償却


■償却とは


償却とは、会計に関する意味としては、資産の原価を将来の期間に費用配分を

するということです。


本来の償却の意味としては、借金などを返してしまうこと(償却金)等があります。


この償却は、会計のあらゆる場面で使用されることが多い概念です。


代表的なものとしては、償却方法である直接償却と間接償却、固定資産を費用配分する

会計処理の減価償却、固定資産税の対象となる土地・家屋以外の事業用に供する資産の

償却資産等があります。


減価償却の記帳方法には直接法とも呼ばれる直接控除法と間接法とも呼ばれる

間接控除法があります。


身近な償却が含まれる用語としては、敷金償却があります。


また、償却率は、資産の耐用年数や定額法・定率法でも異なります。


ところで、固定資産を費用配分する会計処理の減価償却には、法人税法の規定に

基づいて行う償却である普通償却、特別償却、割増償却、即時償却、一括償却資産が

あり、会社法においては、償却すべき資産については相当の償却をしなければなら

ないと定められています。


貸倒に関する会計用語にも償却が含まれる用語には償却債権取立益や貸倒償却が

ありますが、貸倒償却と貸倒損失は同じ内容の勘定科目なので、貸倒償却と貸倒損失

に違いがあるわけではありません。


特殊な償却の種類としては、ソフトウエア償却・のれん代償却があり、

社債等の債券に関する償却が含まれる用語には、償却原価法という用語があります。


■減価償却に関する事項

・減価償却

減価償却とは、固定資産の使用による磨耗や、時の経過等による価値の目減り分を

費用として計上する会計処理方法のことです。


減価償却をすることにより発生した減価償却費は、非現金支出費用なので、

キャッシャフローにはプラスに作用します。


この減価償却は、建物・建物附属設備・構築物・機械装置・車両運搬具・

工具器具備品等の固定資産の取得価額を、その使用可能な期間に応じて

費用計上する会計処理方法です。


減価償却の方法には、毎期均等額を費用化する定額法と、毎期一定率を費用化

する定率法の2つの減価償却方法があります。


また、普通償却以外の減価償却には、特別償却、即時償却、割増償却があって、

減価償却の記帳方法には直接法とも呼ばれる直接控除法と間接法とも呼ばれる

間接控除法があります。


・減価償却資産

減価償却資産とは、有形固定資産や無形固定資産などの中で、固定資産の使用に

よる磨耗や、時の経過等による価値の目減り分を費用として計上する減価償却の

対象となる資産のことです。


減価償却資産の耐用年数は、資産の種類によって異なっており、減価償却資産の

償却率は、税法に定められています。


この減価償却資産の減価償却費を計算する場合に必要な項目

としては下記の通りです。


減価償却資産の減価償却費を計算する場合に必要な項目

・資産名称
・資産の数量
・資産の取得年月
・資産の取得価額
・資産の償却の基礎になる金額
・資産の償却方法
・資産の耐用年数
・資産の償却率
・資産の普通償却費
・資産の特別償却費
・資産の償却費合計
・資産の未償却残高


