簿記のしくみ


■簿記とは


簿記とは、企業・国・地方公共団体・特殊法人等の活動を記録・計算・

整理する技術です。


簿記は活動結果であるフロー(経営成績)とストック(財政状態)を明らかにするツール

であり、一般的に簿記という場合は、複式簿記を指しています。


企業においては、簿記のルールに基づいて総勘定元帳を作成し、会計のルールに

基づいて、財務諸表を作成することになります。


複式簿記とは、全ての取引を、貸借平均の原理に基づき資産・負債・資本・収益・費用

の5つの要素の勘定科目の借方と貸方に仕訳をし、分類・集計・記録・計算・整理を

する方法です。


簿記で使用される帳簿に記録・集計・分類する為の単位が、勘定科目です。


ビジネスに活かす為の簿記の仕組みが理解できていない方は、

資金繰りの業務に対応することは難しいでしょう。


簿記の利用目的は様々ありますが主なものとしては、下記の通りです。


・税務署へ申告する際

・株主や利害関係者などの第三者に経営成績と財政状態を開示する際

・財務諸表の貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、CF計算書等を作成する時

・資金繰りの際に、資金繰り表を作成する時

・重要な経営判断をするための資料を作成する時



この簿記の知識は、経理部財務部経営企画室の社員に必要なだけでなく、

経営者にも的確な経営判断をする為に、基本的な簿記の仕組みの理解は必要です。


しかし、最近は、簿記がわからない経理が増えています。


また、営業の社員であっても、得意先の決算書を確認して、おおまかな財務状態や

財務体質を把握したい時に簿記の知識は役に立つます。


そして、プライベートの分野のファイナンシャルプラン(生涯設計)である

ストックやフローの予測を作成する時にも簿記の知識は威力をいかんなく発揮します。


ちなみに、株式投資をする際にも、簿記の知識は欠かすことは出来ませんので、

簿記の知識は、株式投資のような資産運用にも活かすことが出来る非常に実用的な

知識です。


尚、簿記の資格を取得する為には、日本商工会議所等が主催する簿記検定試験を

受験する必要があります。


日本商工会議所の簿記検定試験には、試験の難易度により1級~4級までに分かれており、

日本商工会議所の簿記検定試験の1級合格者には税理士の受験資格が与えられます。


簿記の役割

1.活動結果を帳簿へ記録すること
2.記録したデータにより財務諸表を作成すること
3.経営判断の為に利用すること


■借方と貸方


簿記の知識を身に付ける際に、最初の障害となるのが、借方と貸方という概念です。


・借方

借方とは、複式簿記のルールにおいて、左側の位置を意味する用語です。


仕訳において、借方の位置に発生するケースは、資産の増加、負債の減少、

資本の減少、費用の発生、収益の減少があります。


借方と貸方の違いが理解できていない方は、借方と貸方の違いを理解しようの頁

を御覧ください。


この借方という言葉の意味には、深い意味はありませんので、簿記を学ぶ際は、

借方=左側と覚えるだけで充分です。


また、簿記においては、勘定科目の発生理由によって、仕訳の際に記載される

位置が決まっているので、どのようなケースの時に、借方と貸方に記載される

のかを覚えると同時に理解する必要があります。


借方に記載される主なケースは下記の通りです。


借方に記載される主なケース

①資産の増加(売掛金の発生・商品の仕入・固定資産の購入)
②負債の減少(買掛金の支払・未払金の支払・借入金の支払)
③資本の減少(当期純損失の発生・減資をした場合・自己株式を取得した場合)
④費用の発生(販管費の発生・営業外費用の発生・特別損失の発生・法人税等の発生)
⑤収益の減少(収益の発生の取り消し)


