法人顧客の在庫投資・設備投資スタンス


景気循環において、企業の在庫投資や設備投資が与える影響は非常に大きな要素

を占めていますので、短期的な景気の行方を占ううえでは、企業がどのようなスタンス

で経営の舵取りをするのかが重要視されています。


在庫投資といえば、企業が在庫への投資を増減させることにより景気が影響を受ける、

在庫循環(在庫投資循環)であるキチンサイクルが有名です。


この景気 サイクルは約40ヶ月なので、比較的短期間の景気動向を占ううえで、

重要になる 景気サイクルです。


次に、設備投資といえば、企業が生産設備等への投資を増減させることにより景気が

影響を受ける、設備投資循環であるジュグラーサイクルが有名です。


この景気サイクルは約10年なので、比較的長期間の景気動向を占ううえで、

重要になる景気サイクルです。


この2つの景気サイクル以外では、建築物の耐用年数により景気が影響を受ける 、

クズネッツサイクル(景気サイクル約20年)や技術革新により景気が影響を受ける、

コンドラチェフサイクル(景気サイクル約55年)が主要な景気循環です。


企業経営に携わる者は、経済学者ではありませんので、景気循環をビジネスチャンス

とするという視点で、これらの景気サイクルに対峙することになります。


そこで、比較的短い景気サイクルに影響する、在庫投資と設備投資が、 どのように

景気に影響しているのかを経営の視点で考えてみます。


まず、在庫投資についですが、この投資は、企業がビジネスを展開する中で在庫を

増やすのか減らすのかということに直結してきますので、企業の経営計画に大きな

影響を受けることになります。


企業の経営計画では、販売に関する計画も当然含まれていますので、企業が積極的な

販売計画を作成していれば、それに伴って、在庫への投資も増えることになります。


そうすると、在庫投資の動向を占ううえでは、個々の企業の経営計画を知り、

業界全体や全業種の経営計画を把握することができれば、今後のキチンサイクルが

どうなりそうなのかの方向性を掴むことができそうです。


また、設備投資についですが、この投資は、企業がビジネスを展開する中で生産能力

を増強するのか否かということに直結してきますので、これまた、 企業の経営計画

に大きな影響を受けることになるのです。


在庫投資の時と同様に、設備投資の動向を占ううえでは、個々の企業の経営計画を

知り、業界全体や全業種の経営計画を把握することができれば、今後のジュグラー

サイクルがどうなりそうなのかの方向性を掴むことができそうです。


しかし、上場会社でもない限りは、企業の経営計画を知ることは不可能でしょうし、

そもそも、全ての企業の経営計画を把握すること自体も不可能といえるでしょう。


でも、皆さん、ご安心ください。 わざわざ、個々の企業の経営計画を知り、

業界全体や全業種の経営計画を 把握できなくても、各業界や全業種の在庫投資や

設備投資に関するスタンス を知ることができる公のデータが存在しています。


しかも、その公のデータは、調査した月の翌月には公表されている非常にタイムリー

な統計で、現在の景気の実態を反映したものといえますし、 そのデータは、四半期に

一度発表されています。


その統計データこそが、日銀短観で、日銀短観のデータには、各業種別・ 企業規模別

に、在庫投資や設備投資スタンスを含む、各種業況判断が数値化 されていますので、

調査時点での各業界毎の企業の経営に対するスタンスが 明確になっていますし、

当然、全業種の動向も把握することができるのです。


景気という言葉には、気分の気という文字が入っていることからも、経済活動に

参加している個人や企業の気持ち(マインド)が、景気の方向性を左右すると

言っても過言ではないでしょうから、各業種の経営者が、現在の景気に対して

どのように感じているのかを知ることかできれば、景気の方向性を掴むことが

できるわけです。


だからこそ、日本の株式市場では、日銀短観が最も重要視されている統計データ

の1つといわれているのです。


そうすると、外部環境分析において、重要になってくる景気動向については、

日銀短観さえ調べておけば充分ということになりますし、法人を顧客とする企業に

おいては、自社がターゲットとする業界の在庫投資や設備投資の動向に ついても、

日銀短観を調べておけば、的確に把握することが できますので、的確な経営判断を

することが可能となるのです。


自社の法人顧客である企業が属する業界の経営スタンスを知ることができれば、

その顧客の動向に従って、経営計画を機動的に修正することもできますので、

日銀短観を利用しない手はないのです。


法人を顧客とする企業においては、顧客の在庫投資・設備投資スタンスを把握して、

経営判断することは、経営における基本ともいえることですし、経営の舵取りを

誤らない為にも、必要不可欠なことなので、景気の方向性を把握する為に、日銀短観

の活用をお勧めいたします。