活動によるCF、投資活動によるCF、

財務活動によるCFに区分されています。


この直接法によるCF計算書と間接法によるCF計算書の違いは、営業CFの表示

の仕方だけであり、直接法による計算書には、損益計算書の項目である、

現金の支出を伴わない非現金支出費用の項目が記載されることは

ありません。


直接法によるCF計算書は、収入と支出の総額を示しているので、

資金繰り表とほぼ同じ内容といえます。


間接法によるキャッシュフロー計算書とは、損益計算書の利益をベースに、

現金の支出を伴わない非現金支出費用や資産と負債の増減を調整して

キャッシュフローを示す財務諸表のことです。


間接法によるCF計算書も、営業活動によるCF、投資活動によるCF、

財務活動によるCFに区分されています。


この間接法によるCF計算書は、税引前利益からスタートする場合と税引後利益

からスタートする場合がありますが、管理会計で間接法によるCF計算書を

利用する場合は、税引後利益からスタートする計算書の方が、会計上の利益が、

現金ベースに変換される流れが分かりやすいはずです。


また、間接法によるCF計算書は、直接法によるCF計算書と異なり、純額表示

なので、営業収入や営業支出の総額がどれだけあったのかは、CF計算書を

見ても把握できません。


この資金表の作成目的は、発生主義である損益計算書と

別の観点である、現金の支払能力状況の情報開示をすることにあります。


また、キャッシュフロー計算書を分析すると、企業のフリーキャッシュフローの

把握をすることもできますので、この計算書は、企業価値を評価

する際にも利用できることになります。


ちなみに、財務においては、企業価値=フリーキャッシュフローは

常識といえます。


この資金表における資金とは、現金預金だけではなく、容易に換金化できる

3ヵ月以内の定期預金、コマーシャルペーパー、譲渡性預金、公社債投資信託などの

現金同等物が対象範囲となります。


この資金表は、会計制度の見直しと国際的な会計基準に近づける為に導入されており、

その為に上場会社には、CF計算書の作成が義務付けられています。


そして、あるべき姿の資金収支の状態である予算ベースのCF計算書を

作成する目的としては、予算ベースの、営業活動・投資活動・財務活動の区分

ごとの収支の状況を把握しておくことです。


総合予算には、損益計算書の予算だけでなく、貸借対照表やCF計算書の予算も含ま

れていますし、財務管理をするためにも、キャッシュフロー計算書の予算は必須

といえます。


尚、企業のキャッシュフローの分類と、その内容は下記の通りです。


・営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローとは、企業の本業の事業活動による

現金収支のことです。


キャッシュフロー計算書において、最も重要な項目は、

この営業キャッシュフローの数値といえます。


営業キャッシュフローは会計上の利益に調整を加えることで算出します。


営業キャッシュフローの計算方法は、直接法と間接法があり、

一般的には間接法が広く利用されています。


営業活動によるキャッシュフローの金額を決定する主要な項目は、利益、

非現金支出費用、運転資金ですが、運転資金を、いかにコントロールできるか

で、営業活動によるキャッシュフローの金額が決定されるといっても過言

ではありません。


営業キャッシュフローが、手持ち現預金よりマイナスになっていれば、

マイナスになった金額を投資活動や財務活動によって資金調達をする

必要があります。


設備投資は、営業活動によるキャッシュフローの範囲内で収めること

が基本です。


もし営業キャッシュフローのマイナス金額を、手持ち現預金や投資活動・

財務活動でマイナス分の資金をカバーする事ができなければ、

資金ショート=黒字倒産になります。


この営業活動によるキャッシュフローは、本業によって、どれだけキャッシュを

生み出したかを見る項目なので、いくら、損益計算書において、営業利益が多額に

計上されていたとしても、営業活動によるキャッシュフローが、黒字ではなく

赤字になっていれば、キャッシュフローの管理に問題があるといえます。


尚、営業キャッシュフローの改善の為には、特に運転資金(運転資本)の

コントロールに注力し、各種回転期間の短縮をすることが必要になります。


・投資キャッシュフロー

投資キャッシュフローとは、有価証券の取得・売却や固定資産の取得・

売却等による投資活動の資金の流れを示しています。


キャッシュフロー計算書において、投資キャッシュフローの数値と

営業キャッシュフローの数値の比較は重要な分析ポイントといえます。


投資キャッシュフローの主な内容としては、企業活動に不可欠な

