為替


■為替とは

為替とは、一般的には、異なる2国間の通貨を交換する取引のことを指しています。


日々変動する為替相場(為替レート)を為替と呼ぶことも多くなっています。


この為替は、内国為替と外国為替の2種類に分類することができます。


内国為替とは、金融機関が、国内において現金を移動させずに、

債権・債務の決済をする方法です。


外国為替とは、自国と外国の債権・債務を、現金を移動させず、為替手形や送金小切手を

使い振替決済するか、銀行を利用して送金をし決済する方法です。


外国為替は、一般的に外為と呼ばれることが多く、為替と同じ意味で使われています。


また、新聞・テレビ・ネットなどで、為替のことが報道されない日は皆無であり、

さまざまなメディアで、各外国通貨に対して、円高や円安になったと報道されています。


そして、為替は、企業業績にも大きな影響を与える要因です。


企業の想定為替レート以上に為替が変動すると、企業業績を大きく押し上げたり、

利益が激減したりする可能性があります。


為替相場が自社に不利になった場合の保険として、企業の財務部が為替予約などを

利用しています。


ちなみに、実効為替レートや実質為替レートは、特定の2国間の為替レートを表した

ものではありません。


■為替に関連する事項

・為替相場

為替相場とは、世界の様々な国の通貨の取引相場のことです。


為替相場は、2国間の通貨同士の交換比率です。


為替相場には、固定相場制と変動相場制の2つの制度が存在し、一般的に為替相場は、

為替レートとも呼ばれます。


この為替相場は、事業活動において輸出入などの貿易をする際や資本移動等を

する際に、自国の通貨を活動をする当該国の通貨に交換する必要があり、

その際の通貨の交換比率が必要になったことから生まれたものです。


景気サイクルが、為替相場にも影響することはいうまでもありません。


外貨建取引の取引をする際は、対顧客電信売相場、対顧客電信買相場、

対顧客電信仲値相場などの相場を利用することになります。


また、為替相場は、株式などのように取引所を通して2国間通貨の交換を

しているわけではなく、1対1の相対取引で取引されています。


取引の場は、金融機関と一般の個人であれば金融機関の店舗が取引の場所に

なりますし、金融機関同士であれば、電話やパソコンを利用したオンライン取引が

取引の場所になります。


そして、変動相場制の場合は、日々為替相場は変動しているため、日本の通貨円で

あれば、ある国の通貨に対して円高になっていても、別の国の通貨に対しては円安に

なっていることもあります。


また、為替相場だけを見ていては、現実の2国間の正確な為替レートは

つかめない為、特定の2国間の為替レートを2国間の物価指数の比で割った

実質為替レートを見る必要があります。


自国通貨の世界の様々な通貨に対する正確な為替相場を知りたい場合は、

世界の主要国や地域との為替レートを1つの指数にした実効為替レートを

確認する必要があります。


日本とそれぞれの国等の貿易ウエイトで加重幾何平均して基準時点を決め算出した

実効為替レートが名目実効為替レートで、世界の主要国や地域の物価の変動を加味した

実効為替レートが、実質実効為替レートです。


また、企業は、業績の見通しや事業計画を策定する際に、その計画の前提条件である

為替相場を事前に決定していますが、その為替相場のことを想定為替レートと呼んで

います。


輸出入を行なう企業は、実際の為替レートが想定為替レートより円高や円安になり

企業業績に影響を与えることがないように、多くの輸出入を行なう企業は為替予約を

しています。


このような為替の影響により損益が発生した場合は、為替差益や為替差損の勘定科目を

用いることになります。


ちなみに、ドル円相場などの為替がニュースになった場合などは、上田八木短資などの

ディーリングルームがテレビに放映されていますが、 短資会社とは、金融機関向けの

コール市場などの短期金融市場で、銀行間の貸借取引の仲介を行う会社のことです。


・為替差損

