経済環境


■主要な経済環境


経済環境とは、経済の状態のことや、その時点で起きている様々な経済の

出来事のことです。


企業において経済環境を調査するのは、経営企画部の役割です。


企業や個人に影響する、主な経済環境を確認してみます。


・インフレーション

インフレーションとは、物価水準が上昇し貨幣価値が下落する経済環境のことです。


インフレーションは、一般的に、インフレと略して呼ばれています。


インフレは、需要が供給を上回る需給バランスが崩れている現象であり、

インフレが発生する主な原因としては、紙幣インフレ、信用インフレ、為替インフレ、

需要インフレ、コストインフレなどがあります。


このインフレーションは、緩やかであれば、経済に悪影響はあまりありません。


しかし、インフレが継続すると、現金の価値も減少するため、

インフレが続く経済の中では、資産を現金だけで保有することは、

資産が目減りすることを意味します。


資産を目減りさせたくない場合は、資産のポートフォリオに株式や不動産などを

組み入れ、インフレをヘッジする必要があります。


不況で景気が停滞局面や後退局面にあるにもかかわらず、物価の上昇が継続する

が起きている状態のことを、スタグフレーションと呼びます。


また、インフレの先行指標としては、CRB指数やバルチック海運指数(BDI)等が、

マーケットにおいて注目されている経済指標です。


ちなみに、銀行に現金を預けると利息がついて、その利息の分だけ現金が増加しますが、

インフレ率が銀行の金利を上回っている場合は、そのインフレ率と銀行の金利の差だけ、

現金が目減りしていることになりますので、資産を目減りさせたくない方は、注意が

必要です。


また、インフレーションが発生する原因の1つとして、為替インフレがありますが、

この為替インフレとは、自国通貨の為替相場が下落する通貨安になることで、輸入品の

物価が上昇して国内の物価水準が上昇することです。


日本の場合は、為替相場が円高傾向の場合は、為替インフレの心配はありませんが、

為替相場の円安傾向が継続すると、為替インフレの懸念が増加します。


インフレでやっかいなのが、ハイパーインフレです。


ハイパーインフレとは、物価の上昇が短期間で数倍以上になってしまう状態で、

通常ハイパーインフレは、国が財政破綻を起こすことにより自国通貨が

為替相場で暴落し、為替インフレなどを引き起こすことで発生します。


世界の歴史上で最も有名なハイパーインフレは、1920年~1930年代に起こった

ドイツのハイパーインフレで、この時は数年間で物価水準が約1兆倍になった

ほど凄まじいインフレが起こりました。


また、このようなハイパーインフレは過去の遺物ではなく、近年にも実際に

発生している経済現象で、主要国では、1990年代の冷戦後のロシアで

ハイパーインフレが起こっています。


最近では、ジンバブエがハイパーインフレに陥り自国通貨が紙切れ

同然になっています。


・デフレーション

デフレーションとは、物価水準が下落し貨幣価値が上昇する

経済環境のことです。


デフレーションは、一般的に、デフレと略して呼ばれています。


デフレは、供給が需要を上回る需給バランスが崩れている現象であり、

デフレが発生する主な原因としては、需要サイド要因、供給サイド要因、

金融的要因があります。


このデフレーションは、経済にとっては基本的に悪の存在です。


デフレが更なる悪循環に発展することをデフレスパイラルと呼びます。


デフレスパイラルとは、不景気で需要が落ち込むことで、物価が下落して、

企業の売上高も継続的に下落傾向になって利益も減少する状態のことです。


企業の利益の減少傾向が続けば、企業は人件費である賃金を減らしたり、

人員削減などのリストラをする企業が増加し、人々の賃金が減少し失業者が増加して、

人々の購買力も低下して、更なる景気悪化を招き一層不景気が深刻化し

更にデフレが進行して物価が下落してしまいます。


1990年代から2000年前後まで、日本はデフレーションの状態でデフレスパイラルに

陥っていたと言われていました。


その原因としては、バブル崩壊による、設備の過剰、雇用の過剰、債務の過剰の

3つの過剰が原因であると指摘されています。


この原因は主に供給サイドである企業の原因であり、日本企業は3つの過剰である、

設備の過剰、雇用の過剰、債務の過剰を解消する為にバブル崩壊後の大半の期間を

費やしてきました。


このデフレ下では、時間の経過と共に物の価値が減少し、現金の価値が上昇する為に、

現金を保有していることが、企業や個人にとって最も資産を増加させる方法です。


インフレの時期のように資産のポートフォリオに株式や不動産などを組み入れていると、

基本的に資産が目減りする可能性が高くなります。