設備投資の資金支出であり、投資キャッシュフローは、

通常マイナスになっている企業がほとんどです。


また、企業のキャッシャフローを圧迫しない為には、

投資キャッシュフローの金額は、営業キャッシュフローの

範囲内に収めることが基本になります。


投資活動によるキャッシュフローのマイナス金額が、営業活動による

キャッシュフローを超えている場合に、現預金残高に余裕が無ければ、

最低、その超えている金額を、財務活動によるキャッシュフローにて

カバーする必要があります。


また、投資キャッシュフローが数期間プラスになっている場合は、

資金繰りの悪化に対応する為に、企業の重要なストックである

設備等の資産を切り売りしている可能性もあります。


投資キャッシュフローがプラスの状況が続いている場合は、

企業の成長にとって好ましい状態でない可能性もあります。


投資活動によるキャッシュフローのマイナス金額が、毎期、営業活動による

キャッシュフローを上回っていれば、通常は、有利子負債も比例して増加

してしまいますので、資金繰りを圧迫しない為にも、長期で使用する資産は、

財務の健全性を維持する為に、返済期限がない株主資本や返済期間の長い

固定負債で調達するのがベストといえます。


尚、この投資キャッシュフローと営業キャッシュフローを足したものが、

企業のフリーキャッシュフローになります。


・財務キャッシュフロー

財務キャッシュフローとは、主に資金の調達と返済による現金の流れを

表しています。


キャッシュフロー計算書において、財務キャッシュフローは、

資金の帳尻を合わせる為の項目といえます。


財務キャッシュフローの概要としては、自己資本による調達と、

他人資本による調達・返済、配当金の支払い、自社株買いがあります。


財務キャッシュフローはフリーキャッシュフローを補完するものです。


この財務キャッシュフローの内容の詳細としては、長短借入金等の

間接金融の調達と返済、社債等の直接金融の調達と返済、株式発行に

よる増資の資金調達、そして配当金の支払いや、自社株買い等があります。


財務活動の資金の流れを示したものが財務キャッシュフローといえます。


財務活動によるキャッシュフローは、企業の事業活動による、

営業CFと投資CFを足したフリーキャッシュフローの不足分を

補う帳尻を合わせるためものです。


財務活動によるキャッシュフローの項目を確認すれば、企業の資金繰りの

状態や企業の株主への姿勢も判断することもできます。


・フリーキャッシュフロー(FCF)(営業CFと投資CFの合計)

フリーキャッシュフロー(FCF:純現金収支)とは、営業キャッシュフローと

投資キャッシュフローの合計で、純現金収支とも呼ばれています。


キャッシュフロー計算書において、フリーキャッシュフローを確認することは、

企業にとって、自由に使えるお金がどれくらいあるのかを確認することと

いえます。


このフリーキャッシュフローは、企業の事業活動から得られる

キャッシュフローに、法人税等、運転資本、設備投資額を加減したものです。


このことからもフリーキャッシュフローが純現金収支といわれる

所以でもあります。


フリーキャッシュフローは、会社の企業価値を表す指標で、

企業価値評価をする際の重要な要素の1つです。


将来の純現金収支をどのように見積もるかで、企業価値は大きく変化を

することになります。


また、フリーキャッシュフロー(FCF)を増加させる為には、

営業キャッシュフローを増加させるか、投資活動を効率重視に切替、

投資を抑制し投資活動を必要最小限に押さえることです。


そして、キャッシュフロー重視の経営目的は、企業のフリーキャッシュフローを

最大化することなのです。


なお、フリーキャッシュフローを補完するものが、財務キャッシュフローです。


・非現金支出費用

非現金支出費用とは、企業の手元から、現金の流出を伴わない

会計上の費用のことです。


非現金支出費用は、企業会計原則の発生主義や費用収益対応の

原則に沿って会計処理した場合に発生する費用です。


非現金支出費用は、間接法によるキャッシュフロー計算書を

作成する際の、当期純利益の加算項目です。


この非現金支出費用には、過去に現金の支出があり、その支出総額を、

いったん、資産計上したものを、会計制度に従い、各事業年度ごとに

費用計上する場合と、費用が発生する事象が起こった場合に、

客観的な証憑や合理的な基準に基づき費用を計上する場合があります。


また、代表的な非現金支出費用は、下記の通りです。


主な非現金支出費

①減価償却費
②貸倒引当金繰入額
③退職給付引当金繰入額
④役員退職慰労引当金繰入額
⑤完成工事補償引当金繰入額
⑥製品保証等引当金繰入額
⑦修繕引当金繰入額
⑧賞与引当金繰入額
⑨棚卸資産評価損
⑩減損損失