尚、借方の項目が増加すると、キャッシュフローにはマイナスとなります。


・貸方

貸方とは、複式簿記のルールにおいて、右側の位置を意味する用語です。


仕訳において、貸方の位置に発生するケースは、資産の減少、負債の増加、

資本の増加、費用の発生、収益の減少があります。


この貸方という言葉の意味には、深い意味はありませんので、簿記を学ぶ際は、

貸方=右側と覚えるだけで充分です。


貸方に記載される主なケースは下記の通りです。


貸方に記載される主なケース

①資産の減少(売掛金の回収・商品の販売・固定資産の売却)
②負債の増加(買掛金の発生・未払金の発生・借入金の発生)
③資本の増加(当期純利益の発生・増資をした場合)
④収益の発生(売上高の発生・営業外収益の発生・特別利益の発生)
⑤費用の減少(費用の発生の取り消し)


尚、貸方の項目が増加すると、キャッシュフローにはプラスとなります。


・資産

資産とは、簿記においては、お金の使い道を示しています。


この資産には、目で見ることができ形がある資産である、現金、建物、工具器具備品等

や目で見ることができない形が無い資産である、売掛金、貸付金、特許権、商標権など

があります。


資産は、財務の5つの構成要素の1つです。


この資産を大きく分類すると、流動資産、固定資産、繰延資産の3つに分類する

ことができ、それぞれの資産に分類する基準は、正常営業循環基準や1年基準など

の基準があります。


総資産とは、全ての資産を合計した金額のことです。


総資産は、会計においては、貸借対照表の資産の合計金額であるので、

負債と資本の合計金額が総資産となります。


総資産は、会社の規模を評価する際に用いられる代表的な数値です。


この総資産は、資金を調達して、その資金をどのような資産に運用したかを示した

結果の合計でもあるので、少ない総資産で、より多くの利益を上げられることが、

企業にとっての理想の姿ともいえます。


また、資産が増加した場合は、キャッシュフローにはマイナス要因となります。


尚、複式簿記において資産が増減した場合の仕訳ルールとしては、資産が増加した時は、

借方に記録され、資産が減少した時は、貸方に記録されることになります。


・負債

負債とは、簿記においては、お金の調達源泉を示しています。


負債には、取引先から支払を猶予されている買掛金や未払金、金融機関などから

借りた借入金、将来の特定の費用又は損失を見積もった負債性引当金等があります。


負債は、他人資本とも呼ばれています。


負債は、財務の5つの構成要素の1つです。


また、負債が増加した場合は、キャッシュフローにはプラス要因となります。


尚、複式簿記において負債が増減した場合の仕訳ルールとしては、負債が増加した時は、

貸方に記録され、負債が減少した時は、借方に記録されることになります。


・資本

資本とは、簿記においては、お金の調達源泉を示しています。


資本は、株式を発行し投資家から集めた金額と企業が利益を内部留保した

合計金額です。


資本は、資産から負債を差し引いて算出することもでき、資本は、

自己資本とも呼ばれています。


また、資本が増加した場合は、キャッシュフローにはプラス要因となります。


尚、複式簿記において資本が増減した場合の仕訳ルールとしては、資本が増加した時は、

貸方に記録され、資本が減少した時は、借方に記録されることになります。


・収益

収益とは、簿記においては、商品や製品を販売したりサービスを提供した

結果生み出された成果のことです。


収益の発生は、資産を増加させる原因となるものであり、収益から費用を差し引いた

結果がプラスであれば、資本を増加させる原因となります。


また、収益が増加した場合は、キャッシュフローにはプラス要因となります。


尚、複式簿記において収益が増減した場合の仕訳ルールとしては、収益が増加した時は、

貸方に記録され、収益が減少した時は、借方に記録されることになります。


ちなみに、リスクを回避して、安定的な収益を上げていくための理論がポートフォリオ

です。


ポートフォリオとは、資源の配分が最も効率的で、最も効果的な組合せのことです。


ポートフォリオを組む基準はクレジットと分散であり、ポートフォリオは、

リスクを分散し利益を最大化するためには必要なものと考えられています。


