管理会計


■管理会計とは

・経営管理の会計

管理会計とは、経営判断をする為に、企業の会計データを、企業独自の視点で

加工・分析した経営管理のための会計です。


管理会計の英語表記は、Management Accountingであり、この頭文字を

取って、MAと略して呼ばれることもあります。


管理会計といえば、固定費と変動費の分析、損益分岐点分析であるCVP分析、

セグメント別管理、設備投資の経済性計算、事業・設備投資の採算評価などの

業務だけであるかの誤解を与える説明をよく目にします。


しかし、管理会計の役割は、利益やキャッシュフローの拡大を追求する

経営管理の会計なので、先ほど例に挙げた業務は、管理会計の入門レベルの

領域にすぎませんので、入門レベルの内容を理解していなければ、上級レベルの内容

である予算作成が困難なことはいうまでもありません。


管理会計は、外部の利害関係者に情報提供をするだけの制度会計である

財務会計や税務会計とは異なり、経営計画を作成する際や、企業内の改善活動

(PDCA)に役立つ、企業の利益に貢献する会計といえます。


管理会計では、精度よりも、迅速でタイムリーに情報提供することがより

重要であり、この会計は、企業の意思決定や組織のコントロールには

欠かせないものです。


ちなみに、管理会計と財務会計の違いとしては、財務会計は、外部公表目的の

法律等に従った会計で、この会計は、経営判断をする為に会社独自の考え方に

従った会計です。


管理会計は、CFO(最高財務責任者)の役割を果たすためには、基本的な

スキルといえます。


製造業においては、管理会計でも、原価計算を利用することになります。


この管理会計は、会社内で利用する会計なので、法律に従う必要はなく、

会社独自に自由に構築することが出来る会計であり、この会計導入の

ポイントは、体制整備や仕組み作り等のシステム構築です。


管理会計の仕事を遂行する部署は、企業規模によっても異なりますが、

中小企業においては、経理の仕事となっているケースが一般的です。


管理会計の活動基準原価計算(activity based costing・ABC)は、

通称ABCとも呼ばれています。


活動基準原価計算(ABC)の特徴は、経費を単純に部門に配賦するのではなく、

組織内の活動単位別にコストを集計して、原価計算対象別に集計すること

で原価を算出する方法です。


経営戦略や活動戦略を加味した戦略管理会計を導入することは、

経営の見える化を実現することにも繋がります。


この会計の分野においても、企業においては、システム化が進んでいますが、

ソリューションベンダーを選ぶ際は、管理会計と財務会計の双方をサポートできる

企業を選ぶべきです。


SAPは、管理会計と財務会計の双方をサポートする、管理会計にも強い

ソリューションベンダーの1つです。


また、管理会計は、財務諸表を分析しただけでは、正確に把握することが

できない変動費や固定費、そして損益分岐点(BEP)や限界利益・貢献利益を

把握する為に活用したり、人事評価や事業の撤退存続の意思決定をするうえで、

重要な部門利益を把握する上でもこの会計は必要です。


そして、管理会計では、企業規模に比較して巨額の設備投資をする際に、

設備投資の経済性計算をしたり、その設備が生み出す将来的なキャッシュフローを

予測したりする際にも、この会計の考え方を利用します。


管理会計の役割において、最も重要なのが、経営計画における総合予算の作成で、

総合予算の作成は、財務や管理会計のあらゆる知識やスキルが必要となります。


総合予算を作成することで、月次決算を実地し、予算管理が可能となります。


管理会計の業務は下記の通りです。


①単年度経営計画や中期経営計画の予算の作成
②企業の様々なセグメント分析による、セグメント別情報の管理
③限界利益(貢献利益)や損益分岐点売上高を管理する為の変動費・固定費の把握
④限界利益率(貢献利益率)の把握
⑤どのセグメントが会社の利益に貢献しているかを把握する
⑥設備投資の経済性計算
⑦在庫管理をする際の在庫金利の設定・間接費の配賦
⑧将来的なキャッシュフローを判断基準に意思決定を行なう場合
⑨事業撤退存続の意思決定
⑩予算実績管理を含む予算管理の全般