また、減価償却資産の償却方法には、毎期均等額を費用化する定額法と、

毎期一定率を費用化する定率法の2つの減価償却方法があります。


尚、財務会計と税務会計では、減価償却資産の減価償却に対する考え方が異なり、

減価償却費の計算数値に違いが出てくるので、企業会計上の利益と、

税務上の課税所得は、減価償却費の違いにより異なるケースがあります。


・非減価償却資産

非減価償却資産とは、有形固定資産や無形固定資産などの中で、固定資産の使用

による磨耗や時の経過等により価値が減少しない資産のことです。


非減価償却資産の種類には、土地、借地権、地上権、地役権、絵画、

骨とうなどがあります。


・減価償却累計額

減価償却累計額とは、固定資産を取得して使用を開始した時から使用による

磨耗や、時の経過等による価値目減り分を使用可能期間である耐用年数に

減価償却費として計上した金額を累積する勘定科目です。


減価償却累計額は、資産の評価勘定である為、減価償却累計額の残高は貸方に残り、

間接法による減価償却累計額のバランスシートにおける表示は、固定資産である

各有形固定資産の科目に対する控除科目として表示します。


この減価償却累計額の表示方法には、直接法と呼ばれる直接控除方式と

間接法と呼ばれる間接控除方式の2つの方法があります。


また、減価償却累計額の表示方法に間接法を利用している場合のメリットとしては、

各有形固定資産の取得価額を正確に把握することができることです。


減価償却累計額の表示方法に直接法を採用している場合のデメリットとしては、

各有形固定資産のバランスシート上の金額は取得価額から減価償却累計額を

控除した残額が表示されている為、減価償却累計額が各有形固定資産毎に

個別注記されていなければ、各有形固定資産の取得価額を把握することが

できないことです。


・直接控除法

直接控除法とは、有形固定資産を減価償却する際に計算された減価償却費を、

有形固定資産の帳簿価額から減価償却費相当額を直接控除する方法のことです。


直接控除法は、直接法と略して呼ばれる場合もあります。


・間接控除法

間接控除法とは、有形固定資産を減価償却する際に計算された減価償却費を、

減価償却累計額という評価勘定を用いて間接的に控除する方法です。


間接控除法は、間接法と略して呼ばれる場合もあります。


・償却率

償却率とは、資産の耐用年数ごとに異なり年間の費用にできる割合を

示した比率のことです。


定額法と定率法の償却率は違います。


・普通償却

普通償却とは、法人税法の規定に基づいて行う固定資産を費用配分する

減価償却のことです。


普通償却以外の減価償却には、特別償却、即時償却、割増償却があります。


・特別償却

特別償却とは、租税特別措置法に規定された固定資産を費用配分する

減価償却のことです。


・即時償却

即時償却とは、法人税法において、一定の要件を満たした場合に、

資産の購入費用の全額を即時に償却できる減価償却のことです。


・割増償却

割増償却とは、租税特別措置法に規定された固定資産を費用配分する

減価償却のことです。


・相当の償却

相当の償却とは、会社法計算規則第5条2に定められた、固定資産を費用配分

する減価償却のことです。


相当の償却は、法人税法にて定められた普通償却のことです。


・一括償却資産

一括償却資産とは、取得価額20万円未満の減価償却資産を購入した複数の資産を、

3年間で一括して均等償却をする会計処理を適用する場合に用いる勘定科目です。


・償却資産税

償却資産税とは、土地や建物以外の事業用資産に課税される税金のことです。


償却資産税は、毎年1月1日現在に所有している事業用資産が課税対象となり、

償却資産税は、国税ではなく、地方税です。


この償却資産税は、課税標準額が150万円に満たない場合は免税となりますが、

課税標準額が150万円に満たない場合でも申告は必要となります。


償却資産税の作成は、経理の仕事です。


平成19年度の税制改正によって、所有権移転外ファイナンスリース取引が、

税務会計上において売買取引として取り扱われることになっていますが、

法的な所有者には変化はないので、リース資産については、償却資産税の適用は

ありません。


また、棚卸資産(在庫)は事業用資産ではありますが、償却資産税の対象では

ありませんし、無形固定資産である、営業権、意匠権、著作権、ソフトウエアなども、

償却資産税の対象ではありません。


尚、償却資産税の税率は1.4%となっており、償却資産税の税額計算式

は下記の通りです。


・償却資産税の税額計算式・・・償却資産税額 = 課税標準額 × 1.4%


償却資産税の対象となる固定資産の種類

①構築物
②機械装置
③車両運搬具
④工具器具備品
⑤船舶
⑥飛行機


償却資産税の対象となる主な資産

①パソコン
②コピー機
③ルームエアコン
④応接セット
⑤内装・内部造作等
⑥看板(広告塔、袖看板、ネオンサイン)
⑦LAN設備
⑧テーブル
⑨椅子
⑩フォークリフト
⑪受変電設備
⑫発電機設備
⑬蓄電池設備
⑭中央監視設備
⑮駐車場等の舗装