このポートフォリオは、もともと紙ばさみを意味する言葉で、

昔は有価証券を紙ばさみに挟んで保管することが多かったので、

ポートフォリオが金融商品の組み合わせを指すことが多くなっています。


また、ポートフォリオは、金融商品の最適な配分にだけ利用するのではなく、

企業経営上の事業の組み合わせや商品・サービスの組合せにも必要で、

ポートフォリオはリスクを回避して、安定的な収益を上げていくための

理論でもあると考えられています。


・費用

費用とは、簿記においては、成果である収益を得るために要した原因のことです。


費用の発生は、資産を減少させる原因となるものであり、収益から費用を

差し引いた結果がマイナスであれば、資本を減少させる原因となります。


また、費用が増加した場合は、キャッシュフローにはマイナス要因となります。


尚、複式簿記において費用が増減した場合の仕訳ルールとしては、費用が増加した時は、

借方に記録され、費用が減少した時は、貸方に記録されることになります。


・損益

損益とは、収益の金額から費用の金額を差し引いた結果のことです。


簿記において、損益の計算方法としては、財産法と損益法の2種類の方法があります。


損益を、損益法にて算出する場合は、損益計算書を用いることになります。


損益は、財務の5つの構成要素の1つです。


また、損益の計算方法である、財産法と損益法の内容は下記の通りです。


財産法と損益法

①財産法とは、事業年度末の資本の金額から事業年度期首の資本の金額を差引き、
損益を算出する方法。

②損益法とは、事業年度の収益の合計金額から費用の合計金額を差引き損益を
算出する方法。


そして、損益は、キャッシュフローを生みだす原因となる項目なので、CF改善の

為に最初に取り組むべきことは、損益の改善であることは、いうまでもありません。


尚、損益がプラスの場合は、利益と呼び、損益がマイナスの場合は、

損失と呼んでいます。


・勘定科目

勘定科目とは、簿記で使用される帳簿に記録・集計・分類する為の単位です。


会計における勘定科目は、大きく資産・負債・資本・費用・収益の五つに

分類されています。


勘定科目は、お金の出入りの理由と、お金のある場所をそれぞれの具体的理由で

名称を示すものです。


また、勘定科目の勘定とは、物の数量、金銭を数えることという意味で、

科目とは、いくつかに分けたそれぞれの項目という意味なので、勘定科目とは、

それぞれの項目の数量と内容を表わすものといえます。


この勘定科目の採用は、企業の実情を把握して決定する必要があり、

一度決めた勘定科目は、期間比較が困難になるので、みだりに

変更すべきではありません。


ちなみに、みだりにとは、法律用語で、理由も無くという意味です。


■仕訳と会計


・仕訳

仕訳とは、簿記において、資産・負債・資本・収益・費用が

増減する取引が発生した時に、その取引を借方と貸方に分けて、

勘定科目と金額を決定することです。


仕訳は、簿記の基本であり、簿記のスタートラインといえます。


仕訳をする際は、各種の証憑に基づいて会計処理をすることになります。


仕訳においては、1つの取引に、複数の勘定科目が、借方と貸方に存在する

場合でも、借方の合計金額と貸方の合計金額は必ず一致します。


尚、仕訳の方法を身につける為には、発生した取引が、資産・負債・資本・

収益・費用が増減する取引であるかどうかを最初に判別します。


次に、それらの各要素が、増加しているのか、減少しているのかが分かれば、

後は、簿記のルールに従って、借方と貸方に、勘定科目と金額を記載するだけです。


・会計

会計とは、企業においての経済活動を、貨幣を単位として、記録し、

計算して、管理報告することです。


企業においては、簿記のルールに基づいて総勘定元帳を作成し、会計のルールに

基づいて、財務諸表を作成することになります。


会計を、目的を基準に分類すると、企業外部に報告するための財務会計と企業内部の

意思決定等で利用する管理会計、企業が課税所得を計算し申告する時に利用する

税務会計に分類できます。


法律により規制を受けている財務会計や税務会計等は、制度会計と呼ばれています。


企業会計は、企業会計原則に従って処理されます。


