回転率と回転期間の違い


企業において、財務分析をする際に、各種回転率や回転期間を分析することは、

どの企業でも行っていますが、皆さんは、回転率と回転期間の違いを意識した

ことはあるでしょうか?


財務分析には、○○回転率や○○回転期間なる財務指標が複数存在していますが、

○○回転率や○○回転期間の意味や計算式を説明できる人は多くても、

回転率と回転期間の違いを説明できる人は少ないようです。


ここで本題に入る前に、一般的に解説されている回転率と回転期間の定義に

ついて、確認してみたいと思います。


まずは、回転率についてですが、回転率は、ある期間の中で、何回転している

のかを示す指標なので、算出結果が大きければ大きいほど好ましいと思いがち

ですが、分析対象によっては、解釈が異なるので注意が必要です。


例えば、売上債権回転率や棚卸資産回転率は、回転数が大きければ好ましい

のですが、逆に、仕入債務回転率は、回転数が大きければ好ましいとは

いえません。


次に、回転期間についてですが、回転期間は、ある時点において、何日分未了

の状態となっているのかを示す指標なので、回転期間が小さければ小さいほど

好ましいと思いがちですが、分析対象によっては、解釈が異なるので注意が

必要です。


例えば、売上債権回転期間や棚卸資産回転期間は、回転期間が小さければ

好ましいのですが、逆に、仕入債務回転期間は、回転期間が小さければ

好ましいとはいえないのです。


好ましいか、好ましくないかの基準は、キュッシュフローという観点で考えた

場合のことです。


ここまでに解説した内容では抽象的なので、棚卸資産回転率や棚卸資産回転期間

を事例①のデータを基にして説明致します。


事例①(売上原価データは年間の数値、在庫高は期末における数値)

・売上原価・・・10億円
・在庫有高・・・ 2億円


まずは、棚卸資産回転率を計算してみますが、この回転率の計算式は

下記の様になります。


・棚卸資産回転率=売上原価÷在庫高


そうすると、棚卸資産回転率は、10億円÷2億円で5回転ということになります

ので、棚卸資産が年間に5回転していることが確認できます。


ちなみに、在庫高は、平均在庫高を用いる場合もあり、平均在庫高の計算式は

下記の通りです。


・平均在庫高=(期首在庫高+期末在庫高)÷2


次に、棚卸資産回転期間を計算してみますが、棚卸資産回転期間の計算式は

下記の様になります。


・棚卸資産回転期間=在庫高÷(売上原価÷365日)


そうすると、棚卸資産回転期間は、2億円÷(10億円÷365日)で73日ということ

になりますので、在庫が73日分あることが確認できます。


ここまでの説明を見ると、棚卸資産回転率は、棚卸資産が何回転しているのか

を示し、棚卸資産回転期間は、何日分の在庫があるのかを示していますので、

この両者には明らかな違いがあるように見えると思います。


ここで、皆さんに考えて頂きたいことは、回転率と回転期間は、同じデータを

用いて計算しているのに、計算結果の意味することが異なるのかということ

なのです。


回転率と回転期間は、実質的には、計算式を反対にしているだけなので、

最終的な計算結果の意味するところは同じなのです。


例えば、棚卸資産回転率の数値が大きければ、売れ行きが良いことを示します

が、棚卸資産回転期間の場合は数値が小さければ、売れ行きが良いことを示し

ているので、最終的な計算結果の意味するところに違いはありませんよね。


これで皆さんも気がついたと思いますが、回転率と回転期間には違いなど

存在しないので、この両方の計算結果は同じ意味を示しているのです。


最後に、回転期間が計算できている場合の、回転率の計算方法をご説明します。


上記の事例①の棚卸資産回転期間は73日ですが、この73日を利用して回転率

を計算することができます。


その計算方法は、365日÷73日で5となり、事例①で計算した棚卸資産回転率

と一致しますので、このような点からも、回転率と回転期間は同じもので、

表現の仕方が異なっていることが理解できると思います。


これで、回転率と回転期間の基本が理解できたと思いますので、お時間がある方

は、棚卸資産回転期間の計算式を誤って利用していませんかの頁を御覧ください。