・目的

管理会計の目的は、自社の経営状況を把握し、経営の意思決定に利用したり、

自社のあるべき姿を実現するために、財務計画を作成したりすることなどが、

この会計の役割であり、この会計の目的でもあります。


また、この会計は、経営をする為の会社独自の会計といえ、外部の

ステークホルダーに情報開示する財務会計とは役割や目的が全く異なります。


そして、管理会計は、利益やキャッシュフローの拡大を追求する経営管理

の為の会計なので、利益やキャッシュフローを改善する為に、何処に目をつけ、

どのように改善していくのかの具体的な方法論を身につけていなければ、

この会計のプロフェッショナルとはいえません。


ゆえに、管理会計の領域の個別の論点である固定費と変動費の分析、

損益分岐点分析であるCVP分析等に詳しいだけでは、利益やキャッシュフロー

を改善することはできませんので、利益やキャッシュフローを改善する為に

最も重要なことは何かを知ることが、この会計を極めることにつながります。


・基礎知識

管理会計の基礎知識の1つとしては、簿記の知識も該当します。


しかし、この会計で必要な簿記の知識とは、簿記の検定試験や税理士・

公認会計士の試験に合格する為のペーパー知識ではありません。


基礎知識として実務で必要なのは、簿記の基本原理ともいえる、

各勘定科目とキャッシュフローの関係を理解することです。


この各勘定科目とキャッシュフローの関係を理解することは、この会計の基礎だけで

はなく、経営管理の基本ともいえる、資金繰り(資金管理)をする為には欠かせない

スキルでもあり、この会計の役割を遂行する為には、必要不可欠な知識なのです。


・必要性

管理会計は、利益を追求する経営をサポートする為の会計なので、

大企業や中小企業の区別なく、全ての企業にとって必要です。


健全な財政状態を維持する為には、国や地方公共団体にも必要な会計なので、

管理会計の導入をしていない企業は、この会計の必要性を、論じるのでは

なく、早急に、この会計の導入をするべきでしょう。


・財務会計との違い

管理会計と財務会計の関係や違いを混同している方が多いようです。


管理計計は、利益やキャッシュフローの拡大を追求する経営管理の為の

会計であり、財務会計は、企業の財政状態および経営成績を、企業外部の

ステークホルダーに報告するすることを目的とする会計なので、

管理会計と財務会計では、目的や役割が異なります。


ゆえに、経理部、財務部、経営企画室に所属する社員が、会社の利益に貢献

できる仕事ができるようになる為には、管理会計の役割である業務を遂行

できる知識を身につける必要があります。


尚、管理会計と財務会計の業務は、両方とも会社に必要な業務ですが、

会社の利益に貢献する業務は、管理会計の方であることは、言うまでも

ありません。


■管理会計の基礎用語

・CVP分析

CVP分析とは、売上、費用、利益の関係を分析することです。


この分析は、損益分岐点分析と呼んだり、BEP分析と呼ばれることもあります。


損益分岐点とは、損益がゼロになる時の売上高のことなので、

利益と損失の分岐点の売上高を分析することが、CVP分析というわけです。


損益分岐点が低ければ収益力が高いと判断出来たり、固定費が

少ないとも判断できるので、損益分岐点は、経営の安定度を見る

目安として安全性分析としても利用出来ます。


損益分岐点の把握は、管理会計の基本といえます。


CVP分析は、企業の意思決定に必要な管理会計の基本であり、

企業の事業戦略に応じた採算を判断する際や、赤字事業撤退の判断を

する際にもCVP分析を活用します。


また、CVP分析において最も重要な事は、売上と費用が等しくなる、

利益が0となる損益分岐点を把握することであり、BEP分析で、売上、

原価、利益の関係を明らかにすることで損益構造を掴み損益分岐点を

コントロールすることができます。


CVP分析をする際は、固定費と変動費に費用を分解する必要がありますが、

その方法としては、勘定科目法、スキャッターグラフ法、高低点法、最小自乗法等

があります。


また、BEP分析をすることで、経営資源をどの事業や製品に投入すべきかの、

経営資源の選択と集中が出来ます。


そして、CVP分析の本質とは、企業の収益構造と費用構造を明らかにし

限界利益(貢献利益)を掴むことで、どの事業や製品が企業の利益に

貢献しているかを把握することなのです。


尚、CVP分析をする際に利用される、安全余裕率の計算式と、

損益分岐点売上高の計算式は下記の通りです。


・安全余裕率=(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高

・損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率(貢献利益率)