会計について理解できていない方は、企業が求める会計の頁を御覧ください。


この会計という言葉が含まれた用語は、様々なものがありますが、代表的なものとして

は、財務会計、管理会計、税務会計、税効果会計、減損会計、退職給付会計、時価会計、

ヘッジ会計、環境会計、公会計、一般会計、特別会計などがあります。


また、会計を目的を基準に分類した場合は、財務会計と管理会計に大別できますが、

財務会計は、その制約を受ける法律の違いにより、会社法会計、金融商品取引法会計、

税務会計の3つに分類することができ、それぞれの内容は下記の通りです。


会社法会計・金融商品取引法会計・税務会計の内容


①会社法会計とは、債権者保護に重点がおかれた会社法の規定に従った
会計のことで、会社法の法定開示書類は、計算書類と呼ばれています。

②金融商品取引法会計とは、投資家保護に重点がおかれた金融商品取引法の規定に
従った会計のことで、金融商品取引法の法定開示書類には、有価証券報告書や
四半期報告書などがあります。

③税務会計とは、税務当局に、法人税等の申告・納税をする為に、各事業年度の
課税所得や法人税額等を計算する為の会計のことです。


尚、企業会計において、重要視されているのは、企業内部の意思決定等で利用

されている管理会計です。


・企業会計原則

企業会計原則とは、企業が会計処理をする中で財務諸表を作成する際に、

一般的に公正妥当と認められた守るべき原則です。


企業会計原則は、法律ではなく、会計処理を実施する際の社会的ルールで、監査法人も

企業会計原則に従って会計監査を行ないます。


また、企業会計原則は、企業の各事業年度の比較や、他企業との比較をしたり、

または企業内部者や株主や債権者等の外部者が内容を確認し理解・検証出来ること

を可能にしたものです。


企業会計原則は、会計処理をする中で財務諸表を作成する際に守らねばならない基準

となる規範であり、法定開示書類である、有価証券報告書(有報)や計算書類の作成の

際も、企業会計原則に従い作成することになります。


企業会計原則の中で一般的に知られている基準としては、流動区分と固定区分に

分類するための1年基準です。


そして、企業会計原則は、一般原則、貸借対照表原則、損益計算書原則で

構成されており、企業会計原則の中では、一般原則は、貸借対照表原則や

損益計算書原則よりも上位に位置する原則です。


また、企業会計原則の貸借対照表原則とは、財務諸表の1つである、

企業の財政状態を明らかにする貸借対照表を作成する際の基本原則を

定めたものです。


企業会計原則の損益計算書原則とは、企業の経営成績を明らかにする損益計算書を

作成する際の基本原則を定めたものです。


尚、企業会計原則の一般原則の種類は下記の7つの項目があります。


①真実性の原則
②正規の簿記の原則 
③資本取引・損益取引区分の原則 
④明瞭性の原則 
⑤継続性の原則 
⑥保守主義の原則 
⑦単一性の原則 


ちなみに、企業会計原則を具体的に説明した、企業会計原則注解には下記の項目

があります。

  • 企業会計原則注解の項目

    注1・・・重要性の原則の適用
    注1-2・・・重要な会計方針の開示
    注1-3・・・重要な後発事象の開示
    注1-4・・・注記事項の記載方法
    注2・・・資本取引と損益取引の区分
    注3・・・継続性の原則の適用
    注4・・・保守主義の原則の適用
    注5・・・経過勘定項目
    注6・・・実現主義の適用
    注7・・・工事収益
    注8・・・製品等の製造原価
    注9・・・原価差額の処理
    注10・・・たな卸資産の評価損
    注11・・・内部利益の除去の方法
    注12・・・特別損益項目
    注13・・・法人税等の追徴税額等
    注14(削除)
    注15・・・将来の期間に影響する特定の費用
    注16・・・流動・固定区分の基準
    注17・・・貸倒引当金、減価償却累計額の項除
    注18・・・引当金
    注19・・・剰余金
    注20・・・減価償却の方法
    注21・・・たな卸資産の貸借対照表価額
    22・・・社債の貸借対照表価額
    注23・・・債権の貸借対照表価額
    注24・・・国庫補助金等による資産の取得
    注25・・・営業権