上記以外の、非現金支出費用としては、固定資産売却損、

固定資産除却損、有価証券売却損、投資有価証券売却損などがあります。


いずれも、過去に現金の支出があり、資産計上をしていたものを、

会計基準に基づき、費用計上したものです。


尚、非現金支出費用が多い企業は、表面上の利益が少なくても、

キャッシュフローが潤沢なケースもあります。


よって、企業の支払能力を分析する際は、非現金支出費用がどれだけ計上されて

いるのかも確認できる、資金移動表の作成が有効です。


・現金同等物

現金同等物とは、容易に換金が可能で且つ価格変動リスクが

極めて小さい短期投資資産のことです。


キャッシュフロー計算書の作成においては、現金同等物には、市場性のある株式等

は含まれず、現金同等物には、受取手形も含まれません。


この現金同等物は、連結財務諸表等における、キャッシュフロー計算書の

作成に関する実務指針によれば、取得日から満期日や償還日までの期間が、

3ヵ月以内の短期投資である、定期預金、コマーシャルペーパー、

売戻し条件付現先、公社債投資信託などが該当します。


また、連結財務諸表等における、キャッシュフロー計算書の作成に関する

実務指針によれば、現金とは、手許現金と要求払預金である、普通預金、

当座預金、通知預金などを指します。


キャッシュフロー計算書の作成の定義においては、資金とは、

現金と現金同等物の合計金額のことであり、現金同等物には、

満期が3ヶ月を超える定期預金は含まれません。


尚、キャッシュフロー計算書の表示区分としては、営業活動によるCF、

投資活動によるCF、財務活動によるCFの、各活動ごとに区分し、

現金及び現金同等物に係る換算差額は、これらの活動区分とは

区分して表示することになります。


■資金繰り表

資金繰り表とは、一定期間(日次、週次、月次、年次)の資金の流れ(フロー)で

ある現金収入と現金支出のフロー状況を把握対比するための資金表です。


この表は、発生主義の損益計算書に対して、現金ベースの損益計算書ともいえます。


この資金表は、資金繰りには欠かせないツールです。


また、この表の作成において重要なことは、表のフォームや書式ではなく、

自社に適した、どのような中身のある内容に作成できるかに尽きます。


この表の役割と機能は、他の資金表とともに、資金ショートを未然に防ぐ

事が、重要な役割と機能なのです。


この資金表を作成する際に、ネットで表のフォーマット・テンプレート

・サンプルなどの雛形のダウンロードをする為に時間を掛けるようなことは

さけ、自社に適した書式を考えるべきです。


実績の資金繰り表の作り方としては、金銭出納表から作成する方法、総勘定元帳

から作成する方法、会計伝票から作成する方法、貸借対照表と損益計算書から

作成する方法があります。


実績の資金繰り表を作成する時は、どの作成方法を利用する時も、収入と支出

の勘定科目を集計して完成させることになります。


この表の作成は、財務の仕事ですが、組織に、財務部が設置されていない場合は、

経理の仕事です。


実績の資金繰り表を作成する際に、金銭出納表から作成する方法や総勘定元帳から

作成する方法又は、会計伝票から作成する方法を利用する場合は、非常に手間が

かかりますので、作成の目的や人手も考慮して作成方法を決定するべきです。


ちなみに、予算資金繰り表作成を作成する際は、資金の収入・支払いの時期と

額を把握し、資金の工面や調達を、何時・どこから・どうやって、実行するのか

を全て計画に盛り込みますので、予算ベースの表を作成することは、

総合予算の作成と同様のことなのです。


この予算資金繰り表を作成することは、利益計画と資金計画を作成すること

なので、結果として、予算損益計算書(PL)と予算貸借対照表(BS)を作成

することになります。


この資金表の作り方としては、市販のソフトやフリーソフトなどを利用する

のではなく、財務を理解して、Excel(エクセル)などの表計算ソフトを利用し

自分の頭で考えて、自社に適した表を作成するべきです。


ところで、この資金表を作成する為には、基本的な資金繰りにおいて使用される

用語とその定義を理解しておきたいところです。


まず、一番重要な資金繰り表の中の前月繰越残高・翌月繰越残高の残高とは、

何時でも利用できる資金残高の合計で、現金や預金そして直ぐに換金できる

有価証券などが含まれます。