・損益分岐点売上高=固定費÷〔1-(変動費÷売上高)〕

・限界利益(貢献利益)=売上高-変動費

・限界利益率=限界利益÷売上高

・原価=変動費+固定費

・0(これが損益分岐点の状態です)=売上高-原価

・損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率


上記の計算式の中の固定費とは、売上高や生産量に関係なく必要な

費用のことで、損益分岐点売上高は、固定費をまかなうために必要な

売上高ともいえます。


限界利益率を高めれば、損益分岐点の改善に繋がりますが、

限界利益率の改善には、売上単価を上げるか、変動費を見直す

必要があります。


限界利益率が高ければBEPは低くなり、逆に、限界利益率が

低ければ損益分岐点は高くなります。


また、変動費とは、売上高や生産量に比例し増減する費用のことで、

変動費を抑えることは、損益分岐点の改善に繋がります。


BEPと限界利益率、固定費、変動費の関係を理解すれば、

事業計画の中で目標とする利益を達成する為には、自社の場合には

どの数字をコントロールをすべきかが把握できます。


このように、CVP分析のポイントは、損益分岐点の売上高を算定

することなのです。


・固定費

固定費とは、企業活動をする上で必ず発生する費用です。


この英語表記は、Fixed Costであり、この頭文字を取って、

FCと略して呼ばれることもあります。


この費用は売上高に関係なく費用が発生するので、固定費が多い企業は

損益分岐点が必然的に高くなり、資金繰りにも影響を及ぼし会社経営を

圧迫することがあり、この費用は、CVP分析においても重要な項目です。


また、Fixed Costが少ない企業は、当然損益分岐点も低く、

黒字体質の企業が多く、利益が出やすい企業体質といえます。


そして、この費用は、財務諸表を分析しただけでは、正確に把握すること

は出来ないため、固定費をコントロールする為に、総勘定元帳や請求書明細等

の証憑を基に、固定費と変動費を正確に把握する必要があります。


また、財務諸表は全部原価計算で作成されているので、

利益構造が明確になっていない為、その問題点を克服する方法として、

直接原価計算という方法があります。


直接原価計算とは、原価を変動費と固定費に分類して、売上高から最初に

変動費を控除して貢献利益を算出し、その貢献利益から固定費を控除して

営業利益を算出する方法です。


この直接原価計算を採用すると、企業の限界利益率や変動費と固定費の

バランスといった損益構造を明確にすることができます。


そして、この費用の削減方法としては、固定費の変動費化や遊休固定資産の

売却などが考えられます。


また、Fixed Costの主な種類としては、人件費(給与・法定福利費)、

地代家賃、固定資産税、減価償却費、水道光熱費(電気・ガス・水道)の基本料金、

保険料、支払利息等がありますが、実務上は、各勘定科目の内容を精査して

固定費の分類をする必要があります。


・変動費

変動費とは、企業活動をする上で売上高や生産高に比例して発生する

費用のことで、この費用は固定費に比べ費用の削減余地が少ない企業が大半です。


この英語表記は、Variable Costであり、この頭文字を取って、

VCと略して呼ばれることもあります。


一般的に変動費は小売業よりメーカの方が変動費割合が低くなっており、

この費用は、CVP分析においても重要な項目です。


また、売上高に対する変動費の割合が低い企業は、限界利益率が

高くなり、当然損益分岐点も低く、黒字体質の企業が多く、

利益が出やすい企業体質なのです。


そして、変動費は、財務諸表を分析しただけでは、正確に把握すること

はできないため、固定費をコントロールする為に、総勘定元帳や請求書明細等

