源泉徴収


■源泉徴収とは


源泉徴収とは、給与や報酬などの所得の支払者が、支払いをする際に所定の

決められた方法で所得税を計算し、給与や報酬などから税額を差し引いて

国等に納付する制度のことです。


源泉徴収制度では、所得の支払者が徴収義務者となり、国に代わって所得税を

徴収することになっています。


この源泉徴収事務は、経理の仕事です。


源泉徴収される所得税は、賦課課税方式と思われる場合もありますが、

源泉徴収の制度は特例であり、申告納税方式の例外といえます。


この源泉徴収の対象となるものは、給与所得・公的年金所得・利子所得・配当所得

以外では、個人に支払う原稿料や講演料、弁護士、公認会計士、税理士などに支払う

報酬、プロスポーツ選手、モデル、外交員などに支払う報酬などがあり、これらの

給与や報酬等を受け取る人が、源泉徴収対象者となります。


企業などにおいて、給与を支給する際に源泉徴収の計算をする際は、源泉徴収税額表

に従い、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書等を基にして源泉税を確定します。


また、月額10万円までの通勤交通費(通勤手当)は非課税なので、源泉徴収と交通費

の関係は、ほとんどの従業員には気にする必要のないことです。


源泉徴収義務者である給与の支払者は、源泉徴収対象者である正規雇用の正社員、

非正規雇用の非正規社員の源泉徴収簿(賃金台帳)を作成し、確定申告に必要な源泉徴収票

・支払調書・住民税申告に必要な給与支払報告書等を作成しています。


ところで、源泉徴収されているものには、株式の配当金、銀行の普通預金・定期預金

の預金利息もあります。


預金利息は、銀行が、国税15%地方税5%を源泉徴収しているので、銀行預金口座

に入金されている利息の金額は、税引後の金額です。


利息に関する会計処理をする際は、国税15%地方税5%相当額を、

借方に租税公課、貸方に受取利息という仕訳をすることになります。


また、少人数私募債などの社債を発行している企業は、社債利息の源泉徴収をする

必要があります。


社債に関する事務業務を銀行に委託していない場合は、社債発行会社が、自ら源泉徴収

を行い、翌月10日までに税務署に源泉税を納付する必要があります。


源泉徴収と年末調整は、給与関係の仕事の1つですが、退職者が出た場合に、

その都度退職者に源泉徴収簿に基づき源泉徴収票を交付したり、12月の給料が確定

した段階で年末調整をして、従業員に源泉徴収票を交付し、通常は、12月の給与を

支払う際に年末調整還付金を一緒に支払うことになります。


尚、パートやアルバイトなどの非正規社員に支払われる給料も源泉徴収制度に

基づく源泉徴収の対象となります。


会社によってはパートやアルバイトなどの非正規社員は源泉徴収をしていない

場合もありますので、源泉徴収をされていないパートやアルバイトの人が、

税金をとり戻せると思って確定申告をすると、逆に、所得税や住民税を納付する

可能性もありますので要注意です。


■源泉徴収に関連する事項

・源泉税

源泉税とは、所得税法において源泉徴収の対象となる支払に該当するときに、

その支払をする者が税金相当額を源泉徴収した税金のことです。


源泉税は、源泉徴収をした者が税務署に納付する義務を負い、

身近な源泉税の対象となるものとしては、給料、配当、利子があります。


この源泉税の対象となる源泉徴収が必要な範囲は、給料、配当金、利子以外では、

下記の項目があります。


①原稿料や講演料
②弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、司法書士等に支払う報酬
③プロ野球なとのプロスポーツ選手、モデルや外交員などに支払う報酬
④芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬
⑤キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬
⑥広告宣伝の為の賞金