一般的に、資金繰りとは、一番重要な資金の将来の残高を予測することという

説明がされることが多いのですが、予測するだけではだめで、予測実績管理まで

行って初めて資金繰りをしているということができます。


次に、資金繰り表の区分は一般的には大きく次のように区分されています。


・経常収入
・経常支出
・経常外収入
・経常外支出


上記の項目を加減算することで、当月の現金の増減が幾らあったのかを表したものが

資金繰り表になります。


この資金繰り表は、経営者が見て一目で分かりやすいものでなければ意味がありません

ので、いたずらに専門用語のオンパレードで経理・財務の専門家しか分からない表では

利用価値は全くありません。


資金繰り表の各項目に関する説明は、下記の通りです。


・経常収入の項目

経常収入とは、損益計算書の経常損益に関連する現金収入のことです。


経常収入は、売上高と営業外収益などが現金として回収されたもので

構成されている資金繰り表の項目です。


経常収入を経常支出が上回る時が、経常収支比率が100%を下回っている

状態です。


経常収支比率が100%を下回る状態が続けば、資金ショートの可能性が高くなり、

利益が多額に計上されていても、黒字倒産の可能性すらあります。


この経常収入の内容としては、現金売上や売上債権の回収、現金による

営業外収益や営業外収益の未収分の回収、そして営業活動の取引により、

商品や製品等の販売前に、代金の一部又は全部を手付金や内金として

現金を受け取った前受金などで構成されています。


また、損益計算書上の売上高や営業外収益が増加しても、資金繰り表の

経常収入の金額が売上高や営業外収益に比例して増加しなかったら、

経常支出の金額次第で経常収支がマイナスになり、資金繰りを圧迫する

ことになりますので、経常収入の金額に影響を与える、回収サイトの

コントロールは欠かせません。


そして、経常収入の金額に影響を与える回収サイトとは、クライアントとの

取引代金の締日から回収日までの期間のことです。


また、経常支出が経常収入を上回る状態になった時に、現預金残高が

その経常収支のマイナス金額より少ない場合は、資金が不足する

状態になります。


その不足する金額を資金調達できなければ、資金ショート=倒産という事態

に陥る為、資産を売却したり、金融機関などから借入をすることにより、

経常収入の不足分をカバーすることになります。


・経常支出の項目

経常支出とは、損益計算書の経常損益に関連する現金支出のことです。


経常支出は、売上原価・販管費・営業外費用などが現金として

支払われたもので構成されている資金繰り表の項目です。


経常収入を経常支出が上回る時が、経常収支比率が100%を下回っている状態で、

経常収支比率が100%を下回る状態が続けば、資金ショートの可能性が高くなり、

利益が多額に計上されていても、黒字倒産の可能性すらあります。


この経常支出の内容としては、現金仕入や仕入債務の支払い、現金による営業外費用や

営業外費用の未払分の支払い、そして営業活動の取引により、商品や原材料等の仕入れ

前に、代金の一部又は全部を手付金や内金として現金を支払った前払金(前渡金)など

で構成されています。


また、損益計算書上の売上原価・販管費・営業外費用が減少しても、

資金繰り表の経常支出の金額が売上原価・販管費・営業外費用に比例して

減少しなかったら、経常収入の金額次第で経常収支がマイナスになり、

資金繰りを圧迫することになりますので、経常支出の金額に影響を与える、

支払サイトのコントロールは欠かせません。


そして、経常支出の金額に影響を与える支払サイトとは、取引先(仕入先)との

取引代金の締日から回収日までの期間のことです。


また、経常支出が経常収入を上回る状態になった時に、現預金残高が

その経常収支がマイナスになる金額より少ない場合は、資金が不足する

状態になります。


その不足する金額を資金調達できなければ、資金ショート=倒産という事態

に陥る為、資産を売却したり、金融機関などから借入をすることにより、

経常収入の不足分をカバーすることになります。


・経常外収入の項目

経常外収入とは、企業の営業活動以外からの現金収入のことです。


経常外収入は、金融機関等からの借入れなどの財務活動による現金収入です。


経常外収入は、経常収支比率が100%を下回る状態である、経常収支のマイナス