為替差損とは、保有している外貨建金銭債権などを取得した時の為替レートより、

決済時や期末の為替相場が円高の場合に発生する営業外費用です。


期末において、為替差益と為替差損の双方に残高がある場合においては、

相殺して残った勘定科目の方を損益計算書に表示することになります。


この為替差損が発生するものとしては、外国通貨、外貨建金銭債権、

外貨建有価証券、外貨建デリバティブ取引などがあります。


これらの資産が発生した時の為替レートより、これらの資産を決済した場合や、

あるいはこれらの資産を期末に保有していた場合の期末の為替レートより

円高になっている場合に為替差損が発生することになります。


企業会計上、外貨建取引を円建てに換算する際に利用される

為替レートは下記の通りです。


①取引発生時点の為替レート
②決算日の為替レート又は決算日前後一定期間の平均為替レート
③期中の一定期間の平均為替レート


・為替差益

為替差益とは、保有している外貨建金銭債権などを取得した時の為替相場より、

決済時や期末の為替レートが円安の場合に発生する営業外収益です。


期末において、為替差益と為替差損の双方に残高がある場合においては、

相殺して残った勘定科目の方を損益計算書に表示することになります。


この為替差益が発生するものとしては、外国通貨、外貨建金銭債権、

外貨建有価証券、外貨建デリバティブ取引なとがあります。


これらの資産が発生した時の為替レートより、これらの資産を決済した場合や、

あるいはこれらの資産を期末に保有していた場合の期末の為替レートより

円安になっている場合に為替差益が発生することになります。


企業会計上、外貨建取引を円建てに換算する際に利用される

為替レートは下記の通りです。


①取引発生時点の為替レート
②決算日の為替レート又は決算日前後一定期間の平均為替レート
③期中の一定期間の平均為替レート


・想定為替レート

想定為替レートとは、輸出入を行なう企業などが、業績の見通しや

事業計画を策定する際に、事前に決定しておく為替レートのことです。


製品や商品の輸出入による売上が大半を占める企業にとっては、

為替レートの水準次第で利益が大きく変化します。


よって、単年度経営計画や中期経営計画の前提条件である想定為替レートが

どのレベルであるかは、企業収益を予測する上でも重要な要素の1つといえます。


この想定為替レートは、企業が事業計画を策定した際の前提条件である為、

輸出企業の場合は、実際の為替相場が想定為替レートより円高に進行すると、

外貨建て商品や製品の売上や利益の円換算額が減少することになります。


逆に、輸入企業の場合は、実際の為替レートが想定為替レートより円安に進行すると、

仕入コスト増加の為に売上原価率が上昇することで粗利益率が悪化し純利益が減少する

ことになります。


このように、輸出入を行なう企業にとって為替レートの水準は企業業績を決定する

重要な要素です。


外貨建て金銭債権債務を多く保有する企業は、その外貨建て金銭債権債務を決済

した場合や外貨建て金銭債権債務を期末に保有していた場合は、その外貨建て

金銭債権債務を取得した時の為替レートより円高や円安が進行すれば為替差損も

発生することになります。


そこで、輸出入を行なう企業は、実際の為替レートが想定為替レートより

円高や円安になり企業業績に影響を与えることがないように、多くの

輸出入を行なう企業が為替予約をしています。


日本企業の想定為替レートの見込み数値は、日本銀行が四半期に一度公表する

日銀短観にて企業の規模別に発表されています。


このデータは、日本銀行のHPにアクセスすることにより確認取得できます。


・為替予約

為替予約とは、銀行と顧客が外国為替取引において、将来のあらかじめ

決めた期日にあらかじめ決めた金額を、将来の為替相場とは関係なく、

事前に決定した契約のことです。


為替予約は、主に企業が輸出や輸入の事業をしている場合に、企業が為替変動リスク

をヘッジや回避するために用いるもので、為替予約をしていれば、急激な円高や円安

による影響を防ぐことができます。


この為替予約は、元々は為替変動リスクをヘッジや回避するために用いられる