の証憑を基に、固定費と変動費を正確に把握する必要があります。


直接原価計算を採用すると、企業の限界利益率や変動費と固定費の

バランスといった損益構造を明確にすることができます。


また、変動費は、売上高や販売個数に比例して増減する費用なので、

この費用を削減する際は、これまで利用していた取引先を変更するか、

製造方法や販売方法を見直し、これまで必要だった変動費を不要に

していくなどの方法を検討する必要があります。


そして、変動費の主な種類としては、売上原価や仕入原価等に含まれる、

材料費、外注費、燃料費、運賃、車両費、保管料等があります。


・準変動費

準変動費とは、水道光熱費のように、何も使用しなくても基本料金が発生し、

使用した場合は、利用に比例した料金が基本料金に加算されるような

費用のことです。


準変動費は、固定費と変動費の中間的な費用です。


また、水道光熱費以外でも、基本料金以外に、消費量に応じて料金が

加算されるものは、全て準変動費に該当します。


・準固定費

準固定費とは、ある範囲内であれば費用は増加しないが、一定の水準を

超える度に大きく増加するような費用のことです。


準固定費の代表的な例としては、携帯電話で、無料通話分の範囲内であれば、

基本料金のみですが、無料通話分を使い切ると、利用料が発生するような

契約形態です。


準固定費は、固定費と変動費の中間的な費用です。


・固変分解

固変分解とは、費用を固定費と変動費に分類することです。


固変分解の方法には、勘定科目法、最小二乗法、高低点法、

スキャッターチャート法などがあります。


固変分解は、管理会計の基本である、CVP分析をする為には必要な要素です。


この固変分解をする目的は、売上、費用、利益の関係を分析する為であるので、

固変分解をすることにより、限界利益(貢献利益)を計算することができます。


ちなみに、CVP分析において最も重要な事は、売上と費用が等しくなる、

利益が0となる損益分岐点を把握することです。


また、費用を固変分解すると、その費用の内容によって、固定費、変動費、

純固定費、準変動費に分類することができます。


尚、予算を作成する際は、費用を固変分解する必要がありますが、

管理会計は財務会計とは異なり、経営判断に支障が出ない範囲なら、

ある程度ざっくりとした業務精度でも構いませんので、固変分解は、

必ずしも厳密にする必要はありません。


・変動費率

変動費率とは、生産活動や販売活動に比例して発生する変動費を売上高で

割り算出した比率のことです。


変動費率は、CVP分析をする際の重要な項目です。


変動費率が高いと、限界利益率も低く、変動費率が高い企業は、卸売業や

小売業に多く、変動費率が低い企業は、製造業に多い傾向にあります。


この変動費率は、変動費の売上高に対する割合なので、1から変動費率を

差し引くと、限界利益率を計算することが出来ます。


また、変動費率は、財務諸表を分析しても把握することはできないので、

変動費率の求め方としては、企業の総勘定元帳や請求書明細等の証憑を

調査して、変動費がどれくらいあるのかを調べるしかありません。


そして、変動費率は、損益分岐点(BEP)を分析する際にも欠かせない項目ですが、

損益分岐点売上高とは、損益がゼロになる時の売上高のことで、変動費率が

低ければ低いほど、限界利益率が高くなり、損益分岐点も低くなります。


尚、変動費率は、管理会計の分野において、基本的で重要な項目であるので、

企業予算を作成する際には、自社の変動費と固定費を把握して、予算の変動費率や

予算の固定費率の計画を作成していれば、精度の高い費用についての

予算実績差異分析をすることが出来ます。


計算式・・・変動費率=変動費÷売上高


・固定費率

固定費率とは、生産活動や販売活動に関係なく一定額発生する固定費を

