キャッシュコンバージョンサイクル(現金循環化日数:CCC)


■キャッシュコンバージョンサイクル とは


キャッシュコンバージョンサイクルとは、企業の本業の活動である、仕入、 販売、

支払、回収という、現金が循環する日数を示した財務指標のことです。


この財務指標が、運転資金(ワーキングキャピタル:WC)の発生する原因です。


また、キャッシュコンバージョンサイクルは、企業の資金繰りの状態に影響を

与える、最重要の財務指標でもあります。


この仕組みは、経営者だけではなく、経理部財務部経営企画部に所属する社員

であれば、 必ず理解しておくべきことです。


このサイクルは、資金の回収スピードを示していると解説されることが 多いのですが、

厳密に説明すると、資金回収スピードを示しているわけで はありません。


この財務指標の日本語表記が、現金循環化日数で、このサイクルは、

Cash Conversion Cycleの頭文字をとって、CCCと略されることが一般的です。


一般的に、製造業のこのサイクル日数は、非製造業と比較して、長期化している

ことが多いのですが、その原因は、各業態の商取引に精通されている方なら容易

に理解できるはずです。


但し、このサイクル日数に関しても、製造業でも例外的な企業は存在しており、

その代表的な企業が、iPhoneやiPadで世界的に有名な米国のアップル社で、

そのCCCはマイナス20という驚異的な数値となっており、この財務指標に関する

記事では、必ずといっていいほど登場してきます。


説明するまでもありませんが、このサイクル日数がマイナス20ということは、

余剰資金が発生していることになり、この現象は、このサイクルを活用して、

自力で資金調達をしているようなものなのです。


このような財務管理が徹底されているところにも、Apple社の強さの秘訣を垣間

見ることができるといえるでしょう。


また、小売業は、このサイクル日数が短い業界の1つですが、この業界の中でも、

特に、食品スーパーやドラッグストアの業態は、このサイクル日数が短く、

資金創出力が優れている企業が多いのが特徴といえます。


非製造業の場合の現金循環化日数の計算式は下記の通りです。


非製造業キャッシュコンバージョンサイクルの計算式

・CCC = DIO + DSO - DPO


上記の計算結果は、回収と支払いのずれである回転期間の乖離を計算していますので、

キャッシュコンバージョンサイクルの日数を計算することは、 回転期間乖離の日数を

計算することともいえます。


CCCの仕組みを理解するには、このサイクルの構成要素である、 棚卸資産回転期間、

売掛債権回転期間、仕入債務回転期間の計算結果が意味するところを理解する必要

があります。


その意味が理解できているかどうかを確認できる方法の1つとしては、 現金循環化日数

の計算式が、何故、そのような計算式となっているのかを 説明できるかどうかです。


この計算式の意味を説明できないようでは、CCCの仕組みが理解できているとは

言えません。


また、非製造業と製造業のCCCの計算式は、一見すると、異なっていると思われる方

もいるかもしれませんが、実質的な内容に、違いはありません。


製造業キャッシュコンバージョンサイクルの計算式

・製造業のDIO = 原材料回転期間 + 仕掛品回転期間 + 製品回転期間

・CCC = 製造業のDIO + DSO - DPO


上記の計算式を確認すると、製造業の在庫回転期間は、原材料、仕掛品、製品

の3つのプロセスで構成されていることが確認できますので、一見すると複雑に見える

製造業のCCCの計算式も、非製造業と比較しても、大差がないことが分かるはずです。


ところで、財務計画の中心となるのが、運転資金計画ですが、この計画に関しては、

正確な作成方法を理解していない方が非常に多くいます。


この計画の作成方法を考える際に、参考になるのが、売上計画になります。


売上計画を作成する場合は、単純に売上の金額だけを決定することを連想される方が

多いと思いますが、そのような計画の作り方では、小学生レベルといえる 方法です。


売上計画を作成するならば、最低でも、下記のような計算過程で売上高の予算を決定

する必要があります。


・売上予算 = 予定販売数量 × 予定販売単価


このように予算の売上高を算定する場合でも、いきなり売上高を算定しているわけで

はないので、運転資金計画を作成する場合でも、同様の理屈で、計画を作成する必要

があり、必然的に、予算のキャッシュコンバージョンサイクルを 計画する必要がある

ことが理解できるはずです。


■キャッシュコンバージョンサイクルの平均


キャッシュコンバージョンサイクルを管理する際に参考になるデータは、

全産業、製造業、非製造業、業種別の平均データがあります。


このCCC業界別データを確認したい場合は、財務省の施設等機関である

財務総合政策研究所が公表している法人企業統計年報を活用して算定できます。


下記データは、平成25年度の法人企業統計年報を活用して算定した、現金循環化日数の、

全産業、製造業、非製造業の企業規模別平均データです。


全産業キャッシュコンバージョンサイクル平均データ

資本金 企業数(単位:社) CCC日数
1千万円未満 1,702,125 37日
1千万円~5千万円未満 947,933 33日
5千万円~1億円未満 60,587 33日
1億円~10億円未満 25,480 28日
10億円以上 5,156 44日
合計 2,741,281 36日



製造業キャッシュコンバージョンサイクル平均データ

資本金 企業数(単位:社) CCC日数
1千万円未満 188,515 57日
1千万円~5千万円未満 157,233 62日
5千万円~1億円未満 12,395 54日
1億円~10億円未満 6,395 51日
10億円以上 2,070 56日
合計 366,608 56日



非製造業キャッシュコンバージョンサイクル平均データ

資本金 企業数(単位:社) CCC日数
1千万円未満 1,513,610 34日
1千万円~5千万円未満 790,700 27日
5千万円~1億円未満 48,192 27日
1億円~10億円未満 19,085 20日
10億円以上 3,086 36日
合計 2,374,673 29日