クラウドファンディングによる資金調達


■ネットを活用した資金調達

最近認知度が増しているクラウドファンディングとは、インターネットサイトを

経由して、不特定多数の投資家から少額資金を集める資金調達の仕組みのことです。


不特定多数というキーワードから群衆(crowd)という表現がなされ、

その群衆から、資金調達(funding)をするということで、このような造語

となっています。


この調達手段は、アメリカで、製品開発をしているクリエーターや、創作活動を

しているアーティストなどが、ネット上で、自分の事業アイデアや作品を公開して、

それらを見た不特定多数の個人から、数ドルから数十ドルの資金提供を受け、

事業やプロジェクトのために必要な運転資金を確保してプロジェクトをスタート

させたことが、はじまりとなっています。


この調達手段のメリットは、個人一人一人のリスクを抑えて、大きな資金を

集めることができることです。


もう一つのメリットしては、ベンチャーキャピタルや銀行に頼らずして、自分の力で

資金調達が可能なことです。


今までは、どんなに素晴らしい事業アイデアがあったり、画期的な製品の開発に成功

したとしても、資金の出し手であるベンチャーキャピタルや銀行が、資金を提供して

くれなければ、ビジネスをスタートすることができなかったのですが、この調達手段

を利用すれば、投資とは縁のない一般の方や、投資に興味がある個人投資家まで、

幅広い大衆にアピールすることで、資金を獲得できるチャンスが広がったわけです。


しかし、この調達手段にも、落とし穴でもあるデメリットは、当然、存在します。


特に、資金を拠出する立場の人間から見ると、資金だけ集めて、姿を消すような人が

現実にいたり、法整備が追いついていないことにより、資金提供に見合った価値が提供

されないなどの、投資家保護が図られていない点です。


■クラウドファンディングの種類

ネットを活用した資金調達の種類を大別すると、下記の3つの種類に分類する

ことができます。

  • 寄付型・・・リターンである見返りを、一切求めないタイプ

  • 購入型・・・金銭以外の、商品やサービスなどを提供するタイプ

  • 投資型・・・インカムゲインやキャピタルゲインを得られるタイプ



寄付型スキームの特徴は、ボランティアや災害復興などの目的で、非営利の団体

が利用することが多いことです。


購入型スキームの特徴は、実質的に、商品やサービスの予約販売を行っている

ことです。


投資型スキームの特徴は、他のスキームと比較して、調達規模が大きい

という点です。


また、投資型に含まれるているタイプとして、ネット上での融資仲介サービスである、

ソーシャルレンディングという貸付型も存在しています。


この3つのタイプには、当然、メリットとデメリットが存在しますが、

出資者である投資家と、調達者である企業において、利点や欠点がことなります。


例えば、出資者である投資家の立場から考えた場合の短所は、資金を集める

企業の意図が、本当に事業目的なのか、あるいは、当初から詐欺を目的にしている

のかが、全く分からない点です。


また、3つのどのタイプにも共通しますが、基本的に法律による規制がほとんどない

ので、公認会計士による監査などはあるはずがありませんので、ビジネスに対する

チェック機能がほとんど無い点も、この資金調達手段の欠点といえるでしょう。


更に、投資型の場合は、未上場株式ということで、流動性がないこともリスクと

いえます。


次に、出資者である投資家の立場から考えた場合の長所は、自分の意向に沿った

共感できるプロジェクトに初期段階から参加して、起業家と一体感を持ち、ビジネスの

成功を見守ることができることを挙げることができます。


もう一つは、もし事業が失敗したとしても、痛手にならない範囲の、少額の資金提供が

可能な点でしょう。


投資型においては、企業が大化けする可能性があることも利点といえます。


続いて、調達者である企業の立場から考えた場合のメリットは、ネットを活用

することにより不特定多数の個人から資金を集めることができる点と、返済の義務が

ない資金を集めることができる点です。


調達者である企業の立場から考えた場合のデメリットは、事業アイデア等を

公表することによる、他社から模倣されるリスクが高まる点と、小口の出資者が増加

して、事務処理が煩雑化し管理コストが増える点などがあります。


しかし、基本的に、調達する側の企業には、デメリットと比較すると、遥かにメリット

の方が大きいので、この調達手段は、企業にとって非常に有利な方法といえることは

間違いありません。


なお、企業では、この手法により獲得した資金から、成功報酬を差し引かれた金額が、

企業の銀行口座に振り込まれることになります。


■ビジネスモデル

このビジネスモデルは、企業と投資家をマッチングするプラットフォームを構築し、

調達が成功した場合は、調達金額に対する一定割合を成功報酬として受け取る

仕組みです。


世界最大のプラットフォームを運営する、「キックスターター」は手数料5%と

なっており、大半の海外サイトで10%前後が多いのですが、日本では20%前後の

成功報酬のサイトが多いようです。


ちなみに、日本では、最近、成功手数料0円のサイトも誕生しています。


なお、日本の主な運営サイトは下記の通りです。

  • 寄付型サイト

    ・JAPANGIVING

  • 購入型サイト

    ・CAMPFIRE

    ・READYFOR

    ・Makuake

    ・FAAVO

  • 貸付型サイト

    ・SBIソーシャルレンディング

    ・クラウドバンク

    ・Crowdcredit

    ・maneo

    ・AQUSH

  • ファンド型

    ・セキュリテ



■クラウドファンディングによる資金調達

起業家にとって、この調達手段の種類の中で、最も関心が高いのが、

株式投資型クラウドファンディングによる方法だと思います。


この方法は、平成27年5月29日から、新しい金融商品取引法が施行されて解禁

になった調達方法です。


この手法が活用できるようになり、ベンチャー企業の資金調達に新しい選択肢が

増えたことになります。


この方法は、出資者1人当たり1社につき50万円までと上限設定がありますが、

インターネットサイトを経由して、不特定多数の投資家から少額資金を集める

ことが可能になったことが画期的なことなのです。


ちなみに以前は、日本証券業協会の自主規制規則により、証券会社などの

第1種金融商品取引業者でも、非上場企業株式の募集の取扱いは、禁止でした。


特に、今まで、この調達手段の障害になっていた、金商業者の参入要件を、

金融庁は、金商法を改正して、募集総額1億円未満、1人当たり投資額50万円以下

のみを取り扱う業者については、兼業規制等を課さず、金融商品取引業者登録に必要な

最低資本金基準を引下げたので、この方法が、ベンチャー企業へリスクマネーを

供給する方法として、一気に注目を集めるようになったわけです。


しかし、幾ら、金融庁が、規制を緩和したからといって、どの企業でも簡単に自社単独

でネットを活用して調達できるほどハードルが低くなったわけではありませんので、

行政書士に相談して、自社単独で、この手法を活用する方法を選択するか、

従来から存在する、少人数私募債による資金調達をするべきかは、

企業の置かれた状況により異なります。


東京都千代田区秋葉原駅徒歩1分の場所に士業ビジネスの拠点を置く、

行政書士 緒方法務事務所に、お気軽に、お問合せくださいませ。