している金額を補い、資金ショートを防ぐ為の役割がある資金繰り表の項目です。


この経常外収入の内容としては、金融機関などからの借入れによる

間接金融の資金調達、社債発行などの直接金融による資金調達、

有価証券の売却、定期預金の解約、固定資産の売却、新株発行による

増資などの現金収入で構成されています。


また、損益計算書上の経常利益が増加しても、資金繰り表の経常収支の金額が経常利益

に比例して増加しなかったら、経常収支がそれだけマイナスになります。


その不足している資金を補う為に、経常外収入を増やさざるおえなくなる為、

経常収支の金額に影響を与える、回転期間の乖離のコントロールは欠かせません。


そして、経常収支がマイナスの状態になった時に、現預金残高が

その経常収支がマイナスになる金額より少ない場合は、資金繰りが

著しく悪化する資金不足の状態になります。


その不足する金額を資金調達できなければ、利益が多額に計上されていても、

黒字倒産の可能性すらあり、資金ショート=倒産という事態に陥る為、

経常外収入である、資産の売却や、金融機関などからの借入により、

経常収支の不足分をカバーすることになります。


・経常外支出の項目

経常外支出とは、企業の営業活動以外の現金支出のことです。


経常外支出は、金融機関等への借入金返済などの財務活動による

現金支出で、資金繰り表の構成要素です。


経常収支比率が100%を下回る状態の時に、経常外収入で資金調達できず、

経常外支出が多額にある時は、資金ショートを起こす可能性があり、

利益が多額に計上されていても、黒字倒産の可能性すらあります。


この経常外支出の内容としては、金融機関などから間接金融で

資金調達した借入金の返済、直接金融により資金調達した社債等の償還、

有価証券の取得、定期預金の預入、設備投資による固定資産の取得、

決算関係支出(法人税等、配当金)、自社株買いなどの現金支出で

構成されています。


また、損益計算書上の経常利益が増加しても、資金繰り表の

経常収支の金額が経常利益に比例して増加しなかったら、

経常収支がそれだけマイナスになり、すぐにその不足している資金を

補う為には、経常外収入を増すか、経常外支出を押さえるしかありません。


そして、経常収支がマイナスの状態になった時に、現預金残高が

その経常収支がマイナスになる金額より少ない場合は、資金繰りが著しく

悪化する資金不足の状態になる為、経常外支出である、金融機関などからの

借入返済をリファイナンスするなどにより、経常収支の不足分を

カバーすることになります。


・経常収支

経常収支とは、現金収支上の経常的な現金収入と経常的な現金支出の差額のことです。


経常収支は、資金繰り表の経常収入から経常支出を差し引き算出された

ものであり、経常収支は、損益計算書の経常損益の数値でありません。


そして、企業の経常収支を的確に掴むことは、企業の真の支払能力を

把握することです。


毎期経常収支がマイナスの企業は、その足りない金額を資金調達できなく

なった時が、資金ショート=倒産の時です。


利益が多額に計上されていても、黒字倒産の可能性すらあるので、

経常収支を的確に掴むことは、資金繰りにおいても重要なことです。


また、経常収支がマイナスの状態である経常収支比率が100%を

下回っている状態が数期間続いている企業は、経営活動に異変がある

シグナルを示している可能性が高いといえます。


尚、財務をよく理解していない人が、見積資金繰り表を作成する際は、

一定期間の現金収入と現金支出だけを予想して資金繰り表を作成していますが、

見積資金繰り表の作成方法の基本は、見積貸借対照表と見積損益計算書を

作成することなので、見積資金繰り表だけを作成しても、論理的整合性の無い

資金繰り表しか作成することはできません。


■資金運用表

資金運用表とは、調達資金の調達先と運用方法・長短バランスを見る為の

資金表です。


この表は、安全性分析の際にも利用される資金表です。


実績の資金運用表は、企業の2事業年度の貸借対照表(BS)を利用すること

で作成し、予算の資金運用表は、財務戦略の妥当性を検証する為に作成します。


そして、この表は、その調達した資金をどのような資産に投資して

資金の運用(使途)をしているかを明確にするツールであり資金表の1つです。


この資金運用表の分析が理解できれば、貸借対照表(BS)の流動資産、

固定資産、流動負債、固定負債、資本の各科目残高の動きと資金の関係も

