製造原価


■製造原価とは


製造原価とは、製造業において工場で製品の製造に要した費用である

材料費、労務費、経費などの製品を製造するために費やした金額のことです。


製造原価の計算式は、期首仕掛品に当期総製造費用を足して期末仕掛品を

差し引くことにより、製造原価を算出することができます。


製造原価の正式名称は、当期製品製造原価です。


また、製造原価明細書とは、当期製品製造原価の内容を総合的に説明

している損益計算書(PL)の付属明細書のことです。


製造原価明細書は、財務諸表等規則75条2項にて、当期製品製造原価の

発生する企業に対して作成が義務付けられています。


この製造原価明細書は、製造原価報告書とも呼ばれており、この報告書の作成は、

経理部の役割です。


製造原価明細書は、製造業の財務諸表といわれることもありますが、厳密には、

製造原価明細書は、財務諸表ではなく、損益計算書(PL)の付属明細書です。


なお、総合予算の作成において、製造予算を作成することは、製品の

予定原価計算をすることです。


■製造原価の構成要素

・当期総製造費用

当期総製造費用とは、製造業において工場で当期の製造活動において発生した

費用である材料費、労務費、経費などの製品を製造するために費やした金額

のことです。


当期総製造費用は、損益計算書(PL)に表示されています。


この当期総製造費用と当期製品製造原価は異なります。


当期総製造費用の計算式は、当期に発生した材料費、労務費、経費、

製造間接費を合計することにより、当期総製造費用を算出すること

ができます。


なお、非製造業の当期総製造費用に相当するのが、当期の仕入高です。


・材料費

材料費とは、損益計算書の製造原価を構成する要素の1つです。


材料費は、製品を生産するために消費した材料を処理する費用の勘定科目です。


この材料費は、特定製品の製造に直接消費されたことが明らかな直接材料費と、

どの製品の製造の為に消費されたかは不明だが、製品の製造過程で消費された

ことが明らかな間接材料費があります。


また、直接材料費の構成要素とは、衣料品を例にすると、衣料品の大部分を

構成する生地や皮と衣料品に取り付けられている、ボタン、ファスナー、

各種飾りなどが該当します。


間接材料費の構成要素とは、直接材料費以外の、製品の製造過程において

工場で消費される補助材料費、工場消耗品費、消耗工具器具備品費などが

該当します。


また、材料費は、製品の製造の為に消費された時に始めて製造原価と

なりますので、製品の製造の為に消費されるまでは、棚卸資産(在庫)である

材料として工場や倉庫で保管されていることになります。


材料を仕入れてから、材料が製造現場で使用されるまでの期間が長くなれば

なるほど製品の完成が遅れ、資金繰りを圧迫することになりますので、

原材料回転期間の計画値と実績値の定期的なチェックは欠かせません。


尚、材料費は、売上高や工場の操業度に比例して増減する変動費ですが、

売上高に対する変動費の割合を低下させる為に、安い材料費を使用しても、

製品の質が落ち売上高が減少してしまうようでは本末転倒です。


ちなみに、売上高に対する変動費の割合が低いと、限界利益率は高くなります。


・労務費

労務費とは、損益計算書の製造原価を構成する要素の1つです。


労務費は、製品を生産する過程で発生した従業員の賃金等を処理する費用の

勘定科目です。


この労務費は、特定製品の製造に直接携った工員の賃金を処理する直接労務費と、

製品の製造過程で間接的に携った工員の賃金等を会計処理する間接労務費があります。


また、直接労務費とは、工員が、特定製品の製造に直接携わる作業を

することにより発生する賃金のことです。


間接労務費とは、特定の製品の費用と認識できない、工場で働く工員の、

賃金、給料、雑給、賞与、退職給付引当金繰入額、法定福利費のことです。


労務費は、製品の製造に要する期間に比例して費用が増減するものなので、

製品を完成する為の予定作業時間より、製品を完成する為に実際に要した

作業時間が増加すると、変動費が増加することになり、限界利益率が

低下します。


また、労務費を抑える為に、安い人件費の国や地域に工場を移設して、

変動費の削減に成功し、限界利益率を向上させることができたとしても、

製品の完成までの時間が大幅に増加すれば、以前よりも更に資金繰りを

圧迫する要因にもなります。


尚、労務費には、変動費に分類できるものと、固定費に分類できるものがあります。


正社員の基本給・法定福利費、退職給付引当金繰入額は固定費と考えるべきで、

それ以外の項目で、工場で働く従業員に発生する費用は変動費と見ることができます。


・経費

経費とは、損益計算書の製造原価を構成する要素の1つです。


経費は、製品を生産する過程で発生した材料費や労務費以外の費用を処理する

費用の勘定科目です。


この経費には、特定製品を製造する為だけに発生した直接経費と、

工場の維持費用や工場を操業している際に発生する様々な経費である

間接経費があります。


また、直接経費には、製品の製造や加工を外部業者に依頼することで

発生する外注加工費や、他の企業が保有する特許を使用して製品を

製造する場合に発生する特許使用料などが含まれます。


間接経費には、工場や機械装置などの保守修繕費用や減価償却費、

工場で発生する水道光熱費や通信費などが含まれます。


経費の分類としては、支払経費、測定経費、月割経費、発生経費の

4種類があり、各経費の内容は下記の通りです。


各経費の内容

①支払経費とは、各月の支払い高に、未払いや前払いを加減して
その月の経費とします。

②測定経費とは、メーターなどで測定した金額をその月の経費とし、
水道光熱費などが測定経費に該当します。

③月割経費とは、纏めて支払われた金額を、月割りにした経費のことで、
減価償却費などが月割経費に該当します。

④発生経費とは、その月に実際に発生した費用を経費とします。


尚、経費には、変動費に分類できるものと、固定費に分類できるものがあります。


一般的に、固定経費の大半は、工場や機械装置などの減価償却費であること

が多く、過大な設備投資をした場合には、減価償却費の負担が当然大きくなり、

製品の製造原価を押し上げることになります。


・製造間接費

製造間接費とは 損益計算書の製造原価を構成する要素の1つです。


製造間接費は 製品を生産する過程で発生したどの製品にも特定できない

費用を処理する費用の勘定科目です。


製造間接費には、 間接材料費、間接労務費、間接経費があります。


製造間接費は、製造ラインにおける作業時間や製造ラインの占有面積比

などの、合理的な配賦基準を基に各製品に配賦されます。


製造間接費に含まれる、間接材料費、間接労務費、間接経費の内容は下記の通りです。


製造間接費の概要

①間接材料費の内容としては、直接材料費以外の、製品の製造過程に
おいて工場で消費される補助材料費、工場で消費される消耗品費、
消耗工具器具備品費などが該当します。

②間接労務費の内容としては、直接労務費以外の、特定の製品の費用と
認識できない、工場で働く工員の、賃金、給料、雑給、賞与、
退職給付引当金繰入額、法定福利費のことです。

③間接経費の内容としては、直接経費以外の、工場や機械装置などの
保守修繕費用や減価償却費、工場で発生する水道光熱費や
通信費などが含まれます。


尚、製造間接費の適正な配賦基準を設定するためには、配賦をしようとする

材料費、労務費、経費の発生原因を特定し、その費用の効果を検討したうえで、

配賦基準を設定することがポイントです。