PEST分析の目的


経営戦略を立案する際には、自社でコントロールできない経済環境の変化を

調査する必要がありますが、その中でも自社が参入しているマーケットに強い影響

を及ぼす、マクロ環境の変動要因を掴んでおく必要があります。


マクロ環境分析と一口にいっても、その調査領域は膨大なので、 どこから手をつける

べきか考え込んでしまいそうですが、そのような時に威力を発揮するのがマクロ環境

の変動要因を分析するフレームワークです。


そのマクロ環境の変動要因を把握する際に適した環境分析のフレームワークが

PEST分析です。


経営企画部マーケティング部に所属している方や経営者の方なら、PEST分析を

知らないという方は、まずいないというくらい有名な分析手法です。


このPEST分析は、政治(Politics)、経済(Economics)、社会(Society)、

技術(Technology)の各頭文字を取った造語であり、この4つの視点で、 社会全体の

状況の中で、自社のビジネスチャンスや自社のビジネスの脅威に 繋がるものは何かを

調査分析する手法なのです。


まずは、PEST分析にて分析する各項目について、どんなことを調査分析するのかを

確認していきます。


最初は、政治(Politics)についてですが、まず、政治要因として注意すべきこと

としては、現在の政府の基本方針が規制を強化しようとしているのか、規制を緩和

しようとしているのかを見極めることです。


そして、自社が属する業界の法律が改正され、規制が強化された時や規制が緩和された

時に、どのようなビジネスチャンスがあり、どのような脅威が考えられるのかを掴む

必要があります。


更に、国内要因だけでなく、TPPなどの国際条約が締結された時等も、 さまざまな

チャンスや脅威が考えられます。


次は、経済(Economics)についてですが、経済要因として注意すべきこととしては、

世界経済や日本経済の景気動向と金融市場の動向の方向性です。


それらの動向を確認する際に、国際的に重要な経済指標としては、

米国のGDP(国内総生産)成長率、米国雇用統計である非農業部門雇用者数、

米連邦公開市場委員会(FOMC)があります。


国内的に重要な指標としては、日本のGDP成長率、日銀短観、 日銀の金融政策決定会合

があります。


金融市場の動向としては、各国の株式市場や為替相場(為替レート)の変動は

特に要注意です。


これらの経済の変動要因が影響することで、業界の市場規模が減少したり、

クライアントの設備投資の方針にも大きな影響を与えます。 次は、社会(Society)

についてですが、社会要因として注意すべきこと としては、人口の増減、

人口の年齢構成比の変化、ライフスタイルの変化です。


特に、ライフスタイルが変化すると、人々の行動パターンが変化し、 今まで利用して

いたものが不要になってきたり、逆に、人々の行動パターン が変化することで、

あらたな需要が発生したりしますので、 そのライフスタイルの変化を特に重視する

必要があります。


最後は、技術(Technology)についてですが、技術要因として注意すべきこと

としては、新技術や革新的な技術が誕生していないかを 確認することです。


新技術や革新的な技術は、既存のマーケットシェアを奪っていくこと が往々にして

ありますので、新しい市場が誕生することは、衰退する市場 がでることを意味して

いるのです。


PEST分析では、このような4つの視点で情報を収集していくわけですが、

分析をするうえで忘れてはならないことがこの分析の目的です。


PEST分析の目的は、自社の経営戦略を立案する為に、自社でコントロールできない

外部環境の変化には何があるのかを把握することなので、この分析だけをして、

経営戦略を立案することはできないということなのです。


具体的な経営戦略を立案するためには、マクロ環境分析をするだけではなく、

ミクロ環境分析をしなければ、具体的な経営戦略を立案しようがありませんので、

PEST分析をしただけでは意味がないのです。


要するに、PEST分析の限界を知り、他の環境分析のフレームワークを利用しなければ、

具体的な経営戦略を立案することはできないのです。


このように、PEST分析で、外部環境の大枠を掴んだ後に、自社のビジネスに直結する

ミクロ環境を調査分析することになります。