・決算

決算とは、企業においては、一定期間の経営成績や財政状態の結果を

計算する為に行う作業のことです。


決算には、月次決算と年次決算があります。


決算では、決算書である、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、

株主資本等変動計算書を作成します。


この決算をする目的としては、自社の経営管理と外部報告があります。


自社の経営管理の為に利用する場合は、決算をすることで、

実績と予算との比較が可能となります。


また、外部報告の為にする利用する場合は、決算をすることで、決算短信、

有価証券報告書、計算書類、税務申告書などを作成することが出来ます。


尚、決算の仕事は、企業においては、経理の仕事となります。


■帳簿に関連する事項と特殊な用語

・会計帳簿

会計帳簿とは、企業の事業活動を仕訳、記録する書類です。


会計帳簿は会計業務の最終目的である財務諸表を作成する基になるものです。


会計帳簿は企業会計原則等により一般的に公正妥当と認められる方法で

作成する義務があり、会計帳簿は会社法にて作成が義務付けられている

証憑です。


この会計帳簿に記載された金額が、帳簿価額です。


この会計帳簿には、主要簿である仕訳帳と総勘定元帳と企業の必要に応じて

作成する補助簿である、現金出納帳や売掛金元帳・買掛金元帳等があります。


また、会社法433条1項に、総株主の議決権か発行済株式の100分の3以上を

保有する株主は、会計帳簿の閲覧または謄写を請求することができる旨の

規定があります。


この会計帳簿閲覧権を利用して閲覧または謄写が出来るのは、過去の裁判の判例に

よると、総勘定元帳、手形・小切手元帳、現金出納帳、売掛金補助簿、会計伝票など

が、株主の権利としての会計帳簿閲覧権の対象となる資料に該当します。


以前、この会計帳簿閲覧権を楽天がTBSに対して行使しましたが、

裁判所は、楽天とTBSが将来競争関係になる可能性があることを理由にして、

楽天からの会計帳簿閲覧請求を却下しました。


また、会社法には、会計帳簿閉鎖時から10年間、会計帳簿・その他事業に関する

重要資料を保存する義務があると規定されています。


ちなみに、法人税に規定されている会計帳簿などを保存すべき期間は

7年間となっています。


尚、最近は、e-文書法(電子文書法)の施行に伴い、会社法や税法で保管が義務づけ

られている証憑も、紙で作成された書類をスキャナで読み込んで電子ファイルに変換

して保存する企業も増えていますが、会計帳簿は、電子計算機から印刷して、紙による

保存が必要です。


・総勘定元帳

総勘定元帳とは、発生した取引を仕訳し、勘定科目毎に発生順に記録した帳簿です。


総勘定元帳は、各勘定科目ごとに集めた帳簿であり、総勘定元帳は、

期首から期末までの全ての取引が記載されている会計帳簿です。


この総勘定元帳は、仕訳帳とともに主要簿と呼ばれ、一般的に総勘定元帳は

元帳と呼ばれています。


総勘定元帳が作成される流れは、まず取引発生順に仕訳帳に取引を仕訳し、

その後、仕訳帳から各勘定科目の勘定口座に転記され、総勘定元帳が完成します。