行政書士の報酬は、所得税法に規定されている報酬には該当しないと定められている

ので、行政書士に報酬を支払う際は、行政書士源泉税を控除する必要はありません。


源泉税の申告業務は、経理部の役割です。


これらの源泉税は、源泉徴収した翌月10日までに税務署に納付する必要があります。


源泉税を納付する際は、源泉所得税納付書を作成して銀行の窓口などで

支払うことになります。


また、給与を支給する際の源泉税の計算方法は、国税庁が公表している源泉徴収税額表を

基に、源泉徴収金額を計算します。


源泉税は、原則として、源泉徴収した翌月10日までに税務署に納付しなければ

なりませんが、給与の支給総人員が常時9人以下の源泉徴収義務者の場合は、源泉徴収

した所得税を、半年ごとに納付できる納期特例の制度があります。


賞与源泉税は、賞与を支給する月の前月の給与を基準に決定されることになります。


賞与源泉税の計算方法は、最初に、前月の給与から社会保険料等を差し引きます。


次に、その差し引いて算出した金額と扶養親族等の数を基準として、国税庁が公表

している、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表に当てはめて賞与の金額に乗ずる

税率を確定します。


最後に、支給する賞与の金額から社会保険料等の金額を差し引いた金額に税率を

掛けることで賞与源泉税が確定します。


前月の給与の10倍を超える賞与を支給する場合や前月に給与の支払いがなかった場合は、

給与所得の源泉徴収税額表(月額表)を用いて賞与源泉税を計算することになります。


源泉税を納付期限までに納付しなかった場合は、不納付加算税と延滞税が罰金として

課せられます。


不納付加算税の税率は10%で、延滞税の税率は年14.6%で計算されます。


源泉税延滞税は、延滞税の計算をした結果が1000円未満の場合は延滞税の納付が

免除となります。


源泉税延滞税の計算方法は、延滞をしてから最初の2ヶ月間は年利4.1%の日割計算で

計算し、2ヵ月経過後は年利14.6%の日割計算をすることになります。


尚、年末調整による超過税額が、納付すべき源泉税よりも多い場合は、

源泉税の納付はありませんが、源泉所得税納付書は税務署に送付する必要があります。


・源泉徴収義務者

源泉徴収義務者とは、源泉徴収制度において源泉徴収の対象である給与や報酬などの

所得の支払者のことです。


源泉徴収義務者は、国に代わって源泉徴収対象者の給与や報酬などから

源泉税を差し引いて国等に納付することになります。


・源泉徴収対象者

源泉徴収対象者とは、源泉徴収制度において源泉徴収の対象である給与や報酬などの

所得の支払を受ける者のことです。


源泉徴収対象者は、源泉徴収義務者が支払う給与等からから源泉税を天引き

されることになります。


源泉徴収対象者である従業員は、会社に、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を

提出する必要があります。


・源泉徴収税額表

源泉徴収税額表とは、国税庁が公表している源泉徴収義務者が源泉徴収対象者に

給与を支払うときに源泉徴収する税額を記載した表のことです。


企業などにおいて、給与を支給する際に源泉徴収制度における源泉徴収の計算を

する際は、国税庁が公表している給与所得の源泉徴収税額表に従い、給与所得者の

扶養控除等申告書に記載されている扶養親族等の数や支払月の社会保険料控除後の

給与等の金額を計算して、源泉徴収の計算をし源泉税を確定します。


源泉徴収税額表には、従業員の源泉徴収の計算をするための源泉徴収税額表の項目は、

源泉徴収税額表の甲欄、源泉徴収税額表の乙欄、源泉徴収税額表の丙欄があります。


・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書とは、源泉徴収対象者である給与所得者が、

配偶者控除・扶養控除、障害者控除などの所得控除を受けるために提出する申告書

のことです。


源泉徴収義務者は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書にも基づき、

源泉徴収対象者に給与を支払うときに源泉徴収をすることになります。


・源泉徴収税額表の甲欄

源泉徴収税額表の甲欄とは、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出している

従業員の源泉徴収の計算をするための源泉徴収税額表の項目のことです。


・源泉徴収税額表の乙欄

源泉徴収税額表の乙欄とは、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出していない

従業員の源泉徴収の計算をするための源泉徴収税額表の項目のことです。


・源泉徴収税額表の丙欄

源泉徴収税額表の丙欄とは、就労期間が2ケ月以内の日雇いの人の源泉徴収の計算を

するための源泉徴収税額表の項目のことです。


・正社員

正社員とは 、企業の正規雇用形態で採用された社員のことです。


正規雇用ではない社員が非正規社員です。


最近は、就労者全体に対する非正規社員の割合が増加し社会問題になっています。


簡単に解雇できない正社員の雇用に躊躇する企業が増えているので、