売上高で割り算出した比率のことです。


固定費率は、CVP分析をする際の重要な項目であり、固定費率が高いと、

損益分岐点(BEP)は高く、固定費率が高い企業は、製造業に多く、

固定費率が低い企業は、卸売業や小売業に多い傾向にあります。


この固定費率が高い企業は、資本集約型企業なので、限界利益率が高い

企業が多く、損益分岐点売上高を超えると、利益が急激に増加してきます。


また、固定費率は、財務諸表を分析しても把握することはできないので、

固定費率の求め方としては、企業の総勘定元帳や請求書明細等の証憑を

調査して、固定費がどれくらいあるのかを調べるしかありません。


そして、固定費率を下げるためには、固定費を削減するしかありませんが、

固定費を削減するということは、設備や人員を削減することに繋がるので、

固定費を削減することは、会社の規模を縮小することに繋がります。


尚、固定費率は、管理会計の分野において、基本的で重要な項目であるので、

企業予算を作成する際には、自社の変動費と固定費を把握して、予算の変動費率や

予算の固定費率の計画を作成していれば、精度の高い費用についての

予算実績差異分析をすることが出来ます。


計算式・・・固定費率=固定費÷売上高


・在庫金利

在庫金利とは、在庫を保有することによる資金負担を、保有期間に応じて、

金利という仮想の資金コストに変換した、管理会計上の金利のことです。


この金利の計算方法は、棚卸資産残高に、企業の平均資金調達金利などを

掛けて算出し、企業の社内事情に応じて決定することが基本となります。


この金利は、実際に在庫を保有することで発生する、自社倉庫での保管費や

管理費などの在庫保有コスト以外の在庫保有コストを、目に見える形で表現した、

管理会計上の概念なのです。


在庫金利をわざわざ計算する目的は、社員に在庫保有コストを意識させ、

在庫を削減する為といえます。


ちなみに、この金利よりも、はるかに重要な在庫に関する重要事項が適正在庫

で、適正在庫を満たす計画を作成できない方は、在庫計画と生産計画の関係の頁

を御覧ください。


また、在庫金利が増加する原因は、棚卸資産回転期間が悪化しているためなので、

在庫の入荷量と出荷量を、リアルタイムに把握する、在庫管理を徹底するなど

して、この金利の増加を抑える必要があります。


ちなみに、在庫金利は、在庫計画を立てる際の、在庫削減率の目標設定の際にも、

参考とすべき在庫保有コストです。


また、この金利が増加していることは、運転資金が増加し、資金繰りを圧迫

している状態なので、キャッシュフローを改善する為に、在庫を削減する方法

として、在庫を数量で管理するだけではなく、在庫保有コストという金額で

管理し、在庫数量を社員に意識させる為にも、在庫金利という概念は必要です。


尚、在庫金利は、管理会計を実践するうえでの考え方であるので、

この金利の計算方法は、企業独自の、企業の実情に即した内容とすべきこと

であり、他社の真似をしたりして、決めることではありません。


・限界利益

限界利益とは、売上高から売上に比例して発生する変動費を控除して

算出された利益のことです。


この利益を改善するには、売上単価を上げるか、変動費を見直す必要

があります。


限界利益は、一般的に管理会計やCVP分析において活用される財務指標です。


この貢献利益と固定費が同額になる売上高を損益分岐点といいます。


また、限界利益は、固定費を賄う利益でもあるので、固定費の回収に貢献する

利益ということで、貢献利益とも呼ばれ、管理会計の概念の一つでもあります。


この貢献利益の考え方を利用して経営分析することで、プロダクトミックスが

決定しやすくなるなど、さまざまな経営管理上のメリットがあります。


そして、売上が一定の場合に、限界利益を増加させるには、限界利益率(貢献利益率)を

