人事制度はプロセス主義


現在は、企業で業績向上の切り札として積極的に導入が進められた成果主義

も崩壊が進み、新たな人事制度が模索されています。


ここで押さえておきたいのは、何故、成果主義を人事制度に導入した大多数

の企業で、上手く機能しなかったのかという点です。


成果主義とは、人事考課において成果を重視して、仕事の成果を賃金に反映

しようという人事制度ですが、一見、この仕組みは、非常に良い制度のよう

に思えますが、何が問題なのでしょうか?


一般的に、成果主義で問題視されている点としては、会社が社員に成果を

求めるあまりに、社員が自分自身の成果だけにしか興味を示さなくなり、

社員が相互に協力しなくなったことがあります。


しかし、会社で社員が相互に協力しなくなると、どのようなことが起こる

のでしょうか?


会社で社員が相互に協力しなくなると、社員は、自分の仕事にしか関心を

示さないので、当然、他人の仕事については全く気にしなくなります。


他人の仕事を気にしなくなれば、他人が仕事で困っていても、誰かがサポート

することはないのです。


そうすると、会社の中で、ある業務が滞った時に、その業務の担当者が不在

であったり、その業務の担当者が、業務が滞っていることを認識していなけ

れば、その業務はストップした状態のままとなります。


そして、自分には関係ないと考えている社員ばかりであれば、例え、業務が

滞っていることを見かけたとしても、誰もその対応をすることがないので、

その業務がストップしている影響で、誰かの業務に支障がでない限り、

その業務は放置されることになるでしょう。


そのようなことが会社全体に蔓延してくれば、会社全体の生産性は当然落ち

ますし、そのようなことが切っ掛けとなり、えてして大きなトラブルへ発展

することがよくあるのです。


要するに、成果主義を徹底すればするほど、他人を気にせず、社員は個人プレー

に走るようになって、自分のことしか考えないので、他人に仕事のアドバイスを

したり、仕事のノウハウを教えたりすることがなくなるのです。


このような状態は、会社にとって好ましいことでしょうか?


このような状態の企業には、企業に各業務のノウハウが蓄積されることは

ありませんし、社員が退職していくたびに、本来は会社に蓄積されるべき業務

の暗黙知が蓄積しない為、何時まで経っても業務の効率化が図れなかったり

するのです。


そこで、企業の人事制度において、成果主義に代わって脚光を浴びているのが、

プロセス主義なのです。


このプロセス主義とは、結果に至る過程を重視しようとする考え方です。


ここで考えなくてはならないのが、何故、プロセス主義が脚光を浴びている

のかという理由です。


そもそも、成果主義が上手くいかなかった最大の原因は、最終的な結果しか

見ていなかったことです。


最終的な結果しか見ていないと、結果がでさえすれば、手段を選ばずという

ことになります。


例えば、社内では、同僚を蹴落としてでも、自分の成績を優先するようになり、

社外では、顧客の利益を無視し、強引な営業をするようになるのです。


しかし、このようなやり方が、永遠に上手くいくのでしょうか?


当然、答えはNoです。


では、どうするべきかを考えると、必然的に、プロセス主義が登場

してくるのです。


プロセスとは、過程です。


成果という結果は、原因である過程によって良くも悪くもなります。


そうすると、良い成果をあげるためには、良い過程が必要なわけです。


要するに、良いプロセスこそが、良い成果をもたらしますので、成果を求める

のではなく、プロセスこそを求めるべきなのです。


よって、人事制度は、プロセス主義に基づいた制度設計にすることが、

個人と会社の利益になるといえるでしょう。