経理と財務の違い


皆さんは、経理と財務の違いを尋ねられて、説明することができる

でしょうか?


経理と財務は、違う仕事だと認識されている方は多いとは思いますが、

経理や財務を本職として、何年も仕事をしている方でなければ、

なかなか簡単に違いを説明することは難しいでしょう。


まずは、経理と財務の違いを説明する前に、経理や財務に縁のない人は、

経理や財務に対してどんなイメージを持っているのか確認したいと思います。


経理や財務に縁のない人が持つ、経理のイメージや財務のイメージに共通

してあることといえば、「お金に関する仕事」、「仕事が難しそう」、

「専門知識がないと仕事ができない」、「地味でつまらない仕事」、

「黙々とやるだけの仕事」などがあります。


また、経理や財務に縁のない人からは、経理や財務の社員は、椅子に座り

長時間のデスクワークが業務時間の大半を占めているので、他部署の社員とも

あまり接点がなく、コミュニケーションをとるのが下手な社員が多いと思わ

れています。


一般的に、経理や財務を本職として働く以外の人は、経理や財務の社員に

対して上記の様なイメージを持っているので、経理や財務の人に対して、

地味、堅い、保守的、融通が利かないといったイメージを持ってしまうの

でしょう。


このように、経理や財務に縁のない人にとっては、経理と財務の違いはなく、

どちらも同じようにしか認識していないことが多いのです。


それでは、専門的な観点から考えた場合の、経理と財務の違いについて

説明したいと思いますが、一般的に、経理と言えば、経営管理のことを

指していますので、経営全般の数字に関する管理業務全般に携わるのが経理

なので、当然、その中には、財務も含まれていることになります。


そうすると、経理の中には、財務が含まれていますので、経理の方が財務

より大きな概念といえ、財務は、経理の中のある特定の分野を指している

ことになります。


その特定の分野とは、資金繰りに関する業務が主体であり、資金繰りに

関する業務は、財務の専門知識が必要になりますので、経理の仕事に携わって

いる人の中にも、財務の仕事を苦手とする人が多いのです。


また、会社の規模によって、経理と財務に対する認識が異なっている場合

があります。


例えば、中小企業の大半は、先ほど説明したような認識を、経理と財務に

対して持っているのですが、社員が数千人以上の大企業では、経理と財務に

対する認識が変わってくるのです。


社員が数千人以上の大企業では、組織の役割が、非常に細分化されているので、

そのような企業の経理の仕事は、非常に限定されたものとなっています。


社員が数千人以上の大企業での経理部の役割は、財務会計です。


財務会計とは、法律や規則にのっとって、財務諸表を作成し、税務申告をしたり

、計算書類、決算短信、有価証券報告書などの外部に開示する書類を作成

する仕事のことです。


社員が数千人以上の大企業の経理部は、基本的に、財務会計のみを担当し、

その他のお金に関する業務や、経営管理に関する業務に携わることが

ないのです。


そのような大企業では、お金に関する支払や資金繰りなどの業務は財務部

が担当し、経営計画の作成を含む経営管理の業務を経営企画部が担当して

いるのです。


このような、企業規模によっても、経理と財務の違いがでてきますので、

経理と財務の違いを話題にする時は、本質的な違いを論点にしているのか、

企業規模による違いを論点にしているのかを確認しなければ、論点が噛み合

わないことになるのです。


要するに、本質的な経理という仕事には、大企業でいうところの、経理の仕事、

財務の仕事、経営企画の仕事が含まれていることになりますので、経理全般の

仕事ができるということは、これらの仕事に全て対応できることを意味して

いるのです。


このように考えれば、中小企業の経理のスペシャリストなら、どのような

企業規模の企業でも仕事をすることができますが、大企業の経理でしか働いた

経験がない人には、中小企業の経理が務まるかは甚だ疑問ということになる

のです。


最後に、中小企業において、経理として働いている方や、財務として働いて

いる方でも、資金繰りを苦手にしている方が多いのですが、その理由としては、

資金繰りという業務を、体系的に学んだ経験がある方が少ないことが影響

しています。


この資金繰りという業務は、企業で働く大半の人が自己流で業務を遂行して

いますので、資金繰りに対する定義も人によって異なりますし、資金繰りの

やり方も、人によって異なるのです。


このような理由から、資金繰り業務を遂行している人のほとんどは、

本来の資金繰り業務ができていないのです。


厳密な意味での資金繰りという業務は、企業における財務計画を作成する

ことと同じであり、資金繰り業務を遂行できるといえる人は、財務計画を作成

できる人だけなので、財務計画を作成できない人は、資金繰り業務をできる

とはいえないのです。


ここでいう財務計画とは、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書

の計画を作成することなので、入金予定と支払予定を纏めるだけの計画では

ありません。


このように、経理や財務に縁のない人は、経理と財務の違いは、本質的な意味

による違いと、企業規模による違いがあるということさえ理解しておけば充分

といえますし、経理や財務を本職とする人は、各業務の本質的な意味と役割を

理解するべきでしょう。


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