現金以外の資産を保有することは、資産を目減りさせることになってしまうため、

企業は設備投資などの投資を抑制し、個人も消費や投資を抑制することで、

それが更なる景気後退を招きデフレを深刻化させます。


また、デフレーションの状態の時に、自国通貨の為替相場が上昇する通貨高になれば、

輸入品の物価が下落して国内の物価水準が更に下落することになります。


日本の場合であれば、為替相場が円安傾向の場合は、デフレの心配はありませんが、

為替相場の円高傾向が継続すると、更なるデフレの懸念が増加します。


・スタグフレーション

スタグフレーションとは、不況で景気が停滞局面や後退局面にあるにもかかわらず、

物価の上昇が継続するインフレーションが起きている経済環境です。


スタグフレーションの状況下は、企業の倒産が多く失業率も高くなって個人の購買力も

低下し、そして、インフレ率の高さが追い討ちをかけることで、更に景気が悪化する

悪循環に陥いりやすい状態といえます。


このスタグフレーションの状態は、不況下で物価の上昇が継続するインフレーション

が起きている為、必然的に、企業の売上高と利益は減少し、それに比例して個人の

購買力も低下し、企業や個人が保有するストックである現預金などの資産も目減り

します。


実質の購買力も更に低下することで、経済全体の規模が縮小して、個人の生活は

ますます苦しくなり、資金繰りが逼迫して資金ショートを起こす企業も続出する

事態になります。


また、歴史上、国家破産をした国の初期段階では、このスタグフレーションの状況から

始まっている国が多いようです。


スタグフレーションの抑制は、非常に難しいといわれている為、

スタグフレーションがエスカレートすることで、国がデフォルトの

状態である国家破産を引き起こしてしまうのでしょう。


尚、1970年代の第一次石油ショックが、最近の世界的なスタグフレーションに当たり、

この時期は石油を始めとした原材料価格が高騰し、中東戦争が勃発したことで、

更にスタグフレーションの状態をエスカレートさせました。


ちなみに、このスタグフレーションは、不況や景気後退・停滞という

意味があるスタグネーションとインフレーショーンを組合わせた造語です。


■稀な経済環境

・預金封鎖

預金封鎖とは、国がある一定期の期間、銀行等の金融機関から預金の引き出しを

できなくする経済環境のことです。


第二次世界大戦直後の新円切換では、金融緊急措置令が発表されて、

預金封鎖と新円切替が同時に行われました。


この預金封鎖は、現在の世の中では実行は難しいといわれることが多く、

その主な理由としては、国民が許すわけがないということと、経済が大混乱することが

一般的な理由として語られています。


しかし、その時の経済環境によって、預金封鎖が必要であると日本政府が認識した

場合は、国民感情を度外視してでも、預金封鎖を実行するでしょうから、預金封鎖など

するはずが無い等と、決めつけるべきではないでしょう。


また、現在の日本はデフレの状況ではありますが、預金封鎖が行われる時は、

為替が円高から急激な円安に転換して、想像ができないインフレが発生する

可能性が高いでしょうから、預金封鎖が行われる数ヶ月間で、預金の価値が、

著しく低下することだけは間違いないでしょう。


尚、預金封鎖が実行される時は、一種の徳政令である新円切替が同時に行われる

ことになると思います。


・新円切換

新円切換とは、今まで使用できた円通貨を利用できなくして、

新しい円通貨のみを利用できるようにする制度です。


日本で円通貨の利用が始まった明治時代から今日まで新円切換が

行なわれたのは、第二次世界大戦直後の一度だけです。


その当時に新円切換が実施された理由は、戦後の激しいインフレ対策と戦前に

大量に発行された国債などの政府債務を実質的に切り捨てる目的などにより行なわれ、

このような行為は一種の徳政令といえます。


この新円切換が、激しいインフレ対策や国の巨額債務削減の為に行なわれる場合は、

新円切換の実施方法としては、新旧通貨の交換比率を大きくすることがまず考えら

れます。


例えば、旧い通貨1万円で新しい通貨に交換しようとすると1千円にしか交換

できないようなことです。


あるいは、手持ちの旧い通貨を新しい通貨に交換できる限度額を設ける場合や、または、

新旧通貨の交換期限を設けて、1日に交換できる限度額を設けたり、1日に銀行などの

金融機関からの現金引き出し限度額を設けたりすることなどが考えられます。


実際の第二次世界大戦直後の新円切換は、旧円と新円の交換比率は1:1でした。


しかし、交換限度額が1人100円と決められ、残りの旧円は強制預金とされ、

旧円と新円の交換期限も決められていた為、その当時、資産の大半を現預金で保有