ようになったものです。


為替予約の仕組みとしては、デリバティブ取引のような仕組みのため、

近年は企業などの実需目的の利用だけでなく、投資や投機目的による為替予約も

増加しています。


相対契約の場合の為替予約はデリバティブ取引には該当しません。


為替予約も繰延ヘッジ会計の対象であり、 繰延ヘッジ会計とは、時価評価されている

ヘッジした項目に関する損益等に税効果会計を適用し、ヘッジ対象の損益が認識される

まで純資産の項目として繰り延べる会計処理です。


また、為替予約のメリットとしては、現時点で為替レートを決定してしまうため、

将来の決済する時の為替相場に関係なく、受取る資金の目減りや支払い金額が増加する

為替変動リスクをヘッジや回避できることです。


為替予約のデメリットとしては、現時点で為替レートを固定化してしまう為、

将来の決済時点で為替レートが自社にとって有利になっていたとしても、決済時の

為替レートを決定している為に、為替差益を享受できないことです。


なお、実際の為替レートが企業が設定している想定為替レートに近づくと、

輸出入企業などが為替予約を急ぐ動きを見せる為、そのような為替予約の動きは、

為替相場に影響を与える要因の1つとなっています。


為替予約の手数料は、先物予約レートに、銀行の手数料として片道1円以上が

実質的に上乗せされていることが一般的です。


しかし、為替予約の手数料は、直接的な費用として支出するものではない為、

直物レートやスワップレートなどを明示されていなければ、実際の為替予約の

手数料体系はブラックボックスになってしまいます。


中小企業が銀行と為替予約の取引をする際に、中小企業の社内に為替予約に関する

実務知識がある人材がいないケースでは、実質的に、必要以上に為替予約の手数料を

銀行のマージンとして支払っている可能性もあります。


なお、最近は、日本の企業も中国の企業と取引が活発になってきたので、

人民元為替予約の取り扱いを始める銀行が増えています。


為替予約の会計処理は、期末に時価評価した上で貸借対照表に時価で計上し、

時価評価差額は当期の損益として計上します。


為替予約時価評価は、市場価格と予約レートを比較して、その比較した時点で

反対売買した場合の評価損益のことです。


為替予約会計処理は、為替予約の契約が外貨建取引発生の前である場合は、

売上高と売掛金は予約レートで計上され、為替差損益は発生しません。


為替予約の契約が外貨建取引発生の後である場合は、最初に、売上計上日の直物レートで

売上高と売掛金を計上し、次に、予約締結時に、予約レートで売掛金の換算替を行い、

予約締結時の直物レートとの差額を為替差損益と認識し、更に、直先差額を決済日

までの期間に配分することになります。


・実質為替レート

実質為替レートとは、特定の2国間の為替レートを表したものではなく、

特定の2国間の為替レートを2国間の物価指数の比で割った為替レートのことです。


実質為替レートは、為替レートが変動したなかの、物価の影響による購買力の変化を

加味したもので、実質為替レートは、特定の2国間の物価上昇率を加味した為替レート

です。


また、実質為替レートは、日々変化する為替レートを見ているだけでは、

把握することができない、両国の物価を加味した現実に近い為替レートで

あるために、2国間の正確な為替レートを知りたい場合は、実際の為替レートよりも

実質為替レートの方を重視するべきです。


実質為替レートは、一般的に使用されている、1米ドル=100円という邦貨建て

名目為替レートで表現するのでは無く、1円=0.01米ドルという外貨建て

名目為替レートで表現することになります。


また、通常の為替レートの表現では、例えば対米ドルが100円から150円に数値が

大きくなった時に円安になったと表現しますが、実質為替レートでは、算出された

指数が大きくなった時が円高で、逆に、実質為替レートを算出した指数が小さく

なった時は円安を示すことになります。


・実効為替レート

実効為替レートとは、特定の2国間の為替レートではなく、