また、総勘定元帳の保存期間は、会社法では10年間、法人税法・所得税法では

7年間となっている証憑です。


総勘定元帳は、株主が会社法に規定のある、会計帳簿閲覧権を

利用して閲覧または謄写が出来る対象となる資料に該当します。


また、税務署が企業に税務調査に入った際には、必ず総勘定元帳をベースに

調査を進められるため、税務署から税務調査をする旨の連絡が入った場合は、

必ず総勘定元帳を数事業年度分準備することを求められる場合がほとんどです。


ちなみに、税務署が税務調査に入った場合には、売上や仕入に関する箇所に

調査時間の大部分を割きます。


その後に時間の許す限り、総勘定元帳を確認して金額の大きい経費の領収書の確認や

交際費などの領収書のチェックに時間を割き、それらの中に、役員報酬に該当するもの

はないかや、交際費以外の勘定科目で処理しているものの中で、交際費に該当するもの

はないかなどを中心に税務調査は進められます。


・証憑

証憑とは、取引の事実を示す証拠資料や証明書類のことです。


証憑は会計処理をする際の仕訳のもとになったものでもあります。


証憑は、経理処理の原点でもあるので、証憑の保管は、日付や通し番号で

管理し必要時に何時でも誰でも照会・確認できる工夫が証憑の整理保存には必要です。


証憑の読み方は、「しょうひょう」と読みます。


この証憑の意味は、事実を証明するものや根拠となるものという意味です。


証票と証憑違いは、証票は、事実を証明する為に書き記された文書のことであり、

証憑を英語で表現すると、documented evidenceやvoucherとなります。


この証憑は、整理する分類基準を設けて、それぞれの分類基準毎に

整理・保存をします。


例えば領収書などの証憑は、台紙などに、日付順・発生順等で月単位にごとに

整理・保存し、証憑の内容に応じた保存方法が必要になります。


また、証憑は、クライアント等の取引先との取引内容照会や、

税務調査時に、その取引が本当に行われたのかどうかの取引の正当性を

示す重要な資料となります。


そして、証憑や書類の保存期間は、種類毎に法令で定められています。


証憑や書類の保存期間としては、10年間か7年間か3年間の保存期間が多く、

10年間保存すべき証憑や書類としては、株主総会議事録・取締役会議事録・

財務諸表である決算書(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書)・

総勘定元帳などがあります。


このうち決算書や会計帳簿である総勘定元帳は法人税法では7年間の保存と

なっています。


このように、証憑や書類の内容ごとに保存期間は法律で定められていますが、

財務諸表や会計帳簿などの重要な書類については保存期間に関わらず永久に保存

すべきです。


尚、証憑の主なものとしては下記のようなものがあります。


①領収書(控)
②請求書(控)
③預金通帳
④領収書
⑤請求書
⑥小切手帳(控)
⑦納品書(控)
⑧請求書(控)
⑨注文書
⑩金銭消費貸借契約書
⑪借入返済予定表
⑫契約書
⑬見積書
⑭売上伝票・レジシート
⑮棚卸表