していた資産家の大半は、新円切換を境に没落していくことになりました。


また、新円切換の際は、旧円の流通をストップさせる必要がある為に、

まず預金封鎖が行なわれるはずですし、実際、第二次世界大戦直後の

新円切換の際も預金封鎖が行なわれました。


・徳政令

徳政令とは、借りたお金を、返済する必要がないという決まりを定めることにより、

借金を帳消しにしてしまうことです。


日本で最初の徳政令は、鎌倉時代に、借金に苦しむ御家人の救済目的で幕府が出した

債権放棄を命令した法律が定められた時です。


この徳政令は、日本の膨大な国債発行残高について語られる際に、頻繁に話題に

なっています。


現在の、日本の膨大な国債発行残高は、返済不能であるといわれているので、

日本政府が、日本の国債について、徳政令をだす可能性があるのではないかと

記事になることが多いようです。


もし、日本政府が、日本の国債について、徳政令をだすことがあれば、

徳政令をだすと同時に、預金封鎖をして、新円切換も行うでしょうから、

その時に、資産の大部分を現金や預金で持っていた場合は、資産が一瞬にして

無くなってしまう可能性もあります。


現在の様に、日本の財政が極めて深刻な状態の時は、資産の大半を現金や預金で

持つことは、安全なことではなく、むしろ、非常にリスクの高いことであると

認識する必要があるでしょう。


尚、現在の世の中で、徳政令など有り得ないと思われている方は、それはあまり

にも硬直した考えであり、徳政令は、日本政府が法律を制定するだけでできること

なので、徳政令は絶対にないという考えは持つべきではないでしょう。


・ソブリンリスク

ソブリンリスクとは、国家の信用リスクや国家破綻リスクのことです。


一般的に、ソブリンリスクが存在するといわれる場合は、国が発行している国債が

デフォルト(債務不履行)に陥る可能性を指摘しています。


ソブリンリスクが発生している国の国債や通貨は急激に下落することになり、

ソブリン債は、各国の政府や政府関係機関などが発行や保証をしている債券の総称です。


このソブリンリスクが発生した国では、国債、為替、株式市場が下落をすることに

なりますが、国債についていえば、国債の価格自体が大幅に下落して金利が急上昇

するので、事実上、国債を新規に発行して資金調達をすることが難しくなります。


株式場では、国債を大量に保有する金融機関は、多額の損失懸念から、倒産リスクが

台頭して、泥沼ともいうべき下落をするようになりますし。


為替に関しては、自国通貨は、売られる一方となりますので、インフレ懸念が増す

ことになり、ソブリンリスクが発生した国は、経済が大混乱することになります。


ちなみに、ソブリンリスクのソブリンの意味としては、独立国家、君主、国王、

統治者という意味です。


また、2010年からのギリシャ危機は、まさしくソブリンリスクでしたが、

その危機の際は、ギリシャが発行している短期国債の利回りは40%台に達する

ほど深刻さは激しさを増しました。


更に、ギリシア危機は、他のユーロ圏のイタリアやスペインにも飛び火して

ユーロ危機になり、欧州中央銀行(ECB)が、大量のユーロマネーを刷って、

暴落しているイタリア国債やスペイン国債を買い支えていました。


2011年の8月に金地金の価格が急騰した理由の一つは、無秩序な中央銀行の

通貨の発行が原因といえます。


尚、イタリアとスペインの経済規模を足すと、ユーロ圏の約3割に達しますので、

イタリアとスペインのソブリンリスクが終息しなければ、その危機が、ユーロ圏の

中核であるドイツやフランスにまで飛び火する可能性もありました。


ソブリンリスクがドイツやフランスにまで飛び火してしまえば、ユーロ圏の国債と

ユーロが暴落して、2008年のサブプライムローンを原因とした、リーマンショック

である金融危機を上回る世界経済を震撼させるほどの金融危機が発生する可能性が

あったのでしょう。


■円安トレンドへの転換


第二次世界大戦後、1949年に1ドル=360円という固定相場からスタートした

米ドル円の為替相場は、22年後の1971年にスミソニアンレートが採用され

1ドル=308円となり、1973年2月より完全な変動相場制に移行して、

2011年の史上最高値75円54銭まで、ほぼ一貫して円高トレンドでした。


しかし、その円高トレンドにも終止符が打たれ、円安トレンドへの転換が

はじまっています。


その円安トレンドへの転換の大きな原因は、日本の財政問題と日本銀行の金融政策です。


最近は、日本の財政が深刻な事態に陥っていることは、ギリシャ問題などが

テレビや新聞で報じられる時に日本の財政状態の深刻さも報道されていたので、

日本の財政問題も非常に深刻であるということを知っている方は多いことでしょう。


テレビや新聞では、日本も、このような財政状態を続けていれば、日本も近い将来、