理解出来ます。


この資金表の作り方としては、資金運用精算表を利用して作成する方法が一般的です。


この資金運用精算表では、2期間の貸借対照表の各勘定科目残高増減額を算出し、

実態の資金の動きに近づけるために、現金収支に関係の無い項目を修正します。


もう一つのこの資金表の作り方としては、短期面、長期面、総合面に3分割

した作成方法があります。


この3分割資金運用表は、短期面、長期面については、2期間の貸借対照表の

各勘定科目残高増減額を算出して記載し、総合面には、短期面、長期面の資金

の過不足の調達や運用を記載します。


この資金表の分析の仕方を理解できれば、資金を他人資本と自己資本を

どのようなバランスで資金の調達(源泉)をしているのかも分かります。


資金運用表の短期面の基本的な見方としては、運転資金が発生しているかを

確認し、運転資金が発生している場合は、その原因が何かを把握することです。


この資金表の長期面の基本的な見方としては、長期面の余裕や不足が

どれくらい発生しているかを確認し、その原因が何かを把握することです。


この資金表の総合面の基本的な見方としては、調達サイドの短期資金と

長期資金のバランスを見ることが重要です。


また、この運用表は、現状の企業財政状態を分析検討する時や、予算作成時に

予算ベースの財政状態の妥当性を確認し財務方針の妥当性を検証する際にも

利用されます。


尚、この資金表には、実績ベースと予測ベースがありますが、この資金表は、

実績の表を基に、あるべき姿の、予測ベースの表を作成することに意義があります。


予算の資金運用表を作成することで、企業にとっての理想の資金バランスと

キャッシュフローを把握することができます。


ちなみに、予算の資金運用表を作成する為には、売上債権計画、在庫計画、

仕入債務計画、運転資金計画、設備投資計画、利益計画などを作る必要があり、

この表は、資金計画ともなります。


■資金移動表

資金移動表とは、資金運用表と資金繰り表の短所をカバーし、長所を取り入れた

構造を持つ資金表です。


この表は、損益計算書(PL)の各勘定科目と貸借対照表(BS)の

各勘定科目をリンクさせることで資金収支を的確に捉えることができます。


この資金表は、実際の事業活動の資金フローに近い表であり、この表

による分析は、財務分析の安全性分析手法でもあります。


また、この資金表の概要は、大きく経常収支と経常外収支に分かれ、

経常外収支は、更に、設備関係等収支、決算収支、財務収支に分類されています。


この資金表の作り方としては、資金移動精算表を利用して作成する方法が一般的です。


この資金移動精算表では、2期間の貸借対照表の各勘定科目残高増減額を

算出したり、損益計算書の各勘定科目残高を利用して作成しますが、

非常に作成の手間がかかるのが難点です。


もう一つのこの資金表の作り方としては、この表の空欄フォームを

用意して、その空欄を数値で埋めて完成させる方法です。


この資金表の空欄フォームを利用して作成する方法は、作成方法が簡単なので、

実務上は、この方法にて作成する方が好ましいでしょう。


そして、資金移動表は、資金不足による資金ショートの状態である資金繰り

破綻を予防する為には、資金繰り表を分析するよりも有効です。


この資金表の基本的な見方としては、経常収支と経常外収支がどうなっている

のかを確認し、次に、その原因がどこにあるのかを確認することです。


静態的分析と呼ばれる、流動比率や当座比率などの財務比率分析や

資金運用表分析は、企業の真の支払能力を掴むには限界がありますが、

動態的分析(フロー分析)と呼ばれる資金移動表分析は、企業の真の支払能力

を掴むことが出来るツールです。


また、この資金表は、現状の企業の支払能力を調査する時や、予算作成時に

予算ベースの支払能力を確認する際にも利用されます。


そして、あるべき姿の資金収支の状態である予算ベースの資金移動表を作成する

目的としては、予算ベースの経常収支や経常収支比率に影響を与えている項目を

把握しておくことなどがあります。


予算の資金移動表を作成する為には、損益予算を完成し、資金計画を作成する

必要があります。


なお、定性的な経営分析の方法や財務分析の手法を身に付けたい方には、 弊所の、

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