ちなみに、最近は、e-文書法(電子文書法)の施行に伴い、会社法や税法で保管が義務

づけられている証憑も、紙で作成された書類をスキャナで読み込んで電子ファイルに

変換して保存する企業も増えています。


・実査

実査とは、実物検査のことで、実際に現場に行き、

帳簿上の記載と実物の数量や金額を調査する作業のことです。


実査は、監査法人が資産の実在性を確認する為に、定期的に実施しています。


実査の実施日は、原則期末日直後ですが、実務上一般的には期末日から数日経過

した時期に実施することが多いようです。


この実査は、公認会計士の主要な業務である監査の基本であり、

監査の基本フローは、実査→立会→確認になります。


監査手続には様々なアプローチ手法があり、財務諸表を分析することによる財務分析や、

会計帳簿の突合や証憑の突合、通査や閲覧などがあります。


また、資産の勘定科目の金額の正確性を確認するには、

現物を実際に確かめる実査をすることが最も効果的で効率的です。


この実査の対象資産には、当然業種の違いにより様々な資産があります。


業種によっては、社外に資産がある場合などもあり、建設業や不動産業などの

仕掛案件の工事現場である棚卸資産なども、当然、実査の対象です。


これらの工事現場などの棚卸資産については、金額的重要性や、工事期間が長期化

しているものについては、利益操作による粉飾決算などに利用されかねない為、

資産の所在地が遠距離であったり、複数に散在している場合でも、重要な資産に

ついては実査の対象からはずれることはありません。


尚、実査の具体的主な実施項目は下記の通りです。

①現金
②預金通帳
③受取手形
④棚卸資産
⑤有価証券
⑥有形固定資産


・帳簿価額

帳簿価額とは、企業が資産・負債・資本の各勘定科目を会計処理し、

会計帳簿に記載された金額のことです。


帳簿価額は、帳簿に記載された金額であることから略して簿価とも呼ばれ、

減損会計を適用した場合等は、帳簿価額=取得価格にはなりません。


貸倒処理をする場合などは、不必要に帳簿価額を大きくせず節税効果も活用する為に、

備忘価額として、1円だけ帳簿価額として残すこともあります。


また、この帳簿価額は、企業が資産・負債・資本の取引をした時に

発生した金額ともいえます。


しかし、以前とは異なり、現在は、減損会計や時価会計が導入された為に、

財務諸表の資産価格は帳簿価額=取得価格では無くなっています。


また、以前の会計基準では、減損会計や時価会計は存在していなかった為、

株式などの有価証券や固定資産の中の不動産には含み資産があるものが

数多くありました。


但し、現在でも完全な時価会計ではないため、企業のPBR(株価純資産倍率)を

単純に信用することはできません。


企業の保有資産などの分析をする際は、オフバランス処理によりオフバランスされた

資産や負債も全て網羅して、企業の資産などを時価ベースで評価する必要があります。


また、固定資産等の帳簿価額は、減損会計を適用した場合、固定資産が投資に見合った

キャッシュフローを見込めない場合は、固定資産の帳簿価額の金額を時価との差額だけ

減額し、損益計算書に減損損失を計上します。


ちなみに、財務諸表では帳簿価額と記載することが正しく、

帳簿価格と表現することは誤りです。


尚、価格とは、商品の価値を貨幣で表したもので、価額は会計の財務諸表等に記載

するときに使う金額のことです。


・減価償却費

減価償却費とは、固定資産の使用による磨耗や、時の経過等による

価値の目減り分を費用として計上する勘定科目です。


減価償却費は、非現金支出費用なので、キャッシャフローにはプラスに作用し、

減価償却費は、固定資産の使用可能な耐用年数に費用を配分した会計処理です。


減価償却費は、その内容により、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用等に

計上されます。


また、減価償却費を算出する方法には、毎期均等額を費用化する定額法と、

毎期一定率を費用化する定率法の2つの償却方法があります。


減価償却費を使用可能期間に応じて費用計上することは、

売上を獲得するために用いられた費用の対応を明確にすることでもあります。


この収益と費用の対応については、企業会計原則の費用収益対応の原則で

定められています。


また、財務会計と税務会計は、減価償却に対する考え方が異なり、

減価償却費の計算数値に違いが出てくるので、企業会計上の利益と、

税務上の課税所得は、減価償却費の違いにより異なるケースがあります。