改善する必要がありますが、限界利益率の改善には、売上単価を上げるか、変動費を見直す

以外に方法はありません。


このように、貢献利益が多くなればなるほど儲かる会社に変身することになります。


また、限界利益と付加価値は、ほぼ同じ意味と解説されていることが

多いのですが、付加価値とは、企業が事業活動において、ヒト・モノ・カネ

の経営資源を活用して生みだした価値のことなので、限界利益と付加価値は、

同じ定義として考えるのは無理があります。


貢献利益の計算方法

計算式①・・・限界利益=売上高-変動費
計算式②・・・限界利益=売上高×限界利益率
計算式③・・・限界利益=損益分岐点売上高-固定費


尚、限界利益を売上高で割った数値である限界利益率を利用して、

セグメント分析(部門・商品・地域)をすることで、それぞれの収益性が明確

になり、より力を注ぐへきセグメントや撤退すべきセグメントが顕在化します。


・貢献利益率

貢献利益率とは、売上高から変動費を差し引いて算出した貢献利益の

売上高に対する比率を示す財務指標のことです。


貢献利益率は、財務分析における収益性分析の指標のひとつで、

一般的に管理会計の分野で活用される財務指標です。


貢献利益率と限界利益率は同じ内容であり、固定費を貢献利益率で割って

算出した金額が損益分岐点の売上高です。


限界利益率を英語で表記すると、「Contribution Margin Ratio」、

「Marginal Income Ratio」、「Marginal Profit Ratio」 となります。


貢献利益率の計算式

限界利益率(%) = 貢献利益 (限界利益)÷ 売上高 × 100


この貢献利益率の概念は、利益計画においても、基本的な考え方です。


例えば、会社で売っている商品が1つだけだとして、その商品の限界利益率を

算出しておけば、会社の変動費以外の費用である、固定費を全て賄う為には、

どれだけの売上高が必要であるかを、あらかじめ計算しておくことができるので、

限界利益率の考え方は、利益計画には欠かせないものなのです。


貢献利益率が高いということは、原価の変動費割合が低いいということを示し、

貢献利益率が低いということは、原価の変動費割合が高いということを示します。


限界利益率が高ければ損益分岐点(BEP)は低くなり、逆に、限界利益率が低けれ

ば損益分岐点は高くなります。


限界利益率は、製造業と非製造業で比較すると、製造業の方が一般的に非製造業

より高くなっています。


貢献利益率を業種別に確認したい場合は、財務省が公表している法人企業統計

を確認する方法があります。


限界利益率の目安としては、単純に何%であるかを限界利益率の目安に

するよりは、損益分岐点売上高が限界利益率に換算すると何%であるかを

自社の限界利益率の目安とするべきでしょう。


また、管理会計において、貢献利益率の高い商品・製品・サービスや貢献利益率

の高い事業部門を把握することは非常に重要で、それらが的確に把握できれば、

貢献利益率の高いセグメントに経営資源を集中させることができます。


そして、貢献利益率は、CVP分析において最も重要な考え方であり、

各セグメントの採算を判断する際や、赤字事業撤退の判断をする際にも

貢献利益率を活用することになります。


各セグメントの貢献利益率を算出した後は、各セグメントの加重平均貢献利益率も

検証しておく必要があり、加重平均貢献利益率を算出しておけば、事業撤退をする

セグメントがある場合でも、利益計画が立てやすくなります。


なお、限界利益率(貢献利益率)の改善には、売上単価を上げるか、変動費を

見直す以外に方法はありません。


予算作成のスキルを身に付けたい方には、弊所の、予算作成セミナーの総合コース

セミナーがお勧めです。