世界の主要国や地域との為替レートを1つの指数にしたものです。


実効為替レートは、日本とそれぞれ国等の貿易ウエイトで加重幾何平均して

基準時点を決め算出し、この算出された実効為替レートが、名目実効為替レートです。


また、実効為替レートは、一般的に使用されている、1米ドル=100円という

邦貨建て名目為替レートで表現するのでは無く、1円=0.01米ドルという

外貨建て名目為替レートで表現することになります。


通常の為替レートの表現では、例えば対米ドルが100円から150円に数値が大きく

なった時に円安になったと表現しますが、実効為替レートでは、算出された指数が

大きくなった時が円高で、逆に、実効為替レートを算出した指数が小さくなった

時は円安を示すことになります。


また、世界の主要国や地域の物価の変動を加味した為替レートが、

実質実効為替レートです。


この実質実効為替レートが最も現実に日本円の通貨の価値をあらわした為替レート

であるために、この実質実効為替レートの水準を見て、日本円の為替レートの価値

を判断することができます。


為替換算調整勘定の解説は、純資産の構成要素の頁をご覧ください。


■TTS・TTB・TTM

・対顧客電信売相場

対顧客電信売相場とは、企業や個人などの顧客が円を外国通貨に交換

する場合のレートのことです。


対顧客電信売相場は、銀行が企業や個人などの顧客に売る時のレート

ともいうことができます。


この対顧客電信売相場は、各通貨ごとに異なりますが、米ドル円の場合は、

当日の基準外国為替レートである対顧客電信仲値相場に1円を加えた

値が対顧客電信売相場です。


対顧客電信買相場は、当日の基準外国為替レートである対顧客電信仲値相場

から1円をマイナスした値となります。


対顧客電信売相場の英語表記は、Telegraphic Transfer Selling rateであり、

この頭文字を取ってTTSと呼ばれることがあります。


また、外貨建取引の売上高を会計処理する場合の、取引発生時点の為替相場とは、

取引日の対顧客電信買相場か対顧客電信仲値相場のことです。


継続適用を条件に、取引日の属する月の前月や前週の平均相場のような、

1ヵ月以内の一定期間内の対顧客電信買相場か対顧客電信仲値相場の平均値を

適用することも出来ます。


外貨預金の預入の際は対顧客電信売相場が適用され、外貨預金の払出時には

対顧客電信買相場が適用されます。


仮に、預入時と払出時の為替レートが同じであっても、預け入れ時の元本割れを

するリスクがあります。


尚、銀行は、対顧客電信売相場を決定する為の対顧客電信仲値相場を、

毎日午前10時頃のレートを基準に決定しています。


・対顧客電信買相場

対顧客電信買相場とは、企業や個人などの顧客が円を外国通貨に交換する場合の

レートのことです。


対顧客電信買相場は、銀行が企業や個人などの顧客から買う時のレートともいう

ことができます。


この対顧客電信買相場は、各通貨ごとに異なりますが、米ドル円の場合は、

当日の基準外国為替レートである対顧客電信仲値相場に1円を加えた値が

対顧客電信売相場です。


対顧客電信買相場は、当日の基準外国為替レートである対顧客電信仲値相場から

1円をマイナスした値となります。


ちなみに、対顧客電信買相場の英語表記は、Telegraphic Transfer Buying rateであり、

この頭文字を取ってTTBと呼ばれることがあります。


尚、銀行は、対顧客電信買相場を決定する為の対顧客電信仲値相場を、

毎日午前10時頃のレートを基準に決定しています。


・対顧客電信仲値相場

対顧客電信仲値相場とは、企業や個人などの顧客向けの為替レートである

対顧客電信売相場と対顧客電信買相場の中間値のことです。


銀行は、対顧客電信売買相場を決定する為の対顧客電信仲値相場を、

毎日午前10時頃のレートを基準に決定しています。


対顧客電信仲値相場の英語表記は、Telegraphic Transfer Middle rateであり、

この頭文字を取って、TTMと呼ばれることがあります。