ギリシャと同じように財政破綻すると解説されています。


ところで、これまで円高トレンドであった大きな要素として日本銀行の通貨供給量

があり、世界の他の国と比較して、自国の通貨供給量が低ければ、当然、通貨の価値

が高くなって、日本であれば円高になることは当然だと思います。


自動車の価格であろうが、パソコンの価格であろうが、為替相場であろうが、

どんな物でも、需要と供給の関係である需給が価格を決定するのです。


日本の財政問題以外の円安トレンドへの転換を決定づけたといっても過言ではない、

日本銀行の金融政策も大きな転換をしています。


日銀が金融政策を大転換したのは、平成24年2月14日の金融政策決定会合にて、

量的緩和の拡大である資産買い入れ基金の10兆円の増額と事実上のインフレターゲット

である1%のインフレ目標を決定した時です。


中央銀行である日本銀行がインフレターゲットである1%のインフレ目標を決定

したということは、インフレが1%未満の場合には、更に通貨供給量を増やして

量的金融緩和政策を拡大する政策やゼロ金利政策の継続、場合によっては

マイナス金利の政策も導入するなどして、1%のインフレ目標を達成しようと

するはずです。


これは、日本の長いデフレの時代が終焉し、これからの日本はインフレの時代に

突入していくことを意味します。


中央銀行は、実質的には、何ら価値が無い紙幣を無尽蔵に印刷して供給すること

ができるので、中央銀行である日本銀行が本気であれば、金利や通貨供給量を

コントロールすることで、為替や物価を管理することは可能といえます。


このように、これからの日本は、円高の時代が嘘の様に、円安とインフレにより、

現預金で資産の大半を保有している人が資産を目減りさせていくことになりますし、

給料が上昇せず物価が上昇することで、更に生活が苦しくなる人が大半でしょうから、

バブル崩壊後の20数年で身についてしまった固定観念を取り去って、新たな時代に

対応していく考え方が必要になってきます。


■インフレの時代と景気拡大


2015年の日本の株式市場は、株式投資をしている投資家の立場から見ると、

フラストレーションが堪る展開が続いてます。


しかし、大局的観点から見ると、日本の株式市場の方向性は既に固まっていると

いえます。


なぜなら、日本がかなりのインフレに陥るとことは、避けては通れないからです。


現在は、インフレの時代が到来するか否かの議論ではなく、どれくらいのスケール

のインフレが到来するのかに焦点が移つりつつある段階といえます。


高率なインフレの時代が到来すると見られている一番の原因は、

日銀の量的金融緩和政策です。


現状の、日銀の金融緩和政策でさえ、異次元の金融政策と呼ばれているにも関わらず、

日銀は、更に、もう一段の金融緩和に踏み込もうとしているのです。


中央銀行が、お金を市中にばら撒けばばら撒くほど、将来のインフレの芽が

どんどん大きくなることは言うまでもありません。


当たり前のことですが、通貨は、国の信用で成り立っていますので、その国の信用

が崩壊した時点で、通貨自体に価値はありませんから、その国の通貨は暴落し、

その国のモノの価格は跳ね上がります。


日本は、国債の依存度から考えても、国の信用が崩壊する臨界点が何時来ても

おかしくない状況なのです。


そのような事態に備えているのが、海外投資家や一部の資産家です。


その証拠に、時代の変化に目ざとい海外投資家や一部の資産家は、都内の一等地を

奪い合うように購入している現実があります。


彼らは、来るべきインフレの時代に備えて、優良な不動産を筆頭とした現物資産に、

資産をシフトしています。


また、インフレの時代の息吹は、国土交通省が四半期毎に公表している、

地価動向を示した、地価LOOKレポートを見ても明らかです。


世の中がインフレの時代になり、株や不動産などの資産価格が上昇するようになれば、

資産効果により景気にプラスの面はあります。


しかし、その資産効果が景気拡大に繋がるか、それともインフレの進行度合いが酷くて、

資産効果を打ち消してしまうかは、現時点では、正確に予測することができる人は

いないでしょう。


もし、インフレが資産効果をもたらし、景気拡大に繋がるのなら、現在低迷している、

日本の不動産株とメガバンクをはじめとした銀行株は、かなりの確率で、現時点では、

想像もできないくらいの上昇率を見せるはずです。


このような現状を考慮すると、個人も企業も保険という観点からも、インフレの時代を

意識した対策を取っておかなければ、個人の生活や企業活動に重大な支障がでることを

避けることはできないのです。


ゆえに、現在は、個人の生活や企業活動を守る為の対策を取る時期に突入している

ことを肝に銘じておく必要があるといえます。