資格の夢と独立の現実


昔と異なり、現在の日本は就職難です。


しかも、正社員として働いている人ですら、何時リストラの対象とされるか

分からないほど、経済環境は悪化しています。


そのような状況で、もっと安定したいい会社に入りたいと思ったり、

会社に頼らず独立開業したいと考えたことがある方なら、誰しもが一度は

考えたことがあるのが資格取得でしょう。


例えば、昔は、簿記の資格を取れば、会社の経理として仕事は保障された

ようなものなので、一生食べていける資格と思われていました。


また、弁護士や公認会計士などの難関国家資格を取得さえすれば、数千万円以上

の年収を獲得することも夢ではないと信じられていた時代もありました。


更に、最近では、経営のプロと評価されているMBAなる資格も登場するなど、

世の中にはあらゆるジャンルの資格が溢れています。


そのような社会的な資格神話ともいえる世の中の風潮があったことも影響して、

現在でも、資格取得の為に貴重な人生の時間を多く費やしたり、専門学校を利用

するなどして多額のお金を自己投資している人が多いわけです。


確かに、専門的な仕事をするうえでは、専門知識が必要なことはいうまでも

ありません。


しかし、資格を活かして会社で働く場合も、資格を利用して独立開業する

場合でも、実社会で稼げる仕事ができるようになるためには、専門知識だけ

では充分ではないのです。


例えば、皆さんは、大工さんという職業はご存知でしょうが、大工さんは、

主に木造建造物の建築を行う職人です。


この大工さんにも資格は存在し、その資格とは、国家資格である建築大工技能士

です。


建築大工技能士には、1級(上級技能者)、2級(中級技能者)、3級(初級技能者)

までの等級があります。


ちなみに、ある一定条件が存在しますが、家をつくるためには、必ずしも

建築大工技能士の資格は必要ではありません。


ここで皆さんに考えてもらいたいのは、自分が家を建てようと考えた時に、

建築コストを節約する為に、個人の大工さんに直接注文する場合に、下記の

どちらの大工さんに建築の注文を頼みますか?


Aの大工さん・・・建築大工技能士の資格は取得していないが、大工のキャリア

が30年あり、業界でも腕がいいことで有名な大工さん。


Bの大工さん・・・建築大工技能士の資格を取得しているが、大工のキャリア

が1年しかない大工さん。


皆さんの答えは聞かなくても分かります。


当然、Aの大工さんに、建築の注文を依頼しますよね。


その理由は、説明するまでもないでしょうが、経験と実績が無い大工に、

自分が住む家を作ってもらうなんてありえませんよね。


次は、MBAという資格について御紹介しますが、MBAとは、一般的に、

大学のビジネススクールと呼ばれている経営学の修士課程修了者に与え

られる学位のことです。


同じMBAでも、有名なビジネススクールの修士課程修了者であればあるほど、

経営のプロとして社会的評価が高いようです。


ここで、皆さんに考えてもらいたいのは、自分が経営不振に陥っている企業

の社長だとして、下記のどちらの経営コンサルタントに会社再建のコンサル

ティングを依頼しますか?


Aの経営コンサルタント・・・MBAの資格は取得していないが、キャリアが

30年で、中小企業から大企業まで会社再建の実績が数多くある経営コンサルタント。


Bの経営コンサルタント・・・MBAの資格を取得しているが、経営コンサル

タントのキャリアが全くない経営コンサルタント。


この質問についても、皆さんの答えは聞かなくても分かります。


当然、Aの経営コンサルタントに、会社再建のコンサルティングを依頼

しますよね。


その理由も、説明するまでもないでしょうが、経験と実績が無い経営コンサル

タントに、自分の会社の命運を任せるなんてありえませんよね。


資格の取得はスタートラインであり、資格を取得しただけで、他人が評価

するような仕事ができるようにはなれないのです。


資格を取得しただけで満足していては、資格取得後の夢でもある、高収入や

安定したいい会社に入って仕事を続けられる保証はなんらないのです。


そして、資格試験の中でも最難関といわれている弁護士試験や、弁護士試験

につぎ難関である公認会計士試験を突破して独立開業している人ですら、

独立後の年収が極めて低く、生活に困っている人が数多くいる独立の現実を

知らねばなりません。


更に、資格取得して独立開業後3年以内で30%前後の人が廃業しているという、

これから資格取得の為の勉強をして独立開業を目指す人にとっては、独立開業

を目指すことを考え直したくなるようなデータも存在します。


このように、最難関の国家資格を取得しても、夢とは程遠い厳しい独立の現実

を実感している人が数多くいるのです。


ゆえに、特に、国家資格の取得をして、独立開業を目指す人は、国家資格取得

の良い面だけに注目して、現実離れした夢を見るのではなく、独立した場合の

厳しい現実も充分考慮に入れて、覚悟を決め試験勉強に取り組むべきといえ

るでしょう。