国が、企業にとっても正社員の雇用がプラスになるような政策を実施しない限り、

非正規社員の割合は今後も更に増加傾向となる可能性が高いでしょう。


正社員として企業で働く場合は、会社から給与の支払いを受ける時に、

所得税を源泉徴収されることになります。


・非正規社員

非正規社員とは 、雇用者の中で正規雇用ではない、パート、アルバイト、契約社員、

派遣社員等などの臨時的・有期雇用形態等で働く非正規雇用の社員のことです。


一般的に、非正規社員は、正規雇用で企業に採用された正社員と比べて給与が低く、

雇用も不安定になりがちです。


非正規社員として企業で働く場合も、会社から給与の支払いを受ける時に、

所得税を源泉徴収されることになります。


■源泉徴収に関する書類と手続き

・源泉徴収簿

源泉徴収簿とは、源泉徴収義務者である給与の支払者が、給与を、何時、誰に、

いくら支払って、給与から、源泉徴収された源泉税や社会保険料を、どれくらい

天引きしているのか記載した帳簿のことです。


源泉徴収簿は、源泉徴収票や支払調書あるいは給与支払報告書等を作成する為に

使用する帳簿です。


源泉徴収簿自体を、税務署や地方自治体に提出する義務はなく、賃金台帳である

源泉徴収簿の保存期間は、所得税法にて7年とされています。


ちなみに、源泉徴収簿は、賃金台帳とも呼ばれています。


源泉徴収簿の様式は、記載すべき項目が網羅されていればどのような書式でも

問題ありません。


基本的な源泉徴収簿の様式や源泉徴収簿の記入例が知りたい場合は、税務署に行って、

所得税源泉徴収簿の様式を手に入れるか、国税庁のホームページから所得税源泉徴収簿

の様式をダウンロードすることも可能です。


源泉徴収簿の書き方は、税務署に行けば税務署職員に教えてもらえます。


・支払調書

支払調書とは、税務署に提出する義務がある給与以外の報酬等の支払をした時に

作成する法定調書の1つです。


支払調書は、源泉徴収された源泉税の金額を記載した源泉徴収簿のデータを基に

作成されます。


源泉徴収票

源泉徴収票とは、給与、退職手当、公的年金等の支払をする者が、

それらの支払額、源泉徴収した所得税額、社会保険料の徴収額、

扶養親族の状況などを記載した書類のことです。


源泉徴収票の発行時期は、年末調整が終了後になります。


源泉徴収票を作成する為に使用する帳簿が、源泉徴収簿です。


この源泉徴収票は、確定申告をする時や、住宅ローンを申し込む時などに

必要になります。


パートやアルバイトでも、源泉税を天引きされている場合は、確定申告を

することにより、所得税が還付される場合もありますので、パートやアルバイト

でも、会社から源泉徴収票をもらっておくべきです。


また、昔は、源泉徴収票の作成は手書きが一般的でしたが、現在では、

従業員数が多い企業などは、源泉徴収票をエクセルなどで作成して、

事務作業の負担を軽減しています。


源泉徴収票の項目は下記の通りです。


源泉徴収票の項目

・支払を受ける者
・種別
・支払金額
・給与所得控除後の金額
・所得控除の額の合計額
・源泉徴収税額
・控除対象配偶者の有無等
・配偶者特別控除の額
・扶養親族の数(配偶者を除く)
・障害者の数(本人を除く)
・社会保険料等の金額
・生命保険料の控除額
・地震保険料の控除額
・住宅借入金等特別控除の額
・配偶者の合計所得金額
・個人年金保険料
・損害保険料
・受給者生年月日
・支払者
・摘要


源泉徴収票の様式は、上記の項目が網羅されている書式になっています。


また、源泉徴収票の見方を覚えたり、源泉徴収票の作成方法を覚えたい場合は、

源泉徴収票の各項目の意味を理解する必要があります。


尚、源泉徴収票を紛失したとしても、勤務先の会社に依頼すれば、

源泉徴収票の再発行はしてもらえます。


ちなみに、年の途中で転職した人は、転職先で年末調整を行なうことになるので、

転職先の企業から、前職の源泉徴収票の提出を求められます。


・給与支払報告書

給与支払報告書とは、源泉徴収義務者である企業が前年の1月1日~12月31日までに

給与を支給した場合、給与を支給した従業員の1月1日に居住している市町村に提出

する書類のことです。


給与支払報告書は、源泉徴収簿に記載されたデータを基に作成されます。


・年末調整

年末調整とは、給与所得者が1年間に源泉徴収された源泉所得税の合計額と給与所得者の

その年の給料総額(賞与含む)に対して確定した年税額とを比較し、その過不足金額を

精算する手続のことです。


年末調整の仕組みは、所得税法によって変化します。


この年末調整は、給与手当を支払っている事業主が行うべきものなので、

給与所得を得ている人が自ら行うものではなく、年末調整を行う時期としては、

12月の給料を支給するときに行うことになります。


給与所得者は、年末調整を行う時期である12月に、年末調整の還付金とともに、

源泉徴収票も受け取ります。


また、年末調整をした人は、基本的には、確定申告の必要はありません。


給与所得者であっても、年末調整をしないケースもありますが、

年末調整の対象とならない人(年末調整をしない人)に該当する主なケースは

下記の通りです。


年末調整の対象とならない人(年末調整をしない人)