尚、減価償却費は非現金支出費用でキャッシュフローにプラスに作用する

項目です。


損益計算書上で大きな赤字であっても、減価償却費が多額に計上される製造業等では、

キャッシュフローは黒字になっている場合もあり、企業のキャッシュフローを見る上

では減価償却費は重要な項目の1つです。


・定率法

定率法とは、減価償却費の計算方法の1つです。


定率法は、期首帳簿価額に償却率を乗じて減価償却費を算出する方法です。


減価償却費の計算方法に定率法を適用すると、毎事業年度の減価償却費は

年数経過毎に減少します。


また、減価償却費の計算方法としては、定率法と定額法が主に利用されています。


定率法のメリットは、早期に多額の減価償却費の計上が可能なことです。


定率法のデメリットは、減価償却資産が稼動する初期段階の償却負担が重く、

利益を圧迫することです。


定率法は、定額法と比較して保守的な会計方針といえます。


ちなみに、定率法を減価償却費の計算方法とした場合にも、1円の備忘価額を残し

取得価額の全額が減価償却できます。


・定額法

定額法とは、減価償却費の計算方法の1つです。


定額法は、固定資産の耐用年数期間に毎年定額の減価償却費を計上する方法です。


減価償却費の計算方法に定額法を適用すると、毎事業年度の減価償却費は

一定することになります。


定額法のメリットは、減価償却費の計算が簡単なことです。


定額法のデメリットは、価値が逓減する資産では、収益と費用が対応しないことです。


ちなみに、建物の減価償却方法は定額法のみとなっています。


・欠損金

欠損金とは、会計上と税務上で解釈が異なります。


会計上の欠損金とは、資本金が純資産より大きい状態の場合です。


税務上の欠損金とは、事業年度の税法上の課税所得がマイナスの場合です。


税務上の欠損金は最大7年間繰越が出来ます。


また、欠損金は、企業業績の赤字により資本が毀損している状態では

ありますが、企業がバランスシート上で欠損金の状態に陥っても、

すぐに企業が倒産の危機に陥ることはありません。


税務上の欠損金が存在している時に、課税所得が発生した場合は、

その欠損金の金額だけ、課税所得が減少し、法人税等の税金の納付も

減少します。


税務上の欠損金が存在する場合は、当期純利益を増加させる

要因にもなり、また、税金の納付という資金の流出も減少する為、

キャッシュフローにとってもプラスの効果があります。


尚、過年度の税務上の欠損金は、翌期以降の課税所得と通算することが

できますが、繰越欠損金を当期の課税所得から控除する為には、

下記の用件を満たす必要があります。


①青色申告書を提出した年度の損失であること
②連続して確定申告書を提出していること
③前7年以内の損失であること


■財政状態や経営成績の確認


・試算表

試算表とは、ある一定期間の取引が元帳に全て記帳されているかどうかを

検証する為に作成するものです。


試算表には、元帳の勘定科目の借方と貸方の数字がそのまま記載されますので、

元帳に正確に取引が記載されていれば、試算表の借方の合計と貸方の合計は

必ず一致します。


試算表は、決算確定前の、貸借対照表や損益計算書ともいえますが、試算表の作成も、

経理の仕事です。


この試算表の種類としては、合計試算表、残高試算表、合計残高試算表の

3つの種類があります。


尚、以前の試算表を作成する目的は、全ての取引を元帳に手書きで記帳していた関係で、

記帳漏れがないかを検証する為に作成していましたが、現在では、手書きで記帳して

いる企業は皆無でしょうから、現在の試算表の利用目的としては、財務の状況を確認

すること以外には、ないといえるでしょう。


・合計試算表

合計試算表とは、 元帳に記帳された各勘定科目の借方の合計額と貸方の

合計額だけを、各勘定科目の借方欄と貸方欄に記入した試算表のことです。


元帳に正確に取引が記載されていれば、合計試算表の借方合計と貸方合計は

必ず一致します。


・残高試算表

残高試算表とは、元帳に記帳された各勘定科目の残高だけを、

各勘定科目の借方欄か貸方欄に記入した試算表のことです。


元帳に正確に取引が記載されていれば、残高試算表の借方合計と

貸方合計は必ず一致します。


・合計残高試算表

合計残高試算表とは、元帳に記帳された各勘定科目の借方の合計額と

貸方の合計額と元帳に記帳された各勘定科目の残高を、各勘定科目の借方欄や

貸方欄に記入した試算表のことです。


元帳への記帳が正確なら、合計残高試算表の借方合計と貸方合計は必ず一致します。