■償却に関連する事項

・直接償却

直接償却とは、バランスシートに計上されている債権等を、売却等の方法

によりバランスシート上から直接切り離す方法です。


直接償却は、不良債権等の不良資産を帳簿上から完全に切り離すオフバランス

の方法です。


直接償却以外の不良債権の償却の方法には間接償却があります。


・間接償却

間接償却とは、貸倒引当金等を設定することにより間接的に不良債権等の

不良資産を償却する方法です。


間接償却以外の不良債権の償却の方法には直接償却があります。


・オフバランス

オフバランスとは、資産を貸借対照表(バランスシート)から外している

状態のことです。


直接償却は、オフバランスの方法です。


オフバランスは、簿外取引であり、オフバランスをすることにより、

貸借対照表をスリム化でき、オフバランスは証券化の目的の1つでもあります。


このオフバランスは、ROE(株主資本利益率)やROA(総資産利益率)を改善して、

資産効率を高める為の方法の1つです。


また、オフバランス処理の代表例としてリース取引がありますが、

このリース取引のうち、所有権移転外ファイナンスリース取引についても、

2008年4月以降に開始する事業年度から、通常の売買取引の会計処理に準じて

オンバランス処理されるようになりました。


オフバランス処理には、資産流動化、リース取引、オプション取引・

金融先物取引・CDS等のデリバティブ取引や、債務保証等があります。


また、オフバランス処理をすることで、当該資産と負債は簿外資産や簿外負債に

なりますが、オフバランスされた資産と負債は違法な簿外資産や簿外負債では

ありません。


このオフバランス処理のメリットとしては、バランスシートのスリム化による

各種財務指標の改善等があります。


また、企業の正確な実態を隠すためにオフバランスを隠れ蓑にしている企業が

存在し、オフバランスは投資家が企業の取引実態を的確に把握することを

困難にする為、資産のオフバランス化にはなんらかの対応措置が必要でしょう。


尚、オフバランスは資産だけに限ったものではなく、企業の債務保証行為なども

オフバランスに該当します。


ちなみに、以前は、オプション取引やスワップ取引などのデリバティブ取引は、

オフバランス取引の典型だったのですが、平成12年より適用された金融商品会計基準

により、現在は、貸借対照表に時価評価されて計上されるようになりました。


・償却債権取立益

償却債権取立益とは、当期より前の事業年度に貸倒償却をした債権が回収できた

時に使用する勘定科目のことです。


償却債権取立益は、特別利益となります。


・貸倒償却

貸倒償却とは、売掛金や貸付金等の債権が回収不能になった時に、

引当金計上している貸倒引当金を超える場合に使用する費用の勘定科目のことです。


一般的には、貸倒償却ではなく、貸倒損失という勘定科目を

使用しますので、貸倒償却と貸倒損失に違いがあるわけではありません。


・償却原価法

償却原価法とは、社債等の債券の取得価額と額面金額が異なる場合に、

取得価額と額面金額との差額を満期までの期間に配分する会計処理方法です。


償却原価法には、定額法と利息法の2種類の会計処理方法があります。


・償却金

償却金とは、借金を返す為のお金という意味です。


・敷金償却

敷金償却とは、賃貸契約をする際に契約段階で預ける敷金の一定金額を

返金しないことを決めたことです。


会計における敷金とは、事務所等を賃貸借契約する際に担保として支払った

金額を処理する勘定科目です。


敷金の金額に、契約期間終了時に返還されない金額が含まれる場合、

その金額は税法上の繰延資産に該当し長期前払費用として処理します。