①給与収入金額が2000万円を超える人
②2か所以上から給与の支払を受けている人
③年末調整をする時期までに、扶養控除等申告書を提出していない人


また、年末調整の対象となる人(年末調整をする人)に該当する主なケースは

下記の通りです。


年末調整の対象となる人(年末調整をする人)

①1年を通して勤務している人
②年の中途で就職して、年末まで勤務している人


つづいて、年末調整の計算の流れ(年末調整のしかた)は下記の通りです。


年末調整の計算の流れ(年末調整のしかた)

①1月から12月までの給与の総支給額を合計します。(賞与含む)
②給与所得金額の算定
③健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険等の社会保険料の控除額と
その他の控除される金額を算定
④給与所得金額から社会保険料などの控除される金額を差し引いて課税所得を算定
⑤課税所得に税率を乗じて年税額を算定
⑥確定年税額と1年間のに徴収された源泉所得税の合計額を比較して
過不足金額が確定


また、年末調整についてネットで検索すると、年末調整の書き方について

説明しているサイトが多いのですが、年末調整の書き方という場合は、

各種の年末調整に必要な申告書類の書き方を解説していることがほとんどなので、

そのような年末調整の書き方だけを見ても、年末調整の方法を理解すること

にはなりません。


次に、年末調整に必要な書類としては、下記の通りです。


年末調整に必要な書類

①配偶者特別控除申告書
②給与所得者の扶養控除等申告書
③給与所得者の保険料控除申告書
(生命保険や損害保険などの控除証明書を添付する)


尚、保険料控除申告書を提出する際は、証明書や領収書を

添付する必要がありますが、主な証明書としては下記の通りです。


保険料控除申告書に添付する主な証明書

①生命保険の保険料控除証明書
②損害保険の保険料控除証明書
③国民年金や国民年金基金の保険料支払証明書


住宅ローンを組んでマイホームを購入した人は、住宅ローン減税を受けることが

できます。


住宅ローン控除を受ける初年度は確定申告にて住宅ローン控除を受けて、

2年目から、年末調整の際に、給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書を、

他の年末調整に必要な提出書類と一緒に提出して住宅ローン控除を受けること

になります。


また、住宅借入金等特別控除申告書には、住宅金融支援機構や銀行からの

借入金残高証明書も合わせて提出することになります。


尚、年末調整をする際に、扶養者がいる場合は、その扶養者の所得金額が

問題になりますが、この場合の所得金額とは、給与支払金額ではなく

給与所得控除後を指していますので、年末調整の際は扶養者所得金額も

申告する必要があります。


・法定調書

法定調書とは、所得税法、相続税法、租税特別措置法及び内国税の適正課税の

確保を図るために、税務署に支払調書の提出が法律の規定により義務づけられている

書類のことです。


法定調書の作成時期は、年末調整が終わってからになります。


この法定調書の作成は、経理の仕事です。


この法定調書の種類は47種類ありますが、法定調書の主な提出種類としては

下記の通りです。


法定調書の主な提出種類

①給与所得の源泉徴収票・給与支払報告書(給料、賞与等の支払)

②退職所得の源泉徴収票・特別徴収票(退職手当の支払)

③報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(弁護士や税理士等への報酬)

④不動産の使用料等の支払調書(地代、家賃、権利金、更新料の支払)

⑤不動産等の譲受けの対価の支払調書(土地、建物等の譲受けの代金の支払)

⑥不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
(土地、建物等の売買や貸付けのあっせん手数料の支払)


また、法定調書合計表と法定調書の提出期限は、その年の1月1日~12月31日まで

の対象案件がその年の翌年1月31日までとなっています。


ちなみに、給与支払報告書については、給与所得者のその年の翌年の1月1日現在の

住所地の市区町村に提出することになります。


尚、法定調書の書き方としては、最初に、支払調書の種類ごとに支払金額、

源泉徴収税額、人数をそれぞれ合計し、そのあとに支払調書の種類ごとに、

法定調書合計表に記載することになります。